細倉真弓が個展『NEW SKIN』を開催 | ポートレートや雑誌からの切り抜きなどなどを合成したコラージュ作品を展示
セクシュアリティとジェンダーをベースに人種や国籍、人と動物や機械、有機物と無機物など「かつて当たり前であったはず」の境界を再編する作品を制作している細倉真弓が、個展『NEW SKIN』を東京・江東のmumeiで開催する。
今回の『NEW SKIN』では、自身の男性ポートレート作品や美術館に置かれた男性彫刻の写真、ネット上の韓国人男性セルフィー、細倉が男性身体表現のアーカイブとして大きな影響を受けていたゲイ雑誌からの切り抜きなどを合成した巨大なデジタルコラージュを制作し、その中を漂う映像作品とその写真作品を展示している。映像の中で、細倉の視点は酔ったように画面上を彷徨いながら寄り引きを繰り返す。時に何重にも重ねられたレイヤー合成が生み出す美しい細部を、時にキメラのような全体像を映し出しながら、画面は決定を避けるように漂い続ける。
本展の中心となるプロジェクション映像は、断片的な男性の身体や、この作品制作でのメインカメラであったスキャナー、不思議な刺青の入った肌、友人の女性映画監督と細倉とのとりとめのない会話、撮影中に交わされた細倉とモデルの断片的な言葉などが重ねられ、「記憶」と「記録」と「記録されなかったかもしれないもの」がないまぜになった状態で示される。
全体像が決して示されることのないコラージュデータは写真作品においても常に欠落を伴って掲示され、余白を想像することだけによって完成する。だがこの決定も常に定まることはない。
私たちにはあたらしい肌が必要だ。
それは毛皮のような蛇の鱗のような植物の産毛のような発光するガラスのようなものでもいい。
遺伝子のひとつを操作することによって蛾の遺伝子を持ったトマトやカエルの遺伝子を持った羊が誕生するように、それは私たちの今までのカテゴリーを曖昧にする。
私は女であると同時に男で、動物でもあり、植物でもあり、あるいは無機物でもありうる。
境界を曖昧にするあたらしい肌。
私と誰かの欲望を混ぜ合わせること。想像すること。どこから見るかを固定しないこと。変化すること。
あたらしい肌は「私」−あるいは「あなた」−を拡張するためのボディハックである。細倉真弓
Info
細倉真弓
展示タイトル英
NEW SKIN
同時開催(六角部屋)
PUGMENT x 細倉真弓
20191117 1930 2000(仮)
東京都現代美術館で開催されるMOTアニュアルでのPUGMENTのファッションショーの記録を基にしたコラボレーション作品を発表。
展示場所
mumei
〒135-0023
東京都江東区平野3-7-14 1F
3-7-14-1F, Hirano, Koto-ku, Tokyo 〒135-0023