アメリカで多くの企業がストリーミングサービスの音楽をBGMで使用 | 毎年26億ドルの損害が出ているとの試算が発表
SpotifyやApple Musicなどのストリーミングサービスは、我々音楽ファンにとってインターネットで合法的に音楽を楽しむための最高の手段だろう。しかし、個人レベルならともかく企業にとってはストリーミングサービスを使用することは必ずしも正しいことではないようだ。
世界的な情報調査会社のNielsenがアメリカ、イギリス、スウェーデン、スペイン、フランス、イタリア、ドイツの企業オーナー5000人へのインタビューを敢行したところ、ほとんどの企業が月額約1000円のストリーミングサービスを使用して店舗のBGMを流していることが明らかになったという。
営利目的でストリーミングサービスの音楽を使用することは違法だが、中小企業オーナーの71%がストリーミングサービスを用いてBGMを流すことが違法だと認識していなかったという。大規模なブランドや企業が店舗でBGMを流す際にはMuzakやSoundtrack Your Brandなどのサービスを使用することがアメリカでは一般的だが、中小企業にとってそれらのサービスは認知されていないのだという。その影響で、本来支払われるべきライセンス料のうち26億ドル(約2900億円)が未払いのままになっているとのこと。
ビジネス向けの音楽ライセンスを提供しているSoundtrack Your Brandはこのような現状を踏まえてアーティストが適切な報酬を得られる企業向けの音楽プラットフォームを開発するよう提言している。Rolling Stoneのインタビューにて、Soundtrack Your Brandの創設者の一人であるAndress Liffgardenは「私たちは、最もインタラクティブかつユーザーフレンドリーなプラットフォームを構築する必要があります。人々にそれを使用してもらうためには、より良いサービスを作らなければならないのです」と語っている。
確かにビジネスとして音楽を使用するためには手続きがどうしても煩雑になってしまうため、便利なストリーミングサービスをそのまま使用したくなってしまうのだろう。単にストリーミングサービスを使用していたオーナーの無知や違法性を糾弾するのではなく、より正しい形に導くためのシステムを作るべきだという提言は妥当だろう。
多くの企業が適切な使用料を支払わずに音楽を流していたとあってはアーティストへの不利益も相当なものになってしまうが、これから構築されるシステムによってアーティストが適切な報酬を得られるようになるのだろうか。