【インタビュー】Cram & Budamunk by ISSUGI | Talk About Beats

今年DOGEAR RECORDSからそれぞれアルバムをリリースしたビートメイカーのCramとBudamunk。世代が違う中でも自身のビートの世界を追求してきた2人に対して、毎月7インチをリリースする前人未到の企画『7INCTREE』にも両者をプロデューサーとして招き入れたISSUGIがインタビューを決行。

3人のビートフリークによる濃厚な会話を楽しんでほしい。

photo by 浦野 大輔  / at Hellrazor Disposal Pop Up Store at Barneys New York

- 2人が知り合ったきっかけは?

Budamunk - 5年前に福岡行ったときかな。飯食いに行ったときだよね。

Cram - そうですね。友達が福岡でパーティやったときで。僕は主催者じゃなくて、ただのプレイヤーとして行ったら、主催者の人が「俺ビートとか全然わからんから、Cramも一緒に飯来てくんね?」って言われて、ついていったら僕が1番話してました(笑)。

- Cramはもうその時点でBuda君のことは知ってた?

Cram - もちろん知ってましたよ。ネットでめっちゃ聴いてました。

Cram

- Buda君のいつぐらいの作品から知ってたの?

Cram - もう初期から知ってますね。あの~ブラント持ってるジャケットのやつとか。

Budamunk - MONJUとか入ってたBudasession』だ。1番最初だね。

- それはどういう感じで知ったの?

Cram - なんでだっけなぁ。MONJUは知ってたんですけど。

Budamunk - じゃあ、それを聴いてた流れでとかじゃない?ビートシーンはその頃から興味あった?

Cram - 確か、Dibiaseの話とかしてたと思うんでその時、だから興味はあったと思います。(笑)

Budamunk -『Budasession』をチェックする前からDibiase(※1)は知ってた?

Budamunk

※1 Dibia$e(ディビアシー)はLAを中心に活躍するビートメイカー・トラックメイカー。95年からビートをつくり早々と高い評価を得て、フライング・ロータス、ブダモンクとともに制作に携わり、LAのビートシーンを長年ずっと盛り上げる存在。

Cram - あれKeentokersっていうレーベルから出てましたよね?

Budamunk - いやあれはJazzy Sportから出したよ。

Cram - Bandcampに置いてませんでしたっけ?

Budamunk - Bandcampにはあとから出したけど。もしかして『Smoke Deep』ってやつかな。

Cram - ああ僕それっす!あの6曲くらい入ってるやつです。

Budamunk - あれ2011年に出したやつだね。ちょうどSick Team出したときくらい。

Cram - 最初はその辺かもしれないですね。

- Cramがビートを作り始めたきっかけは?

Cram - きっかけは最初DJを結構やってたんですけど、自分の曲でお客さんを盛り上げたいなって思って作り始めました。

- Buda君が言うビートシーンの始まりってなんですか?

Budamunk - 最初LAにいた時代はまだビートシーンはなくて、まだその頃はヒップホップのシーンしかなかったから、ラップのクルーとして活動するかDJするかしかなかった。Dibiaseはビートも作ってたけど、”Missing Page Crew”っていうクルーでMCとして活動してて。Missing Pageと俺がいたSoul Jugglerzっていうクルーは良く同じイベントでライブしてて、んでその時同じくらいのローカルのイベントに出てたやつで有名になってるやついっぱいいるけど、あのLOW END THEORYの司会やってるNocandoってやつはCustomer Serviceっていうクルーでライブしてたし。

Cram - え、一緒にいたんですか?

Budamunk - 同じ時代に活動してて、曲も一緒にやったことあるよ。

- その時は皆アンダーグラウンドで?

ISSUGI

Budamunk - そうだね。すごいローカルなシーンだけど、盛り上がってた。そこで活躍してるやつが、JayLibとかWuのメンバーとか有名なアーティストがLAでライブする時に前座でライブできたりしてた感じだね。あとDumbfoundeadっていう韓国系のアメリカ人のラッパーもProject Blowedってクルーで活躍し始めてた。多分あいつが初めて録った曲は俺のビートだったよ。一緒に始めたやつの1人だね。Missing PageもNocandoもProject Blowed だったね。その辺が若いBlowedでLow EndのDaddy Kevはその先輩って感じだね。

- ビートだけで成立するようになったのは具体的にいつ頃?

Budamunk - 多分1番最初はレコード屋でMPCとか自分の機材持ってって、渡されたレコードでビートを作るっていうバトルがあって、それに俺とかDibiaseとか他の友達とかも出てて、それが最初なんじゃないかな。Dibiaseもそれが最初って言ってるし。

- つまりビートバトルがビートシーンの始まり?

Budamunk - 盛り上がっていったのはバトルが最初だと思う。

- バトルは同じレコードで作る?

Budamunk - 同じレコードでサンプルして作るんだよね。それもDumbfoundeadが教えてくれて、出ることになって。Tha AlkaholiksとかBrooklyn Zooとかゲストのアーティストとお客さんがジャッジで面白かった。俺はその後に日本帰って来ちゃったんだけど、Dibiase曰く、その時は皆でわいわいチルな感じでやってたらしいんだけど、Red Bullのビートバトルとかになると皆シリアスな感じになるっていう。(笑)

- Dibiaseは俺も好きなアーティストの1人なんですけど、彼は具体的にビートシーンにおいて彼は具体的にどういう役割だった?

Budamunk - 多分、ビートシーンで1番重要って言われてる奴だね。それこそFlying LotusとかもDibiaseがいなかったらああいうビート作ってなかったかもしれないし。Lotus自身が有名になる前から、Dibiaseにすごい影響受けてたと思うし、俺も影響受けてたし。そういうビート作ってる奴がまだ誰もいないときからもうすでにDibiaseはそういうビート作ってて、なんかちょっと崩れた感じにスウィングしてる。もちろんJ Dillaとか色んな90年代のプロデューサーの影響は受けてるんだろうけど、それをまたちょっと変えたビートを作って基盤を作ったって感じかな。

Flying LotusとDillaの間にDibiaseがいるのは間違いないね。後はMy Spaceの影響はデカかったかなと思う。My Spaceは元々Facebookみたいな普通のSNSだったんだけど、ある時アーティスト用のページが出来て、みんな自分の曲をアップするようになって。最初はそれこそ俺とかDibiaseとかローカルのアーティストしかいなかった。でもそこでプロデューサー達が自分のビートを皆に聴かせられる場ができたんだよね。それまでもインストのビートアルバム出してる人とかいたけど、それも基本MCの人がフリースタイルしたり、ラップを練習するのに使われてたイメージがあったけど、My Spaceでプロデューサー同士が自分のビートを聴かせあうようになった。Dibiaseとかめちゃめちゃフォロワーいたし、最初LAのやつだけがやべえってなってたのがだんだん世界中の人が反応するようになったのがMy Space。My Spaceが無かったらDibiaseもあんなに有名になってなかったかもしれないし、ビートシーンもなかったかもしれない。

- ビートシーンはもう世界中に広がった感じしますよね。

Budamunk - My Spaceでも、その後、割と有名なアングラのアーティストがページ作り始めて、メジャーのアーティストがページ作り始めたのはかなり後だね。
それでやっぱ俺もいろんな人とお前のビートやべぇみたいな感じで意見言い合って、俺のページにもいろんな人がやべえってコメントくれたりして、「新しいビートをMy Spaceにアップしないと」みたいなのはあった。2004~6年くらいにちょっとずつ広まってった感じかな。俺は2006年に日本帰ってきたけど、その後もMy Spaceでずっとやってたし。日本帰ってきてからもシーンに居られたのはMy Spaceのおかげかな。My SpaceのおかげでLAの仲間とも繋がれてたし。ネット自体、皆使うようになったばっかりだったからね。

- 当時レーベルとかと繋がりがなかったとしても、自分たちの力だけで作った曲を速攻アップできるっていうシステムは良かったですよね。
俺もMONJUとISSUGI別々のページでやってたんですけど、MONJUで曲録るってなった日にPUGだけ来れなかったときがあって、でもその日の勢いで録った曲を速攻MySpaceにあげたりしてましたね。

Budamunk - あの曲すげー好き(笑)

- じゃあBuda君が東京帰って来たときに、ビートシーンは出来てた?

Budamunk - いや、まだビートシーンは出来てなかったね。My Spaceにあげてはいたけど、シーンと呼べるものはなかったかな。MCがラップするためのビートを聴かせようみたいな。その時はビート作ってるやつ同士だけの世界って感じだった。

- Cramがビートシーンに気付いたのはいつ頃?

Cram - 多分、Budaさんチェックして、その流れでDibiase見つけて、ああこんなシーンあるんだってなったのが最初ですかね。もうその時、LOW END THEORYあったんですけど、そこでプレイしてたりして。

- 基本的にビートメイカーしか出てないんでしたっけ。DJも出てるんでしたっけ?

Budamunk - あれはレジデント以外は基本的にビートメイカーで、ビートのライブだと思う。俺も日本のやつ以外行ったことないんだけどね。日本帰ってきちゃったから。その前までは同じ場所でイベントやってたけどヒップホップのイベントしかなかった。

- LOW END THEORYはオーガナイズは誰がやってるの?

Budamunk - あれはDaddy KevとD StylesとNobodyかな。どっちかっていうとLAのアンダーグラウンドのヒップホップシーンで活躍してた人が、新しいことを始めようとして始まった感じ。Daddy KevもNobodyもProject Blowed(※2)周辺のアーティストのプロデュースやってた人だから。

※2 Project Blowed LAアンダーグラウンド・ヒップホップ・シーンの中核で多大な影響力を与えたMC集団。今も伝説的に語り継がれているLA・サウスセントラルにあったTHE GOOD LIFE CAFEで西海岸で眠っていた才能溢れるMCやDJ、ダンサー、アーティストたちと共に、その技術や芸術に火花を散らした。

- じゃあ結構そのままの動きじゃないけど、アンダーグラウンドな形でやってた人達がさらにビートシーンっていうビートの形でまた新しいイベントをやるって感じだったわけだ。

Budamunk - そうだね。ビートシーンにいち早く目を付けた人達だよね。ビートバトルがあってからのLOW END THEORYだと思うね。ビートバトルが盛り上がったのが先だと思うんだけど。あとRas Gは元々Sketch BookっていうイベントでKutmahとかDaedelusとかNobodyとかと活動してて、そのシーンは俺はそんなに詳しくないんだけど、Flying LotusとかDibiaseもその辺にもいたみたいで、そっちはヒップホップよりダウンテンポとかもう少しアブストラクトなシーンで、ヒップホップのシーンよりは大人な感じで、インストの曲も多く流れてたと思う。そのシーンも後のビートシーンのベースになってる感じかな。

Cram - Red Bullもその前?

Budamunk - Red Bullはもしかしたら被ってる時期もあるかもだけど、LOW END THEORYより先なんじゃないかな、俺もちょっとわかんない。でもどっちも俺が日本に帰ってきた後っていうのは間違いない。俺がLAいたときはまだなかったねどっちも。

- なんか日本でもその時よりは絶対後だと思うんですけど、一時期ビートバトルとかビートの大会何個かありましたよね。

Budamunk - うん。2008年が最初で、俺が初めて出た大会だね。

- やっぱ面白かったですよね。他のイベントと違う感じというか、ビート待っている間も、今作った音をすぐ聴くのも超新鮮だったし。

Cram - 作ってるのを見れるのもいいですよね。

- なんかまたああいうイベントやってみても面白いのかなって思いますね。

Budamunk - 俺が日本に帰ってきたときがちょうど境目だったのかな。俺がLA発った日がちょうどDillaが亡くなった日で。

- J Dillaの話もしてきたくなっちゃいましたね(笑)皆J Dillaのどういうところが好きですか?

Budamunk - それこそDillaが亡くなって、あれだけ盛り上がったこともビートシーンがここまで大きくなった理由の1つかもしれないよね。さっきのことの下積みがあって、それが起こって世界中ですごい皆聴くようになって。もちろんJaylibとかで1回バーッって盛り上がったりはしたけど。

Cram - J Dillaが死ぬ前をあまり知らないんですけど、死ぬ前は有名じゃなかったんですか?

Budamunk - いや有名だったよ。90年代からずっと好きだった。

- まずビートメイカーからのプロップスがハンパなかったからね。メジャーな仕事も色々やってたしね。

Cram - あーSlum Villageとかそうですよね?

Budamunk - あれはもっと後だけど、Vol. 1は普通に流通してなくて、俺はRhettmaticの”The World Famous Beat Junkies Vo.2”ってミックスでSlam Villageを始めて聴いて、そのあとvol2がリリースされて速攻買った。J Dillaっていう存在もそれで割と広まった感じがする。

Cram - その時って誰がビート作ってるかとか皆見てたんですかね?

Budamunk -見てる人は見てたと思うよ。

Cram -ラッパーだけがフィーチャーされてたイメージでした。

- あったと思うよ。俺もアルバム買うときプロデューサーチェックしてたしね。細かい裏面とかみて(笑)

- J Dillaの好きな部分は?

Budamunk - 俺は90年代だったらグルーヴだね。グルーヴ感が1人だけずば抜けてた感じがします。

Cram - 僕は『Donuts』の方が好きなんですよね、1番最後のやつ。

Budamunk - あれは入院してたベッドで作ったやつだから、SPだけでループさせてる。でも俺はビート組んで叩いてるやつの方が好きなんだよね。

Cram - 『Donuts』のサンプルの使い方とかが新しくて、こういうのもアリなんだってなって『Donuts』好きになりましたね。

Budamunk - でもMadlibももうすでにそういうのやってた感じはあるよね。だからもしかしたら『Donuts』はMadlibの影響受けてるのかもね。

- すげーいいっすよね。J DillaとMadlibの音の友情みたいなもの。

Budamunk - もともとMadlib達がDillaのビートに勝手にラップしたビートテープを作ったら、オフィシャルでやろうよってことになってJaylibが出来たっていう。

- Madlibはどういう存在ですか?(笑)

Budamunk - Madlibはあのめっちゃダスティーな感じが他になかったから衝撃を受けて。めちゃ影響受けてるね。

- J Dillaとまた違う所というかMadlibのあのガサガサしてるとことかいいですよね。

Budamunk - そうそう。それこそ俺はLAのアングラのヒップホップのシーンにいて、影響受けてたから、やっぱLootpackすげーやばかったね。生でもめっちゃ見たし。Jaylibも5回は見たね(笑)

- 話変わるんですけど、Cramがトロントに行こうと思ったきっかけは?

Cram - 普通に大学卒業して、就活してたんですけど、なんかやだなってなって。それでバイトしてたんですけど、このままバイトしてもどうにもなんないから、英語勉強したいなと思って。それでお金貯めて(アメリカに行きたかったんですけど)、アメリカってワーホリがないんでそのほかの選択肢だったら、Elaquent(エラクエント)っていうビートメイカーがカナダにいるんで、そいつに会いに行こうと思ってカナダに決めました。

- カナダはどうだった?

Cram - めっちゃ良かったですね。ビートも毎日作って。言語学校とビートメイクだけで仕事はしてなかったです。

- ビートメイカーは他にもいた?一緒に遊んでたやつとか

Cram -そうですね。BudaさんにとってのMy Spaceが僕の時はSoundCloudだったんですけど、僕がSoundCloudで聴いてたCYってやつが“お前トロントに住んでるの?”みたいになってメッセージ来て、そっから遊ぶようになって。それで初めてしゃべる時に日本から来たって言うと99%くらいの確率でBudamunk知ってる?って言われて(笑)うわ、Budaさんすごいなってなって。しゃべったことあるよってドヤ顔で言いまくってました(笑)。皆エーッってなるんですよ。ElaquentもBudamunkの国から来た奴だみたいなこと言ってきて。

Budamunk - それこそElaquentも昔から俺のことチェックしてくれてて、一緒にやろうよってメッセージくれて、彼の作品に参加しましたね。

- トロントにはそういうビートのパーティみたいなのはある?

Cram -ヒップホップのビートのイベントは小さいのひとつくらいしかなくて、エレクトロとかインスト作ってる奴らとヒップホップの人も一緒にやってたって感じですね。

- トロントに行って、影響を受けたこととかはある?

Cram - カナダ人と話してて、考え方とかが日本人と違って、ナシがアリになるというか具体的に何って言葉で表すのは難しいんですけど、脳が変化して、このサンプルはナシとか今まで無意識に判断してたのが、ちょっとでも引っかかるサンプルだったら作ってみようって思えたのはカナダ人のおかげですね。何か技術を教わったわけではないんですけど。考え方が変わりましたね。

- なるほど、いいね!トロントは気候はどうなの?

Cram - 冬はめっちゃ寒いです。ー20~30℃くらいで。目がまばたきしたら凍るんですよ。夏は暑くて、(日差しが強くて、カラッとしています。)。まあめちゃ良い国なんですけど。

- ラッパーとかは結構居た?

Cram - いや、僕が行った周囲にはあんまりいなくて。カナダ行ったって日本人の友達に言ったら、誰々いたっしょ?ってめっちゃ言ってくれるんですけど、その人達見たことなくて。多分ラッパーは少ないかなと。

- Cramは、ビートメイクはSPでずっとやってるの?

Cram - 最初はMacのガレージバンドでずっとまねごとみたいな感じでずっとやってたんですけど、サンプリングじゃなくて文字のキーボードでプリセットで、ドラムやってって感じで作ってました。そこからWax Poetics見て、MadlibがこれでやってるとかDoomが持ってるジャケットとかもあって、皆MPCで作ってたし、俺はSPでやってみようかなって感じで始めました。

- 2人ともラップが乗ってるやつとビートだけのがあると思うんですけど、その違いってあったりしますか?

Budamunk - そんなに意識したことないかなぁ

Cram - ビートだけでグルーヴ作るの僕は難しいなと思ってて、そこにトライするのが面白いんですけど、その曲だけで聴かせられるような魅力がないとだめなのかなとは思います。でもラップが乗れば、そのビートにもラップが乗れるスペースが必要になってくるし、ラップが乗るようなビートはそれだけで聴くとつまらないのかなとは思いますね。でもその分ラップが乗るからラップのグルーヴとかでまあ楽器を足すって感じで僕は聴いたりしてますね。ビートで聴くときはそれだけで盛り上がる曲なのかどうかみたいなところは重要なのかなとは思います。

Budamunk - ビート作ってる時に、このビートはラップ乗せたいなとかこれはこのままインストでいいやみたいなのはあるね。

- どっちも好きだと思うんですけど、どっちが好きですか?(笑)

Cram - 僕はインストですかね。

Budamunk - 俺はどっちも好きかな~。

Cram - えーっ、どっちもありですか!じゃあ僕もどっちもで(笑)

Budamunk - まあ俺はずっとヒップホップで育ってるからね。

- 俺2人がつくるリミックスとかも結構すきなんですけど、リミックスはどういうときにやるんですか?

Budamunk - 俺はビート作ってて、たのまれたやつは別だけど、このビートあのアカペラ乗せたらヤバそうだなって乗せたらハマったってやつしか作ったことないね。このリミックスを作ろうと思って作ったことはない。

Cram - 僕結構リミックス作るの好きなんですけど、8割くらいは例えばビート作って、結構乗せて2パターンインストとリミックスしたやつ保存してたりするんですけど、最初ビート作って、(これにどんなラップが合うかなと考えながら)Youtubeで何がいいかなぁってポチポチってして、これ合いそうってなったら落とすみたいな感じですね。

- Buda君はDJの時とかはリミックスはかけないよね?

Budamunk - 俺はかけないかなぁ。かけるとしたらビートライブの時とかにかけるかな。

- Cramはビートライブの時にも結構かけたりするよね。

Cram - そうですね。さっきも言ったんですけどグルーヴ簡単に出ちゃうんで、力借りちゃおうみたいな。

- でもそういう考えって面白いよね。

Budamunk - 確かに新しい世代の発想だったりするかもね。俺たちの世代、それこそDibiaseとかはやってないけど、Knxwledgeとかはやってるし、Swarvyもやってたりするね。

- 2人にとってビートライブとDJの違いは何だと思います?

Cram - ビートライブはスクラッチがないんで、DJ聴いてて好きなのはスクラッチのスキルを見るの好きだし、ビートライブだったら自分の曲でお客さんをアゲられた時とか、ビート作ってる時にこのビートアガるっしょみたいになって、実際にかけてアガった時にでしょ?ってなった時の脳の喜びが忘れられなくて、リミックスとか良くかけて現場盛り上げたりしてますね。

- Cramのアルバムの 『The Lord"』をRECした時にBESも言ってたけど、Cramのビートは音圧というか圧みたいなのが好きなところの1つなんだよね。クラブとかで聴くと揺さぶられるというか。そこは意識してる?

Cram - 意識はしてますけど、多分僕の周りの人達皆やってるようなことだと思いますね。多分コンプのこと言ってるんだと思うんですけど。

- でも同じような事をやってる人の中でも、Cramのビートには独自のまとまりがあると思うよ。Buda君はDJとビートライブの違いはあります?

Budamunk - 俺ビートライブの時、クラブでかけるときはあんまりレイドバックしすぎてない、クラブでかけてもオッケーなラインが自分の中にあって、そのラインを超えてるやつしかかけないね。ビートライブは家でレイドバックしてるときに聴く感じとは違うからね。DJの時は、ほんと好きな曲かける感じだね。DJのとき、俺あんま自分の曲かけないんだよね。自分が聴きたい曲をかける感じだね、あえて。

- Buda君も音の特徴みたいなの完全にありますよね。2人はそれぞれのアルバム的に今回どんな感じですか?

Budamunk - 今回俺のアルバムはレイドバックしてるね(笑)。ビートライブではかけない方の曲ばっかり。

Cram - 僕のは聴いたら元気になるような仕組みというかわくわくを詰め込んだんで、聴いたら頑張るっていうのを約束して欲しいですね(笑)

- CRAMがレギュラーで出てる中野heavysick zeroでやってるイベント、『Slow Lights』についても聴きたくて。

Budamunk -なんか他にああいうイベントないなぁとは思うね。アングラヒップホップのみのイベントは他にないと思うし。結構人も入ってるし、ビートライブもあるし、まだああいうイベントは他にはないかなと思うね。ゴリゴリヒップホップのイベントでもないし。

Cram -ILLSUGIがラップもビートも作るから、バランスが良くてどっちものお客さんが来るっていうのはいいなと思いますね。

- おれもすごい好きなイベントなんだよね。1階と2階のフロアそれぞれのバランスも良いよね。ヒップホップ好きな連中がやってる空気がイベントに漂ってるよね。Cramいつぐらいから出てるんだっけ?

Cram - 福岡にいるときから呼んでもらってましたね。Reidamっていうラッパーがいて、そいつのバックDJしてたときに呼んでもらってましたね。ReidamがILLSUGIと知り合いで。皆同い年なんですけど。
その時、福岡の周りの人は、BudaさんとかDibiaseとかあんまり知らなくて、話出来ないじゃないですか。それで東京来て、BUGSEEDくんとかILL SUGIとか知ってて、その時僕しか知らないと思ってたんで、ああこいつ知ってる~ってなりましたね(笑)次の日、一緒に飯食って音楽の話しまくって、そこからですね。

- 作品も一緒に出してるもんね?

Cram - そうですね。ILLSUGIもずっと日本のビートシーンにいたんですか?

Budamunk - 当時Sick Teamがカーハートにスポンサーしてもらってて、服をもらいに行った時に、ILLSUGIのその時の彼女がカーハートで働いてて、店で彼のビートを流してて。かっこいいなと思って誰の曲って聴いてみたらILLSUGIのビートだったっていう。それで彼のことは知って、その後日本でLow end theoryがあったときにILLSUGIも出てて、その時初めて会って。2012年くらいだったかな。

- それで『Unchain』っていうFamilyでやってたイベントに呼んだ時にゆっくり話して、そこから仲良くなって、その後2人でビート作りまくってた

- 2人的に日本のビート作る人のシーンはどう見てます?

Budamunk - 俺はいつも言ってるけど、もっと盛り上がって欲しいな。でも確実に昔よりはヤバい奴はいっぱい出てきたと思う。それこそILLSUGIとかBugseedに会う前とかの、日本のビートシーンはかっこいい人はいっぱいいたけどヒップホップって感じではなかった。ILLSUGIとかが出てきてヒップホップぽくなってきた感じはする。

Cram - プレイヤーも多いですしね。

- なんか日本じゃなくてもいいんで注目してるビートメイカーとかいます?

Budamunk -TUAMIEってやつは好きかな。Fly Anakinのビートやってるやつ。

-あ!ヤバいっすよね。前教えてくれた人だ。

Cram - Cambank$っていうラッパーのビートやってるRevenxntってやつはめちゃかっこいいです。

Budamunk - TUAMIEは最初知ったのはSidewalk Kalってやつのビートやってたときに知って。

Cram - Kankick系のビートですよね。あれにFly Anakinのジャキジャキのラップが乗るっていう。

- どういう時にビート作りたくなるんですか?

Cram - 僕は朝起きて絶対作ります。前の日の夜にもうサンプル用意しておくんです。そしたらわくわくして起きれるんですよ。眠いけど起きれるっていう。僕はそうやってモチベーションキープしてますね。

- Buda君は聴きながらって感じ?

Budamunk - 最近作れてないからなぁ。でも最近夜早く寝て朝早く起きるんだけど、夜早く寝すぎて夜中に目覚めちゃったときにつくるビートが好きかな。3時くらいに目覚めると、周りめちゃ静かだから。

Cram - 1曲どのくらいで作ります?

Budamunk - 最近は時間かけるようになったから1日1曲とかかな。昔は1日7曲とかあったけど。今はもっと1個に時間かけるようになったね。作る数は昔と比べて減ったかも。

ビートメイクの楽しさってなんですか?

Cram - 僕はこのサンプルからこれが出来た!みたいな変化の落差が大きいときは楽しいなと思いますね。

Budamunk - 俺はただ単にビート作るのが好きというか、なんかもうその時の気分でなるがままでやる感じだから。

- これでこのビート完成みたいなポイントって?

Cram - 僕は例えば9割くらいまで出来てて、あと1つハイハット付けたいってなって付けたときにうるさいってなったらそれで終わりですね。

Budamunk - 俺はループしてて、それをずっと聴けたらそれでオッケーって感じですね。

- 最後に2人の作品とか聞いて、これからビートとか作りたいなと思ってる人に向けてひとこととかあります?あとそうだ(笑)、自分の話になっちゃうんだけど今週10/20(土)の『7INCTREE" RELEASE PARTY at clubasia』 2人とも宜しくお願いします!

Cram - よろしくお願いします!あの企画に参加していた人たちを一晩で見れるので是非見に来てください。僕もプレイするのでとてもワクワクしてます!とりあえず手を動かしてループ作ってみて、保存して書き出すっていうのを何回もやってればいつか良くなるんでそれを続けるのがいいかなと思います。

Budamunk - ビート作りたいと思ってるひとはとりあえず作りまくった方がいいかなっていうのはあるかな。作った数でレベルが上がる感じはする。
10/20宜しく!日本中の今最もドープなヒップホップのMC,プロデューサー、DJが一晩で見れる機会はなかなかないと思うんで是非みんな遊びに来てください!

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