Kanye WestがTMZでのインタビューで「奴隷制は黒人が選択したものだ」と問題発言
昨日から今日にかけて物議を醸す発言を続けているKanye Westのインタビューが2つ公開された。1つはCharlamagne tha Godとの1時間45分にも及ぶロングインタビュー動画。もう1つはウェブメディアのTMZのオフィスで行われたものだ。
後者のインタビューでKanyeは先日も話題になっていた奴隷制についてある発言を行った。
Kanyeはインタビュー内で「奴隷制は400年続いたと聞くよな、400年だぞ、これはもう自分で選んだようなものだよ」と黒人自らが奴隷制を選択したようなものだという主旨の発言を行った。
「400年間もずっと奴隷制だったんだ、全員がだよ」と続けたKanyeは、「俺たちの精神は閉じ込められたままだ。俺は『投獄されている』という言葉が好きだ。奴隷制は黒人の思考にダイレクトに結びついてるから。牢獄が、おれたちを一つの人種に団結させているものなんだ。黒人と白人は同じ人種になれる。俺たちは同じ人類だ」と持論を展開した。
このKanyeの意見に対し毅然と反論を試みたのがTMZのスタッフであるVan Lathanだ。彼はインタビューの後半で、Kanyeに対し「私はあなたが何かを考えているとは思わない」と何も考えずにそのときのムードで発言を行うべきではないと批判。
その後も「私はあなたの行動には思考や根拠が欠けていると思う、あなたは自分の意見を言う権利もあるし、あなたが信じるものを信じる権利がある、しかし事実と現実の世界がある、現実社会の結果が、あなたの言ったことの背後にはあるんだ。あなたが音楽家やアーティストとして生き、天才として生きられる生活がある一方で、残りの私たちは社会にいて、様々な脅威に対処していかなければならない」とLathanは、Kanyeが自分の周囲のことしか理解しておらず、現在も多くの黒人は社会的に抑圧されている現実があるんだと話した。
「あなた曰く400年前に自分たちで選んだ奴隷制で、私たちは社会的な軽視に耐えられなければならないんだ。率直に言って失望した」とLathanは述べ、それに対しKanyeは「申し訳ない、傷つけてしまった」とその場では謝罪した。
この映像がアップされるとこれまで以上に大きな批判にさらされたKanyeは、Twitter上で発言について釈明した。
to make myself clear. Of course I know that slaves did not get shackled and put on a boat by free will
— KANYE WEST (@kanyewest) 2018年5月1日
My point is for us to have stayed in that position even though the numbers were on our side means that we were mentally enslaved
— KANYE WEST (@kanyewest) 2018年5月1日
Kanyeは「自分自身の考えを明確にしたい。もちろん奴隷が自由意志で自らを鎖につなぎ奴隷船に乗ったわけではないというのはわかっている」と投稿し、「おれが言いたかったのは、おれたちは多数派になったのに未だにそのポジションにとどまっているということだ。これはおれたちが精神的な奴隷状態にあるということだ」と発言の意図を釈明した。
the reason why I brought up the 400 years point is because we can't be mentally imprisoned for another 400 years. We need free thought now. Even the statement was an example of free thought It was just an idea
— KANYE WEST (@kanyewest) 2018年5月1日
さらにKanyeは「400年というのを持ち出したのは、次の400年もこの精神的に閉じ込められた状態になってはならないからだ。おれたちには自由な思考が必要だ」と最近のKanyeのキーワードである自由な思考という言葉を持ち出した。
批判の声に対してもKanyeは自分は黙らないと、発言を止めるつもりはないと主張している。しかしKanyeの自由な思考とは、果たして本当に自由な思考なのだろうか。というより歴史的な問題に対しての自由な思考の発言は、単に歴史修正主義的にみえてしまう。