韓国インディーシーンのシンガーソングライター、イ・ランが2ndアルバム『神様ごっこ』は70Pのエッセイ付き
2010年代、韓国ソウルのホンデ(弘大)シーンを象徴するシンガー・ソングライター、イ・ランが、読み応えある長編エッセイを付属した日本独自仕様の深く美しい最新セカンド・アルバムを本日2016/09/15リリースした。
『神様ごっこ』と名付けられた10曲入りのアルバムは、長編エッセイブックレット付きの「オーディオブック」として韓国で7月にリリースされた。韓国盤は、エッセイ小冊子に曲のダウンロードコード付属する形でリリースされたが、日本版はCDと小冊子で販売される。
レコーディングは、チェロ奏者のイ・ヘジ、ドラムスに404(サーコンサー)のチョ・インチョル、 さらにソリミュージアムのイ・デボンやソンキョルのキム・ギョンモを迎えてスタジオではなくソウル・ホンデの雨乃日珈琲店で行われた。そのおかげもあって、独特の音響を感じられるだろう。
【付属長編エッセイより抜粋】
人生のさまざまな要素のうち、私は楽しさを最優先に生きてきた。愛に満ちた人生、幸せな人生がどんなものかはよく分からない。私にとっては、楽しい人生こそが最善の形らしい。でも、楽しい人生とは、いつも笑顔で踊り出さずにいられないようなものではないと思う。むしろ眉をひそめた表情に近いもののような気がしている。例えばこの文章を書いている私の表情みたいなものだ。考えたことを字で書き、また考え、煮詰まったら友達とおしゃべりして、再び考えを整理して書く。この文章の題名を考え、どんな挿絵をつけるか悩む。そうして完璧な1ページをつくり出す気分が「楽しい」のである。考えることが、それを話すことが、歌うことが、そして書くことが楽しいのだ。
イ・ラン(이랑):韓国ソウル生まれのマルチ・アーティスト。シンガー・ソングライター、映像作家、コミック作家と活動は多岐にわたる。2006年、アマチュア増幅器(ヤマガタ・トゥイークスター=ハンバのソロ・プロジェクト)の「金字塔」のカバーから音楽活動をスタート、日記代わりに録りためた自作曲が話題となり、ソモイム・レコーズと契約。2011年9月にシングル「よく知らないくせに」でデビュー。2012年春に初来日ツアーを実現させ、夏にアルバム『ヨンヨンスン』をリリース。韓国インディー・フォーク・シーンとびきりのニュー・タレントとして大きな注目を浴びる。2016年6月にはヘリコプター・レコーズから『新曲の部屋』コンピレーション、続けて4年ぶりとなる2枚目のオリジナル・アルバム『神様ごっこ』をリリースする。
1. 神様ごっこ
2. 家族を探して
3. 物語の中へ
4. 悲しく腹が立つ
5. 笑え、ユーモアに
6. 東京の友達
7. 平凡な人
8. 世界中の人々が私を憎みはじめた
9. 私はなんで知っているのですか
10. 良い知らせ、悪い知らせ
韓国インディーシーンの闇のフィクサーで、イ・ランとも親交が深いパク・ダハムがコメントを寄せている。
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個人的にミュージシャンのお手伝いで、彼らのライブについてまわったことがある。主にライブ会場に行ってリハーサルを一緒に進め、ライブが無事に進行するのを見届けて家に帰るのだ。
そうやって一緒に仕事をしてきたイ・ランのセカンド・アルバムを聴きながら、こんな考えが頭に浮かんだ。シンガー・ソングライターが自分の歌を何度も繰り返し歌うとき、どんな気持ちで歌うのだろう? ずっと同じ気持ちのまま歌い続けるのだろうか、それとも最初の気持ちを忘れてしまうのだろうか、あるいは、よりよい気持ちで歌えるようになるのだろうか?自分のことを歌ってきたイ・ランの場合は、3番目の場合が多いだろうと思った。
どんな選択においても明らかに引き返すことのできない道があるがゆえに、イ・ランのセカンド・アルバムは『ヨンヨンスン』と同じであるはずがないだろう。あなたもそう感じるだろうが、イ・ランのセカンド・アルバムには前作とは明らかに違う話が収められている。明るい作品とは決して言えないが、折に触れて覗き込んでしまうほかないこのアルバムを聴いていると、曲を書いて歌うイ・ランの(カバー写真にもある)いまの姿を眺めているようだ。いろんな面で不思議なアルバムだ。 /パク・ダハム(ヘリコプター・レコーズ)
日本盤の販売元レーベルのブログには韓国盤のプレスリリースの文章の翻訳も掲載されている。
ハングルの『神様ごっこ』 - SWEET DREAMS PRESS
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