ロンドンの重要クラブDance Tunnelの閉店アナウンスを受けて、署名運動が始まる

UKアンダーグラウンドシーン史上、重要なイベント「FWD>>」などのイベントをホストしてきた東ロンドンのクラブDance Tunnelが、昨年変更されたハックニー地区のライセンス許可方針から、営業時間を延長するためのライセンスを取得するのが困難なため、今夏以降の営業を断念した。また、そのアナウンスを受けてレーベルKeysoundのレーベルオーナーMartin Clark (Blackdown)がChange.orgにて署名活動を開始した。

2012年に東ロンドンのダルストン地区に開店したDance Tunnelは、200人ほどのキャパシティの小さなクラブである。天井が低く、ダンスフロアやバーカウンターの照明もごくごく暗く、最前列のクラウドしかDJを見ることができない、レイヴァーにとって最高のクラブである。オーディエンスだけではなくDJからも愛されたこのクラブはBen UFO、 Helena Hauff、Optimoらをホストし、そして惜しまれながら閉店したクラブPlastic Peopleから場所をDance Tunnelに変更して開催されているFWD>>では、Rinse FMのレギュラーDJ、BOXED、Local Action Recordなど新進気鋭のレーベルのDJを客演に迎え、平日にも関わらず満員札止めの状況であった。

良質なクラブやカフェ、アートスタジオなどが多くあり、ロンドンの若者だけでなく観光客も足を運ぶ文化発信の拠点となっているダルストンだが、ロンドン・ハックニー地区の条例上、深夜営業のライセンスを取得することが困難になっている。多くのクラブや住民らの反対によって「ライセンスを許可するクラブの数を制限する」条例案は取り下げられてたものの、ダルストンのクラブは午前3時以降営業することが基本的に難しい状況が続いている。午前3時以降の営業の許可を得るには、一時的イベント許可(Temporary Event  Notice)を得なくてはいけないが、その許可を得るのは相当にむずかしいとのことだ。

Dance Tunnelは、大きくもなければ、派手な照明もなく、ほぼ真っ暗で、チルアウト用のソファがおいてあるような、決して居心地のよいクラブではない。ピークタイムには人間の湿気で蒸し暑くなる。しかし、なぜ多くのDJやオーディエンスから支持を得ているのか?ここでは、DJはオーディエンスと音楽と向き合い、新しいことにチャレンジすることを評価され、オーディエンスは余計なことを考えることなく、音楽に集中して踊ることができるからである。良質で暖かく豊かなサウンドを提供するDance Tunnelのミニマリスティックな設計と方針は、新規で未知な音楽を志向する、ダンスフロアを提供してきたからである。

今年8月まで開かれているハックニー議会に対して、Keysound RecordsのオーナーBlackdownがchange.orgにて署名を呼びかけている。要望の内容は下記

1、Dance Tunnelに適用される法令を見直し

2、どのような裁決においても、ロンドンのナイトライフの、長期的な、クリエイティブ、文化的、経済的な価値を再考すること

3、緊急の地元住民の要望と、Dance Tunnelがハックニー地区に対してもたらす広い文化的価値とのバランスが取れた、Dance Tunnelと一緒に協力可能で、経済的で、実行可能な解決方法を取ること

「ハックニー地区のライセンス条例は重要なアンダーグラウンド音楽のクラブ、Dance Tunnelを閉鎖に追いやろうとしている。Dance Tunnelの閉鎖はロンドンの他の小さなクラブになお一層の影響を与える。将来巨大なコンサートホールを埋くすであろうシーンにとって、小さなクラブは今必要な保育器である。ロンドンの活気に満ち溢れた数々のクリエイティブコミュニティのファンに呼びかけ、この声をハックニー議会に届けよう」とBlackdownは呼びかけ、Four TetやSkreamもすでに賛同している。

 

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