Awful Recordsの創立者Fatherの5つのインスピレーション源 — 仲間・音楽・映画・ポルノ・Tumblr
by BATCHO
アトランタのパーティ/クラブ文化やジョージア州立大学でのキャンパスライフで育まれたFatherの人脈から始まったAwful Recordsは、ゆるやかな繋がりのなか、ハイセンスな個性がひしめく風変りなアーティスト集団である。
Awful Recordsが抱える10数人以上のメンバーはそれぞれトラックメイキング、ボーカル、アートワーク、映像作成などの役割のうち複数を兼任しており、その中には現在ブレイクスルーの最中にあるABRAやPlayboi Carti (A$AP Mobにも所属)、Tommy Genesisも含まれる。
Awful Recordsの音楽的な特徴としてはEtherealやKeithCharles Spacebar (KCSB)らが手掛ける珍奇でミニマルでワイルドな質感のビートと、そこに乗る調子外れなボーカルなどが挙げられる。またキッチュで色彩感覚に優れたミュージックビデオやアートワーク、メンバーのファッションなど、ビジュアル面での洗練もAwful Recordsが多くの人々を惹きつけている大きな要因のひとつである。
そのようなAwful Recordsのスタイリッシュな表現のインスピレーション源を知るうえで格好の材料になるのが、今回Clique (カルチャー・アート・社会に関する独自コンテンツを発信するフランスのメディア)が、Awful Recordsの創立者/プロデューサー/ラッパーのFatherに対して行ったインタビューである。このインタビューのなかで、Fatherは大きく分けて次の5つのインスピレーションについて語った。
1. Awful Recordsのメンバー
2. 音楽
3. 映画
4. ポルノ
5. Tumblr
1. Awful Recordsのメンバー
FatherにとってAwful Recordsは家族のようなものでレーベルとして「アーティストを見つけて、サインして、アルバムを2枚、EPを3枚…」というような契約の形態をとるものではないという。プレッシャーをかけず、各メンバーに自分のペースで作品をつくらせて、その中からベストなものを作品としてリリースするのが、Awful Recordsのスタイルだそうだ。
2. 音楽
曲が流れると口ずさまずにいられない”Cry Me A River”に、Lil Kimの曲で一番好きな”Drugs”、曲名通り自分のすべてだというMya ”It’s All About Me”、親しい友人でもあるテキサスのMaxo Kream、主張の強いラップミュージックに疲れたときに、ビーチにいるかのようなリラックス感を与えてくれるGilberto Gilが彼のお気に入りだそう。
*Fatherは過去に歌姫Myaのカバー曲まで公開している。Myaは昨年、新作EP『Smoove Jones』を発表。
・Justin Timberlake – “Cry Me A River” (2002年の発表のソロデビューアルバム『Justified』収録)
・Lil Kim – “Drugs” ft. The Notorious B.I.G. (1996年発表のソロデビューアルバム『Hard Core』収録)
・Mya ft. Sisqó (Dru Hill) – “It's All About Me” (1998年発表のデビューアルバム『Mýa』収録)
・Maxo Kream – “G3” (2016年公開のミックステープ『The Persona Tape』収録)
・Gilberto Gil – “Eu Vim da Bahia” (2015年に発表されたCaetano Velosoとの連名ライブアルバム『Dois Amigos, Um Século de Música: Multishow Live』収録)
3. 映画
お気に入りの映画として、捕まったら死ぬ「それ」に終始付きまとわれる『イット・フォローズ』、人里離れた森の中の家に住む耳の聞こえない女性が殺人鬼と対峙する、Netflix公開の『サイレンス』、 「観終わるころには自分の人生がもはや本物じゃなく思えてくる」というレオナルド・ディカプリオ主演の『シャッター アイランド』を挙げた。
・デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督 『イット・フォローズ』(2015年)
・マイク・フラナガン監督 『サイレンス』(2016年)
・マーティン・スコセッシ監督 『シャッター アイランド』(2010年)
4. ポルノ
「正直なところ…ポルノも見る」とのこと。
5. Tumblr
喋ることや文章を読むことは得意ではなく、Tumblrで画像だけを見ながら素早くスクロールし続けるのが好きだそう。そうしているうちに曲作り・ミュージックビデオ・カバーアートなどのアイデアが湧いてくるという。「おれをテレビの前に座らせて延々と映像や画像を見せてくれたって良い」と言うほど、ビジュアルアートから受けるインスピレーションは大きいようだ。
動画内で引用されたAwful Records関連のMVリスト(登場順)
・Father – “Heartthrob”
・Father ft. Tommy Genesis – “Vamp”
・KeithCharles Spacebar –“ILY2”
・Ethereal – “Eraser [I Think I'm On Fire 2]”
・ABRA – “Fruit”
・Tommy Genesis – “Execute”
・Father ft. iLoveMakonnen & Key! – “Look At Wrist”
・Maxo Kream ft. Father – “Cell Boomin”
・ABRA – “Roses”
・Father – “Everybody in the Club Gettin’ Shot”
Father 『Who’s Gonna Get F***** First』 (2015)
Father 『I’m A Piece of Shit』 (2016)