1990年生まれのtofubeatsと、2002年生まれのlilbesh ramko。ちょうど干支一周分の世代差がある二人は、共にインターネットを足場にオーバーグラウンドへと現れたアーティストだ。
神戸からネットを繋いで〈Maltine Records〉を舞台にクラブ×ポップ音楽を展開し、2013年にメジャーデビューを果たしたtofubeats。一方、自宅隔離の時代のSoundCloudで産声をあげ、ハイパーポップ/ディジコア・ムーヴメントとともに同世代のスターとなったlilbesh ramko。彼らの見てきた景色は異なれど――00年代/20年代、神戸/東京、パソコン/スマホ……etc.――、もし一致するものがあるとすれば、夜のダンスフロアを夢見るベッドルームの経験と、等身大のまま舞台へ駆け上がっていった軌跡のことだろう。
今回、2026年1月29日に渋谷WWWで開催されるツーマンライブに先立って、二人が対面する場を用意した。tofubeatsが恥じらいながら“あの頃”のインターネットを振り返り、lilbesh ramkoが経験したコロナ禍以降の現場が語られて、いつの間にやら対話は人生相談に突入していく。オンラインからクラブを経由し、パンデミックの先の暮らしまで、午年生まれの個人史を巡るドキュメント。
取材・構成 : namahoge
撮影 : 寺沢美遊
00's - 20's インターネット記
- お二人がちゃんと話をするのは今日が初めてなんだとか。
tofubeats - 軽い挨拶はあったような気もするんですけど、ほぼ初めましてですね。でもtomad社長とかhirihiriとか、自分の身の回りの人が関わってるんで、前からラムコくんの名前や曲は知ってたんですよ。だから「どっかで会うかなー」と思ってたら、ここまで会わなかった(笑)。
lilbesh ramko - 僕は小6の時にはトーフさん聴いていて。
tofubeats - 小6でもうやってるんや、ショックすぎる(笑)。
lilbesh ramko - いやあ、ずっと存じ上げております……。
tofubeats - 恐縮です(笑)。
- ラムコさんのフェイバリットにはVaVaさんの名前もよく挙がりますが、トーフさんを知ったのも日本語ラップ経由でしたか?
lilbesh ramko - そうですね。自分はマルチネを通ってないので、完全にヒップホップ側から知りました。
tofubeats - ちなみに年齢はいくつ離れてるんでしたっけ?
lilbesh ramko - 僕は2002年生まれで。
tofubeats - あ、午年?
lilbesh ramko - 午年です。
tofubeats - じゃあほんまにちょうど一周なんやな。
- 12歳差のお二人の共通点といえば、まず「インターネット発」ということが思い浮かびます。しかし当然、トーフさんが経験した00年代とラムコさんの20年代とでは、状況が全く異なります。それぞれの音楽キャリアの始まりについて、当時のインターネット状況をあわせて伺っていけたらなと思います。
tofubeats - これはラムコくんから先に話した方がいいと思ってて。自分から話してもラムコくんにとって「無いもの」の話ばっかになるんで(笑)。最初はやっぱりSoundCloud?
lilbesh ramko - そうですね、自分は「サンクラで育った」まであります。当時、僕の大好きなラッパーはみんなサンクラにしか無い曲があったんで、それを聴くためにアプリ入れて。自分でもビートは作ってたんですけど、コロナ禍に入ってから「サンクラには“音楽を出せるボタン”があるらしい」みたいな、「じゃあやってみるか」みたいな感じで投稿して、それをInstagramでシェアして広がって。
tofubeats - じゃあほんまに、曲出したのはコロナ禍のド頭ですか。
lilbesh ramko - そうですね、2020年頃。
tofubeats - 曲作る前、音楽聞くのももうネットだった?
lilbesh ramko - YouTubeとSoundCloudでした。Spotifyもあったんですけど、プレミアムじゃないと広告が入るから、■■■なやつを■■■して■■■でしたね。
tofubeats - 泣けるなー、いつの時代もそれ一緒なんや(笑)。じゃあパソコンっていつから使うようになりました?
lilbesh ramko - ほんと今から3年前とかなんですよ。親にプレゼントでもらうまではずっとスマホで。制作にはGarageBandがあったし、人に聴いてもらうためのプラットフォームも完全に整備されていたので、トーフさんとは全然違う経験してるんだろうなって。
tofubeats - マジですごいな、超未来って感じ。ほんとに俺は老人会みたいな話しかできないよ。
lilbesh ramko - めっちゃ気になりますけど(笑)。
tofubeats - 俺が最初に音楽をシェアし始めたのが中3の時、2005年くらいだったんすけど、その頃はアップローダーと掲示板が分かれていたんですよ。
lilbesh ramko - ほう!
tofubeats - 「曲作りました」ってなったら、アップローダーに曲をアップして、そのURLを掲示板に貼るんですよ。といっても、5メガくらいしか容量ないから128kbpsのMP3にしないとフル尺上げれなかったんですけど、そもそもWAVでやり取りするんだったらCD送った方が早いぐらいの時代だったんで。あとは■■■っていうファイル共有ソフトがあって、それ使って夜に送って翌朝届いてるみたいな。動画なんかも一晩かけて落とすようなね……あの、もうやめましょう、こんな話しかできないから(笑)。
lilbesh ramko - いやいや(笑)。
tofubeats - まあコミュニティ的なことで言ったら、俺が始めた一番最初は2ちゃんねるだったんですよ。だからさ、ラムコくんがhallycoreとnyamuraさんとやってる曲("lilbeshnyamcore")のPVで、モナーみたいなの出てくるやんか。あれがガチでほんまに使われてた時代にスタートしてるから。『電車男』もギリでリアルタイム世代なんで。
lilbesh ramko - すげえ……マジか……。
tofubeats - そういう世代なんですよ。
lilbesh ramko - ちなみに当時、掲示板のコミュニティにはけっこう人が集まってたんですか?
tofubeats - いやね、ラムコくん聞いたらほんまにビビると思うんだけど、その昔「ネットライム」っていうものがあってね。掲示板の最初期には音をアップすることすらできなかったわけですよ。でも文字なら書けるじゃないですか。
lilbesh ramko - はい……。
tofubeats - だから、みんなラップの歌詞だけを投稿する掲示板があって、それでバトルするんですよ。歌詞だけ読んで、勝ちとか負けとかジャッジするんですよ。
lilbesh ramko - え、どういうことだ……?
tofubeats - 「◯◯さん、韻が硬いですね」みたいな。
lilbesh ramko - ヤッバ!!!
tofubeats - 今考えたらマジ正気じゃない(笑)。ほんまにそういうオタクの集いがあったんすけど、ちょっとだけ音源アップできるってなって発展して、「ネットライム」の掲示板が「ネットラップ」に格上げされていくんですよ。自分が参加したのはちょうどその変わり目の時で、それ見て「アマチュアでも音楽作れるんや」って思った。シーンって言うにはめちゃくちゃ小さいんだけど、2ちゃん以外にも掲示板の集いはいろいろあったんですよ。自分もいくつか周って曲をアップして、仲良くなった人とはMSNメッセンジャーっていう今はなきサービスでやりとりして――当時それをみんな「メッセ」って呼んでたんすけど……いや、この状況マジで年齢感じてつらい(笑)。
lilbesh ramko - (笑)。個人的なやり取りはあったんですね。でも、「イベントしよう」とかはなく?
tofubeats - それが「しよう」ってなっていくんですよ。自分も高校生ぐらいから夜行バスで東京行ってオフ会出るようになったり、逆にネットラップ経由で地元のラッパーとも知り合ったり、トラック売ったりするようになっていって。なんすけど、当時の神戸はストリート的な雰囲気もあったんで、自分とは方向性が合わなくて。それでクラブミュージックの方にシフトしていって、マルチネの人らとも知り合うようになったんですよね。
lilbesh ramko - クラブミュージックの界隈と繋がるのも掲示板だったんですか?
tofubeats - いや、その頃はブログやね。ブログを通じてシーンみたいなのができてたんですよ。
lilbesh ramko - ほう……。
tofubeats - なんつったらいいのかな、アメブロってわかる?
lilbesh ramko - ギリわかります。
tofubeats - そういうブログを作れるサイトがいっぱいあって……マジで説明難しいねんけど、「トラックバック」っていうTwitterでいうRTみたいな機能があって、人のブログを紐づけることができたんですよ。それで曲を紹介し合うみたいな文化があってね。
lilbesh ramko - はい、はい。
tofubeats - だからシーンがあったっていうよりか、インターネット上でやんわりと知り合いみたいなのが繋がっていた、っていう感じ。それから高校2、3年ぐらいでTwitter(2006年設立)が始まって。
lilbesh ramko - そこで出てくるんですね!
tofubeats - Twitterが始まってからはマジで爆裂スピード上がっていって。自分が18歳くらいの時って「Twitterやってる」ってだけで友達になれるぐらい、やってる人の濃度高かったんで。その時に盛り上がってきたのがマルチネなんですよ。さらにTwitterと並行して、2000年代後半ぐらいにYouTube(2005年設立)とかSoundCloud(2007年設立)とかいろんなサービスができていって、今も残ってるようなインフラが整っていったっていう流れで。
- そこからラムコさんの知ってるインターネットに繋がるわけですね。
lilbesh ramko - なるほど……いにしえの……。
フレンチエレクトロの現場
- ここまでのお話はインターネット史として聞くと縁遠いかもしれませんが、ラムコさんの音楽遍歴と照らし合わせれば意外と近く感じられるのではないかと思います。たとえばネットラップの直系ともいえる、2ちゃんねるからニコニコ動画に場を移したニコラップなどは聴いていたんじゃないですか?
lilbesh ramko - たしかに、ボカロのインストぶっこ抜いて無理やりラップ乗せるみたいなのはめちゃめちゃ聴いてました。
tofubeats - そうなんやね。ニコラップ界隈の人は旧ネットラップ出身者が多いんですよ。実はらっぷびとさんも俺は中学ぐらいの時はやりとりしてたんで、初めて東京行った時のイベントにも一緒に出演してたんですよね。
lilbesh ramko - ええっ、そうだったんですか!
- また、ラムコさんも出演していた国内ハイパーポップ/ディジコアの中心的パーティ『Demonia』の礎には『TOKIO SHAMAN』があって、その主宰の釈迦坊主さんがネットラップ出身だったり。
tofubeats - そうですよね。だからネットラップから同人っぽい方向に進んでいく人と、自分らみたいに別ルート行く人とで枝分かれしていったんですよ。今も活動してる人でいうと、JinmenusagiさんやHAIIRO DE ROSSIさんもいますよね。
lilbesh ramko - なるほどなあ。
- それからトーフさんも経験されたブログ文化圏と関連して、00年代にブログを介して流行したダンスミュージックを「ブログハウス」と呼ぶ向きもありますが、そのシーンを象徴するアーティストにJusticeがいます。以前のインタビューによれば、ラムコさんが初めて「音楽って楽しいんだな」と思えたのもJusticeだったそうですね。
lilbesh ramko - うわーっ……めちゃくちゃ好きです。小3とか小4の時に親が車でかけてて、そっからずっと聴いてます。
- トーフさんはリアルタイムで聴いていましたか?
tofubeats - 自分はJustice鬼リアルタイムですよ。当時のフレンチエレクトロはマジでめっちゃドハマリしてました。僕の世代はModjoとかDaft Punkとか90年代後半の感じじゃなくて、フレンチハウスの2周目の流行りで〈Ed Banger〉が直撃したんですよ。
lilbesh ramko - マジっすか! 僕、DJ始めてからJusticeは毎回かけるようにしてて。
tofubeats - (腕を十字にして)こうやって?
lilbesh ramko - はい(笑)。あとPhoenixもかけますし、一番好きなのはMr.Oizoなんですよ。
tofubeats - 最高やなー。俺もマジであっこらへん全部好きなんよね。だって人生で2、3枚目に買ったレコードがBoys Noizeやから。今聴いたらマジで泣くと思う。Uffieとかさ。
lilbesh ramko - Uffie最高っすよね!
tofubeats - Chromeoもめっちゃ好きやしな。あとPara Oneって知ってる? TTCっていうラップグループのビートメイカーで、〈Ed Banger〉周りの人でもあるんやけど、この人が浜崎あゆみの「Greatful days」のリミックスやってて。俺ほんまに人生ベスト3ぐらいに好きな曲なんよ。ヤバい、いろいろ思い出してまうな……zShare、MediaFire、Hype Machine……うっ、頭が……。
lilbesh ramko - (笑)。
- 最近ブログハウスやエレクトロクラッシュのリバイバルが来ているとも言いますよね。
tofubeats - どうなんすかね。4、5年前からエレクトロクラッシュ再ブーム来る来るって言われてて、30代DJ同士で「USBにJustice忍ばせてます」っていう話で盛り上がってるけど、あんま飛び出さないんすよ。でも、たしかに〈PC Music〉のA.G.Cookが俺と同い年やから、我々みたいな直撃世代の下の世代で一周してるのかも。
lilbesh ramko - やっぱり当時、トーフさんもDJで流してたんですか?
tofubeats - もちろんかけてましたよ。俺がクラブ行けるようになった頃、一番流行ってたのがそのあたりやからね。
lilbesh ramko - え、日本のクラブでも流行ってたんですか?
tofubeats - めっちゃ流行ってました。
lilbesh ramko - 最高じゃん!!
tofubeats - なんて言ったらいいのかな、ロックっぽさとかインディっぽさとかが、グラデーションみたいな感じで繋がってたんで、大箱でも小箱でもかかってたんですよ。そこが面白いところではあったかな。
lilbesh ramko - フレンチエレクトロって今のダンスミュージックと比べても、グルーヴィでファンキーな感じがあるじゃないですか。だから、当時どう聴かれてたんだろうって気になってて。
tofubeats - Justiceはドチャラい箱でもかかってたよ。
lilbesh ramko - ヤバすぎでしょ(笑)。
tofubeats - でも、5人ぐらいしか遊び来てないイベントでも我々はかけてましたよ。ただやっぱり、ハイプな音楽っていうイメージはあったのかなあ。
和田(FNMNL) - 当時は「ファッション」っぽいイメージもありましたよね。
tofubeats - Maison Kitsunéとかのアパレルが直で繋がってたりもしたんで、その感じはあったっすよね。
- その後のEDMとは受容のされ方も違うんですか?
tofubeats - EDMとは全然違って、ドデカい箱の感じじゃないんですよ。だから「ファッション」っていうのがしっくり来るんかなあ。あとやっぱり大きい存在として「美容師DJ」があった。イケてる美容師のDJがJusticeかけててね。
lilbesh ramko - 美容師のDJ……?
tofubeats - ほんまに「美容師DJ」が隆盛を極めた時代があってね。そもそも背景から説明する必要があるんやけど、当時は時代的にインターネットよりも雑誌じゃないですか。で、『CHOKi CHOKi』っていうヘアスタイルがいっぱい載ってる雑誌があったのね。それをマジでみんなが読んでて、そのヘアスタイル作ってる人は「おしゃれキング」と呼ばれるんやけど、「おしゃれキング」はみんなDJをしてるのよ。
lilbesh ramko - ほう……。
tofubeats - 美容師って週末もめっちゃ忙しいやん。それで、東京は美容室が火曜休みだから月曜の夜中に、関西は月曜休みだから日曜の夜中に、「美容師ナイト」っていうDJイベントがあったんですよ。「おしゃれキング」がそこにラインナップしてる中、よくゲストに出てたのが中田ヤスタカさんなんですよ。
lilbesh ramko - えーーーっ、マジか!
寺沢(フォトグラファー) - 中田ヤスタカさんがAIRで主催してたんですよね。
tofubeats - そうそう。自分もたまにそういうイベントに呼んでもらって、東京やったらclubasiaとかAIRとか、関西やったらOnziemeとか、中田さんやFPMの出番の前に場をあっためる若手DJみたいなポジションで、大箱の経験をさせてもらって。
lilbesh ramko - 当時フレンチエレクトロ以外には、ヒップホップとかもかかっていたんですか?
tofubeats - どっちかっていうと、ハウスとロックかな。
lilbesh ramko - ロック……?
tofubeats - なんでかっていうとね、フレンチエレクトロってロックの文脈があったから売れた部分があるんですよ。〈DFA Records〉とか、Battlesみたいなスクエアな4つ打ちノリのロックと合わさってムーブメントになってて、やっぱりどこかキャッチーなんよね。だからこそ「めっちゃクラブ行きます」みたいな人だけじゃなくて、ファッション・アパレル方面も盛り上がったっていう側面があるんじゃないかな。
lilbesh ramko - 今もファッション系みたいなノリってあると思いますけど、たぶんトーフさんが言ってるのとは違うっすよね。
tofubeats - 青文字っぽいねんけど、もうちょっとチャラい印象というか、今考えたら他にないノリですよね。
lilbesh ramko - トーフさん自身は当時、なにかけてたか覚えてます?
tofubeats - Justiceもかけてたし、DJ Mehdiとか、Para Oneとかかな。あとはフレンチエレクトロってシカゴハウスの影響も強いんで、ハウスの新譜もかけてたな。そういった選曲で場を凌いで、いきなりアイドルかけてひんしゅく買ったりしながら、DJとして歩みを進めていった感じですね。
lilbesh ramko - なるほど(笑)。
tofubeats - でもほんま、あの頃の感じって説明ムズいな(笑)。美容師DJも含めて一大ムーブメントだったからね。
lilbesh ramko - いやあ、日本のクラブシーンにそんな時代があったんすね……。
絶対にコースアウトしないミニ四駆
lilbesh ramko - クラブでかかる音楽が「変わったな」っていうタイミングはあったんですか?
tofubeats - 大きく変わったタイミングは二回くらい。ひとつは2012年頃、関西で風営法がめっちゃ厳しくなって、夜中のイベントが事実上できない時期があったんですよ。もうひとつはコロナ禍。クラブミュージックって大学生くらいの年代が作るもんじゃないですか。だから大学入って先輩に教わって、みたいな流れが一旦途絶えると一気に循環が切れちゃって、ムードがマジで変わる。それこそokadadaさんがFNMNLのインタビューで言ってましたけど、やっぱりコロナ明けはめっちゃ雰囲気変わったなって思います。「何が変わった」っていうのはムズいけど、大きい差は感じる。
- ラムコさんのクラブ体験はコロナが流行って以降ですよね。
lilbesh ramko - 初めてクラブに行ったのが2021年で、みんなマスクしてるような状況でした。昔からクラブ行ってる人から話聞くと、今って全然違うんだなと思います。今はナンパもタブー的なところがあるけど、昔は人と人の距離がもっと近かったんだろうなって。
tofubeats - パーソナルエリアが広がった感覚はめっちゃあるなあ。
- でも、2022年頃に見たラムコさんのライブではモッシュも起きていて。
lilbesh ramko - そうなんですよね。僕が初めて出演した時も、みんなマスクして一切声を上げないのにめちゃくちゃモッシュして、体はガンガンぶつかってて(笑)。
tofubeats - それは大丈夫なんや(笑)。
lilbesh ramko - あの頃はみんな鬱憤溜まってたのかなって。暴れたい、みたいな。僕もそれはあったと思うし。
tofubeats - なるほどね。
lilbesh ramko - あと、みんなスマホで撮影するのが基本になってることも、トーフさんの時代とは違うんじゃないかと思ってて。最近はあえて「No Phone」みたいに打ち出すイベントも増えてるんですよ。
tofubeats - たしかに昔はなかったかもな。ラムコくんからすると、みんなに撮られるのはどう感じてるの?
lilbesh ramko - 「ブチ上がったとこ撮りたい」みたいのはめっちゃわかるから、別に咎めることもないんですけど、やってる側からすると「今聴いてほしい」っていうのは正直あります。
tofubeats - もったいなく感じるよね。
lilbesh ramko - フロア側でも、みんながみんなカメラ起動してると監視されてるようで遊びづらいんじゃないかなって。
tofubeats - 誰かのカメラに映ってると思うとね。泥酔してる姿だけでも撮られたら嫌じゃないですか。どういう風に使われるかわかんない時代ですし。でも、そもそも全員がスマホ見て遊びにきてるから、制限するのもどうかっていうね。
- インターネットとクラブ空間が接続された感覚があるんですね。
tofubeats - それこそね、昔、UNITって電波のないクラブとして有名だったんですよ。そこでマルチネがイベントやるってなって、tomad社長がインターネットの部隊を呼びつけて、1日だけNTTと契約してたもん。
lilbesh ramko - ヤバすぎる(笑)。
tofubeats - 地上からケーブル引いてきて、地下4階でアンテナ立ててWi-Fi飛ばして。当時はUNITでWi-Fiが繋がるっていうだけで全員大興奮で、壁にTwitterのタイムラインを投影して「うおー、未来じゃ未来じゃ」みたいな、むちゃくちゃ盛り上がってて……なんかもう、恥ずかしいわ(笑)。
lilbesh ramko - (笑)。
tofubeats - ノートパソコン抱えながらフロアいるヤツとかいたからね。当時なんでパソコンも8kgぐらいの重いやつよ。それでわざわざ無理してTwitterやってて。まあ、それはラジカルな団体の話ではあるけど、初期のマルチネでもそんな感じやったな。
- ちなみにコロナ後のインターネット/クラブシーンの新潮流としてのハイパーポップについて、トーフさんはどう捉えていますか?
tofubeats - 一口にハイパーポップと言っても、かなり思想というか設計に差があると思ってるんですよ。本当にピーキーな音楽を目指してる人もいれば、ラムコくんみたいなポップな人もいる。ラムコくんは一見めっちゃ音割れてるんですけど、ボーカルは全然割れてなかったり、不快なゾーンに入らないように気をつけてるんじゃないかなって。自分は純然たるノイズも普通に好きなんですけど、それってもう不快なわけですよ。でも、ラムコくんは不快なところまでは行かない。たとえ話ですけど、絶対にコースアウトしないミニ四駆があって、そのコースを信じられへんくらいマジで走る、みたいな(笑)。自分はそこにハイパーポップの面白さを感じてるんですよね。
lilbesh ramko - そうっすね、めっちゃわかります。
tofubeats - あと、自分が「いい音楽」と思う条件には「ズレ」みたいなのがあるんですよ。僕はハウスミュージックがすごい好きなんです。それは「ダン、ダン、ダン、ダン」って平坦なリズムが続くのに対して、自分の心が一定なことなんて絶対ないからで。ハウスで人が踊るのって、そのズレを合わせようとしてるからだと思うんですよ。「合わせていくぞ」っていうところが面白いのかなって。ハイパーポップも同じで、心はとっくにコースアウトしてるけど、音が波形を超えることは絶対にできないじゃないですか。「気持ちは飛び出てるけど音は飛び出ない」みたいな面白さがあって、それをどこで表現するかは人によって違う。ハイパーポップが好きな人ってそこが好きなんだろうなって、僕は勝手に解釈してますね。
lilbesh ramko - もちろんハイパーポップにはSOPHIEさんなどの影響もあると思うんですけど、コロナ禍のSoundCloudで生まれたディジコアって、全部初期衝動で作ってるみたいな、心が先走ってるみたいなところがあるじゃないですか。あの音って、あの頃しか作れなかったんじゃないかと思います。だから2025年の今はハイパーポップって「あるようでない」気がしてて。ポスト・ハイパーポップじゃないですけど、あの頃の音を使ってるだけ、みたいな。
tofubeats - たしかにね、それはもちろんあると思う。
lilbesh ramko - この前読んだgabby start(a.k.a. Knapsack)のインタビューで、「ハイパーポップって何?」って質問に対して「新しいミュージックのただの作り方だよ」って答えてて。僕は「今はそうなんだろうな」って、めっちゃ納得しました。日本でもメジャーの音楽を聴いて「これハイパーっぽいな」っていう音がめちゃくちゃ増えてるじゃないですか。だから今は「心がコースアウトしてる」ようなものじゃなくて、「ただの作り方」として定着して、音として残ってるんだろうなって思います。自分自身の音楽もそうだなって感じますし。
tofubeats - 今の時代は手法になってから一般化するまでのスパンがめっちゃ早いじゃないですか。すぐにSpliceとかでサンプルパックが出て、みんながそれを使うようになるから。だから最初の頃の初期衝動みたいな、ピーキーさが失われるのも早すぎるよなって。
lilbesh ramko - 儚いですよね。そこがよかったのかもしれないですけど。
tofubeats - 一瞬のきらめきみたいな、刹那的な音楽ではあったからね、マジで。
暮らし VS. インターネット
- 初期衝動的な熱量の高いハイパーポップが台頭したのも、コロナ禍に自宅への隔離を強いられたという背景がありました。このシーンの形成過程には、オンラインで共同体を作っていくという、「“あの頃の”インターネット」のような感覚があったと思っています。トーフさんは『FANTASY CLUB』の頃にポスト・トゥルースというキーワードとともにインターネットへの幻滅を示していましたが、それから8年が経った今、どのように考えていますか?
tofubeats - 『FANTASY CLUB』の時に思ったことは今も変わらないですよ。インターネットはむしろ、分断のツールとして非常に発達した印象がある。でもやっぱり道具と一緒で、ハサミをどう使うかは使う人次第なんで、ラムコくんたちがインターネットで仲間を見つけられたっていう、いい側面も当然あるわけですよ。『FANTASY CLUB』の頃って、インターネットを「やる/やらない」を選べる最後の限界だった気がしてて。今はもう全員が使わないといけない状態で、ほぼ現実と一致してる。こうなったら善悪もなにもないじゃないですか。「世界」みたいなのと一緒なんで。
lilbesh ramko - めっちゃわかります。僕が小中学生の頃って「現実からインターネットに逃げてる」感覚があったんですけど、最近だと逆に「インターネットからリアルに逃げてる」んですよ。現実世界が窮屈だったから逃げていたのに、インターネットの方が窮屈になっちゃった。だから、僕はどうすればいいのか……(笑)。
tofubeats - やっぱりさ、SoundCloudでもYouTubeでも、数字で一喜一憂するみたいなんが普通になると、「みんなはそう思ってるけど、俺はそう思わんけどね」みたいなこととか言いづらくない? 逆にそうでもないか?
lilbesh ramko - うーん、でも無意識にメタ的に自分を見ちゃって、なにが本当なのか、自分の感情がわかんなくなる時が全然あるんですよ。自分の生活の早さと、インターネットの早さが合わない。もっと歩幅合ってたはずなのに。付き合い方を見直さなきゃ、とはずっと思ってます。
tofubeats - でもな、インターネットが遅くなることって絶対ないじゃん。
lilbesh ramko - そうっすね……。
tofubeats - だからさ、「今の高校生って受験勉強どうやってするん?」とか、ほんまにピュアな疑問としてあるっすもんね。「本とか読めるん?」みたいな、マジでおじさんみたいなこと言いますけど。
- そんな状況で、ラムコさんの音楽はサウンド自体にインターネット的なものがありつつも、歌詞は一人称的な視点に終始していて。
lilbesh ramko - 僕はインターネットの文化が大好きなので、音にはその影響が出てるかもしれないです。だけど表現したいことは「一つひとつの人生」みたいな、そういう方向なんですよ。
tofubeats - ちなみに人生って普段はなにをやってるん?
lilbesh ramko - 人生ですか(笑)。
tofubeats - そういう話もした方がいいんじゃないですか。WWWさんからツーマンの副題に「暮らしの温度とインターネット」って付けてもらってるんで(笑)。
https://open.spotify.com/intl-ja/album/1I7PmW6EDWeNvrOHgF7aHC?si=_k_6IUXrRRiphmVswevSZA
lilbesh ramko - 僕は……今、大学を休学してるんですよ。でも休学できる限界の年まで行っちゃってて、大学やめるかやめないか、みたいな状況でして。
tofubeats - え、戻ったら何年生になるの?
lilbesh ramko - 3年生ですね……まだめっちゃ迷ってて。
tofubeats - 人生やん。
lilbesh ramko - 人生です(笑)。
tofubeats - それは良いん? 大学やめたらインターネットに負けたってことにならないですか?
lilbesh ramko - ええっ!
tofubeats - 暮らし VS. インターネット。
lilbesh ramko - 僕は暮らしがインターネットになっちゃってるから……
tofubeats - あかんやん(笑)。
lilbesh ramko - でも週末はイベント行って、それ以外は元気だったら制作して、元気なかったらゲームして。最近は料理も好きです。
tofubeats - おー、暮らしやねえ。
lilbesh ramko - 最近気づいたのは、朝起きてバナナを食べてランニングすると寝るまでハイでいられるっていう。これをhirihiriさんに話したら、hirihiriさんもランニングにハマったんですよ。
tofubeats - そうなんや(笑)。
lilbesh ramko - 今度一緒に朝走ろうか、みたいな(笑)。
tofubeats - マジ健康的やん。
lilbesh ramko - 健康に生きて、美味しいご飯食べて、楽しく過ごしたいなっていう。ちょっと余生みたいな気持ちになってきてて。余生、好きなんすよ。
tofubeats - でもね、そんなこと言ってられるのもあと1年やで。大学やめたら放り出されるわけでしょ、社会に。
lilbesh ramko - いやあ……
- ちなみにトーフさんは、キャリアの中で似たような苦悩はありましたか?
tofubeats - 自分の場合はどうなんやろ……自分も大学生の時には音楽でお金もらってたんですけど、リアルな話、頑張っても月10万円ぐらいだったんですよ。で、親からは「バイトしながら音楽やるっていうのは、それミュージシャンじゃないから」って言われてて(笑)。「じゃあ就職しよう」ってなって、就活して内定もらってたんですけど、その後病気しちゃって。だから内定断って1年だけ留年して立て直そうと思ったら、うっかり卒業できちゃったんですよね。無職になってやることないんで、「アルバム作ろう」って言ってできたのが『lost decade』なんですよ。
lilbesh ramko - そうだったんすね!
https://open.spotify.com/intl-ja/album/4ZqAwRveLIxNvjkdDgFS7m?si=ai3w3BNgQ6GEWcOUDFhyTQ
- 『lost decade』から半年後にはワーナー・ミュージックからメジャーデビューしていますが、それは計画した流れじゃなかったんですか?
tofubeats - いや、計画通りいったことなんて全然ないっすよ(笑)。そもそも18歳の時点でメジャーデビューの予備軍みたいな、ソニーの育成部門に入ってて。でも結局、毎月ソニーの大阪支社に行ってサンプルCDを100枚くらい持って帰るだけのヤツだったんですよ。そんなヤツがデビューできるわけないし、「フリーで曲配ってるヤツの曲が売れるわけないやろ」って偉い人からも言われてて。そこに5年間いてダメだったから、もう就職するつもりでいたんです。でもそっから体調崩して、大学は卒業できちゃって、紆余曲折でメジャーデビューも決まったという流れなんで、なんも想定した通りにはなってない(笑)。デビューした時も、1ターム持ったら儲けもんやなくらいに思ってたんです。無理やったら就職するか、みたいな。
- ちなみにラムコさんはメジャー所属してやっていくという考えはないですか?
lilbesh ramko - 僕自身は今フリーで、お話いただくこともあるんですけど……合う合わないとか、今後やっていけるのかとか難しくて。
tofubeats - わかるなあ。
lilbesh ramko - だから人生どうしようかなって。最近親元も離れて、奨学金も返し終わって。
tofubeats - 早っ。まだ大学いるのに?
lilbesh ramko - そうなんです。
tofubeats - ややこしいねんな、その状況(笑)。
lilbesh ramko - 今までの分は払い終わってて、その先の分も全部親に渡しちゃったんですよ。
tofubeats - じゃあ、戻ろうと思ったら無料で通えるってことやな。
lilbesh ramko - そうなんですけど、戻らなかった場合この先どうするかっていう。ずっと音楽続けていける体力があるかもわかんないし、でも、働きたくもない(笑)。
tofubeats - そうかあ、働きたくなさがあるんやな。俺は幸いにも「働きたくない」っていうのがなくて、めっちゃ働きたかったのよな。18歳くらいからクラブ行って大人とばっか遊んでたから、「一刻も早く大人になりたい」ってずっと思ってたんで。
- 2年前のラムコさんのインタビューでは、就職も視野に入れてましたよね。
lilbesh ramko - この数年で、ちょっとだけ曲が作れるダメ人間になってしまったような気がしてて……引きこもる生活に慣れちゃったんですよ。
tofubeats - まあ、それも一種の才能ではあるからね。一人で引きこもって音楽やってると参ってしまう人もいるやんか。
lilbesh ramko - でもおかしくなりそうですよ、いつも、毎日。
tofubeats - ふふっ、リアルやな、嬉しいな。
lilbesh ramko - 今人生に迷ってるのも、こんな日々が一生続くのが恐ろしくて。
tofubeats - たぶんやねんけどな、音楽やってなくても一緒やと思うで。
lilbesh ramko - うわーっ!!
tofubeats - 音楽やっててもおかしくなるし、音楽やってなくてもおかしくなる……(部屋を見回して)みなさんどうですか?
- (一同苦笑)。
tofubeats - 若者に希望を与えてくださいよ(笑)。でもね、俺も音楽で一生食っていくって全然思ってなかったよ。それが気づいたら35歳。もう泣けますよ、これもこれで。
lilbesh ramko - トーフさんはなるべくしてなったんじゃないんですか?
tofubeats - いや、俺もふとした瞬間に信じられへんくらい不安に襲われる時あるで。
lilbesh ramko - 今もですか?
tofubeats - そうそう。家で犬とか抱いて嫁と喋ってる時に「これが音楽で成り立ってんの怖すぎる」みたいな。
lilbesh ramko - そんな(笑)。
tofubeats - 「怖い、怖い!」みたいな(笑)。
lilbesh ramko - トーフさんでもそうなんですか……。
tofubeats - まあ、ラムコくんは自分で選べる状況にいるってだけでもめっちゃ幸せだと思いますよ。だって現状、今すぐ路頭に迷うわけでもないやんか。奨学金払えるくらいには音楽でお金稼げてて。
lilbesh ramko - でも、今の状況って本当にただのラッキーなんですよ。このラッキーは10年続かないじゃないですか。その都度別のラッキーが来るのかもしれないけど……。
tofubeats - それな、ほんまに謎すぎるんやけど、自分なんて13年ぐらい毎日小さな奇跡が起き続けてるだけなんですよ。本当にただそれだけで、俺はなんもしてないんですよ。「どうやったら音楽で食っていけますか?」って若手に聞かれても、「たまたま奇跡が起き続けてるだけなんや」としか最近もう返せなくなってきてる(笑)。
lilbesh ramko - (笑)。僕もずっと綱渡りというか、ただただ、なんとかなっちゃってるっていうだけで。
tofubeats - でもさ、音楽に関わる別の仕事みたいなんもあるじゃん。もう普通に進路相談みたいになってるけど(笑)。選択肢としては、無職かlilbesh ramkoか、っていう二択なん?
lilbesh ramko - それか、大学生になるか。
tofubeats - 延命措置としては結構いいよね。
lilbesh ramko - だから、大学生になるのかな……。
tofubeats - しらんけどな(笑)。好きにしてくれよ、それは。
lilbesh ramko - はい(笑)。まあ、死ぬまで楽しいことがしたいっすね。
記録って全部おもしろい
- なんだか悩みの多そうな日々ですが、お二人とも音楽自体はすごくポップですよね。ラムコさんの中でポップな音楽を作るモチベーションはどこにあるんですか?
lilbesh ramko - それこそ気が狂いそうになる時に、ポップスから元気もらうことが多くて。マッキー(槇原敬之)とか星野源さんとか、無条件で元気が出るというか。ポップスのよさって無条件な愛というか、寄り添ってもらえる感覚にあると思うんで。だから、最近は自分を元気づけるために制作してる部分もある。そうやって自分自身の頭を整理して、現状出せる音楽を作ってる、という感じですね。
- トーフさんも一貫してポップスにこだわってきたアーティストだと思いますが、そのあたりいかがですか?
tofubeats - 自分を整理するっていう意味では似てるかもしれないですね。日記じゃないですけど、記録がいっぱい残るとおもろいなっていう。内容はその時々に思ったトピックなんで、「気が狂いそうだから落ち着ける」みたいな時期があれば、「世界がもっとよくなってほしい」って思ってる時もあるし、なにかに対する怒りを表す時もあって。なんでそれで食えてるかっていう話は一旦置いといて、単純に音楽を作って並べていくと、それだけでおもろいんですよ。
lilbesh ramko - わかります。僕も日記みたいな気持ちで作ってるので、これから音楽続けるかどうかは別として、なんかしらの形で残していきたいなとは思ってて。
- お二人とも日記的なものとして音楽を作っていると。
tofubeats - 自分とラムコくんに共通してると思うのは、作るものが等身大というか、自分の持てる範囲を大きく超えないようにする、みたいなところで。リリック聴いてても変に自分をデカく見せようとしてないし、むしろそれをめっちゃ意識してるんじゃないかなって思うんですよ。それは自分も普段から意識してるところで、動画でラムコくんのライブとか見ると同じ雰囲気を感じますね。
lilbesh ramko - 「今を愛せよ」じゃないですけど、自分に対してずっとそう思ってて。今、僕ほんとに幸せなんですよ。実際にマジでそう思ってるけど、「だけど……」みたいな、その繰り返しがあって。それを歌にしている感覚はありますね。
- ヒップホップ系イベントのステージに立つことも多いお二人ですが、セルフボースト的なノリは無いですよね。
lilbesh ramko - 僕がなんで自分のことを「ラッパー」と言わないのかっていうと、そこまでの生き様が無いからなんですよ。だから自分をラッパーだとも、ヒップホップをしてる人だとも思ったことは一度もない。ただ自分のことだけを歌うしかないっていうか、その時のことを記録するしかないっていうか。もちろんヒップホップは大好きで聴いてますけど、憧れとして「かっこいいな」っていうだけなんですよね。これがその人のライフスタイルなんだな、みたいな。
tofubeats - そこも一緒っすね。自分が不良じゃないから、不良のフリする意味ないっていう話で。
- お二人の作るものが等身大な日記的なものだとしても、そこから影響を受けて音楽を始める人も現れていますよね。たとえば、ラムコさんとも親しいアーティストのAmuxaxくんが、トーフさんの「HARD-OFF BEATS」を見て楽曲制作を始めたという話を取材で聞いたことがあります(『ユリイカ』2022年4月号)。音楽に限らず、赤の他人の日記のようなものが後の世代に影響を与えていくこと自体が、不思議で面白いなと。
tofubeats - それはめっちゃ嬉しい話ですね。ありがたいな。自分が思ってるのは、音楽とかYouTubeとか全部に繋がるんですけど、そもそも記録って全部おもしろいんですよ。自分も日記(『トーフビーツの難聴日記』)を出して、音楽にもフィードバックがあって。それってつまり、人の記録を読んでると、自分とのズレみたいなものが見えてくるんですよ。その結果、「自分というのは他の誰でもないんだ」ってことがわかるんですよ。人間って、そういうズレを感じる装置なんやなって、そのズレを感じてる時がめっちゃ快感なんやろなって、最近すごく思ってて。「HARD-OFF BEATS」にしても、「俺はこれ買わんな」っていうのを他人が買うみたいなミクロな部分のズレもあるし、「トーフビーツはなんか楽しそうやな」っていう全体から感じるズレもある。そういうのが全部気持ちいいっていうか、日記みたいなものの効用なのかなって思います。
lilbesh ramko - 自分の曲であっても、ちょっと昔の曲になると「この時こういうふうに思ってたんだ」みたいなズレがわかって面白いですよね。その時の匂いを思い出すっていうか。僕が感じる曲作りのよさって、そういうところにもある気がします。
tofubeats - 引っ越したタイミングをアルバム単位で覚えてるみたいなね。「えーと、結婚したの何枚目の時やったっけ?」みたいな(笑)。思い出すものは人によっていろいろあるんでしょうけど、人生とアルバムが一緒になっちゃってるのとか、めっちゃ変やもん。
lilbesh ramko - わかるなあ。
https://www.youtube.com/watch?v=Af0rvkpPMjY
- 今日はお二人のユニークな「記録」が録れて、世代による差異もあれば、共振する部分もあることが確認できたと思います。では最後に、1月のツーマンへの意気込みをお願いします。
tofubeats - 新鮮な気持ちで、新鮮なセットでやらなきゃなっていうプレッシャーはありますね(笑)。でも呼ばれてめっちゃ嬉しかったですね。普通にラムコくんのライブ見てみたかったし。
lilbesh ramko - 嬉しいです。僕は自分の中での伏線回収じゃないですけど、子どもの頃から聴いてた人とガッツリ共演できると思ってなかったんで……ずっとセットのこと考えてます。
tofubeats - 俺は俺で、ラムコくん好きなお客さんがいっぱい来るから頑張らんとな、みたいに思ってたよ。
lilbesh ramko - 逆ですね(笑)。トーフさんのお客さんにも、ちゃんと聴かせられるようにしなきゃって。友達と来る人もいると思うんで、その一人一人に話しかけるようなライブをやりたいなと思ってます……頑張るぞ!
tofubeats - 頑張りたい!
Info
タイトル:WWW presents tofubeats × lilbesh ramko
日 程:2026/1/29(木)
時 間:OPEN 19:00 / START 20::00
会 場:Shibuya WWW X (https://www-shibuya.jp/)
出 演:tofubeats / lilbesh ramko
チケット:SOLD OUT
公演詳細:https://www-shibuya.jp/schedule/019356.php
INFO:WWW X 03-5458-7688
