【コラム】藤井 風 『Kirari Remixes (Asia Edition) 』 | アジアのアーティストたちが新たな「きらり」を引き出した

2020年デビューアルバム『HELP EVER HURT NEVER』で鮮烈に登場した藤井 風。その勢いのままにコロナ禍が続く2021年も『Fujii Kaze “Free” Live 2021 at NISSAN stadium』と題し、雨天の中、日本最大級の野外スタジアムで1時間、ピアノと歌のみのステージをYouTubeで全世界生中継配信したことや、初の全国アリーナツアー、年末にはNHK紅白歌合戦に出場と既にオリジナルな存在感を確立している。

2022年も活動に注目が集まる藤井 風の1stリリースは、昨年大ヒットして楽曲の再生回数も1億回超えした"きらり"のリミックスEP『Kirari Remixes (Asia Edition) 』。日々の生活の中での「きらり」と光る瞬間の大切さを歌う同曲のオリジナルバージョンは、盟友Yaffleのアレンジによるファンキーなディスコテイストをモダンなポップサウンドに落とし込んだトラックも新しい藤井 風の顔を見せてくれた。

今回のリミックスEPはYaffleと藤井 風自身によるリミックスバージョンをはじめとして、アジアの各都市からリミキサーが参加しているのも注目すべきポイント。国境を超えたアーティストたちによるバラエティに富んだリミックスが生まれたのも、オリジナルバージョンがグローバルなポップスとしての地力があり、さらに言えば藤井 風がアーティストとしてグローバルなシーンでも存在感を発揮できるポテンシャルがあったからこそだろう。

2010年代以降でK-POPを中心にアジアの音楽シーンが、世界的なムーブメントになっていることは言うまでもないが、ダンスミュージックやヒップホップのシーンでも同様の現象が起こっている。

K-POPと同じく大きなムーブメントとなっているヒップホップ/R&Bシーンを誇る韓国には、コロナ禍前には急成長していたクラブミュージックのカルチャーも存在し、何度か訪れたソウルのクラブの熱気は記憶に残っている。それは中国のシーンにも言えることで、アジアの音楽シーンをアメリカに紹介するのに大きな貢献を果たしたプラットフォーム88Risingに所属するHigher Brothersは元より、上海などを中心としたアンダーグラウンドなクラブミュージックシーンもしっかりと根を張り、独自の成長を遂げている。また88Risingの飛躍のきっかけとなったRich Brian (当時はRich Chigga)やNIKIを輩出するインドネシア、ヒップホップが大きな成長を遂げているタイ、インディペンデントなシーンを通じて日本のシーンとも距離感が近い台湾と、話題は尽きない。

では今回のリミックスEPに参加しているアジア各都市のアーティストを、リミックスと共に紹介していこう。

冒頭に収録されているのは原曲をよりアップリフティングにアップデートしたオリジナルリミックス。ディスコティックな感覚を増幅させる疾走感あふれるリミックスに仕立てたのは原曲のアレンジも手がけたYaffleによるものだ。

韓国・ソウルのDaulはDJとしても活動するプロデューサーで、多くの韓国のラッパーやR&Bシンガーに楽曲を提供しており、自身名義の作品でもハウスなどの影響も取り込んだハイブリッドなトラックを聴かせてくれる。今回はローなベースラインとソウルフルな上音が融合した、ヒップホップ以降の感覚を持ったハウシーなリミックスを提供している。

FunkyMoは台湾・台北のアーティストで、ローファイヒップホップからダブステップ、ハウスまでジャンルレスに活動しているアーティストだ。リミックスではどこか台北の夏を思い出させるようなトロピカルなムードを持った軽快なトラックになっている。

インドネシア・ジャカルタ在住でYaffleも所属するTOKYO RECORDINGS(現在はTOKA)からもリリースをするアーティストpxzvcはチルな感覚を持ったビートが印象的。ハーフで刻んだミニマルなビートと空間をのびやかに活用したリミックス。フック以降の自由でカラフルな展開も心地よい1曲に。

Kaze & Yaffle Just For Fun Remixと名付けられたリミックスは、藤井 風の中に明確なリファレンスがあり、Yaffleがそれをブラッシュアップして仕上げた、オリジナルリミックスとはまた違うブレイクビーツを用いたクラブユースな仕上がりに。ちなみに仮タイトルは、「Nothing Can Stop Us Remix」。

中国・厦門(アモイ)を拠点にするKnophaはアンビエントからハウスまでを流麗な感覚でまとめあげるアーティスト。彼らしく"きらり"をオルタナティブなR&Bとして解釈したリミックスは、より歌の部分をフォーカスしたしっとりとした質感のサウンドに。

もう1人ジャカルタから参加したNakenのリミックス。クラブミュージックの数あるジャンルの中でも、これまでも多くのJ-Popとの融合を果たし、相性の良さは間違いなしのUK Garageスタイルに。クラブユースにも映えるソリッドなグルーヴも嬉しい。

最後はYaffleのソロ名義によるリミックス。楽曲の成り立ち・構成を熟知するYaffleでしかあり得ないリミックスとなり、Yaffleが得意とする重厚感とファンタジックなテイストが融合したダブステップ調のトラックになっている。

尚、ジャケットのカバーアートはコラージュ・アーティスト / グラフィック・デザイナーの河村康輔が手掛けている。シングル「きらり」のフォトセッション時に撮影された未発表の写真を”リミックス”することで、作品のコンセプトとカバーアートが一体となった作品に仕上がっている。

アジアの各都市のアーティストたちによる新たな"きらり"の魅力を引き出した今作からスタートした2022年、藤井 風がより世界へと羽ばたいていくきっかけになる作品となるのは間違い無い。(和田哲郎)

Info

Kirari Remixes (Asia Edition) ¥1,019(税込) 

https://Fujii-Kaze.lnk.to/KirariRemixes-AsiaEdition

2022.01.14(金) デジタルリリース

01. Kirari (Original Remix / Tokyo)

02. Kirari (Daul Remix / Seoul)

03. Kirari (FunkyMo Remix / Taipei)

04. Kirari (pxzvc Remix / Jakarta)

05. Kirari (Kaze & Yaffle Just For Fun Remix / Tokyo)

06. Kirari (Knopha Remix / Amoy)

07. Kirari (Naken Remix / Jakarta)

08. Kirari (Yaffle Remix / Tokyo)

09. きらり

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