【レポート】PUNPEE Presents. 『Seasons Greetings'20』| 閉塞的な2020年を明るく照らすPUNPEEからの暮れの元気なご挨拶

PUNPEEの最新映像コンテンツ「PUNPEE Presents. “Seasons Greetings'20"」が11月23日にTongpoo videosにて有料配信された。Tongpoo videosはエンターテインメント集団「Tongpoo」が新木場STUDIO COASTと共同で制作する動画配信コンテンツ。PUNPEEの所属レーベル・SUMMITの主催イベント「AVALANCHE'10」が10月にSTUDIO COASTで開催する予定だったが、コロナの影響で実現できなかったため、その代替として今回の動画が企画制作された。

文 : 宮崎敬太

写真 : 成瀬正規

※この記事はライブ内容のネタバレを含みます。 

コンセプトは「いつものメンツと慰安旅行的な感じ」。まずは板橋の路上で酔いつぶれていた原島“ど真ん中”宙芳のモノローグからスタートする。降りしきる雨の中、東京の狭い空を見上げていると、PUNPEEが登場して「何やってんすか? 風邪ひくっすよ。こんなところで寝てたら。行きましょう、ちょっと。いろいろ用意してあるんで」と語りかける。

PUNPEEは「帰りたい」と渋る宙芳をどこからか調達してきた二階建てのロンドンバスへと誘う。中には同じくPUNPEEのライブでスクラッチを担当するSIMI LABのDJ ZAIが機材とともに座っている。狭い車内には、レコードやダーツ板、各種映画のポスター、ピザやスナック菓子などなど楽しいアイテムが雑多に散らばっている。これから日頃の疲れを癒すはずの宙芳のDJキットも。そこから”Happy Meal”のビートが流れるとバスも発車。PUNPEEが企画した慰安旅行がスタートした。

PUNPEEは要所はキメつつ、緩い雰囲気で街中を走るバスの中で歌う。”Operation : Doomsday Love”では運転で積んであったDVD(?)ソフトが崩れるアクシデントも。そんなこんなで、バスは池袋や渋谷などPUNPEEのキャリアの土台を形成した所縁ある街を回る。続いて宙芳が所属するグループ・Chaos On Paradeの”車窓から”へ。PUNPEEは「もちろんプロデュースはオッレ! 15年くらい前の曲」と話す。

バスはひやり小雨(大雨?)がそぼ降る中、東京の湾岸地域へ。とある広場に停車にすると、そこにはPUNPEEと馴染み深いカレー屋まーくんが仁王立ちしている。腹ごしらえの時間だ。ここで幕間をつなぐ、まーくんのスパイスカレーレッスンが挿入される。市販のルーを使って自宅でカレーを作る時のワンポイントアドバイスも教えてくれる。

映像が広場に戻ると、カレーの香りに引き寄せられたのか、見知った仲間たちが。SIMI LABのOMSBやMARIA、VaVaのバックDJを務めるshakkeもいる。PUNPEEが歌うのは"Curry Song"。この曲は「カレー屋まーくんのあなたの知らないスパイスの世界」のクラウドファンディングのリターンとして制作された。またこの楽曲は、11/20にデジタル・フォーマットで配信されたPUNPEEの過去作品集『Small Token pt.1』にも収録された。

美味しいカレーが振る舞われていると、ギターを持った男がタクシーから現れた。スカートの澤部渡だ。「なんか楽しそうだったんでついて来ちゃいました」。どうやらどこかでPUNPEEたちのロンドンバスを発見し、タクシーで追いかけて来たらしい。ちなみに澤部も板橋出身。「せっかく澤部さんが来てくれたので」と"お嫁においで 2015"を2人で緩いノリで歌う。さらに澤部は"遠い春"も歌唱。「過ぎた日々を恨みたくないんだ それでも覆いかぶさる未来は心地いい」という歌詞を聴きながら、PUNPEE一行は再びバスに乗車した。

バスはとある街にある「やの」という大衆食堂から出て来たMETEORをピックアップ。「みんな元気か? オイこの野郎」とご機嫌なMETEORは早速「曲やろうよ!」と促す。鳴ったのは2012年発表のPUNPEEの作品『Movie On The Sunday』に収録された”Play My Music”。最高のテンションでラップするMETEORに、思わずみんなが笑顔になる。続いて2009年にリリースされ、いまだに名曲として語り継がれているMETEORのクラシック”4800日後…”も披露した。

「二階から音がするな……」とPUNPEEとMETEORが二階へ向かうとSTUTSがMPCを叩いていた。そしたらもちろん歌うのは”夜を使いはたして”。メロウシットですっかり気持ちよくなったところで、二階にさらなるゲストが現れる。PSGのGAPPERは、酔い潰れて寝ていた模様。STUTSがビートを叩いて、PUNPEE、METEOR、GAPPER、さらに原島 “ど真ん中” 宙芳も加わってのフリースタイル。2000年代半ば、彼らが活動したMCバトル黎明期を思い出させる。

楽しくフリースタイルをしていると、バスは最後の目的地であるSTUDIO COASTに到着する。会場の客席フロアには円形にステージが設置にされている。そこには2018年に開催した自身のワンマンライブ『Seasons Greetings'18』の際に初披露となった、PUNPEEのバンドセットメンバーである、ドラマーのなかじまはじめと、The Anticipation Illicit Tsuboiが待っていた。DJ ZAIも加わり、PUNPEEは最強のカルテットで”夢追人”をラップした。

そしてPUNPEEのヴァースが終わると、次のビートに切り替わる。”Pride”だ。すると背の高い男の大きな背中が映像に見切れる。そう、最後のゲストはISSUGIだ。輝くミラーボールの下でPUNPEEはISSUGIに向き合って「ミラーボールに魅せられた人種 悪魔が取り憑いたみたいにフリーク」というラインを蹴る。これはISSUGIがSICK TEAMの”踊狂”で「ミラーボールが見て来た人種 ある意味中毒みたいな連中」のオマージュ。そこからなかじまはじめの生々しくてファンキーなドラムブレイク演奏へ。強烈なグルーヴがフロアを支配した。

「背筋を伸ばしてくれる」仲間であるISSUGIに挨拶して送り出すとPUNPEEは最後のMC。「一番最初自分たちは板橋から始めて。2年前にここSTUDIO COASTで『Seasons Greetings'18』をやって、2年ぶりにここでやれることができたわけなのですが。やっぱりまたみんなでわいわいバスに乗って遊べるみたいな状況に戻ってほしいし。なんかそういうのが今日は伝えられたらと」。そして次は新曲。サンプリングしたメランコリックなギターフレーズのリフレインが積み重なり、フックのメロディと絡み合うことで、抑えたエモーションが胸にしみる。「慰安旅行、ゆったり締めるのはもったいないので、最後暴れたいと思います」。そう話してからラストの”Renaissance”へ。もはや説明不要のクラシック。今回の「“Seasons Greetings'20"」のクリエイティヴィティは、2020年という難しいヘンテコな11ヶ月を過ごして「閉塞的な脳みそ」になってしまった人にとって、文字通り「微量の閃光」になったのではないだろうか。まだまだ大変な事態は現在進行形だが、その閃光さえあれば全ては良い方向に変わっていくはずだ。

「PUNPEE Presents. “Seasons Greetings'20"」セットリスト

01. Happy Meal

02. Operation : Doomsday Love 

03. 車窓から / Chaos On Parade

04. Curry Song / カレー屋まーくん ブルースエクスプロージョン feat. PUNPEE

05. お嫁においで 2015 feat. 澤部 渡

06. 遠い春 / スカート

07. Play My Music feat. METEOR

08. 4800日後... / METEOR

09. 夜を使いはたして feat. PUNPEE / STUTS

10. Freesytle feat. METEOR, GAPPER, 原島“ど真ん中”宙芳

11. 夢追人

12. Pride feat. ISSUGI

13. 新曲

14. Renaissance

Info

PUNPEE Presents. "Seasons Greetings'20"

@STUDIO COAST |Tongpoo videos vol.2

日時:11月23日(月・祝)

開場 19:30 / 開演 20:00 *アーカイブ期間:11/29(日) 23:59まで

出演:PUNPEE & Friends

料金:3,000円

配信プラットフォーム:ZAIKO

Tongpooオフィシャルページ:https://tongpoo-tokyo.com/videos/vol2/

SUMMIT, Inc. オフィシャルページ:https://www.summit2011.net/

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