60 Seconds by 細倉真弓 | Vol.4 Hayato & takuya watanabe takuya
細倉真弓は写真家としてセクシュアリティとジェンダーをベースに人種や国籍、人と動物や機械、有機物と無機物など「かつて当たり前であったはず」の境界を再編する作品を制作してきた。最近では個展『NEW SKIN』などで、映像作品と写真作品を両立させる試みを行っている細倉による新企画がFNMNL上で短期集中掲載。
『60 Seconds』と題されたこの企画では、細倉がムービーを収録するカメラの前でモデルたちがヘッドフォンとイヤフォンを装着したまま、任意の楽曲を聴きながら思い思いの動きをし、その中の1分間のスクリーンショットを60枚分掲載する。以下は細倉によるこの企画に当たっての意図を述べた文章だ。
ポートレートはただその個人の内面ではなく、別の何かを伝達するための装置として機能するのではないか、という疑問が今作の出発点である。
細倉はこれまで日本、台湾、香港、中国などアジアの国々でユースの姿を捉えてきたが、ポートレートは常に写真に写った被写体と彼らの内面性を結びつけずにはいられないという問題にも直面してきた。だが一度その結びつきを解除し、内面ではなく別のものを読み取る装置としてポートレートを使うとしたらどうなるだろうか。そのためにここで用いられるのは音楽である。それもイヤフォンによって断絶され鑑賞者には聞こえることのない音楽として。被写体となった彼ら/彼女らは流れる音楽に身を任せ踊るが、撮影者/鑑賞者はその音楽を聴くことは出来ない。断絶によって生じた空白を、ただ彼ら/彼女らの動きを通して想像するだけである。空白は完全に埋まることはないし、正解というものも存在しない。聴こえないリズムを想像してみること。そこには被写体の内面を読み解くゲーム以上の驚くほど豊かな細部が宿っている。
Vol.1 Hezron
Vol.2 Keigo Okazaki
Vol.3 Mayu
Vol.4 Hayato & takuya watanabe takuya
聴いていた楽曲
Hayato (左) JunxPunx-Reminder - "Ruten" (1:25−2:24)
takuyawatanabetakuya (右) Bill Evans Trio - "Come Rain or Come Shine" (1:25−2:24)
Info
Hayato
https://www.instagram.com/hutekisetsu2/
takuya watanabe takuya