【ライヴレポート】SIRUP『FEEL GOOD TOUR 2019』 | バンドメンバー、YonYon、BIMらと迎えたツアーファイナル

アルバム『FEEL GOOD』をリリースしたSIRUPが初の全国ツアー『FEEL GOOD TOUR 2019』を6/28の地元・大阪からスタートさせ、その後名古屋、福岡、札幌、仙台、東京の6都市を巡回した。2デイズとなった東京公演の2日目でツアーファイナルは、7/18に東京・LIQUIDROOMで開催、ソールドアウトとなった公演の模様をレポートする。

取材・構成 : 宮本徹
写真 : Leo Youlagi

2017年から活動を開始したSIRUP。そもそも、SIRUPという言葉は「Sing」と「Rap」をかけ合わせた造語で自身が影響を受けたというR&B / SOULやヒップホップを基調としたサウンドが特徴的なアーティストだ。SIRUPの楽曲は、サブスク中心に注目を集め、今ではテレビCMで流れるほど。デビューから2年経たずに、音楽シーンの最前線で活躍しているアーティストと言っても過言ではない。しかし、SIRUPとして活動を始める前、彼はKYOtaro名義で関西を拠点に活動していた。華々しくデビューしたかのように見えるが、KYOtaro時代からのキャリアを含めると12年、下積み時代の長さが分かる。SIRUPは普段、過去の苦労話なんて一切しないが、当時から現場と人間関係を大事にしていると話している。SIRUPの作る音楽の素晴らしさはもちろん、この姿勢をずっと変えずにやってきた結果が、今の活動につながっている。

LIQUIDROOMの会場に到着すると、ツアーTシャツを着用したファンの姿が目立つ。DJブースではSIRUPの盟友YonYonが回している。YonYonは、ヒップホップからJ-POPまでを網羅した選曲でフロアを盛り上げ、DJ後半ではアルバム『FEEL GOOD』で客演参加しているTENDREの“SIGN”、BIMの“BONITA”をプレイし、観客を楽しませた。最後にYonYonがプレイしたSamuel Seoと共に作った自身の楽曲“Owl(解放)”がハイライトとなりSIRUPのライヴへとムードをつなげていく。

ネオンライトの「SIRUP」ロゴが青く、「FEEL GOOD」の文字が黄色く浮かぶステージに、バンドメンバーが登場し、イントロが鳴らされる。バンドメンバーは、SIRUPが所属する大阪のクルー・SoulflexからRaB(Drums)、Funky D(Bass)、Akiee(Key)、KenT(Sax / Flute / Synth)に、HISA(Guitar)とShin Sakiura(Guitar & Manipulate)を加えての編成。イントロからアルバム『FEEL GOOD』の“PRAYER”にそのまま繋ぎ、SIRUPが登場すると大歓声が上がる。「Everbody!踊る準備できてる?」と叫び、“Why”をパフォーマンスし『SIRUP EP』収録の“バンドエイド”へ。SIRUPの見事なボーカルと、バンドによるアレンジが最高だ。続けて「みんな調子どう?踊る気満々で来てる?音のプールに飛び込もうや」と、アルバムから“Pool”を。観客を休ませることなく、ヒートアップさせていくSIRUP。“Pool”は、SIRUPが音楽制作に夢中になりすぎて、楽しくなってしまっていることを歌にした曲。ステージ上のSIRUPは身体を揺らしながら歌い、楽しくなっているのがこちらまで伝わってくる。曲が終わり「みんな最高やな」と話し、“Last Lover”をしっとり歌った。

「あらためて、SIRUPです。今日は最高の音で、みんなといっしょに最高の夜にしたいと思って来てるんですけど、OK?まだまだ盛り上がっていけますか?」とMCを挟み、“Synapse”をパフォーマンス、小袋成彬率いるTokyo Recordingsがプロデュース、アニメ『攻殻機動隊』を見て、思いついた言葉を歌詞に乗せたというSIRUPのデビュー曲だ。“Synapse”のサビでは大合唱が起こり、観客は自然と踊っていた。このあとの“Rain”では手拍子が起こり、バンドによるアレンジで大きな盛り上がりをみせている。「みんな、『FEEL GOOD』聴いてくれてる?次は、ここにいるShin Sakiuraと作った曲」と話し、“CRAZY”、そのまま“Maybe”を披露、変幻自在なボーカルに観客は釘付けに。

「だいぶ疲れてるから、休憩しようや」と休憩がてらに“LOOP”をパフォーマンス。チルな空気が流れる中、観客に合唱を仰いで一緒に楽しむ姿が印象的だ。Shin Sakiuraとの"Cruisin'"やSoulflexのMori Zentaroと共に作った「別れ」をテーマに描いた“Evergreen”などを挟み、“Slow Dance”でBIMが登場する。時おり「LIQUIDROOM、調子はどうだ!」と、観客を楽しませるBIM。意外な組み合わせに思えるこの2人のコラボだが、とても自然なムードが漂っているのを感じさせる。“Slow Dance”にはSIRUPとBIMのお互い“色々なことがあって今がある”という意味が込められている。BIMが観客にSIRUPコールを煽り、それに対抗するかのようにSIRUPがBIMコールを煽りかえすなど仲の良さも伝わるシーンもありつつBIMはステージを後にした。

「SIRUP、フィーチャリングめちゃくちゃしてるじゃないですか。他のワンマン会場でも歌っているんですが、東京公演はファイナルの今日だけANIMAL HACKといっしょに作った曲をやろうと思います」と言うと、ANIMAL HACKとの“Days Gone By”を披露。バンドでのアレンジに酔いしれる観客。曲が終わり「みんな、ほんまに発散しに来てるの?今のはだいぶ落ち着いた感じの曲だったけどな」と笑いを誘い、「平日やで。ストレス抱えてんやろ。いっしょに発散しようや」と“No Stress”をパフォーム。ストレスを発散するかのように一緒に合唱する観客。その勢いのまま「みんな音楽好き?じゃあ、その音楽のなかで泳ごうぜ」と“SWIM”、SIRUPは観客に「Good music」「We love it」というコールアンドレスポンスを求め、会場全体をひとつに。「次はLAST SHITやで。いける?」と、“Do Well”。会場全体が踊らずにいられない。いちばんの盛り上がりを見せて、SIRUPが「Thank you!ありがとう」と語り拍手喝采の中、バンドメンバーとともにステージをあとにし、本編が終了した。

アンコールではDJブースにYonYonと共に登場、“Mirror(選択)”のイントロが流れると、歓声が響き、観客はDJブース前に押し寄せる。2xxx!(ツートリプレックス)のグルーヴィーなサウンドは2人と相性バッチリだ。ステージにはバンドも再びスタンバイ。ステージに戻ったSIRUPは、「今日ここで発表あるんですよね」と話し、「12月4日東京、12月11日大阪、ZEPPワンマンをします」と初のZEPPツアーをアナウンス。拍手喝采のまま“LMN”を最後に披露。曲のビートが速くなる後半で「みんな最後に思いっきり踊れよ」と語りかけつつも、見事に歌い上げた。割れんばかりの拍手の中、SIRUP、バンドメンバー、BIMがステージに集まり「ありがとうございました」と挨拶し、ツアーファイナルの幕は閉じた。

SIRUPという言葉の意味には「Sing」と「Rap」の造語以外にもうひとつある。“混ざることで魅力を増幅させるSyrup(シロップ)”という意味。ツアーファイナルを見て、バンドメンバーやDJ、観客など、多くの要素が混ざり合ったSIRUPの魅力を肌で感じることができた。このツアーは撮影が禁止だったため、スマホをかざしている人はひとりもおらず、観客は一心不乱に歌って踊って、最高に楽しんでいた。記録には残らなくとも記憶に残る一夜となっただろう。

Info

SIRUP『FEEL GOOD TOUR 2019』FINAL
7月18日(木)東京:LIQUIDROOM

01. Intro
02. PRAYER
03. Why
04. バンドエイド
05. Pool
06. Last Lover
07. Synapse
08. Rain
09. CRAZY
10. Maybe
11. LOOP
12. Cruisin’
13. Evergreen
14. 一瞬
15. Slow Dance feat.BIM
16. Days Gone By
17. No Stress
18. SWIM
19. Do Well
<アンコール>
20. Mirror(選択)
21. LMN

【Setlist URL】
YonYon:https://mf.awa.fm/2LLWObR
SIRUP:https://mf.awa.fm/2YluNO1

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