Thelonious MartinとCam O'biがJ Dillaから受けた影響について語る
言わずとしれたレジェンドJ Dilla。彼がヒップホップシーンに与えた影響は計り知れないものであり、今でも多くのプロデューサーやアーティスト達からリスペクトし続けられている。
これまでA$AP RockyやMac Millerの楽曲をプロデュースしてきたThelonious Martinもその内の1人だ。彼はSpliceのインタビューにて、J Dillaが自身のスタイルに与えた影響について語っている。
「Jay Dee(J Dillaの愛称)の影響は永遠だよ。この世に存在する全てのローファイ作品は本質的に彼のサウンドが基盤にある」と彼は語り、続けて「Soulectionや他のクルーからも彼の影響は見て取れる。音楽に対するある一定のクオリティと愛は徐々に消え去るものではない。プロデューサーに関して言えば、特にデトロイトのプロデューサーに言えることだが、彼の名を常に讃えるべきだ。」とJ Dillaへリスペクトを送った。
また、これまでChance The RapperやSZA、最近だとSminoなどの楽曲をプロデュースしてきたプロデューサーCam O'biはJ Dillaから音楽制作に関して影響を受けたという。
「俺は俺がDillaのスウィングに子供のように夢中になっていたのを覚えてる。俺はどうすれば彼のようなスウィングしたドラムを習得できるのか答えを見つけるまで何年も試行錯誤したんだ。コンピューターソフトウェアの力を借りて、最終的に俺は彼の曲のグルーヴを引き出し、MIDIデータに変換する方法を見つけ出した。俺は“解法”を探していたんだ。そして俺は何年にもおよぶ研究の末にそれを見つけることが出来たと感じたんだよ」とDillaの曲を分析し、自分なりの答えを発見したことを明かした。
しかし、現実はそう甘くなかったようで、「驚いたことに、俺は正しいデータを持っていても、実際には俺のグルーヴは彼のものと全然違ったんだ。その失望の後、俺はとっさにひらめいたんだ。まず第一に、解法なんてものは存在しないということがわかった。実際、俺はそれぞれの楽曲でMIDIデータが違うことに気付いたんだ。次に、彼は彼で、俺は彼ではないわけだから、俺が彼のスウィングを習得することは出来ないということに気付いた。クローンを作るように音楽を作るのは不可能だし、価値がないことだと俺はわかったんだよ。」とDillaのおかげで自身の音楽というものを追求していくことの大切さを学んだと明かした。
昨今の音楽シーンでは似たような、Cam O'biの表現を借りるならばクローンのような曲が沢山存在するが、やはり話題になるのは流行りを捉えながらも独自性のある曲である。現在のプロデューサー達にとってCam O'biのようなマインドを持つことは非常に重要であると言えるかもしれない。