【レポート】AKLO x ZORN『AtoZ Tour 2018』ファイナル | 規模を拡大した追加公演の開催も決定
AKLOとZORNによるジョイントツアー「A to Z Tour 2018」の東京公演が昨日8/24(金)に東京・LIQUIDROOMにて開催された。水戸、大阪、名古屋、仙台、新潟を回った両者の最終公演はもちろん完売御礼。場内は超満員となり、熱気に包まれた。
取材・文 : 宮崎敬太
写真 : Kenji.87
先攻はZORN。1曲目の"いい感じ"から観客から大合唱が巻き起こる。この熱気にZORNは「見た感じ、今日も男臭い感じですね」と笑う。そして「女子だけ声聞かせてください」とコールアンドレスポンスを煽るがやや控えめな反応。続いて男性の声を求めると、女子の100倍くらい大きな声援が戻ってくる。これにZORNは「男子校だ。じゃあ校歌、いきます」と"My Life"を歌った。さらに般若"最ッ低のMC"、NORIKIYO"Do My Thing"のリミックスを披露した。
中盤にdubby bunnyがギターソロを披露すると、1人目のゲストWEEDYが登場。"葛飾ラップソディー"、"夕方ノスタルジー"をメロウに歌い上げた。そしてやや落ち着きを取り戻した会場を「まだまだお腹空いてるでしょ? ここからだぜ」と再びけしかけて"HUNGRY"を投下する。観客は左手にスマホを握り、右手でハンズアップ。全力でZORNにエネルギーを伝えた。さらにO.N.O(THA BLUE HERB)がプロデュースした"かんおけ"、初期のクラシック"奮エテ眠レ"、"Dark Side"というファン垂涎のナンバーを披露した。
ZORNは今回のツアーについて「最初は(AKLOと)よそよそしい感じだったんですよね。でも6公演してめっちゃ仲良くなりました」と語った。そして、ラストの「Letter」を歌い終えると「いまからめっちゃ顔濃い人が出てくるけど、ここが男子校だってこと教えてあげてください」とAKLOへ繋げた。
舞台転換などの時間はなく、すぐにAKLOが登場。ZORNとはまったく異なるスタイルのヒップホップだが、"DIRTY WORK"のイントロがかかると場内からは絶叫が上がった。驚異的なラップスキルでキラーチューンを乗りこなし、「今日はヤバいことになるな」と笑顔で客席を見渡す。"Getter"、"The One"、"MF Problem"とトラップのボムを立て続けにかましていくと、野太い男の声の合間に黄色い声援も混じりだす。だがAKLOは「まだバウンスが足りないですね。遠慮する必要ないです。みんなの周りに枠が見えます。そんなの関係ないんで(枠から)脱出しましょう」と話して"Outside the Frame"を歌った。さらに"HEAT OVER HERE"、"Turn Up"、"NEW DAYS MOVE"を連打。観客とAKLOは異様なテンションに突入していった。
AKLOは「ZORNのことはずっと好きでした。(ZORNは)今年活動しないと言ってたので無理かなと思ってたので、この『A to Z Tour』を実現できて本当に嬉しいです」と話す。さらに「俺はずっと(日本のヒップホップ)シーンを遠目に観てて、どうやったら気づいてもらえるのか混乱したりして、同じ空でも違うものを見てる感じでした。でもこうやってヘッズのみんなに喜んでもらえるようなことができるようになって本当に嬉しいです」と自身のストーリーを語り、JAY'EDを招いてクラシックの"サッカー"を歌った。AKLOとは盟友と言っても過言ではないJAY'ED。この「A to Z Tour」の最初の水戸公演には、観客としてAKLOを驚かせたという。
またAKLOは今回のツアーについて「勉強になった」と語る。「俺は過去を振り返るのはあまり好きじゃないけど、ZORNに『自分がどこから来たのか忘れちゃダメですよ』と何度も言われて。それで昔の曲を探してみたらこんな曲があったんです」と"RED PILL"を堂々とキックした。最初の「Let’s Get It In」から観客は大合唱。リリックにある通り、AKLOが「待ち望んでた展開」が繰り広げられた。さらに彼の原点とも言える"YOUR LANE"をパフォーマンスしてをステージをあとにした。
少しの間を置いてAKLOの"McLaren"のイントロが。ついにAKLOとZORNが同じステージに立つ。1コーラス目をAKLO、2コーラス目をZORNが歌う。さらに2曲目は究極のフロアバンガー"100"。もちろんJAZEE MINORも完全に仕上がった状態でステージに登場する。沸騰中の観客に水を撒き、サビでは全員にハンドクラップを促した。
このツアーですっかり関係を深めた二人。ZORNがAKLOの英語の発音を注意するおふざけを見せる。これにAKLOが「タジタジ」と笑うと、ZORNが「でもバチバチ」と踏んで返す。最高の雰囲気で次の曲"Backbone"へ。今度は1コーラス目をZORN、2コーラス目がAKLO。さらにNORIKIYOも登場する。今回のツアーには仙台と新潟にもシークレットで参加しているNORIKIYO。実は今回のツアーが実現するきっかけになったのが、1年前に開催された彼のワンマンで二人が出会ったことだった。そんな3人は“ラップ・ゲーム・トライアウト”a.k.a"RGTO"で会場を揺らした。
最後は待望の"FUEGO"と"Walk This Way"をプレイして、最高のジョイントツアーの幕を下ろした。またテンションが上がったZORNは「今回のツアーで俺らめちゃめちゃ仲良くなっちゃったんですよ。あとで怒られるかもしれないけど言っちゃいます。追加公演します」と宣言。AKLOも次は今回のツアーで行けなかった土地でも開催することを匂わせた。追加公演の詳細は未定だが、この異様な熱気はまだまだ続くようだ。