村山悟郎の個展『座って見るために、画像を解除する』がG/P galleryで開催
東京・恵比寿のG/P galleryで、アーティスト村山悟郎の新作個展『座って見るために、画像を解除する』が9/2から開催される。
村山は文化庁新進芸術家研修員としてウィーンに2年間滞在し、本年9月に帰国する。今回の個展はテーマとして「クソコラ(CRAPPY COLLAGE)」を据え、デジタルフォトコラージュと映像によるコラージュ作品で構成される予定だ。
渡欧前に開催した個展『監獄のファンタジー』(2015. 小金井シャトー2F)の続編にあたり、2016年、トルコのアンカラで起こったロシア駐在大使殺人事件(くしくも犯行現場はギャラリーであり「トルコ人が見たロシア」 という写真展が開催されていました)を引用している。
<アーティストステイトメント>
『座って見るために、画像を解除する』
1980年代生まれの日本人である自分にとって「世界は幻影に包まれている」と言っても過言ではない。大袈裟だろうか。 写真は、現実を記述する役割を統計にとって変わられて以降、画像-イメージとしての戦略的な様相を強めた。決定的だっ たのは、湾岸戦争が全世界にブロードキャストされ、モニターの向こうに戦争を押し込め、”TV WAR”となったことだった。いまや政府だけでなくテロ組織もネットを介して、メディア操作を駆使して戦う。(震災を想起すれば)報道すらも何らかの息がかかっているとの疑念を払拭できない。FAKE NEWSやPOST TRUTHといった言葉が作られる以前から、私たちはそんな予兆を感じつづけてきたはずだ。もはや私たちには、どんな現実も指し示すことができないかのよ うである。あなたの椅子が安心して座れるものかどうか、甚だ怪しいのだ。
しかし、みずから世界を形成する回路が断たれているというわけではない。この目で見、この手で触れることのできる現実のみを信じる、この信仰を基本として精力的に世界を拡張することは可能だ。生の現場に立ち会おうする姿勢を、 医師と戦士から、世界を発見的に知ろうとする姿勢を、ジャーナリストから学ぶべきである。私は芸術家らしく、メディ ア操作を批評的に扱いたいと思う。それが本展の存在領域であり、ステートメントである。
本展で扱うクソコラ(CRAPPY COLLAGE)は、ネット民が開発した高度なイメージ批評であり、上述のようなメディア状況を茶化すことで、我々のメディア状況そのもの自体をメタ化する行為である。メディア状況に批評を加えることこそが、最大に政治的な芸術家の営みであると、私は思う。絶えず別様な形へとメディアの隙間ひらくことをとおして、 世界を再び形成するのである。
モチーフとして扱うのは、昨年おきたロシアの駐トルコ大使殺害事件である。アンドレイ・カルロフ氏は写真の展覧会場で演説中に後ろから撃たれた。ホワイトキューブで繰り広げられたこの暗殺劇を、私は看過することが出来ない。政治的デモンストレーションとしてメディアを濫用しようとする暴力に、同じメディアの地平で抵抗するために、私は本展を企図する。
Info
村山悟郎「座って見るために、画像を解除する」
会期 : 2017年 9月2日(土)- 10月1日(日)月休(月が祝日の場合は翌日休)最終日は 17:00まで
場所 : G/P gallery 150-0013 東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 2F
オープニング・レセプション:2017年 9月2日(土) 18:00-20:00
<関連企画:トークイベント>
日時:9月3日(日)18:00-19:30
登壇者: Houxo Que (アーティスト)、村山悟郎 メディエーター:須賀悠介(アーティスト)
場所: G/P gallery 座席:25名 *お電話かメールでご予約ください。
日時:10月1日(日)18:00-19:30
登壇者: 小山泰介(写真家)、村山悟郎
場所:G/P gallery 座席:25名 *お電話かメールでご予約ください。