DJ PaulとJuicy Jが、彼らから多大な影響を受けたデュオ$uicideboy$に対して6億円以上を要求する訴訟を起こしたことが話題を呼んでいる。彼らがThree 6 Mafiaの音源を無断で数多くサンプリングしていたことを理由とする訴訟だが、それについてDJ Paulが真意を明かしている。
XXLによると、DJ Paulは$uicideboy$側がサンプリングについて「Juicy Jから口頭で許可を得ていた」と主張していることに対し、「彼らとJuicy Jとの間に口頭での契約は無かった」「彼らはJuicy Jに会う前から俺たちの曲を使っていたんだ。彼らは嘘をついている」と、$uicideboy$側の弁明を否定した。
続けて「口頭での合意なんて聞いたこともない。言葉での契約なんて聞いたことがないし、Juicy Jが彼らに許可を出したってことも真剣に疑っている。彼は俺の代わりに話すことが出来ないから」と、Juicy Jが自身の意思をも代弁する形で口頭でのサンプリングの許可を出すという事態が想像出来ないとしている。
またDJ Paul自身は$uicideboy$の音楽について「俺は彼らのファンで、彼らの音楽が大好きなんだ」としているものの、一方で「でも、ここからが本題だ。俺を怒らせたのは、俺の兄弟であるLord Infamousを愚弄したことだ。Lord Infamousは死んだ。彼らがやったのはそういうことなんだよ。あいつらの一人($crim)は自分のことをThe Scarecrowと名乗っているが、みんなLord InfamousがThe Scarecrowだったことを知ってる。彼は腕にそのタトゥーを入れ、俺の死んだ兄弟に変身したんだ」と、サンプリング以外にもLord Infamousへの想いを理由に$uicideboy$を許すことが出来ないと語った。
もちろん$uicideboy$がThree 6 Mafiaを始めとするメンフィスラップの音源をサンプリングするのはオマージュの一環であるが、それについてもDJ Paulは「多くの人は、誰かがオマージュを捧げると言ったとき実際に何が起こっているのかを理解していない。仮に俺が今The Rolling Stonesの曲をやったとして、それを“オマージュを捧げた”と言ったとしたら、The Rolling Stonesは俺がオマージュを捧げていると捉えると思うか?」と、そもそもオマージュという行為そのものを疑問視する考えを明かした。
かなり根深い様子を見せている両者の対立だが、果たして訴訟は今後どのような展開を見せるのだろうか。引き続き注目していきたい。