SpotifyのCEOが「アーティストは3〜4年に一度レコーディングするだけでは生活していけない」と持論を述べ批判を浴びる

今や世界最大のシェアを誇る音楽ストリーミングサービスSpotify。ユーザーが様々な音楽にアクセスすることを可能にし、音楽産業全体のありかたを変えた功績がある一方で、アーティスト側に還元される収益が減少したとの批判もこれまで浴び続けてきた。そんなSpotifyのCEOがインタビューで語った内容が物議を醸している。

Complexによると、SpotifyCEOのDaniel Ek氏は先日公開されたMusic Allyのインタビューの中で、「多くのアーティストはストリーミングで得られる収益に満足している」と語った。

曰く「全体のパイが大きくなり、多くの人がそれに参加出来るようになった一方で、人々が限られたアーティストのみに焦点を当てる傾向があるのは非常に興味深いことです」「Spotifyの中で、公に“ストリーミングで得ている収入に満足している”と言っているアーティストは見たことがありません。プライベートでは何度も言っているけれど、公の場でそういったことを言うインセンティブが無いからです。しかし、データを見る限りではストリーミング収入だけで生活出来るアーティストが増えていることは間違いありません」とのことで、Spotifyで楽曲をリリースしているアーティストの多くは実際のところ十分な収益を得られているとの見解を示している。

Ek氏は続けて「アーティストがストリーミングで成功したいのであれば、変化する音楽の状況に適応し、リスナーとのエンゲージメントを高めなければなりません」「3〜4年に一度のレコーディングで十分だと思ってはいけない。今日のアーティストたちは、ファンとの継続的なエンゲージメントを作ることが重要だと気づいています。それは、作品に力を入れ、アルバムにまつわるストーリーテリングに力を入れ、ファンとの継続的な対話を続けることです」と語っている。要するに、アーティストがストリーミングサービスにおいて高い収入を得るためには作品自体のクオリティを上げるだけでなく、コンスタントに作品をリリースすることと、ファンの関心を逃さないためのマーケティングが必要になるということだろう。

しかし、Ek氏のこれらのコメントはSNS上で大きな反論を巻き起こしており、「アーティストがストリーミングで生計を立てられないのは、そもそもSpotifyが十分な割合をアーティストに配分しないせいである」とする意見や、リリースの間隔を短くするべきというアドバイスに対する「アーティストがアルバムをレコーディングしてリリースしてツアーに出て、スタジオに戻って最初からやり直すのは怠惰だということなのか」という反論、またファンからのエンゲージメントを高めるべきという意見に対しても「芸術性を安っぽくしてしまう」という声が寄せられているようだ。

既に音楽ファンの生活にとって無くてはならないものになった一方、常に議論の対象となるストリーミングサービス。反論に対するEk氏の見解が気になるところだ。

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