BAD HOPが横浜アリーナでの無観客ライヴを敢行し多くの注目を集める

BAD HOPが昨日3/1(土)に横浜アリーナで『BAD HOP WORLD 2020』を無観客の中で敢行した。

ソールドアウトとなったライヴの4日前に、日本政府から新型コロナウイルス感染症の拡大防止措置として、「多数の方が集まるような全国的なスポーツ、文化イベント等については、大規模な感染リスクがあることを勘案し、今後2週間は、中止、延期又は規模縮小等の対応を要請することといたします」との勧告がでたために、BAD HOPはチケットを全額払い戻した上で「ネガティブなニュースが多く流れている中で少しでも多くの方に楽しんで頂ける時間を届けられるように」と無観客でライヴを実施し、その様子をYouTubeで生中継することを決定した。

開催にあたり1億円を超える負債をおったBAD HOPだが、ライヴの最初から最新EP『Lift Off』の楽曲を連発し、無人の横浜アリーナを超えYouTubeを見ているファンに熱気を届ける。Benjazzyが「What'sUp 横浜アリーナ!調子はどうだ?」と絶叫する。そして「俺らはいつもと変わらず全力でライヴするから。今YouTubeを観てる人たち、本来ここで一緒に飛び跳ねてた人たち。全員、全国の端から端で一緒に盛り上がれますか?」と語りかける。

そしてどこからともなくメンバーたちの「Handz Up」という声が。Lil' YukichiとZOT on the WAVEによるドープすぎるビートのイントロが流れ出した。Benjazzyが喧嘩腰なラップを1ヴァース歌うと、そのままMike Will Made Itのビートに乗せた"ICHIMANYEN"へ。日本の陰湿な裏社会感を醸し出すこの曲は、あえて「諭吉」と言い換えず、ダイレクトに「一万円」。YZERRのセンスが洗練と不穏が同居した空気を作り出す。

その後「今日、コロナウイルスで こんな形(無観客)になってしまい申し訳ないす。当初の予定とは違い、こうして YouTube で生配信しています。でもさっきBenjazzyが言った通り、俺らは楽しんでます。だからお客さんも楽しんでもらえたらなって思ってやってます」とT-Pablowが語りかける。BenjazzyやTiji Jojo、YZERRのソロパート的な箇所の後で、YZERRはこう話す。

「俺たち、横浜アリーナという会場には思い入れがあって。18歳の時に初めて来たんですけど、あの頃はとんでもなくデカい会場に思えて、もしかしたらアーティストをやっている間にこのステージには立てないんじゃないかって思ってたんです。だから例えこういう形でもライヴができるのはすごく感謝しているんです。サポートしていただいてる方はもちろん、観てる皆様も本当にありがとうございます。昔はヒップホップが流行ってなかったから、BAD HOPみたいなスタイルで武道館や横浜アリーナでライヴするなんて無理だ、って言われてたんです。でもデッカいビジョンを持って、仲間たちといろんなことを仲間と一緒に考えて、それを実行して今このステージに立てています。だけど正直、この公演をすることで自分たちが負債を負うことになるとは思ってませんでした。でもそういうことじゃないんで。こうして画面越しでも観てもらうことで、俺たちみたいなどうしようもない人間でも、本気でやったらここまで来れたってことに、希望を感じてほしかった。そこにお金以上の価値があると俺たちは本気で思っています。俺が18歳の時、このステージに立ちたいと思ったように、この配信を観た俺よりも若い子たちが、何かに挑戦したい気持ちになったら、それは一億円という負債なんてちっぽけなものに見えてしまうほど素晴らしいことなんです」

そしてYZERRは渾身の思いで新曲"ZION"を歌う。「人の目は興味ない/囚われず見る未来」というラインにはYZERRのヒップホップへの情熱が詰め込まれている。そして YZERR は「何度も言うぜ、KAWASAKI SOUTH SIDE」と絶叫して"Back Stage"へ。YZERR は 「同じ上を見せるお前にも」と歌った。

そして後半戦には"Ocean View"や"White T-Shirt"など初期の人気曲を挟みつつも、BAD HOPの名前を刻み込んだ"Life Style"や、「京浜工業地帯出身の不良少年たち」という彼らのイメージをMVとともに決定づけた"Chain Gang"と畳み掛ける。

T-Pablowは「勘違いされたくないから一応言っておきたいんですけど」と前置きしてから 「今回普通に公演をキャンセルすると負債は3〜4千万円で済んだんですよ。でも素直に中止しちゃうのは俺らっぽくないなって。こうやって新型ウイルスの影響でコケるんだったら、コケ方にこだわりたいと思った。本当は一回中止が決まってたんですよ。それに無観客でやるにしても、わざわざ横アリじゃなくても、小さいとこでやることもできた。でもそういうのが嫌なんですよ、俺らは。負債を背負うわけだからマネージャーとかは中止したかったと思う。でも俺らは頭下げて実施を認めてもらいました。なんかさ、俺らがこのライヴをこうして開催したのは、コロナウイルスのせいでネガティヴな気持ちが蔓延しちゃうのが嫌だったんだよ。例えば、このウイルスが最初に広まった中国の人をネットで攻撃したり、心ないことを言ったりさ。不安な気持ちからネガティヴになって、架空の敵を作って攻撃するなんて、そんなの間違ってる。俺らは画面越しからポジティヴなメッセージを発信したかった。本当は生で観てもらいたかったけどね。でも、観てる人たちがポジティヴな気持ちになってくれれば、それが俺たちをまた別の場所に連れて行ってくれると思うんだ。俺たちはみんなが観たいと思う場所でライヴするよ。もちろんツアーで全国のライヴハウスにも行くよ。今、この場所には愛しかない。俺たちがこの『BAD HOP WORLD』で表現したかったのはそういうことなんだ。みんなはさ、俺らをどこで観たい? 俺らは必ずそこに行くぞ」と話して大ヒット曲"Kawasaki Drift"から、ラストの"Foreign"になだれ込んだ。彼らは本当に海外でも成功してしまうかもしれない。そんなことを感じさせる気迫のこもったパフォーマンスだった。

なおBAD HOPはクラウドファンディングサイト・CAMPFIREにて本公演で生まれた負 債の支援プロジェクトを開設。支援金額ごとにリターンが用意されている。その中には現在制作中の3rdアルバム『BAD HOP WORLD』や今回の販売される予定だったグッズ全種も含まれる。

レポートテキスト ・宮崎敬太 / KEITA MIYAZAKI

PHOTO BY cherry chill will.

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