動画共有アプリTikTokでDenzel Curryの“Ultimate”が謎の流行を見せる

先日の来日公演も大成功となったマイアミ出身のラッパーDenzel Curry。スキルフルなラップとダークなトラック、ストイックな姿勢で人気を博す彼の代表曲といえば“Ultimate”だろう。2015年にリリースされて以来、この曲がクラブでかかるとモッシュが発生する様を目にしたことがある人も多いはずだ。そんな“Ultimate”が、現在思いもよらぬ方面で再流行していることをご存知だろうか?

若者を中心に流行している動画共有アプリTikTokに“Ultimate”を使用した動画の投稿が増えている。TikTokは短い動画クリップを共有するプラットフォームであり、動画に使用するBGMをアプリ内で選択することが出来る。ここに“Ultimate”が追加され使用が可能になったため、そのような動画が増加しているようだ。流行は全世界のTikTokユーザーに広がっているようで、スポーツなどのプレイを見せるものから単に若者がはしゃぐだけのもの、時には「お菓子作り」のような一見全くマッチしなさそうな動画にも“Ultimate”は使用されている。もちろん中にはDenzel Curryのことを知らずに使用しているユーザーも多くいるだろうが、そんな彼らさえも惹き付けるのが“Ultimate”がアンセムたる所以とも言える。

“Ultimate”がミームとなった経緯を検証することは困難だが、日本でバズを起こした最初の“Ultimate”動画として確認できるのはこちら。

このような動画がTwitterでバズったこと、TikTok内のプリセットとして利用出来るようになったこと、そして単に楽曲のいかついバイブスが面白がられたことが日本での流行の原因として考えられる。

ちなみに、“Ultimate”が使われる動画は「何か凄いことを成し遂げる」というテーマのものが多い。理由は一切不明だが、「イントロの部分で何らかの前振りをし、Denzel Curryがラップを始める辺りで何らかを達成、その後カメラ目線でハンドサインをしてドヤ顔」という流れがなぜか出来上がっている(TikTokに投稿できる動画の長さは15秒間のため“Ultimate”はイントロからラップの冒頭までが使用される)。

イントロ部分にはプロデューサーであるRonny Jのタグも含まれているが、これを機にRonny Jの名前が日本でも広まれば何よりだ。

以前よりDenzel Curryのファンであった人は複雑な感情を抱きそうなTikTokでの“Ultimate”ブームだが、これをきっかけにDenzel Curryやフロリダのラップシーンを知る人が増えるのであればそれはそれで良いのかもしれない。

RELATED

【コラム】Denzel Curry 『King of The Mischievous South』| サウスシーンへの初期衝動

「自分でも『King of The Mischievous South Vol. 2』を作っているという自覚はなかった」と語るのは、何を隠そうDenzel Curry本人だ。

Denzel Curryの来日公演が11月に緊急開催

今年アルバム『King of the Mischievous South Vol.2』をリリースし、大きな話題となったDenzel Curryが11月に緊急来日公演を開催する。

【インタビュー】Denzel Curry | 俺は俺である事を捨てることなくナンバーワンになれると信じてる

フロリダを拠点に精力的に活動するラッパー、Denzel Curryが今年FUJI ROCK FESTIVAL '23に出演し、約5年ぶりとなる日本でのライブを行った。

MOST POPULAR

音楽を聴いて鳥肌が立つのは特殊な脳の構造を持つ人だけが経験できるという研究結果

音楽を聴いて鳥肌が立つ、という体験をしたことがあるだろうか。もしあるならば、あなたはとてもラッキーな経験をしている。

大人になってからの音楽の好みは14歳の時に聴いた音楽で形成されている

私たちの音楽の好みは14歳の時に聴いた音楽によって形成されていると、研究により明らかになった。

Appleの重役がiTunesの音楽ダウンロードが終了することを認める

ついにその日が来てしまうのだろうか。先日発表されたアメリカレコード協会(RIAA)の2017年末の収入報告でもデジタルダウンロードの売り上げが2011年以来6年ぶりにCDやアナログレコードなどの売り上げよりも少なくなったと発表されたが、ちょうどそのタイミングでApple Musicの重役のJimmy Iovineが、iTunesストアの音楽ダウンロードが、終了する見込みであることをBBCの取材に対して認めている。