FNMNL (フェノメナル)

T.I.とGucci Maneによるトラップの発明者をめぐる争いが過熱

アトランタから始まったトラップミュージック。その勃興期から、発展を支えてきたラッパーGucci Maneが、4/6に自身のインスタグラムに2005年頃の自身と思われる写真と一緒に「俺がトラップミュージックを発明した日」と投稿したことでトラップ起源論争は幕を開ける。

MigosやYoung Thug、Metro Boomin、Mike Will Mede-Itなどラップシーンの中心にいるアトランタ出身のラッパー、プロデューサーはGucciを慕っている。それはGucciはトラップシーンの草分け的存在であり、彼らのキャリアに大きく貢献したからだ。Gucci はシングル"All My Childrean"をリリースしていて、そこではそんな周りからのトラップの生みの親としての評価を受けているという内容になっている。トラップシーンでGucciの影響力は絶大だ。

 

しかし、4/10にT.I.がGucciの意見に対して、改めて自分がトラップの生みの親だとツイッターに投稿した。

「2003年 8/19に『Trap Muzik』が生まれた。」と述べ、「馬鹿者だけが事実について論争する」とT.I.はGucciの名前こそ出していないが批判を行っている。T.I.はGucciよりも先にトラップという言葉を使ったと時系列を強調し、生みの親としての自信を見せる。

以前、紹介した通りにトラップの起源についての議論は交わされていた。T.I.は昨年のインタビューで「次のアルバムでおれはトラップをやるよ。なぜならみんな俺がトラップを発明したということを本当は知らないんだ」と自信が初めてトラップという言葉を使用したと主張していた。

しかし、Geniusによると、最初にトラップという言葉をリリックに盛り込んだのは、アトランタ出身のヒップホップデュオOutkastだという。1998年にリリースされたアルバム『Aquemini』に収録されている楽曲"SpottieOttieDopaliscious"のBig Boiのリリックには「So now you back in the trap just that,trapped Go on and marinate on that for a minute」と、初めて「トラップ」という言葉が使われたリリックとなっている。しかし、Outkastの「トラップ」というリリックは、ドラッグの描写や日々ドラッグディーラーとしての苦闘を表現しているわけではなく、それが今のシーンに繋がるトラップの系譜になっているとは言い難い。

T.I.のトラップの生みの親という投稿を受け、Gucciはさらに応戦。

「T.I.もしくはGuwopのどちらが史上最高?」というキャプションとともに、Gucciは自分は2001年にアルバム『La Flare』をリリースしていると主張。T.I.よりも前にトラップのサウンドを生んでいたと指摘している。Gucciは、トラップという言葉は使っていないが、自分が生んできたサウンド自体がトラップであり、今のトラップシーンの系譜になっていると主張しているのかもしれない。

トラップ起源を巡る論争は、平行線を辿っている。現段階では、時系列上ではT.I.がトラップをアルバムタイトルに採用した事実はあるが、Gucciは、トラップのサウンドの礎を築いてきたのは間違いない。GucciとT.I.がどっちが最初に発明したのかとトラップの歴史を紐解いても、双方の言い分に正当性があるので、決着はつかないだろう。もしくはなにか決定的な証拠が出てくるかもしれない。今後、2人を中心にトラップ起源論争はどこへ向かうのか。

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