NHK Eテレの番組『toi-toi』のテーマ曲として制作されたOMSBの新曲“toi”。ふとした日常の描写の中に彼の想いが込められた本楽曲は、OMSBがこれまで描いてきたテーマの延長線上にあり、より深く、より大きさを感じさせる楽曲となった。番組のパイロット版を見て深く共感したという彼が、制作の過程やそこに込めた思いを語ってくれた。
取材・構成 : 和田哲郎
撮影 : 横山純
- 今作“toi”はNHK Eテレの番組『toi-toi』のテーマ曲でもありますが、どんな経緯で制作することになったんですか?
OMSB - 最初に「こういう番組を作るんですけど、テーマソングやってくれませんか?」っていう話がきて、『toi-toi』のパイロット版を見せていただいたんですよね。それにすごいグッときちゃったんで、「こういうのに関われるなら、やりたいです」って。昔から、NHKの番組の音楽ができたらすげえ嬉しいなっていうのはあったんです。それぐらいみんなに刺さるものを目指してやってました。
- 依頼がきたのはいつですか?
OMSB - 去年の10月末ぐらいに連絡が来て、とりかかったのが12月かな。
- パイロット版を見て「グッときた」というのは?
OMSB - 言い方とか捉え方が難しいんですけど、体が自由に動かせないとか、心に病気を持ってるとか、いろんな人が出てくる番組で。で、その人たちの考え方を聞いて「すごいフラットだな」って思ったんですよね。世の中で相対的にみると、少数派の人たちなんだけど、すごいフラットに考えてるんですよ。もう今、なんでも「感動ポルノ」とか言われがちだけど、この番組がやりたい方向は「もっと明確に考えて欲しくて作ってるよな、これ」って思って、そこにグッときたんすよね。
- OMSBさんにテーマ曲を書いてほしいというのも、これまでOMSBさんが歌ってきたテーマとすごく自然に一致するからですよね。
OMSB - というか、もう今までの延長線上なんだと思います。そのままの自分がハマるんじゃないかって、自分の考え方にフィールしてくれて、声かけてくれたんだと思って。
- 曲自体は書きやすかったんですか?
OMSB - いやー、書きづらかったかも。プリプロができるまで1ヶ月くらいかかったんで、結構時間かかっちゃったんですよね。自分が番組で感じたフラットさと同じように、「そっか」って腑に落ちるような言葉をかなり探してたんで。
- しかも、ただフラットなだけじゃいけないというか。言い方が難しいんですけど、フラットなんだけど、それを肯定するというか……この曲を聴いて自分は「OMSBさん、大きいな」って感じたんですよ。
OMSB - なんか、「一方的に支える」みたいなふうにするより、ちょっと気づく目を見つけてみたり、その余力があるなら支えてみるみたいな方が大事なのかなと。道端に疲れて座り込んでる人がいたら飲み物でも買って一緒に座ってみるとか。番組見ててもそうだし、普段自分の忘れがちなところではあるんですけど、改めて考えてみた感じですね。
- 今回はキーボードで井上惇志さんが参加されていますね。ビートを作ってから要素を足そうという流れで?
OMSB - そうですね。わりと要素を足してもらう前提で作ってて、むしろ必要になってくるんじゃないかなと思ってて。で、プリプロができた段階で(The Anticipation Illicit)Tsuboiさんに渡した時に、自分は井上さんのこと存じなかったんですけど、キーボードを足してもらう提案をしてもらって。自分の中でも「広がりがいまいちだな」とか「もう少しあるな」とか思ってたんで、そういう方向でお願いして、いろんなアレンジのアイデアを短時間で沢山出してくれて、素晴らしいプレイヤーだと思いました。
- 制作に時間かかったのはリリックの部分が大きかったんですか?
OMSB - バースの方がかかったかな。フックはこのリリースされているフックが一番最初にできて、先方がすごい気に入ってくれて。でも「もうちょっとあるかもな」って悩んでた時間があって、新しくできた方が「もしかしたら刺さるかも」って思ったんですけど、送ってみたら「最初の方で行きたいです」ってなって。フックで言うと、最初にできてた方は、もちろん思いついて言ってるんだけど、バースからちょっとだけ脈絡がなくなるんで、メロディは気に入ってたんですけど「これ大丈夫かな」って俺は思ってたんですよ。それで、バースに合わせてもう少し脈絡のある歌詞にしてフックやってみて、(A&R)の増田さんとも「これならいいかもね」ってなったら、結局最初の方になったので。でも実際今、世の中に出てみて、そこの部分が響いてくること多いんで。
- やっぱり、いい違和感になってるなと感じますよ。フックが浮き上がって聞こえて。
OMSB - それはありますね、浮き上がってる。
- それがすごく響いてる感じがするので。でもそこは難しいですよね。
OMSB - 脈絡があって、ちゃんと刺さる言葉だったらいいのかなと思ってたけど、それだけじゃないっぽいなー(笑)。
- 自分がこの曲をいいなと思ったのは、「問う」ことはすごく内省的な行為なのに、バースは光景の描写になっているという、そのバランス感なんですよね。
OMSB - そうっすね。あんまりヘビーにしたくなかった。「こうありたいよね」っていうのがちゃんと描写できればいいっていうか、目の前に起きたことのちょっと手前とか、そこで立って考えるより、理想に向かって足を運びやすい響きとかそういうことをイメージしてましたね。
- あと、バースで時間の経過があって、描写が一気に変わっていく感じが、めちゃめちゃ上手いなと思ったんですよ。
OMSB - 時間の経過か……ごめんなさい、たとえば?(笑)
- (笑)。最初の〈あけおめから目閉じ開ければ月末〉とか、〈肌焼く夏超えもうメリークリスマス〉とか、その後で青春時代から一気に大人になるところとか、そうやって並列して書かれているのがいいなと思ったんです。OMSBさんの今の時間の感覚みたいなものが現れているのかなって。
OMSB - それはマジでそうですね。「今年早いな」って言ってる間に「今年早いな」が来るし、まだ子供おじさんなんだけどみたいな、ペースがあっという間過ぎて大人になりきれてないんだけど、大体大人ってそういうもんなんじゃないかなって瞬間は、特に最近感じる。
- それを無駄なく描写している感じがあって。ラッパーとして大人になっている感じもあるし。
OMSB - 「これ言うと、ここまでが伝わらなくなるな」みたいなことは、昔より考えるようになりましたね。人間関係でも。
- ちなみに、今の自分のラッパーとしての立ち位置のようなものって考えたりしますか?
OMSB - まあまあ考えますね。俺は正直シーンに「立ってる感」は意外と……意外でもないのかな、薄いというか。POP YOURSとか大きいステージに立たせてもらう瞬間はあるんだけど、自分で言うとアレなんだけど、それ相応の評価を受けてる気はあんまりしない。別にひがみとかじゃなくて、「もっと頑張んなきゃ」みたいな感じに近いんですけど、(シーンの?)中にいる実感が意外と薄いというか。レーベルに所属させてもらったり、いろんなところに出させてもらってるけど、でも自分のルートがわりと独自な気はしてて。言ったらみんなそうかもしんないけど、何気にいろんなことをやらせてもらう機会が多かったからピンときてないだけかもしれないし、っていう気はするんですけど。
- そういう心境を歌っているのかなという箇所で、〈誰か好みを演じ歌うペルソナ/知らぬ間に立った背比べ〉というのがあります。ゲームの中に勝手に立たされた、みたいな。
OMSB - これに関してはあんま掘り返したくないけど、ちょっと前にBeefがあったのに俺返さなくて、「ラップゲームってそういうことなん?」みたいな言われ方をしたような気がしてて、「いやー俺そういうんじゃないから」みたいな気持ちになったりとか……でも俺結構、「そういうんじゃないから」とか言って、大勢が感じてる「ヒップホップのアツいとこ」より、「俺がヒップホップの好きで面白がってる部分」でずっとやってきちゃったかもな、とか思ったりするんですよ(笑)。だから距離を感じてたり、冷めてしまう部分になってしまったというか。
- この曲で「大きいな」と思ったのは、すごくフラットに「自分は自分なんで」というよりも、もう一歩先の方まで踏み込んで、他人の主張とかも包み込むような感じがしたところなんですよね。
OMSB - あーでも、それは諦めに近いかもしれないです。俺も「こうであるべきだ」とか「なんでコイツはこうじゃねえんだ」とか、そういうのかなり考えてた時あったから。でも、それはその人のタイミングがあって、それが良いと自分で思うならそのままだし、違うなと思うならどこかで気づいて自分が変えていくんだなと思う。勿論自分が正しいなんて思ってないけど、人間的に魅力を感じる相手には、いつか思い出してこういう事言ってたのかって思ってもらえる様にかける言葉もありますが。
- 『ALONE』のタイミングでのインタビューでは、「セカンドの時もっと怒ってましたよね」みたいな話があって(笑)。
OMSB - (笑)。まあ基本的に世の中って思い通りにはいかないんで。「期待しすぎるな」っていうのもあるし、だから「そんな頑張ってもしょうがなくない?」の感覚も持っちゃったっていうか。もちろん頑張るところは頑張るんですけど、「全部を頑張るのって結構辛くない?」みたいな感覚は前よりあるのかも。単に年齢で、一つひとつに怒る元気がなくなってるのかもしれないです(笑)。
- 時間の経過も早くなっているし。
OMSB - 「変わらないこと」は全部に対して悪いことではないのかもなって。
- 怒りをモチベーションに音楽をやることって、すごくわかりやすい話じゃないですか。今のOMSBさんはそうじゃない?
OMSB - あー、でもモチベーションは今も変わんないかも。そうはいっても、めちゃくちゃ怒ってると思うんですよ(笑)。自分、仮想敵作るのすごい好きなんですけど、「コイツはこんななのに俺はなにやってんだ」とか、「こんなんだったら俺の方がやばい事やってない?」とかはあって。まあ、「もっとこうなったらいいのになー」くらいの。昔よりもうちょっと柔らかいものかもしれないですけど、そういう怒りに近い感情がモチベーションになることはあって。ライブの時はそういうこと多いっすね。やっぱ、いろんな人と接するとピリピリしちゃうんで、いまだに。曲作る時も、曲調によっては「ぶっ飛ばすが?」ぐらいの気持ちではやる時あるけど。
- 今回の曲はどんなモチベーションで?
OMSB - 怒りはさすがにないっすね(笑)。でも、刺さってほしいっていう。てかむしろ、自分が協力させてもらえることへの「嬉しい」で書いてたから。
- ちなみに自身で一番気に入ってる部分は?
OMSB - いろいろあるんですけど、〈ぼけっと宙を眺めてる〉のくだりかな。そっからの8(小節)くらいは結構。
- 〈空は晴れて、月は真っ二つ〉のあたり?
OMSB - うん。この感じが表現として「伝わればいいな」っていうのを思いつつ、自分でもそれが「伝わるんだろうな」って思って書けたから。この曲の内容を聴けばわかるなっていう感じかな。
- 自分が好きなのは、シンプルなんですけど、〈好きな歌が増えた日はそれだけで最高の日だと思うよ〉。「マジでそうだな」って(笑)。
OMSB - 俺も「マジでそうだ」と思って書いてました(笑)。めちゃくちゃそうですよね。ここはよく言っていただけますね、最近。
- 嫌なことがあっても、新しく好きな曲ができれば忘れる瞬間もあったりします。
OMSB - ありますよね。めちゃくちゃムカついてんのに、背後にかかってるStevie(Wonder)の曲がクソ良くて気になっちゃって「まあ結果オーライか!」みたいになる時が本当あるんで。
- ちなみに、最近そうやって好きになった曲はありますか?
OMSB - 最近だとあんまりないかもしれない(笑)。でもちょっと前、たまの“さよなら人類”にめちゃくちゃハマった時あって。
- いい曲ですよね。
OMSB - 昔から知ってたはずなのに、不意にかかって「なんだこれめちゃいいな」って、改めて聴いたら超やばいみたいなって。こんなポップに中指立てれるんだみたいな。1年ぐらい前に思ったことなんですけど。
- “toi”は今年のリリースとしては初めてですよね。去年は“Bro”がありましたが、今、全体的な制作ってどういう状況ですか? 作りたい時に作れている感じ?
OMSB - 作りたい時に作ってはいるんだけど、タイミングが合わなくてそうもいかないことが増えてきてますね。頻度が減ってる気がするっすね。
- それはやっぱり家庭のことだったり?
OMSB - そうですね。あと、もうそろそろ戻ってこれそうな気がするけど、去年まで頑張りすぎた気がしてて。結構ガッて熱入れてやってたから、「ちょっと一回落ち着こう」みたいな。去年は本当にいろんなことやってたなって思う。ワンマンに向けてジム行って、アルバムとEP作って、曲は出せなかったけどめちゃくちゃ作ってたし。だから「休もう」までいかないけど、「また焚べていきたいな」みたいな。
- ハイペースでやっていた時はしんどかった?
OMSB - 「しんどい」とかじゃないんですよね。なんかこう、これむずいな、シンプルにガス欠なんですよ。熱を入れすぎてて。で、去年末、それこそ『toi-toi』のオファーいただいたあたりにぎっくり腰をやっちゃって、そっからヘルニアになったあたりで、頑張りすぎたのを自覚して。
- 体の痛みとして疲労が来たんですね。
OMSB - だから「ちょっと休もう」っつったら、「休みすぎてるかも」みたいになったんで、また「やっていけば戻ってくんだろうな」っていう。
- ベースの作り方が難しいですよね。
OMSB - 難しいですね。しかも去年までは「無敵だ!俺はできる!」みたいな謎の全能感があったんですよ。いい曲が簡単に生まれるかは別として、めちゃくちゃ録ってめちゃくちゃライブやって、みたいな。まあ普通にすごい楽しくやってました。今も楽しいけど、あの頃はそういう時期だったかな。「今のテンションのまま行っちゃいたい」っていうのも去年まであった。そういう意味では別にいいのかなっていうか、あんま悪いものと思ってなくて。やっぱりガス欠も「そりゃそうだよね」っていうのを知る意味で無駄ではないかなって。
- 今はどういう時期だと思いますか?
OMSB - それこそ「まだ外にいるような感覚がする」っていう話、昨日増田さんにもすこし話してて、そういうの感じてたんですけど、俺ももう30代半ば過ぎてるんで、そういうたまにあるメンタルの曇りでウダウダすんのも違うかなって。足踏みしてるのももどかしいんで、なんか動きたいなっていう風には思ってる。自分ができることも大体分かってきたんだけど、そこだけやってるのも面白くなくなってきて、新しいこと見つけたいな、みたいな。あとは、そういう場所に少しでも「こういう表現もおもろいですよ」っていうのを少しでも見つけてもらえればいいかなって。自分でそう思うのもいいんだけど、聴いてる側にもそれが伝わったらいいかなと思ってて。
- この曲と一緒にワンマンライブについても発表していました。3年連続ということになりますけど、ワンマンはそういう気持ちでやっている?
OMSB - これを自分のスタンダードにしたいっすね。自分だけじゃないと思うんですけど、なんか目標がないと頑張れないから、毎年できるのが理想だなと思ってて、続けていきたいっていう感じかな。
- OMSBさんにとってワンマンライブというのはどういう場なんですか?
OMSB - 「今こんな状態になってますよ」っていうのをなるだけ見せられる場にはしたい。それと、うーん……それだけかも。
- 現状報告。
OMSB - 現状報告で、プラス、毎年それをグレードアップしていきたいっていう。「毎年やること」じゃなくて「グレードアップすること」が目標なんで。それを見てもらいたいなっていう。
- ワンマンも毎年毎年積み上げていきたい。
OMSB - そう。ジム行ってるのもそれがあるから。っていうのも、最初にワンマンやった時にめちゃくちゃバテたんすよ(笑)。
- そうでしたっけ?
OMSB - 自分の体感ではね。バテてないと見れないグッとくる瞬間とか、きっとあると思うんですよ。でも、そういうのって「ちょっとずりーな」と思ってるんで、体力つけて、マジでフィジカルでビビらせたい。やっぱ生なんで。
- 今って何歳でしたっけ?
OMSB - 今36歳で、早生まれだから37歳とタメの年なんですよ。もう40手前かな。でも、40以降もっとバリバリやりたいから。
- 40代が見えてきて、リファレンスじゃないですけど、こういう感じで活動できたらいいなと思う人っていますか?
OMSB - リファレンスか……リファレンスっていうか、マジでいい感じのおっちゃんになりたいんですよね、マジで。本当にめっちゃいい感じのおっちゃんになりたい(笑)。「めちゃくちゃ考えてるんだけど抜けてたり隙のあるおじさん」でいたいんですよ。
- めちゃくちゃ考えているのが表に出てこないおじさん?
OMSB - そういうのが露骨に見えてこないっていう。誰っていうとむずいな。たまたま話した人とか自分の叔父とかでこういうおじさん良いなみたいな統計というか笑
- でも、今話してくれたことが楽曲にすごく出ている気がして。アウトプットや歌詞が、どんどんシンプルになってきている気がするんですよね。
OMSB - あー、内容が。無茶な単語をあんまり使わなくなってきたかな。
- それはやっているうちに自然にそうなったのか、なにかきっかけがあったのか。
OMSB - でも俺、自分の曲をめちゃくちゃ聞くんですよ。「ここいいな」っていうのはもちろんあるけど、「余計なこと言ってんな」とか「ここ、なくても伝わるんじゃないかな」とか、結構思うんすよね。
- そういう視点で昔の曲を聞くと。
OMSB - 言い回しとかで「ちょっとアレに影響されてない?」っていうのがあると、嘘臭くなるってことにだんだん気づいてきちゃって。もちろん影響がモロに出てるのもかっこよかったりするんだけど。嘘臭いのが年々嫌いになってきてますね、うん。
- 嘘臭いというのは、「自分をよく見せよう」みたいな?
OMSB - うん。かっこよけりゃなんだっていいと思うんですけど、そういうのがあると、自分はあんまりかっこよく思えなくなってきた。だからヒップホップであるつもりだけど、ボースティングとかの価値観とは離れてきている気がする。ヒップホップってむしろ「ボースティングしてデカく見せる」じゃないっすか。そういうのが前から得意じゃなかったけど、より合わなくなってきたのかも。てか、「そういう人間じゃなくてもヒップホップやっていいだろ」みたいな、ちょっと図々しくなってきたかな(笑)。お前んちのソファ汚ねえけど寝心地良いよなみたいな方がシブいと思ってて。
- SEEDAさんも、同じようなことをインタビューで言ってましたね。SEEDAさんも40代で、新作ではボースティングみたいなラップもあるんですけど、「ギリギリまで入れようか迷った」と。ヒップホップのコンペティション、マネーゲームの部分は「こだわりすぎない方がいい」というふうに言っていました。
OMSB - そう、「必要あるかないか」の問題な気がしてて。俺はそれをもう必要と感じてないし、そんなに現実味を感じてない。「金がいらない」とかそういう話じゃないんだけど、そういうことで強く見せるのは自分っぽくないし。むしろ逆に、そういうこと言わないのにめちゃくちゃすごいことやってたり、バイブスがあったり、考え方が間違いなかったりする方が、俺は普通に惹かれるんで。
- じゃあ、デカい質問になっちゃうんですけど、今のOMSBさんがヒップホップを説明するなら、どういうものだと思いますか?
OMSB - クッソむずいっすね……「あなたにとってヒップホップは?」とかだともうちょっと答えやすいというか。
- じゃあそれでいきましょう(笑)。
OMSB - でもやっぱり、俺のヒップホップの定義は、低音とキックがデカくなってるかどうかの問題だと思ってて、それしかなくて。あとはスピットしてればいいかなって思ってるんですよ、本当に。細かく言えばほかにもいろいろあるけど、最初聞いた時に「もうこれでいいやん」ってなったから、その感覚が間違いないかなっていう。そういうヒップホップのずっと根っこにある部分を愛してるってか、心酔してるみたいな事だと思いますけどね。
- そこはもう、初期衝動から変わっていないということなんですね。
OMSB - そうです、気持ちは。あんま複雑に言えないかもしんないっす。てか、俺はそれが嫌だからラップやってるところもあるっすけど。ヒップホップのデタラメな部分が面白いのに、めちゃくちゃ説明しちゃうと、それが面白くなくなったりするじゃないですか。
- たしかに。
OMSB - 「これがこうでこうだからヒップホップって面白くて」ってなったら、極論そのロジック全部に当て嵌まってれば全部面白いのかって言ったらそうじゃないし。
- ありがとうございます。さっきの話では今は時期としてあまりハイではないということですが、7月にワンマンがあって、その後の予定は決まっているんですか?
OMSB - 一応年内に、っていうのは考えてます。そこに向けて熱を乗せていけたらなって。というか、最近はわりとずっとそこに集中してる。
- また年内にニュースを届けられたら。
OMSB - だったら嬉しいなっていう状態で、頑張ってます。
- ありがとうございます。他にこの曲のこととかで、喋り足りてないことがあったら。
OMSB - 俺、この曲すごい好きだし、出てからなおさら好きになったんですけど、それより俺、普通に番組見てみてほしいなと思ってますね。僕はすごい好きだったんで。
- 毎回のテーマも、一言で言えるようなテーマじゃないと思うんですけど、面白そうだなと。
OMSB - だから、そういう場所に立たされた人がどう思うかっていうのは、すごい自分としては得るものが大きいですね。もちろん見てる中で「自分だったらどうしてたかな」とか考えるし。てか、(番組を)見なきゃ考えもしなかったことかもしれないけど、めっちゃ大事なことだったな、っていうのがあるっすね。結構センシティブな瞬間に自分がどう思ったかって、めちゃくちゃ大事じゃないですか。センシティブだけどさ、っていう。
- 普通に生きていたら、もしかしたらそういう問題があることにも気づかないままかもしれないし。
OMSB - そうですね。気づかなかったことだけど、これ知ってた方がいいよなって。俺はわりと自分の勉強だったり栄養として見てしまうところもあるんで、そういうところから考え方を少しずつ、もっとくだらないことでもいいんですけど、得られたらなって。いつ自分がそういった問題を抱えるかもわからないですし。かなり意義深いと思いますよ、めちゃくちゃ好きです。
Info
OMSB - toi
配信リンク
タイトル:
“KUROOVI'25”
日程:
2025年7月19日 (土)
会場:
SHIBUYA WWW X https://www-shibuya.jp/
時間:
OPEN / START 17:30 / 18:30
料金:
ADV.¥5,000 ※ドリンク代金別
出演者:
ACT:
OMSB
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