連載『My Classics』。この企画ではアーティストやデザイナーなどのお気に入りの一品と、これから欲しいアイテムや気になっているものを紹介していく。普通のインタビューでは中々見ることのできないアーティストの嗜好や素顔などが垣間見えるものに。
第12回目となる今回は、その高いセンスと人柄で多くのファンを持つ下高井戸の床屋「BARBER SAKOTA」の名物店主・迫田将揮をフィーチャー。単なる床屋としての営業だけでなく、様々なブランド・クリエイターとのコラボアイテムを販売するなど、ファッション/カルチャーの側面からも熱い支持を得ている。昨年末には世田谷・経堂に姉妹店「CUT HOUSE KYODO」をオープンし注目を集めた。更に、現在伊勢丹メンズ館ではPOP UPも開催しておりAPPLE BUTTER STOREやCUP AND CONE、MIN-NANOなど人気ショップとの限定コラボアイテムを発売中と目が離せない。そんなIt ショップオーナーのお気に入りアイテムからルーツを辿り、カルチャー色が強い下高井戸コミュニティについて、スケーターの繋がりについて、音楽的嗜好について、ファッションについてなど、幅広く訊いた。
取材・構成:島田舞
写真:相澤有紀
- このインタビューはアーティストやクリエイターのお気に入りのアイテムを紹介してもらう企画です。事前に伺ったお気に入りのフードがHATOSのビーフカレーとのことでした。
迫田将揮(以下、迫田) - 出会いは、HATOS OUTSIDEがカレー屋さんになる前にカフェみたいな形態でやっていた時。その数年後にヨウヘイくん(元HATOS OUTSIDEのスタッフ)が入ってカレーがメインのお店になって、って感じですね。だからここでお店を始めて、近所のお店みたいな感じでコーヒー飲みに行ったりしてて。
- 最初は普通のカフェだったんですね。
迫田 - いや......普通ではなかったっすね(笑)。色んなクリエイターの人が何人かでやってて、事務所兼カフェみたいにしてて。
- 最初から本格的なカレー屋さんだと思っていました。
迫田 - オープン当初は違ったっすね。僕がお店をオープンした時はカレーはやっていなくて、何年後かにリニューアルして。カレー屋さんになってからスタッフも変わったことでテンションも少し変わって。元々HATOSがあって、ウチが出来て、2年前くらいにカレー屋さんになった。
- BARBER SAKOTAは開店して5年目ですよね。 HATOS OUTSIDE以外にも下高井戸で交流のあるお店というと?
迫田 - TRASMUNDOっていうレコード屋が20年ぐらいやってるお店で一番カルチャー色が強いですかね。お客さんに音楽に詳しい人もいっぱいいて、店主もちょっと強面なんですけど、めちゃめちゃ良い人で。お店を始めてからレコードとかCDとかを買う機会が前より増えて。TRASMUNDOの影響もあリましたね。
- お店同士の交流もありますか?
迫田 - ありますね。HATOS OUTSIDEでTRASMUNDOの店主の浜さんがDJしたりとかもあって。一昨年のクリスマスはウチでTRASMUNDOと合同のパーティをやりました。
- 店内にDJブースを置くんですか?
迫田 - DJブースをその日だけ持ってきて、雰囲気をちょっと暗くして(笑)。ここ1年ぐらいはやっていないですけど。あとは、僕が定期的にCD買いに行ったりカレー食べに行ったりっていうのを週1ぐらいで行ってますね。
- 音楽はどのようなジャンルを聴かれますか?
迫田 - 結構ジャンル問わず、TRASMUNDOに置いてあるものは一通り聴いてる感じですね。ジャンルもヒップホップから何でもあるので、浜さんにオススメされたものはミックスCDとか、新譜まで色々聴くようにしてますね。店内で流すのも、買ったCDが多いですね。あそこにしか売ってないCD-Rに焼いたミックスCDとかもあったりするので、そういうのを流してるとお客さんと「これ何ですか?」みたいな会話になったりもしますね。
- ストリーミングサービスのプレイリストを流すお店も多いと思いますが、TRASMUNDOのミックスCDを流すのは特別な感じがしますね。
迫田 - そうですね。サブスクとか有線だと、結構脈絡が無いというか。例えば90年代のヒップホップでも、結構流れがガチャガチャに入ってたりするじゃないですか。ミックスCDだとDJの人がちゃんと考えた流れだから、1日聴いててもそのDJの人の、今の気分みたいなものがラインナップで流れてくるので、やっぱり新鮮でちょっと違うんですよね。ウチとかは周期が短い人だと2週間に1回ぐらい来るので、いつも同じものだとつまらないし。「お、今日は四つ打ちか」みたいなのも面白いなと思って。話のネタにもなるし。だから結構お金使って買うようにしてますね。税理士に「CD代多すぎるっすね」って言われましたけど(笑)。
- たしかに普通のお店とかだと、そこまでBGMにお金かけないですよね。
迫田 - かけないと思いますね。でも買わないと分からないものだったり、物として持たないと分からなかったりするので、個人的にもそういうのが大事なのかなと思いますね。
- 職場用にあるものと家にあるものと、大体トータルで何枚くらい持っていますか?
迫田 - 家にはほぼ無くて、殆ど店にあるんですけど。結構あると思いますね。ミックスだったり、新譜も全然買ってるので。サブスクでも聴けるけど物としてかけたりするので、結構あると思います。数えたことないですけどね。置き場に困ってます(笑)。めちゃめちゃかさばるんで。CDだけ買ってようと思ったんですけどちょっと前からレコードも買い始めたら、そっちも止まらなくなってきちゃって置き場を考えなきゃなと。
- HATOS OUTSIDEのお話に戻りますが、カレーの種類は4種類ありますよね。ビーフカレーをチョイスしたのはなんででしょうか?
迫田 - 実際どれも頻繁に食べるんですけど、一番中毒性がある気がするんですよね。ビーフの辛さとスパイスの感じが。僕もそんなにグルメじゃないので毎日同じもの食べられるぐらいの性格なんですけど、めちゃめちゃ時期によって辛さが違ったりして。1回聞いたら、入れてるスパイスの差だってことを言ってた気がするんですけど。凄え辛い時が一時期あって、「これ今日結構来てんな」みたいな(笑)。でも辛いの好きなので。キーマとチキンも凄く美味しいですね。でもビーフは、中毒性が一番ある気がしてるんですよね。
- 食自体にはそんなに拘りは無いんですか?
迫田 - 好きなんですけどね。でも繊細な味がそんなに詳しく表現出来ないというか。美味しいものを食べに行ったり飲みに行ったり、後は場所とか内装が好きなので、そういうの含めて行ってるような感じがしますね。
- お店が提供する雰囲気全体を楽しむと。
迫田 - 自分で店をやっているからこそ、そういうところに目が行くのかなと思うんですけど。
- 内装とかも、周りの方に手伝ってもらっているんですか?
迫田 - お店自体の設計デザインとかは、20代前半くらいからずっとやってた友達と一緒に考えてやってもらった感じです。
- FNMNLの企画『Diggin' Cyber』でも、この椅子を紹介してましたよね。こういうインテリアもお好きなのかなと。
迫田 - インテリアも専門の人がいるじゃないですか。自分はめっちゃ好きって訳じゃなかったんですけど、ヤフオクやメルカリは好きで昔からずっと見てるんですよ。待合の椅子は最後まで決まらなかったんです。作るか、ソファーみたいなのを買うかって迷っていて。ソファーだとなんだかなって気持ちがあって、ベンチにしたかったので、大工さんにベンチを備え付けで作ってもらおうか考えてた時に、ヤフオクで検索したら、あの椅子がちょうど出てきて。しかも3脚セット、2脚セット、あと1脚だけのもので合計6脚出てたんです。「これ6個並んでたらめちゃめちゃ良いんじゃないか」と思って。サイズもバッチリだったし。それで買ったんですけど、送料がめちゃめちゃ高かった(笑)。1つに対して15000円とかかかって、送料3万とか4万とかかかった気がしますね。
- 内装に拘りがあるという点では、HATOS OUTSIDEも凄く居心地の良い空間ですよね。
迫田 - そうなんですよね。独特な居心地の良さが凄くあると思うので。それこそ、あそこは音楽も良いんですよね。DJを呼んでちょこっとやったり、レコードを掛けつつ仕事の合間に針を戻したりしてるので、そういうのも凄く勉強になるし、カッコいいなと。
- 飲食店でレコードをかけるのもかなり手間ですね(笑)。
迫田 - 大変ですよね。ちょうどお客さんに呼ばれてるタイミングで音が切れたらどっちに行くか、とか絶対あると思うので。そういうお店も増えてるような気はしますけどね。レコードだとやっぱり、ちょっと雰囲気が違いますよね。
- レコードブームの流れからもきてるんでしょうね。
迫田 - アナログで、みたいな。だからかかってる音楽とか、HATOS OUTSIDEでも「今日はこんな感じか」って聴いたり。ジャンルも色々かけてるので、そういうのは結構参考にしたり、聴いてますね。そういうのもまた良いところですよね。
- BGMって不特定多数の人が聴くじゃないですか。だから自分の好きなものだけじゃないし、聴き心地の良さも求められますよね。
迫田 - 最近レコードでかけてる飲食店に行った時に思ったのが、そのスタッフの人がDJしてる感覚なのかなって。日によって、天気も違うじゃないですか。僕らだったら「こんなお客さんが来るからこういうのをかけよう」みたいなのも出来るので、そういうのも大事なのかなと思ってますね。
- そんな細部まで。
迫田 - なんとなくですけどね(笑)。特に詳しい人が来る時は、ちょっと気を抜いちゃダメだなっていうのがあるので。でも反応してくれると、凄く嬉しいです。話題が出来るのも凄く良いですね。和田さん(FNMNL編集長)にスウィートなミックスを作ってもらいたいです、このタイミングで(笑)。ウチは殆ど男性しか来ないので、そういう曲を聴きながら気になる人の話をするっていうのもありですかね。結構そういう相談とかも受けますし。大したアドバイスはしないんですけど(笑)。話だけ聞いて、自信をつけて、帰らせるっていう。
- 確かに、髪切る周期ってちょうど良いですよね。次来る頃には何か進展があったり。
迫田 - 「週末ご飯行くんで、髪切って」みたいなのは凄く良いなと思うんで。「どこ行くの?」「どっか良いとこ無いですか?」みたいな話は凄くされますね。
- そう考えると、通っている方のライフスタイル全体に関わっているような感じですね。
迫田 - そうですね。「髪の毛だけじゃなく」っていうのはあるかもしれないです。でもそれって凄く大切で、僕らみたいな仕事じゃないと出来ないことなのかなとも思いますね。例えばモデルとか芸能人のヘアメイクとかスタイリストの方だとそういう話もしやすいですけど、一般の人だとそういう話も出来ないし。そういう面では、音楽に関してもこっちが詳しくないと、ちゃんと好きじゃないといけないなと思いますね。
- 音楽を好きになり始めたきっかけはどんなものだったんでしょうか?
迫田 - 音楽は前から好きだったんですけど、やっぱりTRASMUNDOの影響が一番大きいですね。TRASMUNDOの店主の浜さんと出会うまでは、音楽って結構ジャンルによってカテゴリーがしっかり分かれていて、ヒップホップ好きな人はハードコアを聴かないじゃないですけど、線引きがちゃんとしてるものだと思っていて。でも浜さんはそれが無くて、なんでも詳しい。それが凄くカッコいいなと思って、憧れた部分もありますね。詳しくなりたい、なんでも語れるようになりたいなと思ったのがデカかったです。意外とそう思って色んなDJの人に話を聞くと、みんななんでも詳しいなって気づいたし。サブスクもあるからアーティストとかを調べるのは全然簡単だけど、いざ「説明しろ」ってなった時に、僕はいつも全然説明出来ないんですよ。でも買って、物としてあると、そこに情報が載ってるじゃないですか。それを読んで勉強したりとか、話題になった時にちゃんと話せるようにっていうのを思っていますね。
- ああいった店は、そんなに無いですもんね。
迫田 - そうなんですよね。あそこはオンラインもやってないしInstagramもやってないので、行かないと分からないお店で。そういうお店って今は本当に無いじゃないですか。近いからこそ行けるので、勉強しに行ってますね。僕も最初は入り辛かったし、めちゃめちゃ恐かったですけど(笑)。オープンしてすぐはバタバタして行けなくて、ちょっと落ち着いた時くらいに行って、「挨拶が遅えぞ」って怒られるんじゃないかとか、「早く行っとけばよかった」って(笑)。でも本当に優しくて、漢気がある方なので今は本当に色んなことを相談してますね。
- コミュニティ内で仲が良いんですね。
迫田 - そうですね。古着屋さんもこの間出来たので、そこの方とも一緒にスケボーしたりとか。
- HATOS OUTSIDEの方もスケボーしてるんですか?
迫田 - してますよ。何回か滑ったりしました。
- スケーターとしての繋がりもあるんですね。
迫田 - やっぱりお店で会うと「店員とお客さん」ですけど、「今度スケボーしましょう」ってなってスケボー行くと、またちょっと違う話とかが盛り上がったり。スケボーして、また後日行った時に「あの時ああだった」「次はこうしよう」みたいな話が出来るのが、スケボーの良いところ、面白いところだと思ってます。
- この辺だとどの辺りに行くんですか?
迫田 - 僕はもう平和に公園ばかり行ってるので、祖師谷公園とか、野川公園とか、世田谷公園とか。でもそんなに上手く無いので、同じことをずっと練習する感じですね。またそれが楽しくて、意外と続いてますけどね。
- スケボーはどのぐらいされてるんですか?
迫田 - やらない時期とかもあったっすけど、なんだかんだ10年ぐらいは。なかなか上手くならないんですよね。
-最近はスケートブームも続いてますよね。
迫田 - そうですよね、映画とかの影響もあって。
- お客さんでも始められた方はいらっしゃったんですか?
迫田 - 凄く多かったですよ。「なんか良いお店無いすか?」みたいなものとか「スケート始めた」「どこで滑ってる?」みたいな会話は凄く増えました。去年の春先は特に多かったですね。
- お店でもデッキを周年で発売されていましたね。
迫田 - そうですね。一周年の時に、デッキを作って貰って、いつも僕がお世話になってるスケートショップの方に滑っているのを動画にも撮って貰って。動画撮ってくれたのはお客さんなんですけど、その人も今回の伊勢丹のポップアップで動画を撮って貰ったりして。デッキ作ったのと一緒にそういうクリエイティブまで作れたのは面白かったですね。
- 何かをやる度に、輪が広がっていくというか。
迫田 - そうですね。何かやる度に、何か作ろうって感じがあるので。ちょっとずつ広がっていく感じがしますね。
- 伊勢丹でポップアップをやるのは、かなりハードルが高いイメージがあります。
迫田 - 普通は出来ないですよね(笑)。きっかけは、僕の高校の時からの友達が伊勢丹で働いていて。彼の方に別の伊勢丹社員の方から「何か無いですか?」って話が振られて、それでウチの話をしてくれたんですよね。
- アイテムを作るのは結構時間がかかりましたか?
迫田 - 話が来たのが結構ギリギリで開催まで3ヶ月ぐらいしかなかったので、新たに何か作ろうと思ってたんですけど、工場のラインが取れなかったりとかもあったんですけど。僕は親交のある方にお願いしてやってもらっただけですね。ボディを使用したり、前にデザインした刺繍を使わせてもらったり、他力本願でやってもらった感じです(笑)。
- 元々の繋がりが無いと出来なかったことというか。
迫田 - それも本当にあったと思いますね。お世話になっていたりとか。新たにお願いしたのは、今回は2ブランドぐらいで。
- それはどのアイテムですか?
迫田 - CUP AND CONEに頼んだキャップとAlwaythのバッグなんですけど、Alwaythの方とは元々仲良くて。
- アイテムに対する要望はありましたか?
迫田 - 今回のバッグは、逆に「良いアイデア無いですかね」って。僕の中でも思いつかなかったので、デザインとかアイデアも丸投げしちゃったところはありますね(笑)。
- ブランドサイドに別注としてお願いした感じだったんですね。
迫田 - 相談しながら決めているものもあれば、丸投げしているものも......ちょっと言い方は良くないですけど(笑)。専門分野じゃないので、ある程度決まってきたら色んな人に相談するようにしているんです。それこそ伊勢丹のPOP UPのきっかけになったN.HOOLYWOODの店長とか、スタイリストやってる友達とか、結構色んな人に聞いてアドバイスもらったりしてますね。和田くんにも聞いてます(笑)。
- お気に入りのアイテムとしてN.HOOLYWOODのアイテムを挙げてくださっていますが、最初にN.HOOLYWOODと出会ったきっかけは何ですか?
迫田 - 高校卒業するかしないかぐらいの時期に古着が凄く好きでハマったんですよね。その時にN.HOOLYWOODが古着をリメイクしたものとかを出してて、それがカッコよくて、古着と一緒に着たりしていました。当時はインスタとかネットもそんなに無かったので、デザイナーやブランドの背景までそんなに調べてなかったんですけど。
- じゃあ、今回は10年越しの......。
迫田 - 本当にそうですね。そこから高校の同級生が何年か前に働き始めてからは、毎シーズン買ってます。その前は昔の古着とかリセールで出てきたものを買ったりしていたので、そこからは毎シーズンオススメされたり、見るようになって買うようになりましたね。
- 古着が好きとのことですが、他に欲しいものとしてオールドStüssyを挙げられていますね。
迫田 - Stüssyも面白くて。80年代、90年代ぐらいのものって、調べていると見たことないようなものがどんどん出てくるんですよ。デザインとか、「これは知ってる」っていうのじゃなくて、「こんなデザインあったんだ」っていうのが次々出てきて、それが面白くて。今は結構買い漁っていますね。
- Stüssyはやはりずっとカッコいいですよね。
迫田 - 今年のやつとかもカッコよかったんで、ちょっと欲しいなと思ってるんですけど。オールドStüssyは沢山掘って、調べて買いたいですね。
- それもヤフオクとかメルカリで探していますか?
迫田 - ヤフオクやメルカリが多いですね。履歴で常にチェックしています。ちょっと前までは90年代、80年代だったんですけど、最近は2000年代入ってからのアメリカ製も価値が出始めたり、少しずつ変わってきてるのも面白いと思って見てますね。一周してる感じが、今着ても全然新鮮だし、最近買ったものとも全然合わせられるし。逆に20年以上前のものでも「どこのですか?」って聞かれたり。
- でも聞いた人はなかなか買えないっていう(笑)。
迫田 - 「都内のStüssy行けば買えますよ」ってものでも無いので、それもまた面白いのかなって。隣の駅の明大前にtempoっていう古着屋があって、オールドStüssyに凄く強いんですよ。行くと絶対何かあるので、TRASMUNDOに近い感覚があって。大体「それまだインスタに載せて無いです」とか「今日出しました」とか、「これまだ出してないんですけど」っていうのも出てくるので、それを買っちゃう(笑)。僕の好みを分かってて、敢えて裏に置いてるんじゃないかって思いますけど(笑)。それも凄く楽しくて、Stüssyは凄く買ってますね。
- あとは新しい自転車が欲しいとのことで。Instagramを見ていると、凄く自転車がお好きですよね。
迫田 - 今は3台ありますね。1台はほぼ奥さんが使っていて。今お客さんにも自転車ハマってる人が凄く増えて、オススメのチャリ屋とか凄く聞かれるんですよ。それでオススメする度に、そういう人が新しいものを組んで、お店に乗ってきたりするので、自分も欲しくなっちゃってるっていう(笑)。
- 色々カスタムされてるんですよね。
迫田 - カスタムが一番楽しいような気がしていて。常に3台のうちの1台をカスタムしてたり。自転車屋行って次はどういう風にしようかって話すのも面白くて。4台目に手を出しちゃいけないと思いつつも、欲しいものを考えてるんで(笑)。危険ですね。
- 自転車はどこでカスタムされているんですか?
迫田 - 最近だと、中野にあるCRUMB CYCLESっていうところがあって。ここ1年ぐらいでオープンしたところなんですけど、そこに持って行って、相談しながらやるのが多い。面白いですよ。新しいパーツがどんどん入ってくるし、パーツを変えたら自転車がまた新しくなって、新鮮な気持ちになったりするので。そればかり考えていますね。
- 自転車は移動手段として運動にもなるし、良いですよね。
迫田 - 子供乗せて保育園にも行かないといけないので。
- お子さんを乗せる自転車もカッコいいですね(笑)。
迫田 - 本当は危険なので、そろそろ電動も欲しいですね。電動でもカッコいいやつを考えて作って貰いたいなと。
- ママチャリをカスタムする方もなかなかいないですよね。
迫田 - それも多分面白い部分であると思うんで。ママチャリだったら池ノ上にあるMIN-NANOで組んでもらいたいなと思ってて。そこのアイデアも貰いつつ。新しいの買ったらまた仕事頑張らなきゃ行けないので、そっちに無理矢理繋げて買っちゃいますね(笑)。
- 自転車は高いものだとキリがないですよね。
迫田 - 高いものは本当に高いですからね。自分好みにカスタムすると、もっとお金がかかって。京王線と小田急線と東横の間は、自転車があると便利ですね。安くは無いんですけど、サクッと買いたいので。どこかのタイミングかなと思ってます。それこそ伊勢丹頑張ったからとか、そういう節目節目で(笑)。
- 節目で物を買うと、思い出にもなりますよね。
迫田 - そうですね。「これはあの時買ったんだ」みたいなのも出てくるので、確かに良いですね。今年は五周年なので、その勢いかなと思って。自転車は常に見てますね。
- 話は変わりますが、この間経堂に姉妹店をオープンされましたよね。経堂にした理由は何だったんでしょうか?
迫田 - 下高井戸もそうなんですけど、下高井戸のBARBER SAKOTAも街に拘っていたわけではなくて。良い物件が出てきたのがたまたま経堂だったんです。良い街だし決めたって感じですね。駅からの距離と広さと、プラスで街の雰囲気も良くて。でもまずは物件ありきでしたね。
- 経堂も凄く良いところですよね。
迫田 - 経堂は髪切るところが無かったっていうのも結構あって。意外と美容室のイメージも無いし、その辺は良い所を狙えたかなって。美味しいご飯屋さんもあるし、週1で通ってる整体もあるし知ってる街だっていうのも、オープンするには大きかったと思いますね。経堂もめちゃくちゃ住みやすいと思います。下高井戸よりも人が多いので用事がある時に、それこそ自転車で行くのがちょうど良いですね。
- 次にお店を出してみたい街などはありますか?やっぱり物件ありきでしょうか。
迫田 - そうですね、物件ありきなので想像つかないです。経堂に店を出すのも、あの物件が無ければ想像もつかなかったので。最近話してるのは、海外とかにあったら面白いんだろうなって想像もしてます。
- 日本の床屋が海外に出店した例もあるんでしょうか?
迫田 - 全然あると思いますよ。日本の技術は凄いので、海外からも注目されてて。美容師がニューヨークに出したり、そういうのは沢山ありますね。僕もやるなら海外で、違う名前とかでやりたいですね。
- 周年なども含めて、今後やってみたいことはありますか?
迫田 - うーん、結構物は作ってきたので、一回落ち着いて.......。この間オリジナルのグリースを作ったりしましたけど、アパレルは沢山作ったので、本職に付随したものを、また作ってみたいですね。今考えてるのは、櫛とかを作ってみたいですね。関係無いことばかりやってたので、一回床屋っていう原点に戻りたいなっていうのがあります。
- Tシャツとかもそうですけど、床屋だけじゃなくてカルチャー全体を提案するお店にしようと思ったのはどうしてだったんでしょうか?
迫田 - それは思ってやったというより、ちょっとずつそうなっていったっていう感じですね。今と五年前だと考え方も出来ることも全然違うので、一年目で出来ること、二年目で出来ることとやりたいことをちょっとずつやっていったら、今みたいになったって感じです。一周年で作ったキャップは髪隠れちゃうし被って帰れないけど、その矛盾とかも当時は良いなと思って。そういうことをやってきたので難しく考えず、その時々でやりたいことをやってる感じなのかなと思いますね。
- ライフスタイル提案型の床屋は凄く増えていましたよね。
迫田 - それこそ、僕が元々いた店はそんな感じでした。洋服も売ってたし、地下にバーもあって。
- でも、それを意図して作ろうと思っていたわけじゃなく、お店をやっていく過程でそうなっていったと。
迫田 - 狙い過ぎていないのが良かったのかなと思います。無理はしないように、って感じです。一番はやっぱり髪切るってことが前提にあって、そこがブレちゃいけない軸だと思うので。そこにちょっと、待合が広いから展示をやってみたりとか。
- 自然な感じが凄く良いですよね。無理してやってる感が無いというか。
迫田 - そこが一番伝わっちゃうところだと思うので。背伸びしないっていう、そこが一番気をつけているところかもしれないですね。頑張らなくても、僕にとって軸はそこなんで。
- ありがとうございました。
Info
BARBER SAKOTA