ここ数年、アメリカのラップシーンでは未発表曲のリークが深刻な問題となっている。特にPlayboi CartiやLil Uzi Vertは多くの未発表曲がリークされたことで新作のリリースが遅れるといった被害に遭って来たが、そんな中、彼らの楽曲をリークした者のインタビューが公開されている。
Geniusによると、Lil Uzi VertやPlayboi Cartiの楽曲をリークして1000ドル(約10万4000円)以上を儲けたという17歳のハッカー「Propkers22」のインタビュー記事がViceから公開された。彼はリークで大金を得るコツについて「アーティストと、その曲がいかにハイプか、それとプロダクションによるね」としており、「Robb Bank$、Unotheactivist、Warhol.SSといった小規模なアンダーグラウンドアーティストの場合、曲は100ドルから200ドルで売れる。Swae LeeやLil Yachty、Offsetのような大物アーティストは300ドルから500ドル、時には600ドルで売れるんだ。Young Thug、Playboi Carti、Lil Uzi Vertのような本当に人気のあるアーティストはもっと高くなる。Young Thugの曲は大体700ドルになるし、Lil Uzi VertとPlayboi Cartiの曲は平均で2000ドルにはなるね」と、アーティストごとのリーク楽曲の相場を説明している。
もっとも彼自身が今まで販売した楽曲の最高金額はやや低かったとのことで、「これまでに売った曲の中で一番高かったのはLil Uzi Vertの“Shrooms”で、今年の始めにWorking on Dyingをハックした時に手に入れたんだよ。それは1400ドルで売れた。今最も高値がついているアーティストは、なぜかJuice WRLDなんだよね。たぶん、Juice WRLDのgroup buysにはカルト的な支持者がついているんだろうね」と語っている。ちなみにgroup buysとはオンラインオークションのことであり、Discordのチャットやリークに手を染めた人々によるフォーラムを介して未発表曲が大量に出品されているという。
彼の言動は盗人猛々しいものである一方、アーティストごとの楽曲の値段相場といったアンダーグラウンドの事情はなかなか興味深い。以前Young NudyとPlayboi Cartiによる未発表曲“Pissy Pamper”のリーク音源がSpotifyのバイラルチャートで1位を獲得してしまったこともあったが、レアな未発表音源はどうしても注目を集めてしまうものだ。しかし言うまでもなく、アーティストのためを思えばリークされた楽曲を興味本位で再生することは絶対に控えた方が良い。
Viceによるインタビュー記事の全編はこちらから読むことが出来る。