「昨年を代表するアルバム」としてA$AP Rockyの『Testing』を挙げる者は少なくないだろう。自身の理想とするアートをストイックに追求した同作は高い評価を集めたが、どうやらA$AP Rocky本人はリスナーからの反応に満足していないようだ。
Beats 1 radioのEbro Dardenによるインタビューに応えたA$AP Rockyは、「人々は『Testing』に注目していない」と意外な発言を行っている。「これは『Testing』に関して難しいところだったんだけど、俺がもしアルバムの中で誰かをディスしていたらみんなもっとあのアルバムに注目してくれたと思うよ」と語る彼は、『Testing』をきっかけに何らかのビーフを発生させていればリスナーからさらなる注目を集めることが出来たと後悔しているらしい。更に「俺とPusha Tが同じ日にアルバムを出したんだよ」とも語っており、Drakeとの苛烈なビーフが話題となっている中『Daytona』をリリースしヒットさせたPusha Tに対し多少のコンプレックスを抱いていることが分かる。司会のEbro Dardenはこれらの発言に対し「お前はアーティストだ」と諭しているが、Rockyは『Daytona』がゴシップによって話題をさらっていったことに対して多少寂しい思いをしていたのかもしれない。
確かに、昨年はPusha TとDrakeやNicki MinajとCardi Bなど、ビッグネーム同士のビーフがかなりの盛り上がりを見せた年であった。実際にそれらのビーフに参加したラッパーのアルバムは大きなセールスを記録した物も多いが、必ずしもビーフを起こすことでアルバムの評価が高まるかと言われれば、それはまた別の話のようにも思える。
実際のところ“Praise The Lord”のようなアンセムが収録された『Testing』はかなりの注目を集めたアルバムと言えるが、本人はもっと大きな反応を期待していたのだろうか。A$AP Rockyのインタビュー全編はこちらから聴くことができる。