昨日リリースされた仙人掌の待望の1stアルバム『VOICE』。全てを肯定する音楽とうたわれる、同作のミックス&マスタリングを手掛けたのは得能直也だ。得能はこれまでceroや電気グルーヴ、石野卓球、Mockyなどダンスミュージックやオルタナティブなサウンドを手掛けてきた名エンジニア。ではなぜそんな得能がラッパー仙人掌の作品を手がけることになったのだろうか。『VOICE』をリリースしたレーベル、WDsoundsの主宰者である澤田政嗣による得能のインタビューをお届けする。
WD - 初めて会ったの、今年のERAとBUSHMIND、HIGHSCHOOLで行ったグッゲンハイム邸のライヴでのLIVE PAで、別のCLUB夜行って遊んで話して。その夜J.COLUMBUSでライヴやってたとき、いきなりPA調整してくれたりして。朝まで遊んで、グッゲンハイム邸戻って、少しだけ寝て、帰る前に話して。その日LIVE PAいないから、っていうので得能君「じゃあ、PAやるよ」って感じで残るってなって。その時、俺、「この人と音楽作りたい」って思って。
その時、連絡先交換してなかったから、メールアドレス探して、やりとりし始めて。大阪にSTRUGGLE FOR PRIDEとPAYBACK BOYSで行った時か、メールのやりとりかはちょっと曖昧なんですけど。仙人掌のアルバム作るってなってた時に、絶対この人だって思って、話して。曲送ったら、色々と得能君の方で、DIGってくれて。「やりたい」って話してくれたじゃないですか。その時 『BE IN ONE'S ELEMENT』 の音源を送ったと思ったんですけど、どう感じましたか???
得能直也 - マーシーくんを始めみなさんとは本当に最高の出会いだったと思います。グッゲンハイム邸のパーティーも素晴らしかったのですが、その後誘ってもらって遊びに行ったクラブでの音楽体験で、よりはっきりとみんなが表現したいことが分かった気がします。
ミキシングの話が進むなかで、僕がPAしている代官山ユニットでのパーティーに今作の制作チームで遊びに来てくれたのも嬉しかったですね。仙人掌くんとはそのとき初めて会ったのですが、実際に話すとぐっと作品のイメージも具体化してきました。そして聴かせて頂いた 『BE ONE'S ELEMENT』については、とても良い作品だと思いましたが、声の聴こえ方と全体の音に関してはさらに整えられる余白を感じました。
WD - 自分も仙人掌も、アバウトなイメージで曲に関して、お互い話すんですが。っていうのと、俺が勝手に得能君もそれが伝わると思ってて、仙人掌にも、勝手にそう伝えたのもあって。MIXに関しても深海っぽくとか、ゴスペルっぽくとか、もっとアバウトな事も言ってたんですけど、それってどうでした?どうでした?って質問もアバウトですが。。。
得能直也 - 音楽や音に関して、自分が持っている抽象的な感覚を伝えるのは重要だと思います。音楽を聴いて景色がふっと頭をよぎる、違う世界観にいける、そんな音が創れたら良いなといつも考えています。なので、問題は全くありませんでした。逆に想像が膨らんだり、話してもないシンクロを感じたり出来て面白かったです。
WD - 完成の前日に録った曲を送って、MIXを自分と仙人掌と志木のLABで2人で聴いてたんですが、その最後になんか全部はまったってなった時にこのアルバムは完成したと自分は思いました。最後、2人で無言でマスター聴いて。今回のアルバムに関しては、自分としては「CDで聴いて欲しい」っていう事以外、人に言える事無いんじゃないかなって思ってるんですけど、トクノウ君が人にこのアルバムをすすめるとしたら何て言いますか?
得能直也 - 僕もCDの仕上がりの音が一番良いと思うので盤で聴いてもらいたいというのと、作品にストーリー性があるのでアルバムを通して聴いてもらいたいです。セッションが始まる時点で曲順が決まっていたので、ミックス作業時からそれぞれの曲にアルバムの流れを意識したニュアンスを付けたつもりです。そして、まだ僕自身クラブで聴けてないのですが、大きい音で聴いて体感してもらえるとさらに嬉しいです。
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ここからは仙人掌からの質問として、「この人の手掛けた作品は気になる、聞きたくなるってエンジニアはご自身以外にいらっしゃいますか?出来れば日本と海外の両方教えて欲しい」ということで得能が選ぶ名エンジニアを、その代表的な仕事ともに紹介する。(敬称略)
吉田保
代表作 山下達郎 - 『For You』
70.80年代の山下達郎さんなどのシティポップといわれる音を創った、日本のエンジニア界のレジェンド。その時代の音楽で引っかかってくる音は、この方が手がけられてる作品が多いです。ホットでダンサブル。リヴァーブ感にも個性が滲み出ています。
池田新治郎
代表作 Ego-Wrappin - 『満ち潮のロマンス』
アシスタント時代にとてもお世話になった、師匠的な存在です。バランスの良さと女性的なサウンドが特徴。女性ボーカル作品が特に素晴らしいです。
高山徹
代表作 Cornelius - 『SENSUOUS』
コーネリアスの作品などを手がけられている方です。ダンスとロックがかけ合わさったモダンなサウンドが好みです。
zAk
代表作 『Fishmans - 空中キャンプ』
スタジオワークもさることながら、なんと言ってもPAが最高です。録音、ミキシング、マスタリング、PAと全て手がけられる姿にシンパシーを感じます。
Tom Elmhirst
代表作 Jamie xx - 『In Colour』
イギリス人、NY在住。クラブ系から、ロック、歌ものまで幅広いジャンルを手がけています。抜群の低音感と音から色気を感じます。
Renaud Letang
代表作 Feist - 『Reminder』, MOCKY - 『Key Change』
フランス人、FEIST, MOCKY, Gonzalesなどの作品が素晴らしいです。どこか懐かしさを感じるなかに、ハイファイなサウンドが含まれているところに魅かれます。
John McEntire
代表作 Tortoise - 『TNT』, Pastels - 『Slow Summits』
アメリカ人、Tortoiseのメンバー。オルタナティブな質感とエフェクト、そこはかとなく漂う知性と不良感。プロデュースと共に手がける作品で、大好きな盤が多いです。
Tchad Blake
代表作 Latin Playboys - 『Latin Playboys』, Los Lobos - 『Colossal Head』, Ron Sexsmith - 『Ron Sexsmith』
アメリカ人、メジャーヒット作品から、一風変わった作品まで手掛ける、独特な質感を持ったエンジニアです。アメリカ的な乾いた音と歪み感が好みです。
Mario Caldato Jr. / Dave Fridmann ...
この方達も大好きです。
まだまだ沢山いますが、尽きないのでこの辺りで、、、
得能直也
1979年北海道網走市生まれ。 日本工学院八王子専門学校卒。
1999年に世田谷ハートビートレコーディングスタジオでエンジニアとしてのキャリアをスタート。アナログ・サウンドをこよなく愛するヴァイナル・リスナーでもあり、ダンスミュージックの作品や現場の日々進化する低音の現代的な音響に精通。バンドサウンドにおいても、一音一音、そこに込められた意図や意味を含め、最良の状態でキャッチする技術とセンスを日々探求している。
2009年にフリーランスとなり、現在は京都を拠点に、作品、現場を横断しながら、レコーディングミキシングエンジニア、ライブPA、マスタリングと、柔軟かつ多角的にアーティストと関わることが多い。
Info
アーティスト: 仙人掌 (センニンショウ)
タイトル: VOICE (ヴォイス)
レーベル: P-VINE / WDsounds / Dogear Records
品番: PCD-25211
発売日: 2016年12月7日(水)
1. SPOON OF STREET
Prod by MASS-HOLE
2. STREET TALK
Prod by FITZ AMBROSE
Additional Keys by Budamunk
Friendship Perform by OYG
3. HUSTLE AND BUSTLE
Prod by ZZY
4. FACE OFF
Prod by 16FLIP
5. GOOD DAY BAD COP
Prod by febb
6. WHIRLWIND / feat. MIZUKI KAMATA
Prod by DOPEY
Additional Vocal by Mizuki Kamata
7. BE SURE
Prod by ZZY
8. SKIT
Prod by ZZY
9. STATE OF MIND / feat. ISSUGI & YUKSTA-ILL
Prod by 16FLIP
1982S Hook by YUKSTA-ILL
10. BACK TO MAC / feat. ERA & MUD / shout by CJ&JC
Prod by DJ FRESH
Radio Shout by CJ&JC
11. HERE WE COME / feat. BRON-K
Prod by FITZ AMBROSE
Additional Keys by ILL.SUGI
12. SUNDAY
Prod by TRINITYTINY1
13. 罰
Prod by TRINITYTINY1
14. 愛
Prod by WATTER
15. VOICE / feat. MIZUKI KAMATA & chi3chee
Prod by FITZ AMBROSE
16. VOIICE OUTRO
Prod by FITZ AMBROSE
ALL MIXED and MASTERED by NAOYA TOKUNOU
http://wdsounds.com/
http://www.dogearrecordsxxxxxxxx.com/
http://p-vine.jp/