韓国のヒップホップシーンに世界の目を向けさせるきっかけとなったのが、昨年の正月にリリースされたKeith Apeの"It G Ma"だ。Keith Apeが所属するクルーのThe CohortのOkasianとJay All Day、そして日本からKOHHとSquash SquadのLootaがフィ−チャーされた"It G Ma"はJunior Chefによるオリエンタルな要素も入ったスカスカのビートとKeith Apeの吐き捨てるような中毒性の高いフックで、瞬く間にアメリカにも広がっていった。
アメリカに広まったきっかけは、当時ストリートヒットとなっていたOG Macoの" U Guessed It"との類似騒動というネガティブな問題だったが、その後Keith Apeは音楽の見本市SXSWに出演するため渡米。SXSWのライブで観客をロックし、類似騒動を吹き飛ばす実力をみせつけた。そのままアメリカツアーを行い、現在までアメリカに滞在し、制作を続けている。今年はEP『Self Portrait』をリリース予定だ。
そんなKeith Apeの待望の初来日が決定。東京・渋谷のSound Museum Visionで11/2の21時から初ライブをおこなう。
FNMNLでは来日を記念してKeith Apeの重要曲5曲をピックアップ。来日までにぜひチェックしてほしい。
1. Keith Ape - "It G Ma feat. JayAllDay, Loota, Okasian & Kohh"(2015)
Keith Apeの名を一躍スターダムに押し上げた代表曲であり、韓国いやアジアのヒップホップシーンに目を向けさせるきっかけとなった1曲。母国である韓国よりもアメリカや日本での方がミュージックビデオも再生されているという。
2. The Cohort - "Look Around" (2013)
韓国のアンダーグラウンドヒップホップシーンの潮流を変えたのが、Keith Apeが所属していたクルーThe Cohortだ。韓国系アメリカ人であるOkasianを中心にしたCohortはアメリカのメインストリームであるサウスのダーティーなモードを韓国に持ち込んだ。クルーとして唯一リリースされたアルバム『Orca Tape』には、ミニマルでありながらも中毒性のある楽曲が多数収録されている。中でもこの"Look Around"ではKeith Apeの特徴である吐き捨てるようなフロウがすでに花開いている。なおこの時Keith ApeはKid Ashを名乗っている。
3. Ken Rebel - "Underwater Rebels feat. Keith Ape,Okasian & Jay All Day" (2015)
NYのラッパーでRebel LifeというクルーのメンバーでもあるKen RebelがThe Cohortのメンバーを招いて制作した1曲。NYの街を荒らし回るミュージックビデオも印象的だが、Keith Apeの割って入ってくるような、重心の低いけれども、爆発力のあるフックが耳に残る。
4. Ronny J - "Vigorous feat. Keith Ape & Denzel Curry" (2015)
マイアミを拠点とする人気プロデューサーRonny Jの楽曲にRonny Jの盟友であるDenzel Curryと共に参加した1曲。Keith Apeはこの曲ではノイジーでインダストリアルなビートに全く引けをとらない、破壊的なフロウを炸裂させ、今年のXXL Freshmanに選ばれた注目ラッパーDenzel Curryとも余裕で渡り合っている。
5. Keith Ape - "Let Us Prey feat. Bryan Cha$e" (2016)
近日リリースのEP『Self Portrait』に収録される予定の最新チューン。Lil Yachtyなどにもビートを提供するアトランタのビートメーカーでラッパーのDigital Nasによるバブルガムなビートに、これまでにない優しいフロウをデリバリーするKeith Apeがとても新鮮だ。