徳島出身のシーンのゲームチェンジャーWatsonと、千葉雄喜なども手がけるプロデューサーのKoshyの2人がタッグを組んで発表してきた『Soul Quake』シリーズ。3作目となりシリーズ最後を飾る『Soul Quake 3』は、シーン屈指のラッパーたちをゲストに迎えつつも、主役のWatsonの圧倒的な存在感が光る充実作と言える。
先日開催された初の日本武道館前に、2人に話を聞くことができた。
取材・構成 : 渡辺志保
撮影 : 横山純
- せっかくなので、まずはお二人が一緒に制作をするようになった経緯から聞かせて頂けますか?
Koshy - あれだよね?俺がチョッパ(Chppa Capone)たちと遊ぶようになって、Woo(ナイトクラブ・Madam Woo)で出会ったのが最初だった気がする。
Watson - そのあとに「ビートください」的なDMをしたんですよね、僕が。
Koshy - 俺が(ビートを)送ったら、ワトくんからいっぱい返ってきたんですよ。それで送り返して、自然と制作するようになっていったんです。ちゃんとやり始めたのはコロナ禍の時だったので…あれっていつごろでしたっけ。
- 2020年くらいですかね。
Watson - まさに、僕が本格的にラップをやり出したのと一緒くらいですよ。
Koshy - 確かに。俺、ワトくんの曲でお金になり始めたんですよね。タイミングが一緒だったのかも。それからスタジオに集まるようになって、制作が遊びって感じでスタートしましたね。
-『Soul Quake』のリリースは2023年12月でしたが、そこから最新作の『Soul Quake 3』に至るまで、Watsonさんが変化を感じることはありますか?
Watson - あんまり変わってないですね。
Koshy - 本当に何も変わってないけど、出していくごとに前作のハードルを超える曲だけをピックしていかなきゃなので。そこはハードルが高くなっていっていると思うんですけど。
Watson - 作り方とかは、全然変わってないですよね。
- Watsonさんもここ数年でたくさんのプロデューサーとセッションしてきたと思うのですが、他のプロデューサーと比較して、Koshyさんのどんなところを評価していますか?
Watson - いやもう、すごいっすよ。分かりやすいし、やりやすいです。何か分かんないですけど、ノリやすいんですよ。ノリにくいビートもよくあるんですけど、Koshyくんのはノリやすい。あと、プロデューサーとしてすごいと思います。色んなことを決めてくれるんで、僕はほぼ、曲を作るだけなんです。そこから、いい曲を選んでくれるのがKoshyくん。
- 逆に、Koshyさんから見たWatsonくんの魅力は?
Koshy - 絶対に、個性ですね。器用なだけで個性と中身がないアーティストが増えた中で、ワト君やSonsiはやっぱ個性が光って目立ちますよね。あと、僕が最初にクラったのがKOHH(現 千葉雄喜)さんなんですけど、その時、ラッパーたちはみんなKOHH(現 千葉雄喜)さんのモノマネをしていたんです。でも、その現象がWatsonでも起きている。今、みんな、ワトくんのリリックの書き方やパンチインの仕方を真似してるんです。そんなふうにみんなに真似されるラッパーって、なかなかいないですよね。その個性を持っているところが確実にヤバいと思います。あと、ワトくん自身がありのままでリアルっていう。
- "Koshy Freestyle"でも、「KOHHに憧れたが最初みたくしてないモノマネ」と実際にラップしていますよね。Watsonさんが、自分のラッパーとしての個性を確立した時期っていうのはいつ頃でしたか?
Watson - どんな感覚やったのか、もう思い出せないですね。俺、他のラッパーのリリックでも、自分がおもろいと思った箇所のリリックの書き方が分かるんすよ。「この人、俺の考えに寄せて書いてるな」っていう。そういうラッパーが出てきだしましたよね。
- ご自身が持つラッパーとしての影響力の大きさを感じますか?そのことについて、誇らしく思う?
Watson - 誇らしく思います、はい。
-『Soul Quake』のリリースから2年と少し経っていますよね。あらかじめ、リリースのタイミングに関して計画性はあったのでしょうか?
Koshy - 俺ら的には、最初から三部作のつもりでした。前編・中編・後編と分かれているのが綺麗だし、僕は映画のアベンジャーズシリーズとか『NARUTO』とか好きなんですけど…あ、やっぱり『NARUTO』は違うかな
Watson -『NARUTO』が入るとややこしなるからな。
Koshy - いや、やっぱり『NARUTO』も入れておいてください(笑)。物語って、始まりと完結の部分があって、始まりはバーンってバズるじゃないですか。その次に中編があって最後、三作目が最高傑作として締まるっていうのが名作なのかなと思ったんです。だから、僕も『Soul Quake』は三部作ってところを意識して発表していきましたね。中編の『Soul Quake 2』は勢いを落ち着かせるじゃないけど、人気をキープさせるためにソロ的な作品として挟んで、最後の『Soul Quake 3』は本当にやりたかったラッパーたちを全員呼んで、”アベンジャーズが全員集合!”みたいな感じで。なので、物語性は意識しました。
- 実際にリリックを書くWatsonさんとしては、「三部作の最後だから」という意識はありましたか?
Watson - そういう気持ちは全くなくて、ただ作ってたという感じですね。Koshyくんがそれをストーリーにして仕上げてくれるんです。
- 最初の『Soul Quake』の反響は、どうのように記憶していますか?
Koshy - もともと『Soul Quake』に収録する予定で作ったシングル"MJ Freestyle"がバズっちゃって(※版権の問題で現在は楽曲が取り下げられている)。あのバズり方が標準になってしまったので、『Soul Quake』も反響はあったけど、"MJ Freestyle"に比べるとまだ満足できなかったですね。内容に関しては、間違いなく100%ぶつけて作ったものなので、「もっと上に行ける」って思ったんです、どちらかと言うと。
- 高みを目指して制作を続けていく中で、「Koshyがハードルを上げてきたな」と感じたことはありましたか?
Watson - いや、ないですね。
Koshy - 基本的に、アドバイスするとかもないですね。曲作りということでいうと、ワトくんの個性とかを壊したくないので、俺からは何も言わないです。
- 逆に、他のラッパーの方との制作でKoshyさんから意見を言う場合もある?
Koshy - 基本はその人の個性を大事にしています。部分的に「こっちの方が良くない?」とか「このリリックは、こういうふうにした方がいいんじゃない?」など伝えることはありますけど、基本的にはアーティストが作ったものに対して、ちょっとアドバイスする程度ですね。
-『Soul Quake 3』はアルバム全体の流れも、とても聴きやすかったです。冒頭は緊張感もあって、勢いとアツさがいいバランスで最後まで残っていますよね。トラックリストは二人で決めたもの?
Koshy - 基本的には僕が決めてます。
- そうなんですか。たとえば"Intro “Soul Quake”"は最初からイントロにしようと思って曲を作るんですか?
Watson - いや、全くです。その曲は、もともと"ASHIDORI"ってタイトルでした(笑)。そこも全部、Koshyくんに丸投げって感じなんです。アルバムの中だと、"知った。"だけは僕がつけたタイトルですね。Koshyくんがタイトルも付けてくれて、全部ストーリーにしてくれるんですよ。
Koshy - 曲の中から「このワードだ」みたいなフレーズを見つけ出して、タイトルをつけるんです。結構、自分の得意技かもしれないです。
- "今日という日は ft. T-Pablow"も、余韻を残したいいタイトルですよね。
Watson - それも、Koshyくんが歌詞の中から「確かにそこや!」ってタイトルを付けてくれましたね。
Koshy - 最初は"MOUKONAI"だったんだよね、ローマ字で。
Watson - そうそう。「確かにそういうべきやわ」って後から思いましたね。"もう来ない"より"今日という日は"のほうがいいやんって。
Koshy - タイトルを見ただけで「聴きたい」って思うよね。
Watson - アルバムに入ってる曲は昔の曲もあるし、先に出た"Koshy Freestyle ft. DADA & C.O.S.A."と"Intro “Soul Quake”"は2024年くらいに録ったやつなんです。"Fashion Week ft. Benjazzy"は去年ですね。
Watson - パソコンを整理しながら昔の曲をKoshyくんに送って。
Koshy -「これ、使えるね」みたいな曲もあって選んでいったんです。結構、ごちゃ混ぜなんですよね。
- 今回も、豪華なゲスト・ラッパーたちが集まっています。Jin DoggさんやANARCHYさんらとは何度目かの共演になりますよね。IOさんも、これで三度目の共演に。
Watson - "知った。"は最初からIOくん用に作った曲ではなくて、どれも「この人用に作った」とかではないんです。結構、(自分が作った)2ヴァース目があった曲も多いですね。"Fashion Week"も自分が書いた2ヴァース目があったし。"MOTO ft. guca owl"も"今日という日は ft. T-Pablow"ももっと長かったんですよ。
Koshy - ゲストで来てくれたラッパーたちは、自分たちが心の底からかっこいいと思える人たちを呼んだってだけだよね。純粋に、かっこいいと思う人たち。タカ(WILYWANKA)は一緒にスタジオでセッションしたんですけど、バースを2パターン書いてきてくれて。"MONEY MONEY"にDADAバースが入ってるバージョンもあったし。
- 先ほども話題に上がった"今日という日は"ではT-Pablowさんが。待望の共演になったのでは?
Koshy - この曲をT-Pablowさんにオファーした決め手になったのは、俺の娘が口ずさんでいたからなんですよ。バズる曲って子供も歌える曲だと思って、"今日という日は"にはキャッチーさがあるのかな、と。それもあってT-Pablowさんに依頼したんです。"MOTO"には渋いguca owlくんのラップが合うのかな、と。MVも映画みたいな仕上がりになっているし。
-『Soul Quake 3』から、MVがすごい勢いで発表されています。
Koshy -『Soul Quake』の最終章なんで。あと、MVを出さないとライブでみんなが歌えないんですよね。MVがあるかないかで、だいぶ反応が変わってくる。
Watson - だいぶ違うっすね。
Koshy - この後、ボーナストラックもあるんで。最終的にどういう形で出すかわからないですけど、ワトくんとSonsiで超ヤバい化学反応が起きた曲があるので、それを聴かせたいですね。
- T-Pablowさんとは、1月2日に行われた彼の武道館公演でもWatsonさんが出演して話題になりましたよね。"Dassai"という曲で、3バース目にはYZERRさんも参加して。
Koshy - あの曲は、一緒に録ったよね
Watson - 最初、YZERRさんは来る予定じゃなかったんですよ。前日に"Dassai"の客演のところにWatson、YZERRって書いてあって、でも俺の手元にある曲はYZERRさんが入っていなくて。次の曲にYZERRさんが入るんかなと思っていたんです。でも、リハの時に俺のヴァースが終わったらYZERRさんのヴァースが流れて「え!?」って。感慨深かったですね。
Koshy - T-PablowとYZERRの兄弟に挟まれて。なかなかないよね。
- "MONEY MONEY"や"スーパーレア"はちょっと変則的なビートですよね。
Koshy - "MONEY MONEY"はジャージークラブ的ですよね。
Watson - ちょっと特殊でしたよね。"スーパーレア"は結構前に録った曲で。
- そうなんですね。仙人掌さんやDaichi Yamamotoさんが同じ”ゲーム”というテーマでラップしているのが新鮮でした。
Watson - 仙人掌さん、よかったですよね。「トクリュウ」のところとか。
Koshy -「音楽がなきゃ今頃トクリュウ? それかパッケージ水やる植物」ね。Daichiさんも最後のとこが…
Watson - 「これはカルマさスピってんだろ? ほら、マイクに魂Spitってんだよ」ってところが(爆笑)。「俺の遊戯王転売したヤンキー」ゆうてな!
- "スーパーレア"ではリリックで「21歳までは言われたバーカ、22歳からは言われなくなった」とラップしています。
Watson - 21歳まで、そんなに結果も出なくて、そのあとくらいから芽がで始めたんです。それまでは何やるにしても「お前は無理」って冗談半分のノリでも言われたし。まあ俺も冗談として受け取ってたんですけど。でも、「RASEN」に出たくらいから、友達のノリも変わってきましたね。前は冗談で「黙れや」って返してたんですけど、そもそもそういうイジリもされなくなった。ちょっと寂しくなっちゃったっすね。
- 三部作が完結したわけですが、今後の予定も立てて言いますか?
Koshy - 引き続き、ワトくんとは一緒にやっていきます。ひとまず、この『Soul Quake』という物語は終了って感じです。
Watson - ストーリー的にも、良かったですよね。”Soul Quake” = “魂を揺らす”っていうフレーズもいいし。
- 前から歌詞の中で家族に対しての言及もたくさんありますけど、今回は特に家族が出てくるリリックが多いと感じました。しかも、恩返し的というか、エモーショナルに描かれるシーンが多いですよね。
Watson - 最初は、反抗期みたいな時にラップを始めたんですよ。(2024年に開催した)O-EASTのワンマンくらいから「コンサートやれてるやん」って感じで、家族の反応も変わってきた。今はお兄ちゃんとかも応援してくれるようになったし、成長したなと感じます。
- 武道館ライブも目前に控えています。
Koshy - 僕らが最初にやり始めた時、「大きい目標を一個決めて、そこに向かってステップアップしていこう」って話したんです。最初に決めたのが「武道館でライブをすること」だったから。そこは一個、目標をクリアした感じあるよね。『Soul Quake 3』までに武道館が決まってよかったです。
Watson - その辺りの道筋も、Koshyくんがストーリーにしてくれて、ドラマティックなものにしてくれたっすね。
- Koshyさん的にも、こんなに長く伴走するラッパーは初めて?
Koshy - 初めてですね。頭の中で計画していたものがどんどん形になっていったことに対しては、すごく達成感はあります。
- もうだめかも、と思う瞬間もあった?
Koshy - ないですね。心無いアンチのコメントとか、そういう意見が目立つ時もありますけど、「リアルなやつは分かるから大丈夫」ってことも分かってたし、途中で折れることはなかった。ワトくんは、俺が本当にヒップホップにハマった頃のヒップホップーーKOHHさんとかANARCHYさんとかJin Doggさんとか、あの頃のヒリヒリ感や”ザ・ヒップホップ”っていうリアルな感じを持ってるから、「絶対、みんな分かるから大丈夫」って思ってました。
-『Soul Quake 3』の最後には、ストレートなラヴソングである"Real Love"が収録されています。
Koshy -「あの曲、結構いいね」っていう話はしてたんです。ワトくんって、等身大で素直なリリックが魅力だから、その頃、自分が経験した純愛を歌った曲だったらアルバムに入れてもいいんじゃないか?って普通に思ったんです。
Watson - 俺も別に、そこは気になりませんでした。もしかしたら次の彼女が嫌がるかもしれないですけど、そもそも、過去は後から消せないじゃないですか。誰と付き合って何をしてきたっていうことも消せないし。俺、彼女が元彼の名前をタトゥーに入れてても、「別に消さなくていい」って言うかもしれないですね。
Koshy - 最初は"今日という日は"でアルバムを終わらせようとしてたんですよ。でも、悲しいなと思って。物語の最後として。もうちょっと明るく終わりたいなと思って。
- プライベートな経験を経て、よりいいラッパーになったと感じることはありますか?
Watson - もちろんありますよ。人としての成長だし、人生ですよ、普通に。やっぱり成長を(作品に)映し出せるところがあるって言うのは、見つめ直す時間があるってことじゃないですか。あったことをメモや日記みたいにして歌詞を書いてるんですから、俺も成長するっすよね、そりゃ。
-『Soul Quake』シリーズを通して聴くと、人間としての成長を感じました。進化しているな、と。
Koshy - 色々な意見も言われるけど、基本的には変わってないよね。
Watson - 俺、”進化感“があるっすか?「一皮剥けた!」とか言われるっすけど。
Koshy - でも、俺から見たら「変わってないのにな」って。多分、常に成長しているからそう思うんでしょうね。いろんな出来事が(曲として)入っていて、そこから面白いものをピックしてアルバムにしたので、そう感じてもらえるんだと思います。
Watson - 「進化した」と感じてもらえるのも、Koshyくんの策略かもしれないです。でもまあ、剥けてるのかもしれない。
- YouTubeのコメント欄にもいろんな意見が山積していて。皆さんは自分では見ないと思いますが。
Watson - 僕、めっちゃ見ますよ。みんな、見ないんですか?
Koshy - 俺は上の方だけ見ます。ヘイト的なコメントが上の方に来てると、逆に見ちゃう。
- "Intro “Soul Quake”"のコメント欄も沸いていましたし。
Watson - コメント、いい感じでしたね。でもLANAちゃんの悪口を言ってる人がいて…。あの曲、録ったのは2024年ですよ。付き合ってたとか別れたとか関係ないですからね。
Koshy - みんなが勘違いしてるから。
Watson - ちょっと曲を出していなかっただけで憶測を呼ぶこともあるし、リスナーのみんなの方がスパンが早いですよね。
- みんなが勝手にナラティヴを作り出したり、意味合いを付け加えたりすることもありますよね。
Watson - そういうこと、めっちゃあります。僕のリリックについても、何重も(意味を)掛けてくれるんですよね。「すごい!俺も分かってなかった」くらいの。僕も勉強になるしありがたいんですけど(笑)。すごい奴らがいます。
- リリックの書き方に変化はありましたか?
Watson - 早くなったし、分かってきたっすね。リリックがいいというのは、フロウにハマるかどうか。ビートのノリとかもあるし、ビートに対する跳ね感とかもある。いいリリックを書き続けることに関しては、自分は絶対イケると思い始めたんです。タスクというか、自分ができることの最上級は、リリックを一曲ずつ、全て最強にできるってこと。最近は、いいリリックの作り方が、確定してきました。今まで、数打ってその中からいいのが出来るみたいなやり方だったんです。最初は音にハマればそのリリックをそのまま使ったりしてたんですけど、今は言葉を変えてより正確にハメに行くっていうか。だから、時間を掛けてもリリックをよくする、という書き方に変わってきました。これは、曲を書き続けてきたからこそ到達したところかもしれないです。
- Watsonさんは多作な方だと思うし、アタックしながら自分の制作の仕方にも変化が起こってきたんですね。
Watson - 時間を掛けるのとは別に、遊びながらも面白いことがあったらメモってそれを擦り合わせていくこともあるし。あと、感覚的ないいリリックってあるじゃないですか。最近だとBABYWOODROSEくんの軽い感じも大好きです。ああいうのって、フリースタイルでしか出てこないんですよね。フリースタイルを録りながら、パンチラインを擦り合わせていく。最近はそういうやり方も多いです。
- Koshyさんも、ここ数年は環境や仕事の内容、質ともに変化があったのではと思います。今、自分がプロデューサーとして一番大事にしていることは?
Koshy - 「日本人に受けるものを狙って作ってやる」みたいなマインドは絶対に持たないようにしています。そういう思いは絶対に邪念になるので、音には持ち込みたくないなって。たまたまキャッチーなやつが出来たらそれはそれでいいと思うんですけど。それは自分の中のルールみたいになっているかもですね。
- インスタを拝見していると海外のセッションも増えているのかな?と。実際に海外で学んだことは何かありますか?
Koshy - あります。一番学んだのは、「シンプル・イズ・ザ・ベスト」っていうこと。
Watson - リリックもそうですもんね。
Koshy - そう。リリックもラップもビートも、全てにおいてシンプルさが本当に大事だなって思います。超感覚的な話で言語化しづらいんですけど。
Watson - でも分かるっす。ほんま千葉(雄喜)さんみたいな。逆にいうと、彼のリリックには分かりにくさがないですよね。
- ラッパーの良さを引き出すために気をつけていることは何ですか?
Koshy - その人の個性を崩さないこと。それぞれの個性を活かすっていうことは、一番意識してるかもしれないです。俺が入り込みすぎちゃうと、逆にそのアーティストじゃなくなってしまうので。アーティストの個性は絶対崩さないんですけど、同時に、俺としてももったいないなとは思いたくない。たとえば「このリリースの仕方をしていればもっとイケたはずなのもったいないな」とか「こっちのMVを先に出しておけばもっと伸びたのに」とか思うことも多いんですよ。だから、そういうところも計算しています。
- そうしたマーケティング的なところも、ご自身で見極めながらプロデュースしている?
Koshy - やってますね。『Soul Quake』の最初の方も、俺がFNMNLとかいろんなメディアに「Watsonというラッパーと作品を作ったので、聴いてもらってぜひよかったら記事にしてください」とかメールを送りまくってましたね。僕は脳内シミュレーションすることが好きなんですけど、「X月X日に、どういうところから、こういう出し方をしていく」とかどんどんシミュレーションして、なおかつそれを実現していくっていうことが好きなんです。快感を覚えるっていうか。
Watson - いいすよね。ラッパー一人だとそういうところまで出来ないし、こうやってストーリーを作ってくれるので。
- Koshyさんから見て、今の日本のヒップホップ・シーンは面白いと感じていますか?
Koshy - いや…調子よくは見えると思うし、実際に調子いい人もいると思うんですけど、正直言って、僕が望んでいた流行り方ではないですし、僕が憧れたシーンがそのままデカくなったわけではないと思う。チャートを見ても、「これがヒップホップなのか?」と思う作品がチャートの上位を独占しているし。ワトくんみたいな、リアルでサウンドやリリックも(大衆に)寄せに行ってないようなこの感じが、そのままチャートとかを占領してほしいなって思います。
- Watsonさんは、次世代ラッパーたちをどのように見ていますか?
Watson - すごいと思いますね。それまで、俺はまだ下の世代だっていう感覚やったんです。他のラッパーたちをずっと見上げていたような。でも、Sonsiとセッションしてみてお兄ちゃんになった気分っていうか「ああ、俺より年上のラッパーたちが経験してきたのはこの感覚やったんや」って。俺の次の世代がもうあるんや、大人なったな、って気持ちですよね。こうやって中堅になっていくんや、と。
- 武道館後のプランはお二人で考えていますか?
Watson - 武道館の後は、ツアーと徳島での無料ライブを予定してます。徳島の経済を回していきたいですね。地元のシーンを見ていると、若い子たちは、ヤンチャな方向じゃなくて、割とラップの方に行ってる感じがあって。ラップする子が増えてて、いいなって思います。
Koshy - ワトくんのあとはSonsiと一緒に作っている作品があって。KOHHさんと海外展開の話も控えているし、BABYWOODROSEとも何か一緒に作ろうという話をしています。彼も枠にハマってないラッパーですよね。今の時代、インターネットがあるので、良いビートを作れる人は増えたけど、本当の意味でプロデュースを出来てるプロデューサーはほとんどいないじゃないですか。だからワトくんやSonsiもそうなんですけど、「この才能を変なプロデューサーとかに潰されたくない」って思うんですよね。そういうアーティストもめっちゃいるんで。「この才能はシーンに必要だから、俺がなんとかしたい!」みたいな。
Watson - 僕もKoshy君と出会っていなかったらと思うと怖いですね笑。
- プロデューサーとビートメイカーは別物ですしね。最初に誰と組むか、かなり重要だなと思います。
Koshy - 海外に行っても、そこは全くの別物なんで。
-『Soul Quake』以降のお二人にも期待しています。
Koshy - 次はWatsonの時代って感じだと思います。"チーム友達"のリミックスでは千葉雄喜さんともやってるし、T-Pablowさん&YZERRさんの二人とも一緒に曲を作っている。この二組と曲をやってるのはなかなかいないですよね。
Watson - 最初の一番でかい夢を二つ叶えたって感じですね。今は、曲を作りたいっすね。いい曲を作ってもっとデカいところ行きたいって、最近は特に思います。
Info
・タイトル
Soul Quake 3
・配信日
2026年2月25日(水)
・配信リンク
https://imwatson.lnk.to/SoulQuake3
・トラックリスト
M1 Intro “Soul Quake”
M2 MOTO feat. guca owl
M3 知った。 feat. IO
M4 スーパーレア feat. 仙人掌, Daichi Yamamoto
M5 Money Money feat. Jin Dogg, ANARCHY
M6 Koshy Freestyle feat. DADA, C.O.S.A.
M7 Fashion Week feat. Benjazzy
M8 Keep Going feat. WILYWNKA
M9 今日という日は feat. T-Pablow
M10 Real Love
