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【インタビュー】Kohjiya 『KJ SEASON 2』 | ラッパーはかっこつける職業

2024年はKohjiyaの年だった。優勝した「ラップスタア2024」を筆頭に、BIM“DNA feat. Kohjiya&PUNPEE”、Kaneee, Kohjiya & Yvng Patra“Champions(Produced by KM)”といったヒット曲に参加し、ヒップホップフェス『POP YOURS』と『THE HOPE』では客演としてでずっぱりだった。そんな1年を締めくくる作品として、12月11日に『KJ SEASON2』をリリースした。『KJ SEASON』、『New Stars Swag』に続く3作目。だが『KJ SEASON2』は順風満帆なキャリアに相反するシリアスな内容の作品だった。Kohjiyaは何を思っているのか、2024年を振り返りつつ、さまざまな話題について話してもらった。

取材・構成 : 宮崎敬太

撮影 : 三浦大輝

Kohjiyaがブレイクを実感したタイミング

Kohjiya - 代々木にもスタジオを作ったんですけど、『KJ SEASON2』は大倉山のスタジオで基本リリックを書いて代々木のaccs studioでレコーディングをしました。

Kohjiya - 実はあの取材の時点で何曲かは『KJ SEASON2』の曲ができあがってて。売れる確証はなかったけど、クオリティに関しては自信がありました。

Kohjiya - まず「ラップスタア」が終わったあと。普通に原宿に買い物に行ったらものすごくいろんな人から声をかけてもらいました。しかもパッと見でヘッズに見えない人ーーそれこそ普通の女の子とか、野球部の練習が終わって帰る途中の高校生みたいな子とかが話しかけてくれて。そういう人たちにも自分の音楽が届いてるんだって感じましたね。あとはワンマンの応募数を教えてもらった時ですね。

Kohjiya - 俺も勝負って気持ちで臨んだっていうか。楽曲再生数とかいろんな反応を踏まえた上で、(EX THEATER ROPPONGIは)自分が思ってる「ギリ届くかな……」ぐらいの規模感でした。しかも平日だし。そしたらものすごくたくさんの人が応募してくれて、4〜5倍の抽選率だったらしいんです。それを聞いた時は「これは自分が思ってる以上にすごいことになってるのかもしれない」と感じましたね。

Kohjiya - ありがたいです。今年(2024年)は大きなフェス以外にも日本全国のいろんなクラブでたくさんライブさせてもらいました。オーガナイザーさんやスタッフさんが「過去一(お客が)入ってます」と言ってくださったり。入場規制とか。

Kohjiya - 自分のところにたくさんメンションが届くのでかなり嬉しいですね。

Kohjiya - それで言うと、たぶん俺が一番驚いたと思います。「フックなのか……」って(笑)。BIMさんからあのビートが送られてきた時は、まだお二人の声が入ってなかったんです。その時たまたま大倉山のスタジオにいたので、鼻歌混じりで言葉になってない宇宙語をバッと入れて送り返したら「オッケー!」とお返事いただいて。

Kohjiya - ありがとうございます。あのフックはあらかた自分で書いたあとに、BIMさんのお宅でPUNPEEさんと3人で飲みながらあれこれアイデアを出しあって完成させていきました。「『泥んこの稽古』いいじゃん! しかも『ぢょろんこ』? それめっちゃいい」とか(笑)。

Kohjiya - 正直、2人を中高時代からめっちゃ聴いてて、俺的に神聖すぎてそこに入っていいのかっていうのは最初ありました。でも作ってく過程が本当に楽しかった。この曲をやれて良かったです。

"Phantom"はすごい昔に書いた曲

Kohjiya - 最初に話したとおり、今回のアルバムには結構前に作った曲が収録されていて、2曲目の"Lost Friends"で歌ってるように、一緒に上京して夢を追いかけてた仲間と足並みが揃わず考え込んでる時期があったりして、、、その時期にできた曲を自分的にはもっと早いタイミングでリリースしたかったんですけど、レーベルの仲間たちと話し合って、最初は「なんだこいつ?」ってくらいイケイケで景気良く振る舞おうってことになりました。だから「ラップスタア2024」のときも、あえてHOOD STAGEでは苦労話はせず、淡々とカマすことにしました。今回はみんなが聴いてくれるタイミングだと思うので、過去の出来事や内面をちょっと見せていこうと思ったんです。

Kohjiya - それも昔作った曲が多いからです。最近は撮影の仕事で地元に帰ることがちょくちょくあって。そういうフレックスですね。

Kohjiya - 自分はUSのヒップホップをめちゃ聴くし、和訳もめっちゃ読みます。あいつらの拝金主義や物質主義もかっこいいと思う。けど、俺は日本人のメンタリティーとして、あえてそこは見せずにオシャレに言うほうが好き。

Kohjiya - 自分的には(『KJ SEASON2』に収録された)こういうテイストが一番得意です。関東に来て1〜2年間はずっと制作してて、ライブなんて年に1〜2回というライフスタイルだったので内省的なリリックが多いのかもしれません。1曲目の"Phantom"なんて4年くらい前に書いた曲ですし。今作では一番古い。

Kohjiya - 関東に来る前、売れた自分を想像して書いたんです。有名になったらファンの人たちはこういうインタビューを読んでKohjiyaのイメージをそれぞれ作っていく。そしたらきっと俺はKohjiya像を押し付けられるのを嫌だと感じるだろうって。

Kohjiya - あれはアツかったっすよ。俺、LEXはSoundCloudから追っかけてて。高校の時にLEXを聴いて絶望するくらいの衝撃を受けてるんです。ラップ辞めようかなって。俺ら同い年なんで。ずっとLEXくんと呼んでたけど、この前クラブで一緒に飲んで、普通に呼び捨て&タメ口になりました(笑)。そういうのも含めて、LEXに天才と言ってもらえたのはすごく嬉しかったです。

放課後に“RGTO”のMVを学ランで観た中学時代

Kohjiya - ある日、SALUくんが突然instagramをフォローしてくれたんです。「ヤバッ」って仲間に言ってたらすぐに「yooo lets cook classic」ってDMも来て。後日、SALUくんのスタジオにお邪魔して、お互いのデモを聴き合いながら制作していき、"247"と、SALUくん名義の“BRIGHT TIMES”が生まれました。"247"のSALUくんのバースの「それじゃあ作ろうぜclassicを」というラインはDMから来てるのかもって思ってます(笑)!

Kohjiya - もう全てを経た上での優しさがある方でした。

Kohjiya - もう説得力が違いすぎて。リリックが乗って帰ってきたヴァースを聴いた時、1行ずつに「仰る通りです」と頷きまくってました。あと自分が通ってた中学が学ランだったので、放課後に"RGTO"のMVを観たのをめっちゃ思い出しました。SALUくんもあのMVで学ラン着てるじゃないですか。「一緒じゃん」みたいな(笑)。憧れの人だったので“247”と“BRIGHT TIMES”を一緒に作れてめっちゃ嬉しかったっすね。

Kohjiya - 友達からも結構「コロ助かよ」って言われてるんですけど、そうじゃなくて「ナリ」は「身なり」のこと。「なり」って言うじゃないですか。「ボロのジョーダンをアルマーニへとエクスチェンジ」ってラインにかかってます。さらに「上がるナリ」を2回歌うと「ナリ上がる(成り上がる)」にも聞こえますよね。

Kohjiya - (笑)。

Kohjiya - 半分くらいはそうです。最近はいろんなプロデューサーの方とセッションしたり、送ってもらったビートで録った曲もたくさんあるんですが、『KJ SEASON2』のトラックリストはかなり前から構想が決まっていたので、あえて崩さずにいきました。

KohjiyaとUSヒップホップ

Kohjiya - トレンディなイケイケのビートも好きなんですけど、こういうのも普通にすげえ好きで。この曲は2年前かな。当時ハマってたSminoってラッパーのタイプビートを探して、これにたどり着いた感じっす。

Kohjiya - ラップスタアを獲って初のソロ名義の作品だったので自分らしくタイトなビートをチョイスしました。

Kohjiya - この前来日してたNettspendやDomcorleoを中心にUSで活躍しているアンダーグラウンドのアーティストを聞いてます。

Kohjiya - そのへんはljくんからの影響です。彼は最先端のラップをたくさん聴いてて。ここ1〜2年はしょっちゅうライブに行ったり遊んだりしてるので、俺も自然とそういうのも聴くようになりました。9月にljくんと出した『New Stars Swag』は、最先端のラッパーのエッセンスとかラップを自分なりに取り入れてます。あとはニューヨークのヒップホップが好きなのでセクシードリルとかを聴いてますね。

Kohjiya - ですです。自分は探すのが好きなので、あっちのクラブでかかってるような曲をめちゃ掘ってますね。あとHunxho周りのラッパーが好き。『KJ SEASON2』にはその影響が出てるかも。

Kohjiya - そうそう。曲は上品なのに実は……みたいなあの感じがすげえ好きです。

Kohjiya - それでいうと"Phantom"ですね。ヴァースのフロウとか結構崩して歌ってるじゃないですか。リズムを無視して歌うオフビートな乗り方で、R&Bっぽいノリもあって。"Phantom"を書き終わった後、「俺、これだわ」って思ったんですよ。

Kohjiyaが見た東京

Kohjiya - Bonberoは同い年だけどものすごく大人。尊敬してます。あとラップスタイルが対照的なんですよね。俺はノーメロディでタイトにオンで乗せるラップがもうできなくなってて。この"Denied"は俺のラップだけだと甘すぎる気がして、どうしようか考えてたらBonberoが浮かんできたのですぐ連絡した感じですね。翌日にはこのラップが入ったデータを送ってくれました。

Kohjiya - この曲は去年(2023年)ですね。KEIJUさんが『Speed Tape』というEPをサプライズリリースした日、都内某所でシークレットライブがあったんです。自分は歌ってないけど呼んでもらって。始まる前になんか出演者や関係者がみんな地下駐車場に集まってたんです。そこにはベンツやアルファードがバーっと並んでて。KEIJUさんはみんなとリンクしてから、ステージに向かって行ったんです。田舎者の俺には、その光景が衝撃的すぎたんです。

Kohjiya - 「なんでベンツがあんなにあんの!?」「これが東京のナイトライフなのか!?」「かっけえ!」って。家帰ったのは真夜中だったけど、全然興奮が冷めなくて、KEIJUさんが見せてくれた煌びやかなナイトライフを曲にしたいと思って作りました。

Kohjiya -  "Denied"に関しては、そんなに深く考えずにフリースタイルしてます。言ったらただの語呂合わせだし、ふざけでもある。でもこじつけると、フランク三浦は日本の時計ブランドで、フランク・ミュラーに訴えられたけど勝訴してるんですね。俺はUSのラッパーからものすごく影響を受けてるけど、ただの模倣じゃないオリジナルだってことを言いたかったっすね。

Kohjiya - 自分は、特にフックをキャッチーに作ってるけど、ヴァースはかなり歌いにくいと思う。こういうラップがいずれはJ-POPと呼ばれるようになったら最高です。自分の理想はUSの感じ。Lil BabyやYoung Thug、Gunnaみたいな地元ノリの「絶対にヒットを考えてないでしょ?」的な音楽がポップスとして成立しちゃってる。日本もそうなっていったら幸せです。

Kohjiya - SpiderWebです。"GONZA"とか"ノースリADC"最高でした。最近知ったんですけど、東京の足立区のクルーっぽいです。ファッションも裏原っぽいし、ビジュアルにもオリジナリティがあってめちゃかっこいい。歌詞もおもしろいんですよね。「よいしょ」ってガヤとかありそうでなかったし、日本らしいオリジナリティもある。リスペクトしてます。

Kohjiya - ……『KJ SEASON2』がApple Musicの総合チャートで1位を取れなかったので次の作品で取りたいです。

Kohjiya - はい。『KJ SEASON』と『KJ SEASON2』はミックステープみたいなノリのミニアルバムなので、次は現時点での集大成となる作品になると思います。さらに好きなアーティストの方ともコラボできたらアツいなって。自分はラッパーってかっこつける職業だと思ってるので、これからもかっこつけていきたいと思っています。

Info

Kohjiya
Mini Album「KJ SEASON2」

LABEL:ISLAND STATE

Release Date:2024/12/11

Tracklist:
01:Phantom
02:Lost Friends
03:Upon My Soul
04:Talk 2 Me
05:247 Feat.SALU

06:Broke Boy Rich
07:Blue
08:10toes
09:Denied Feat.Bonbero

https://ISLANDSTATE.lnk.to/KJSEASON2

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