SHO-SENSEI!!が提案する新しいヒップホップがいま若い世代に急速に浸透し始めている。彼は10代前半でヒップホップに開眼し、カナダで英語とヒップホップカルチャーを学んだ。活動初期はUSヒップホップ直系のサウンドだったが、現在は独自のスタイルを作り上げ、等身大の自分を歌っている。彼がどのような思いで現在のスタイルに辿り着いたのか。ニューシングル“ナントカ流星群”の話題と合わせて話を聞いた。
取材・構成 : 宮崎敬太
撮影 : 雨宮透貴
今の世の中は自分がやったことに対する反応がすごく見えやすい
- 2023年にリリースした楽曲“where u at”、“だから一枚だけ盗んだ”、“道路工事”、“ナントカ流星群”はすべて近しいテーマ(喪失感?)を歌っているように感じました。これらの楽曲の関連性はありますか?
SHO-SENSEI!! - 喪失感を意識したっていうよりは、なんか僕は自分の今のフェーズが曲に反映されやすいんですね。プライベートでの出来事がかなり強く曲に反映されるんです。最初に出した“where u at”って曲は戦地に向かう車に自分が乗ってて、銃持って「行くぞ」って言ってるやつもいれば、怖がってるやつもいて。そこで俺は地元のことを考えてボーッとしてるみたいな気分というか。戦争には行くけど、別にそれが悲しいとも楽しいとも何とも思ってなくて、全然違うこと考えながら、「行くけど」みたいな感じで言ってるテンション感だったんす。
- なるほど。
SHO-SENSEI!! - 4月から自分の状況がいろいろ変わってきて、いろいろやらないといけないのはわかってるけど、普通に冷静みたいなテンションの曲が“where u at”ですね。
- それってnoteに書いた「THE TELESCOPEからの日々1」とつながってたりしますか?
SHO-SENSEI!! - あれは、結構そのとき考えてることをそのまま書いた感じかな。
- 「自分の弱さを肯定しよう」というあの文章がすごく好きだったんですよね。SHO-SENSEI!!さんのリリックからも世代的に蔓延する自己肯定感の低さを感じました。
SHO-SENSEI!! - 自分としてはあまりそれは意識してないかも。ただ今の世の中ってやっぱり人の目とか、自分がやったことに対する反応とかがすごく見えやすいじゃないですか。だからこそみんな賢いんですよ。しかも自分をちゃんと客観視してて。みんながみんな「俺はプロ野球選手になれる」って言える時代じゃないと思うんですよね。みんなじぶんに何ができるかわかってるが故に、わかりすぎてるが故に、いろいろできないのかなって気がします。俺、ダイビングしたことあって。水泳やってたからやる前は結構余裕かなって思ってたんですよ。でも実際深いとこまで行くと、いろんなとこがキツくて。みんなそういうのをやる前から知ってる感じ。「俺、耳抜きできないから、ダイビングはいいや」っていう。
- 知識があるが故に、未知の可能性みたいなものを自分で潰してしまう的な。
SHO-SENSEI!! - かもしれません。
- でもSHO-SENSEI!!さんは、そういう環境の中でミュージシャンを選び取ったわけですよね?難しい選択ではありませんでしたか?
SHO-SENSEI!! - 俺がラッパーになろうと思ったのは15歳ぐらいだったんですね。その頃は友達もいなくて、学校の先生からもすげえ嫌われてて。親も全然違うことをしてほしかったみたいで、つまり仲間が全くいなかったんですよ。そこまでくると周りは関係ないっていう。俺以外の全員が間違ってると思ってた。だから全然難しい選択じゃなかったです。
- そういうエネルギーは大事ですよね。
SHO-SENSEI!! - うん。少なくともそういう感じじゃないと俺は無理でしたね。
高1でミックステープを作って、Audiomackにあげたりしてました
- その頃はどんな音楽を聴いてたんですか?
SHO-SENSEI!! - もうヒップホップしか聴いてなかったです。2014年くらいなんで、新人だった頃のKendrick LamarやJ. Cole、A$AP Rockyあたり。同時に2000年代のLupe Fiascoや、Kanye Westとかもめっちゃ好きでした。当時の僕はUSヒップホップしか知らなかったんですよ。
- 意外です!
SHO-SENSEI!! - 音楽に興味を持ったきっかけは、小学校の6年生の時で、担任の先生が『ドラムライン』っていう映画を見せてくれたことですね。かかってた音楽をめっちゃカッコいいと思って先生にサントラを借りたんです。そこにモニカとかが入ってて。でもその頃はヒップホップの存在を知りませんでした。映画は好きだったから『ドラムライン』みたいな感じのを探して色々観て、サントラも聴いてたんです。そこで『バッドボーイズ2バッド』に出会うんです。サントラにはJay-ZとかNellyとかが入ってて。いい感じだなと思ったから、空耳で歌詞をカタカナで紙に書いて歌ってたんです。
- 小六で(笑)。
SHO-SENSEI!! - 『ドラムライン』と『バッドボーイズ2バッド』のサントラだけをひたすら聴いてました(笑)。で、中学に上がって、友達がBON JOVIを教えてくれて、ちょっといい感じだなって思ったんです。洋楽ロックも聴いてみようと思い、たまたま目に入ったAvril Lavigneの初期を聴いてみたんですね。そこでビルボード・チャートを知るんです。そしたらEminemとかDrakeがいて、こっちのほうがカッコいいと思ったんです。そこで初めてヒップホップを認識したんですよ。自分でラッパーを色々調べてみたら、昔聞いてたJay-Zとかが出てきて(笑)。「俺、昔からこっち系が好きやったんや」って。
- 筋金入りですね。
SHO-SENSEI!! - まだスマホもなかったから、お年玉とか貯めてiPod touchを買ってめっちゃYouTubeをチェックしてました。あと火曜の深夜にヒップホップのラジオがやってて、そこでTravis Scottを初めて聴いたり。T.Iと2Chainzとの“Upper Echelon”って曲なんですけど。そのへんぐらいからヒップホップを死ぬほどディグり出しました。
- 誰とも話が合わなかったんじゃないですか?
SHO-SENSEI!! - ですね(笑)。その頃ミックステープが流行ってて。DatPiffとかAudiomackとか。
- 懐かしい(笑)。
SHO-SENSEI!! - 高1でミックステープを作って、Audiomackにあげたりしてました。
- タイプビートで?
SHO-SENSEI!! - その頃はタイプビートよりも既存曲のインストが多かったですね。
- ビートジャックだ。
SHO-SENSEI!! - ですです。全盛期だったと思うんで。
- 日本だとAKLOが出てきた頃ですね。
SHO-SENSEI!! - USのヒップホップしか聴いてなかったので、日本のことは全然知らないんです。僕はWiz Khalifaのビートでラップしたり。あとめっっっちゃ初期のMachine Gun Kellyとか。
自分のバックグラウンドを自分の言語で歌わないと、Kendrickと本当の意味でシェイクハンドできない
- 面白い話ですね。そのミックステープは英語でラップしてたんですか?
SHO-SENSEI!! - 日本語でした。でも英語でやるつもりで日本語でラップを始めたというか。それに日本にヒップホップ文化があると思ってなかったんです。MCバトルですら全く人気ない時代だったから。USで活動しようと思ってて、高校時代はカナダに行くためのお金を貯めてました。
- すごいっす。
SHO-SENSEI!! - ヒップホップ、めっちゃ好きだったんで(笑)。
- ちなみになんで友達がいなかったんですか?
SHO-SENSEI!! - なんだろう。中学とかは普通にいじめられてた。殴られたりはしなかったけど、ハブられたりとか。ほとんど喋る友達いないみたいな。でも一人だけ音楽の話するやつがいたんです。その子は実はEDMが好きで、ヒップホップもちょっと詳しいみたいな。当時はEDMがもっとクールな言葉だったんですよ。今とはニュアンスが違ってた。その子とヒップホップの話をしてました。そういう環境の影響もあって、Eminemにめっちゃ共感しちゃったんですよ。『8 Mile』にめっちゃ食らいましたもん。
- カナダでの留学体験はどのようなものでしたか?
SHO-SENSEI!! - めちゃデカかったのは、俺は海外でラッパーになるために英語を覚えて、英語でラップしようと思ってたんですけど、カナダに行って向こうの奴らに自分の音楽を聞いてもらったり、コミュニティに属したりする中で、俺がやろうとしてたことは全然ヒップホップじゃないってことがわかったことですね。固定概念が突き崩されたというか。仮に俺が英語でラップしてUSや世界で売れたとしても、自分のバックグラウンドを自分の言語で歌わないと、Kendrickとは本当の意味でシェイクハンドできないなって。
- レペゼン精神ですね。
SHO-SENSEI!! - そうそう。みんな自分の土地をレペゼンしてる。だから誰かのスタイルに憧れて、真似するのは違う。もし今後俺の活動が世界に広がって、自然に英語の歌詞が出てくるようになったら、そういうのもありかもしれないけど、英語圏で売れるために英語を勉強して歌詞を書くのは俺の流儀ではないかなって思うようになったんですよ。カナダに行ったことで、逆に日本でちゃんとやろうと思うようになったんです。
- なんでアメリカじゃなくカナダに留学したんですか?
SHO-SENSEI!! - アメリカに留学するのにはすごく金がかかるんですよ。ビザも取りづらい。その点、カナダは物価も安いし、ビザも取りやすいし、留学しやすかったんです。
- なるほど。でもカナダでヒップホップの本質的な部分を体験できたんですね。
SHO-SENSEI!! - カナダでは「コミュニケーションは英語でするけど、ラップではショーの日本語を聴きたい」ってみんなに言われて。確かにKendrickが日本で売れたからって、日本語でラップされたら相当テンション下がるじゃないですか(笑)。俺、そういうことをしようとしてんなって思ったんですよ。
俺にとってはこれが今の俺のヒップホップなんですよ
- SHO-SENSEI!!さんは初期はUSヒップホップ的な表現でしたが、現在は日本のカルチャーに根付いたスタイルになりました。
SHO-SENSEI!! - 日本のカルチャー云々が先行したわけではなくて。いろんな要因があるんですよ。デカかったのは、20歳の時、友達に尾崎豊を薦められて聴いてみたこと。俺、本当にヒップホップしか聴いてこなくて、まじでJ-POPをまったく知らなかったんです。だし、むしろ「J-POPなんて……」ってスタンスでバカにしてた。でも薦めてもらった尾崎がすごくかっこよかったから、その時代のアーティストから色々掘ってみたら他にもかっこいい人がいて。俺自身が普通にいわゆるバンドっぽいサウンドを聴くようになって、嫌じゃなくなった。
- USヒップホップ以外にもカッコいいアーティストが日本にいることを知った、と。
SHO-SENSEI!! - あとこれは日本語でラップしてる人の多くが思うことかもしれないけど、海外のビートで、海外のヒップホップを聴いてるように曲を作っても、なんかテンションが違うんですよね。自分が言ってることと音楽の質感があってないというか。だから結局ビートを変えたり、フロウを変えたり、歌詞を変えたりする。そこにしっくりこなかったんですよ。でも日本の音楽が嫌じゃなくなって、自分の曲にも少しずつ取り入れてみると、言いたいこととか、先に書いてた歌詞とすごくフィットした。確かに俺の音楽は、パッと聴くと、すごくメロディアスだし、バンドっぽいし、J-POPっぽいかもしれないけど、これが俺のラップのフローなんです。別に音楽的に寄せようとした、とかそういうんじゃなくて、俺らしいラップを追求した先に今のサウンドがあったというか。
- 自分の言いたいこと、自然なフローを追求した結果、今のサウンドに行き着いたというのも面白いですね。
SHO-SENSEI!! - 俺にとってはこれが今の俺のヒップホップなんですよ。俺がこれからやっていかなきゃいけないのは、自分のサウンドが「メロディアスだよね」「J-POPっぽいよね」「ロックっぽいよね」と言われないくらい、ヒップホップのベーシックとして認知させることなのかもしれない。そういう提案ができてないんだと思う。海外のアーティストが聴いて、「これが日本語ラッパー・SHO-SENSEI!!のスタイルだよね」って伝わるくらいまで持ってかないと。別にバンドサウンドとかそういうことはどうでもいいんですよ。そこは最近マジで伝わってないなって感じてて。今は伝えていく努力をしているところです。
- ものすごく困難なミッションですね……。
SHO-SENSEI!! - でも難しいことをしてきた人をいっぱい知ってるんで。Chance The Rapperなんて自分の音楽でグラミーのルールを書き換えさせたわけじゃないですか。それに比べたら、俺のミッションなんてもう全然かな、みたいな。みんなヤバいことしてるから。
- 尾崎豊のほかには、どんなアーティストをカッコいいと思いましたか?
SHO-SENSEI!! - 甲本ヒロトと忌野清志郎ですね。
- ヒップホップの基本はグルーヴとバイブスだと思います。尾崎豊、甲本ヒロト、忌野清志郎のような表現はバイブスを伝えるには適していると思います。SHO-SENSEI!!さんはこのスタイルでどのようにグルーヴを表現しているのでしょうか?
SHO-SENSEI!! - バンドサウンドにヒップホップ的なグルーヴを入れるというより、俺の中に最初からグルーヴがあるんですよ。サウンドは表面的なことでしかない。
- それは、極論アカペラのラップだけでロックできるみたいな?
SHO-SENSEI!! - 超極論ですけど、そういうことですね。俺にとってサウンドは本当にめちゃめちゃ表面的なことだと思ってます。
イキった言い方をすれば、ラップを書くのは呼吸みたいな感じ
- なるほど。それはものすごくラッパー的な発想ですね。“where u at”、“だから一枚だけ盗んだ”、“道路工事”、“ナントカ流星群”はそれぞれSHO-SENSEI!!さんが感じたことをストレートに歌詞にしてる。
SHO-SENSEI!! - そうですね。僕がその曲を制作したぐらいに、プライベートでそういうことがあったから、普通にそういう曲がババっとできたっていう。ただそんだけ。「別れ」をテーマにした曲を作ろうと思ったわけじゃなく、この時にそれしか考えてなかったからこうなったみたいな。
- 3曲も続くってことはご自身にとってはすごく大きいことだった?
SHO-SENSEI!! - リリースされたのは3曲ですけど、実際もっとあるんです(笑)。
- 自分を客観視して曲に落とし込んでいく作業って辛くないんですか?
SHO-SENSEI!! - なんていうんだろう?本当の意味で自我が生まれるのでたぶん中1〜2ぐらいじゃないですか。俺はその頃から音楽作り始めてるんで、全然特別なことじゃないんですよね。イキった言い方をすれば、呼吸みたいな感じ。普通のことすぎてプラスアルファでやってる感覚が全然ない。
- “ナントカ流星群”は詞が先?
SHO-SENSEI!! - 同時ですね。歌詞を書かないことも多いんですよ。
- 歌詞を書かないとは……?
SHO-SENSEI!! - あ、フリースタイルで作るって意味です(笑)。
- 本当にUSのラッパーみたいな感じですね。Lil Wayneはいつも録音機材持ち歩いてて、頭に浮かんだ瞬間にレコーディングしてるそうです。
SHO-SENSEI!! - Lil Wayneってそういう感じなんだ。知らなかった。“ナントカ流星群”を作った時は24時間くらい寝てなかったんですよ。他にもは2〜3曲、同時進行で制作してて。(プロデューサーの)10pmにもらってたギターのメロディをループして、フリースタイルでラップしてできた曲ですね。ドラムは後から入れてもらいました。
- 作ってるときはどう聴かれるかとかは、あんまり考えない?
SHO-SENSEI!! - 考えてはいます。でもはそこを伝える努力をあんまりできてなかったような気はして。それがこの1年ぐらいの一番の反省です。
- noteを書いてるのもその一環?
SHO-SENSEI!! - そうですね。歌詞も、聴き方も。今実際に俺のことを好きで、ライブにまで足を運んでくれる人が、俺が本当の意味で望んでる聴き方をしてくれてるのか……、もちろんみんなそれぞれ好きに聴いてくれていいんですよ。でも俺の理想も一応知ってもらいたいし、俺も伝える努力をすべきだなと思って。それでnoteをちゃんと書いたりしてるんです。
- ちなみにライミングはどう捉えてるんですか?
SHO-SENSEI!! - これはあくまで俺の感覚で、っていう意味で話しますけど、昔は単語単位でめっちゃ韻を踏んでたんです。でもある時からダサいなと思うようになってきた。なんかオヤジギャグみたいで、韻踏んだ後のドヤ顔があんま好きくない。俺もめちゃくちゃ英語を理解してるわけじゃないけど、海外のラッパーはもっとサラッとやってる感じがするんですよ。もしかしたら俺がわかってないだけで、海外のラッパーもドヤ顔してんのかもしれないですけどね(笑)。ただ俺のわかる範囲ではサラッとやってる気がするんです。日本語って5つ母音がでかいじゃないですか。そこが合ってるだけで綺麗に聞こえる。だから最後の1〜2文字が踏めてたらそれで良いかなと思ってる。
- 日本語ラップでライミングとされてることではなく。
SHO-SENSEI!! - 日本語と英語では文法がそもそも違う。日本語だと語尾は「○○です」や「○○だよ」ですよね。でも英語における「○○です」はもっと前にある。英語の文法で最後に踏むと良い感じなんですけど、それをサウンド的に日本人が真似して、語尾で踏むのは俺的にはなんか違うかなって。でも語尾や文末で韻が合ってると気持ちいいのは確かなんで、俺は最低限出来れてば良いかな。
- それは清志郎が好きっていうのとも繋がる話ですね。
SHO-SENSEI!! - うん。そういう作詞のほうが歌詞も入ってきやすいというか。ずっと名詞が最後にあっても聞き取りづらいし。言葉遊びしてる感が好きな人もいるし、それは全然否定しないけど、自分はそれをしなかったというだけですけどね。
- 若い頃からUSラップしか聴いてなかったからっていうのもありそうですね。
SHO-SENSEI!! - それはめっちゃあると思います。俺が英語を日本語レベルに理解するようになったらまた考え方が変わるかもしれないです。
- 10pmさんとはどのように出会って、どんなポイントが一緒に曲を作りたいと思わせたのでしょうか?
SHO-SENSEI!! - 彼は俺の6個下で。若いんですよ。一昨日、20歳になった、みたいな。7年くらい前に突然「ビートを聞いてください」ってメールが来たんです。で、聴いたけどあまり好きくなかったから無視してたら、その1年後くらいに同じアドレスからまたメールが届いたんです。そしたらめっちゃ良くなってたんですよ。ただ「もうちょい」みたいなとこがあったから、「こんな感じにしたら良いんじゃない?」って返信したら、速攻修正版が送られてきて、めっちゃいいなと思ったんですよ。勘みたいな感じですけど、「この人、良さそう」って。それで東京に呼んで、話してみたら普通に良い感じだったんで、コミュニケーションとって。最初、彼は楽器弾けなかったんですよ。できないことも多かったけど、日々成長して気づいたら俺がやりたいこと以上のことを10pmができるようになって、結果的になんかずっと一緒にやってますね。
- 10pmさんは最初はどんなトラックを作ってたんですか?
SHO-SENSEI!! - トラックメイカーにはメロディを作る人がいて、それをネット上に配布して、ドラムを打ち込むって文化があるんですね。10pmも最初は自分で作ったメロディーはネットに配布して、海外の誰かが作ったメロディで自分のビートを打ち込んでたんです。その頃はピアノ系とかトラップっぽいのとかメロウなループものとか。10pmはInternet MoneyのNick Miraに影響されてギターを弾き始めたんです。そこからギターを勉強するためにいろんなバンドを聴いてるうちに、自然とギターでビートを作るようになった感じ。
俺のやろうとしてることを知って帰ってもらいたい
- “道路工事”からは恋愛における自己肯定感の低さみたいなことを感じました。
SHO-SENSEI!! - “道路工事”に関しては「夜の道路工事で外がうるさいのに眠れてる君は疲れてるよ」というラインを軸に曲を作り始めたんです。俺は普段から大量に歌詞を書いているので、一つの別れがあって一連の物語を時系列に書いてるのではなく、仲良かったときのこと、喧嘩したときのこと、書き溜めた歌詞の中にあるいろんな瞬間をランダムにピックアップして、置いているだけなんですよ。
- 相当作詞能力が高いと思います。
SHO-SENSEI!! - 出だしで「君がくれたアパートの鍵を置いてきた」って言ってるけど、別れの歌ではないんです。フックを言いたいがためにできたという感覚ですね。でも別れの歌として聴いてもらっても俺は全然良いです。
- 国内外問わず共感するアーティストはいますか?
SHO-SENSEI!! - Tohjiくんかな。
- 同世代くらいですよね。
SHO-SENSEI!! - Tohjiくんが1個上ですね。彼が全然有名じゃなかった頃、まだMVの再生数が数千回くらいの頃にYouTubeで見つけて。だから結構前から活動を追ってて、自分がSHO-SENSEI!!として活動するまでは、シンプルに「すごいな」だけだったけど、実際に自分がこうして活動するようになって、いろんな曲を出したり、出した後の反応を見て、それを変えるために「こうしてみよう」「ああしてみよう」と考えれば考えるほどに、それまでTohjiくんがやってきたこと、動き方の意味がちょっとずつわかるようになってきたんですよ。これは俺の勝手な想像だから彼の真意は分かりませんけどね。ただそこを考察するのはすごく楽しいですね。
- では最後に今後のライブへの意気込みを。
SHO-SENSEI!! - これまでワンマンを2回やって、対バンも経験したけど、俺自身がうまくパフォーマンスすることにフォーカスしてたんですよ。実際、パフォーマンスはまだまだだし、歌の練習もいっぱいしなきゃだけど、それよりもお客さんに、自分の曲をどう聴いてほしい、こうなってほしい、みたいなのをちゃんと伝えたいんですよね。
- 先ほどの話と繋がりますね。
SHO-SENSEI!! - そうですね。ライブをやって、ただ「俺が気持ち良かった」じゃなくて、俺のやろうとしてることを知って帰ってもらいたい。今まではお客さんに甘えてた。だからどういうノリで楽しんでほしいとか、そういうことも伝えていきたいと思ってます。
Info
2023/07/12(水)配信Single「ナントカ流星群」