Manhattan Portageによる都市型音楽プロジェクト『City Connection』が、7/18(日)に恵比寿・LIQUIDROOMで開催する。都会に生きる全ての人たちの日常に彩りをという思いで開催されるこのイベント。
出演するのはダンスカルチャーとの接点を国内外で体現してきたバンドD.A.N.、パーティーのみならずレーベルとしても始動したKAIKOOのBAKU、EPをリリースしたばかりの若手プロデューサーLITTLE DEAD GIRL、日本のR&Bシーンに新風を吹き込むシンガーソングライターの向井太一、KANDYTOWNはもとよりソロでの活躍も目覚ましいRyohu、中毒性の高いエレクトロサウンドを奏でるZOMBIE-CHANGの総勢6組。当日のタイムテーブルも公開されている。
今回はイベントに由来して出演するRyohuに自身が思い入れのある街をあげてもらい、当時の思い出や、街の空気からどのようなものを得たのかを訊いた。
取材・構成 : 和田哲郎
撮影 : 横山純
- 最近はどう過ごしてたんですか?
Ryohu - 去年は子供も産まれて、アルバムも作っていたんで気づいたら終わっていた感じですね。全然外には出てなくて、ほとんど家にいましたね。子供の日々の成長を一緒に過ごせてるのでポジティブに捉えてますね。
- あまり外にも出てない状況だということですが、今回のインタビューではRyohuさんと過ごしてきた街の関わり方についてお話を聞きたくて。KANDYTOWNといえば代名詞として世田谷が出てくると思うんですが。
Ryohu - 僕は世田谷の中でも出身は二子玉川で、今も実家はあります。僕の子供時代はまだ二子玉川ライズもなかったし、あそこまで綺麗な街じゃなかったんですよね。駅前にはチャリがたくさん違法駐車されてたりとか、やんちゃな感じの人もいたりとかで、今とは少しイメージが違うと思います。二子玉川は遊ぶ場所ではなくて、僕はYUSHIやKANDYの面々と出会ってからは喜多見とかで遊んでましたね。そこから19~20歳くらいの時はバンドをやっていたので、下北沢が自分の拠点になっていった感じですね。全部世田谷ですが、それぞれの場所で関わる人も違ったし、その3つの街が僕のキャリアを作ったと思います。
- 二子玉川は生まれ育った街だから自然すぎると思いますが、どういう街だと思いますか?
Ryohu - 実家は少し駅から離れたエリアにあって、割とおじいちゃんおばあちゃんが住んでいた地域だったんですよね。当時、両親が地域の人が買いにくるような小さな商店を経営していたというのもあって、周りの人とも距離感は近かったと思います。あと、部活でバスケットボールをやっていて、メガホンが応援のために必要だったんですけど、駅前の東急ハンズにあって、なんだかんだ何でも揃う街なんだなと感じたのを今思い出しました。あとやっぱり色々な街に近いんですよね。渋谷もそうだし、KANDYのメンバーが住んでいた街とも近かったので、そういうところも大きいですよね。BSCと中学校で一緒になって、高校になってから一緒にライブに行ったらYUSHIに会って、話したら近所だったから「今度遊ぼうよ」ってなったりしたんですよね。それがちょっと遠いところだったら、こんなことになっていなかったかもしれないですよね。
- そこでYUSHIさんと仲良くなってからは喜多見によく行くようになった。
Ryohu - 駅前でフリースタイルとかをよくしてました。スーパーで2リットルのコーラを買って、夜な夜な勝手にパーティーみたいに遊んでましたね。街自体は住宅地で何もなかったんですけど、それが逆によかったですね。でも高校の時は僕はバスケをガッツリやってて部活も強かったので、朝練もあったり土日もきつい練習してたんですけど、朝までオールしてから、みんな寝っ転がってる中で僕だけ部活行ってましたね。10代の頃はそれがなぜかできました、今考えたらありえないですけど。
- バスケと音楽を両立してたんですね
Ryohu - 高校もバスケをやりたくて入ったっていうのがあったんで、そこは投げ出したらダサいなと思って頑張ってました。だから他のみんなほど、高校からガッツリKANDYの面々と一緒にいてめっちゃラップしてたかというと違うかもしれないですね。要所要所や無理して行けるときは行ってましたけどね。
- でも卒業してからは音楽をやっていきたいとなった。
Ryohu - 卒業半年前くらいにズットズレテルズを組んだんですよね。それまでは売るわけでもなく曲を作って、小さなクラブとかで身内でライブするみたいなことはやってたんですけど、ズットズレテルズになると、ライブハウスとかに行ったりしたことで、ヒップホップだけじゃなくて音楽全般に対する興味が出てきたんですよね。これで食っていくぞってマインドだったかはわからないですけど、両親にも「音楽をやりたいんだよね」って話はしましたね。両親も優しくて、「自分で決めたことはしっかりやりなさい」って信頼してもらえたんです。
- ズットズレテルズの流れで下北沢によくいくようになったんですね。
Ryohu - ズレテルズは半年くらいしか活動していなかったんですけど、その流れで下北沢のライブハウスGARAGEによく遊びにいくようになったんです。夜な夜なセッションしたりする中で、Base Ball Bearやペトロールズなどたくさんのミュージシャンとも出会った時期だったんですよね。それまでは日本のバンドは聴いてなくて、ヒップホップばっかりだったんで、バンドを本当に知らなかったから「みんな楽器上手いな」とかしか思っていなかったんですよね。でもそういう僕の若いラッパー的なところを面白がってもらえた。そんな流れと並行して、IOと何かやろうよみたいなことも話していて。KANDYはまだできてなくて、BANKROLLもあまり活動していなかったんです。それでIOとミックステープ作ったりしてたら楽しくなったんですよね。そういう流れからKANDYTOWNができて、でも僕はバンドもしていて、色々重なったし駆け抜けすぎていて覚えてないですね。
- バンドをやる前は下北はよく行ってたんですか?
Ryohu - 全然行ってなかったんですよね。高校の時は部活で忙しすぎて高校の同級生とプライベートで遊んだことなくて。少しでも時間あったら、KANDYのメンバーとかと会ってましたね。下北は本当にGARAGEが僕にとっては大きくて、色んな人がいたんですよね。でも空気感は繋がっている感じがして。と夜にGARAGEでMPCで曲を作って、録って翌日のイベントでCDRで販売するとかもしていたし、行ったら誰かいる場所だったから、僕が用事がなくても行ったり。かなりあそことの結びつきは強かったですね。GARAGEの地下にあるカフェレストランで、GARAGEのスタッフがよく頼んでいた裏メニューの焼きそば風パスタっていうのがあって、それもスタッフに便乗してよく食べてました。あとは近くだったらとん水って定食屋さんとか、一龍って昔ながらの醤油ラーメンが美味しいお店にも行ってましたね。
- ストリクトリーなヒップホップ集団のKANDYTOWNの中で、Ryohuさんの自由な活動は改めて面白いですよね。バンドをやっていた時はKANDYのメンバーとの距離感はどうだったんですか?
Ryohu - 他のメンバーたちはあまり動きがなかった中で、僕だけバンドをしていたので、もしかしたら「あいつ大丈夫か」みたいな空気はあったのかもしれないですね。でも僕自身はそんなことなくて、然るべきタイミングが来たらKANDYでやるんだろうなとは思ってたし、その時は自然な距離感でいましたね。僕のライブにも来てくれていたし。
- 今の状況になる前、よく外に行っていた時と家にいるのが中心の今で聴く音楽に変化ってありますか?
Ryohu - 元々全く家で音楽を聴かないんですよね。そういうルールがあるわけじゃないんですけどね。音楽を聴くと音楽をするスイッチが入っちゃって、リラックスできなくなっちゃう。スタジオがあるので、その道中や移動中に聴くことが多いですね。サッと聴いていたDJミックスでも気になる曲があると、すごい調べたりするし、やっぱり職業病みたいなところはあるかなと思いますね。最近は家ではずっと子供番組を一緒に観てますね。
- 作る曲はその中で変化があったりしますか?
Ryohu - コロナの影響を受けて曲が変わるというのはなくて、それよりも結婚して子供が産まれたということの方が大きかったですね。2019年の年末にはアルバムを作ろうと思って、コロナ禍の中で制作して1stアルバムをリリースしたんですけど、僕も含めて誰か結婚したとかの、日常的な変化の方に影響を受けたかもしれないですね。でも強いて言えば、今はあまりゴリゴリのビートは選びづらいかもしれないっていうのはありますね。あと、もっと人と会って制作したりとかはしたいですけどね。でもそこはコントロールできることじゃないので、今は手の届く範囲のことを大事にできるかとは思ってますね。そういう方向にフォーカスしてるかもしれないですね。その結果はまだいつになるかわからないですけど、曲として現れるのかなと思います。
- 今回の『City Connnection』についても聞きたいんですが、こういった状況の中でのライブについてはいかがですか?
Ryohu - 今まで通りの環境で出来ないのは、まだ慣れないですけどしょうがないんで、今の状況の中で最大限のことはやりたいなと思ってますね。でも、フィーチャリングゲストが一番大変だろうなとは思っていて。これまでなら良いタイミングで出てきて、歓声を受けつつパフォーマンスするのが醍醐味だったじゃないですか。タイミングが掴みづらいし、かましづらいとは思いますね。あと僕はライブ終わった後にすぐ「こうすればよかったな」って反省するタイプなんですけど、最近は間隔が空きすぎてるので毎回反省したところを忘れてしまって、ライブって重ねないとダメなんだって思いましたね。早くたくさんできるようになって欲しいですね。ライブがなかなか出来ない中で、いろんな人の努力と来てもらえるお客さんのおかげで機会をもらえてるので、できるのはうれしいです。今回のラインナップは(向井)太一くんは昔から知ってるし、D.A.N.の2人とは元々バンドを一緒に組んでたし、馴染み深いメンツも多いし。
Info
City Connection powered by Manhattan Portage
2021.7.18(日)OPEN 4PM / CLOSE 8PM
at LIQUIDROOM & Live Streaming
https://www.manhattanportage.co.jp/special/city-connection-3/
- LINE UP -
D.A.N. / DJ BAKU / LITTLE DEAD GIRL / 向井太一 / Ryohu / ZOMBIE-CHANG
- TICKET -
前売チケット ¥4,800
前売チケット取扱 : e+ / チケットぴあ [198-394] / ローソンチケット [70887]
e+ : https://eplus.jp/sf/detail/3432240001-P0030001
※新型コロナウイルス感染拡大対策として入場者を会場キャパシティーの半分以下となる400名限定で開催
前売配信チケット ¥2,000 / 当日配信チケット ¥2,500
配信チケット取扱 : ZAIKO LIVE www.cityconnection.zaiko.io/e/city-connection-3
※配信終了日から7日間アーカイヴの視聴可能
MUSIC BOX by CITY CONNECTION