2020年7月22日、BLYYの1st Album『Between man and time crYstaL poetrY is in motion.』がリリースされた。BLYYがアルバムを制作中だと耳にしたのは昨年のことだ。そのときには気づいていなかったのだが、「活動20年目のファースト・アルバム」だという事実をあらためて認識したとき、彼らの歴史とこの作品の重みを感じた。
BLYYの活動をずっと近いところで見てきた関係者やアーティスト、ファンは多いと思うが、今作で初めて彼らの音楽に触れる人たちもいるはずだ。私自身も約20年の付き合いではあるが、BLYYの歴史の内幕をすべて知っているわけではない。そこで、この節目に一緒に歴史を振り返ってみたいという思いが生まれ、インタビューを決行した次第である。SUMMITの代表でありBLYYのA&Rを務める増田岳哉氏にも同席していただいた。
取材・執筆:COBA5000
写真 : 横山純
東京池袋で産声をあげたHIPHOPグループ
BLYYが活動を開始した2001年といえば、9.11アメリカ同時多発テロの年。まさにこれから世界の潮流に急速な変化が起きようとしているその直前に、彼らの20年の歴史は幕を開けた。
その原点となっているのが、知る人ぞ知る『RAPPER’S WONDER』というイベントだ。2001年6月に渋谷VUENOSで開催されたこのイベントを機に、BLYYの前身となるIKEBUKURO BLOOD LINEというHIPHOPグループは結成されたという。
AKIYAHEADは次のように当時を振り返る。
「僕はalledとDzluと中学の同級生なんですけど、当時は別のグループで活動してて。高校を卒業した頃にすでにイベント主催経験があったその二人と協力して、一発ガツンと大きなイベントをやってみようという話になったんだよね。結果的にかなり手応えのあるイベントを打つことができたんですけど、そのVUENOSで僕の所属してたグループのライブに参加してたのがアメリカ帰りのDMJとclayで、そこから自然な流れで今のメンバーが合流した感じですね」
『RAPPER’S WONDER』は翌月から池袋MADAM CARRASに場所を移し、レギュラーイベントとなった。ここから、池袋を拠点とするBLYYの本格的な活動が始まったのだ。
私もこのイベントに遊びに行っていたのだが、BLYYのラップのうまさには度肝を抜かれた。MADAM CARRASの特殊な構造のステージ上で、「くらった奴は即タッチロープ 辛くなっても掴まねぇロープ」とフックを歌うalledとAKIYAHEADの姿を今でも鮮明に覚えている。リリックは組み替えられているものの、この“Stage”という曲が約20年という時を超えて今作に収録されているのは、個人的にとても嬉しい。
2003年にはMADAM CARRASでの彼らのレギュラーイベントはいったん幕を閉じた。だが、その頃から徐々に交流のあるオーガナイザーやアーティストからオファーを受け、様々なイベントでライブ出演を重ねていったという。
Dzluは次のように語る。
「自分たちのイベントがなくなってからしばらくはフラフラしてたけど、仲が良かったGEEKの六本木NUTSのイベントに呼んでもらったり、本田Qに声をかけられてライブをやらせてもらったりしてましたね。あとは浦和BASEのイベントにも出演してました。そのイベントにはZAGSYSTEMとか原島”ど真ん中”宙芳もいたし、PUNPEEも遊びに来てて、今でもよく覚えてる」
「でもやっぱり自分たちでイベントを主催してそこでライブするっていうスタイルがしっくりきてた」と語るalled。BLYYは2006年には池袋のDJ BAR COLOR(現knot)で再び『H.A.N.D』というレギュラーイベントを主催することとなった。
一方で、池袋BEDで精力的に活動し始めたのも同時期のことだ。『H.A.N.D』と並行して、ONE-LAWが主催する『CHRONIC SPOT』に出演するようになり、それを機にBEDでの出演が増えていったという。「みんな若かった。まだ20代半ばぐらいの頃だよね」とDzluは笑顔を見せる。
また、BLYY はこの時期に初のデモEP『THE SHIT』を制作し、フリーで配布している。この作品は現在、各音楽配信サービスで配信中なので、ぜひチェックしてみてもらいたい。
池袋の最重要拠点BEDで磨かれたライブパフォーマンス
「BLYYっていうグループがしっかり形になって魅力が増したのってBEDに出演するようになってからだったよねって、今でもよく言われるんですよ」(AKIYAHEAD)
東京のクラブシーンのなかで重要なポジションを担い続けていたBEDは、各地から凄腕のアーティストや耳の肥えたヘッズが集まる場所だった。確かに、そのステージ上で5MC+1DJのBLYYのライブは洗練され、はっきりとした輪郭を帯びていった印象がある。独特の空気でオーディエンスを包み込む彼らの存在感は、2010年頃のDJ SHINJIの加入によりさらに増していった。
「俺らの活動ではずっと“イベントの主催とライブ、そのライブのための楽曲制作”っていうのが基本姿勢としてあった」とalledが語るように、音源の制作よりも、定期的なイベントオーガナイズや一回一回のライブの魅せ方に主眼を置いていたようだ。
「昔から活動してるヒップホップアーティストにとっては当たり前のことだと思うけど、ライブは基本的に既存のレコードのインストを使うのが自分たちのスタイルだった。ライブでやってる楽曲を音源に落とし込むことはあっても、オリジナルトラックで音源を制作してからライブをやるっていう順序はなかったんだよね。順番的に音源が先にくるのは、実は今回のアルバムが初めてのことなんです」(alled)
この言葉を聞くと、BLYYの音楽観のなかで現場でのライブというものがいかに重要なアウトプットとなっていたのかが分かる。とはいえ、もちろん音源を発表していなかったわけではない。2010年には自主レーベルから12inchのヴァイナルで『T.K.O.』をリリースしている。
alledは同作について「音源に関しては、もともとアナログのリリースにしか興味を持ってなかったです。CDを出すっていう感覚があまりなかった。今はアナログで出すアーティストが結構いるけど、当時は今よりハードルが高かったと思います。それでもメンバーだけで資金を集めてなんとか自主で出すことができたし、そのことには今でも価値を感じてますね」と話した。
2011年頃からは『MONSTER BOX』にも出演するようになり、シーンの前線で活躍するアーティストたちと切磋琢磨を繰り返していったBLYY。今作に収録されている『MAN』でDzluも触れているが、長らく池袋を根城としてきた彼らにとって、2019年1月に閉店となったBEDは特別な空間だったに違いない。
「みんな普通に居酒屋に行くようなノリで遊びに行ってたし、すごくお世話になった。『MONSTER BOX』に出演するようになってからはもうどっぷりですよね。あの場所で本当にいろんな人と出会ったし、いろんな出来事が起きたし、一言では語れないぐらいの思い出があります」(DMJ)
2013年には、DJ SHINJIの提案により、当時BEDを中心にライブで披露していた楽曲がEP『THE SHIT2』としてまとめられることになる。これが、BLYYにとっての大きな転機となる。
SUMMITへの所属が大きなターニングポイントに
2013年8月にリリースされ、初の全国流通作品となったEP『THE SHIT2』。その制作開始を機に、BLYYは国内屈指のヒップホップレーベルSUMMITに所属することとなった。
SUMMIT所属のきっかけについて、Dzluは次のように語る。
「当時、『THE SHIT 2』のデモが完成した段階で、どこからリリースするかを検討してたんです。身近なアーティストたちとはちょっと違う動きをした方が単純に面白いかなって考えてて、パッと思いついたのがファイルレコードでした。ただ、自分たちに直接のパイプはなかったので、ファイルから独立してSUMMITを立ち上げた増田さんに相談してみたんです」
増田氏は次のように当時を振り返る。
「僕が仲介してファイルにつなげる予定だったんですけど、その前にBLYYの音源を聴いてみたらめちゃくちゃかっこよくて。同時に、当時のレコード会社やレーベルの情勢を鑑みると、これはもしかしたら自分自身が流通やプロモーションに関わった方が少しでも効果的なバックアップができるんじゃないかと直感したんですね。小さなレーベルなりにBLYYのために動けるんじゃないかって」
同氏のこの判断がBLYYにとっての転機となった。自分たちの考え方で自由に音楽活動をしていたグループにとって、音楽レーベルに所属することの意義は大きかっただろう。メディアへの露出は増え、活動領域も広がったはずだ。また、増田氏の熱意や客観的な視点が、BLYYのさらなる成長ドライバーとなったのではないだろうか。
alledは次のように語る。
「増田さんのバックアップとかアイデアが加わることで、BLYYの新しい一面を見せられるようになったのは間違いないですね。今回のアルバムひとつとってみても、自分たちにはない着眼点によってプラスアルファが生まれたと思ってて。さっき言った通り、俺らはレコードを作ることしか考えてこなかったので、やっぱりクラブで爆音で体感できる音楽を想定してきたんですよね。でも今回に関しては増田さんがイヤホンで鳴りをチェックしてくれたりもして、最終的にどんな環境でも聴いてもらえる作品になったと思うんですよ」
『THE SHIT 2』発表後も、BLYYは本拠地である池袋での活動を継続しつつ、SUMMITの一員として活躍の場を広げていった。SUMMIT主催の大型イベント『AVALANCHE』への出演のほか、作品としては同レーベルに所属するアーティストたちとマイクを回したポッセカット“SUMMIT Theme Song -吐血MIX-”(2017年)なども記憶に新しい。
また、2019年4月に『THE SHIT 2』収録曲の12インチシングル『精神の光 / finger』を、同年9月には今作『Between man and time crYstaL poetrY is in motion.』収録曲から12インチシングル『OYKOT / Papersoul』を先行発売するなど、アナログをリリースする方針も貫いている。
約20年の歴史で醸成されたピュアなマインドと音楽
ここまでBLYYの歴史を簡単に振り返ってきたが、約20年もの間、(DJの入れ替わりはあったものの)変わらない大所帯のメンバーで活動を続けてくることができた要因や求心力はどこにあるのかと興味が湧く。
『THE SHIT』に収録されている“DANJAMEN”という曲に、DMJの「上から見下ろしゃただのガラクタ 下から見上げりゃ図太ぇ絆」という個人的に大好きなパンチラインがあるのだが、まさにこのグループには決して揺るがない“図太い絆”のようなものがあるのではないだろうか。
この素朴な疑問に、彼らは次のように答えてくれた。
「お互いの感性や実力を信頼し合ってるのは確かで、それがある限り崩れることはないと思ってきましたね。あと、SHINJIがバックDJになってからさらにバランスが良くなったかもしれない。まぁでも、実際は全員歳も近いしシンプルに友達としての付き合いというか繋がりの方が強かったりもするんだけど(笑)」(alled)
「BLYYはこれだけメンバーが多いからこそ自己完結できてるっていう感覚が強いかもしれない。つまりライバルも味方も内部に揃ってて、そこで高め合うことができたんじゃないかって」(AKIYAHEAD)
「あと、けっこう真面目にやってた部分もあるんですよ。月一でしっかりミーティングしてる時期もあって、そこで議題を決めて話し合ったりとか、個人個人の近況報告みたいなこともしてた。ただ、一ヶ月で何かしら更新されてる奴が誰一人としていないってことが分かるだけだったりもしたんですけどね(笑)」(DMJ)
ヒップホップグループが息長く存続する難しさはよく知っているつもりだ。長く音楽活動を続けていると、停滞する時期もあれば大きな環境の変化を経験する時期もある。もちろん、メンバーそれぞれのライフステージも変わっていく。そんななか、20年前から同じメンバーで東京のシーンの一角を担い続けてきたこと自体が、BLYYの個性そのものであり、そこに彼らの音楽の大きな価値があると感じるのだ。
ホームイベント、ライブ、制作、ストリートライフ、日常生活。そのすべてにおいて池袋を中心とするエリアの土壌に根を張り続け、約20年もの間その空気感を吸い上げてきたBLYY。ある意味クローズドな環境で互いに刺激を与え合うことで醸成された音楽の集大成が、今作『Between man and time crYstaL poetrY is in motion.』だ。彼らはこのアルバムの楽曲で歴史を語っているわけではないが、そこには間違いなく約20年の軌跡とBLOOD LINE(血脈)が刻まれている。
短期集中型キャンプから加速していった制作
今作『Between man and time crYstaL poetrY is in motion.』を聴いていると、あらゆる単位で変化する東京を様々な角度から眺め、その変化が映し出す光と影のなかで自分たちのスタンスを保つBLYYのメンバーたちの姿がありありと目に浮かぶ。現在の日本の状況や自分の生活と重ね合わせることもできて、とても勇気をもらえる作品だった。
音楽を志す者の心の葛藤や覚悟を垣間見ることができる詩的なリリックから、東京のヒップホップ、ひいては日本やアジアのヒップホップをレペゼンするようなダイナミックなラインまで、聴きどころは満載だ。
今回はその中身を深く掘り下げることはしない。彼らは”Master(達人)”だ。生き様や感情が見え隠れするライミングとビートに、我々はただ身を委ねれば良いのだと思う。
インタビューでは、制作の舞台裏に焦点を当ててみた。ポイントは、先述した通り「ライブのための楽曲制作」から脱却し、初めて「音源の制作」に集中したという点。「音源を一気に作っていくというのはこれまでにはない試みだったので、俺の家でキャンプと称してメンバー全員で制作に集中する期間を設けたんです」とDJ SHINJIは語る。2017年末から開始された制作は、短期集中型のキャンプ(合宿)がベースとなっているようだ。
キャンプでは、ビートメイクのためにメンバーがサンプリングネタを持ち寄っていたという。今作は全曲alledによるプロデュースとなっているが、DzluやDJ SHINJIが所有するレコードも活用されている。
「ブレイクビーツは基本的にDzluの7インチを使ってたりするし、随所にそれぞれの持ってるネタが散りばめられてます。制作のために意識して掘ってた部分もあると思いますね。だからこのアルバムではDzluやSHINJIと一緒にトラックを作り上げたっていう感覚が強い。今回はクレジットはできなかったけど、実はこの3人のプロデュースチームの名前もあるんですよ」(alled)
DMJはキャンプでの制作について次のように振り返る。
「“山陽”っていう曲がすごく印象に残ってて。キャンプの期間中にその場でフリースタイルの延長で書いて、それですぐに録ってみてっていう流れでできた曲なんです。聴いてもらえれば分かると思うけど、今回のアルバムでは、本当にシンプルにその時間と空間と感情を切り取ったラフな作り方をしたりもしてるんです」
一方で、AKIYAHEADはこう述べた。
「僕に関しては逆に昔書いたリリックとかも全然使ってますね。それこそ『Stage』にはBLYYで活動するようになって初めて書いたリリックが入ってるし。20年ってある意味ラップの修行のようなものだったと思ってるんですけど、その成果をキャンプでの制作で集中してアウトプットできたと思ってます」
その後、プリプロの録音まですべてキャンプの延長で行われたという今作。「制作の場が自分の家からスタジオに移って形になっていく過程は個人的に感慨深かった」とDJ SHINJIは語る。
これだけ人数の多いグループで、曲数も17曲とボリュームがあるアルバムだ。レコーディングやミキシングの工程も大変なものだったのではないだろうか。
alledは次のように語る。
「特に大変だったっていう印象はないけど、やっぱりこだわりが強いのでそれなりに時間はかかったのかな。ラップで伝えたいメッセージは昔からあまり変わってないけど、みんなフローは追求し続けてきたと思うんだよね。日本人のラップのフローでどこまで表現できるかっていう。だから、レコーディングではベストなフローを発揮できるように意識はしてた。特にテンションは狙ってましたね。例えばAKIYAHEADはメンバーのなかで一番パワーがあってストレートにパッションを伝えるタイプだから、全体のバランスを考えて少し抑え気味で歌ってもらったり。そういうのは自分がなるべくコントロールするようにしてましたね」
レコーディングを終えてミキシング作業に増田氏が加わったタイミングで、予定していた曲数が増えるなど、リリースへの勢いは加速していったという。「MV制作も同時に進行させて、勢いを止めないように意識はしてました」とDzluは語る。
BLYYのビジュアルを魅力的に彩るMVやアートワーク
今作のリリース前に徐々に公開されていったMVやCDジャケットなどの新ビジュアルにインパクトを感じた人も多いのではないだろうか。BLYYのこれまでの作品には、必ず強力なクリエイティブが付随している。音源同様、メンバー自身もアートワークへのこだわりは強いが、そこには彼らのビジュアルイメージを影で支えるプロフェッショナルたちの存在があることにも触れておきたい。
長年にわたってBLYYのアートディレクションを担当してきたのが、メンバーと10代の頃から付き合いのあるUllah氏だ。BLYY活動初期のデモテープ時代から現在に至るまで、すべての作品を手がけている。最近では、今作のCDジャケットはもちろんのこと、“OYKOT”のMVにCo-directorとしても参加している。少し遡ると、“精神の光”のMVも担当していて、ヘリウムガス入りの風船にトイカメラを搭載して空撮するという、ドローンの先駆け的な斬新な手法を採用したのも彼のアイデアだ。言うまでもなく、BLYYを語るうえでは本当に欠かせない存在である。
また、“OYKOT”や“Papersoul”のMVは、映画監督の楫野裕氏が手がけている。楫野氏は2019年に宮下浩平氏(“Papersoul”の撮影を担当)とコンビで全編8㎜モノクロフィルムの自主映画『阿吽(あうん)』を発表し、業界で話題を呼んでいる人物だ。BLYYとは5、6年前から飲み友達で、ライブにもよく遊びに来てくれていたという。
さらに、BLYYの本拠地である池袋の様々な風景をドラマチックに切り取った“MAN”のMVは、「映像作家100人2019」にも選出された丸山雄大氏によるもの。これまでに、PUNPEEの“Happy Meal”をはじめ、EVISBEATSやSALU、JJJ、シンガーソングライターiriなどのMVを手がけており、監督・カメラ・編集までこなしている。こちらも次世代を担う新進気鋭の映像クリエイターとして大注目の人物だ。
過去作も含め、BLYYの作品を彩るハイセンスなデザインやMVのクオリティーの高さにもあらためて注目してもらいたい。
20年目のファースト・アルバムへの思いとメッセージ
ときおり笑いの起こる和やかな雰囲気のなかで、数々の懐かしいキーワードが飛び交ったインタビュー。最後に、メンバーそれぞれに読者に向けたメッセージをもらった。
「俺はもともとジャンルの垣根を超えて聴ける音楽しか作る気はないんですけど、それを今回のアルバムでしっかり形にできたんじゃないかなと思ってます。HIPHOPが好きな人はもちろんのこと、それ以外の音楽が好きな人の耳にも届いてほしいですね。垂れ流して聴いてもらえたら嬉しいかな。聴いてるうちに気持ち良くなって寝ちゃったとか、それは最高に嬉しいかもしれません(笑)。あとは『SI7』、『Smith』、『Boys 2 Men』っていうソロ曲にも注目してもらいたいですね。他の曲に比べて地味に感じるかもしれないけど、後々響いてくるのはこういう曲じゃないかと思ってます」(alled)
「聴いてもらえば分かると思うんですけど、僕らは何も飾らずに本当にありのままで音楽活動をしてきたので、それが伝わったら嬉しいですね。みんなと同じように日常生活を送って、そのなかにずっと音楽があって、それをライブで表現してっていうのを繰り返してきただけなんですよ。道を歩きながらでも聴いてもらって、何かポジティブでタフなものを感じとってもらえたらと思います」(AKIYAHEAD)
「完成したアルバムを聴いて、自分自身が今後挑戦してみたいことが見えた気がしてて。自分は英語のリリックが多いんですが、これからまた違った表現も探っていきたいなと思いました。あと、自分たちもこういう年齢になって、BLYYのメンバーの一人ひとりが気づけば人生のなかで一番長く付き合ってきた相手になってるんですよね。そのメンバーたちと一緒にまた一つ音楽を形に残せたことに感謝してるし、これまでの20年を振り返ると感慨深いものがあります。ぜひ、多くの人に届いてもらいたいですね」(clay)
「HIPHOPでもSOULでもJAZZでもなんでもいいんですけど、とにかくシンプルに音楽が好きだっていう人に聴いてもらいたいです。あと、プライベートの生活で関わってる人たちに自分が音楽活動をしてることを分かりやすく伝えられるアイテムができたっていう感覚もあるので、あいつの作品だって気づいてもらってチェックしてくれたら嬉しいですね。それから、今回のアルバムはBLYYだけでなく増田さんも一緒に作ったっていう印象が強くて、それが作品にも現れていると思うので、増田さんが届けたい相手にもぜひ届いてほしいという思いがあります」(DMJ)
「当たり前なんですけど、レコードとかCDを買うと、そこにはジャケットがあったりとか、付随するデザインがあったりするんですよね。そういうのを含めてトータルで音楽作品だと自分は思ってて。やっぱり一個のモノとしてBLYYのアルバムが存在しているっていうのが理想的だと思ってます。もちろん配信で聴いてもらえるのも嬉しいですけど、この作品を手にとっていろんな角度から楽しんでほしいです」(DJ SHINJI)
「俺は家族とか職場の人とかに音楽活動についてあまり話してこなかったんですけど、例えば腹違いの弟が自力でディグってBLYYに辿り着いたりして、何も言わなくても自然に知られるようになってきたんですよね。そういうのを見て、長年続けてきて良かったなって思ってます。時の流れをポジティブに捉えられるようになったというか。今回の作品もやっぱり一つの通過点だとは思うんですけど、いろんな人に聴いてもらいたいし、今後も継続して自分たちの音楽を表現していきたいです」(Dzlu)
同席してくれた増田氏も、次のようなメッセージをくれた。
「僕が初めてBLYYの音楽に触れたのが2013年なんですが、今日のインタビューで語られたような昔のことってほとんど知らないんですよね。ただ、僕のなかで確信してるBLYYのかっこよさっていうのはちゃんとあって。今回のアルバムに関わるなかで、BLYYがずっと大事にしてきたものを尊重しながら、自分なりにサポートして、メンバーと一緒にBLYYのかっこよさを探求していったつもりです。今までのBLYYとはまたちょっと違うけどこれはこれでかっこいいなと思ってもらえたら本当に嬉しく思います」
移り変わる時代。変わらない生き様
インタビューを通して最も強く感じたのは、彼らがどこまでいっても自然体だということだ。時代の変遷に対して柔軟に活動方針や音楽のスタイルを変化させるヒップホップアーティストが多くいるなかで、ブレることなく一つの姿勢を貫いてきたBLYY。だが、そこには尖った印象は一切なく、ありのままコアで居続けるアーティストの姿があった。
個人的には、今後の各メンバーのソロでの活動にも注目していきたい。これまでに、敏腕プロデューサーDopeyのプロジェクトでalledがラップしている“Too Music”(2017年)や、最近ではJ.COLUMBUS、AKIYAHEAD、原島“ど真ん中”宙芳という異色の3MCがラップする“GAMES”など、個々の活動でも名曲が生まれている。
音楽に関わる同じ世代の人間として、BLYYの一人ひとりに今後のますますの活躍を期待したい。彼らは、これからも必ず我々を魅了する音楽を発信し続けてくれるに違いない。
Info
『Between man and time crYstaL poetrY is in motion.』が2LPでリリースが決定!
Artist:BLYY
Title:Between man and time crYstaL poetrY is in motion. [2LP]
Label:SUMMIT, Inc.
No.:SMMT-156
Format:2LP / シングルスリーヴ / ポスター封入 (33 rpm)
Price : ¥4,378 (tax in) / ¥3,980 (w/o tax)
Side A
1. MAN
2. Intro
3. OYKOT
4. SI7
Side B
1. Black Nylon
2. Goodbye tomorrow
3. Mystic River
4. swim in the city
Side C
1. KIIRO
2. Stage
3. Smith
4. Papersoul
5. 山陽
Side D
1. Boys 2 Men
2. Genius & Master
3. Outro
4. Time Crystal
Artist : BLYY(ブライ)
Tiltle : 「Between man and time crYstaL poetrY is in motion.」
Format : CD / Streaming / Digital DL
Release Date : 2020.7.22
No. : SMMT-144 / XQMV-1016
Price : ¥2,500 + tax
1. MAN
2. Intro
3. OYKOT
4. Black Nylon
5. SI7
6. Goodbye tomorrow
7. Mystic River
8. KIIRO
9. swim in the city
10. Papersoul
11. Stage
12. Smith
13. Boys 2 Men
14. 山陽
15. Genius & Master
16. Outro
17. Time Crystal
BLYY are… AKIYAHEAD, alled, clay, DMJ, Dzlu, DJ SHINJI
all tracks produced by alled
all recorded & mixed by Seiki Kitano @ BANG ON recordings
mastered by ena
photo by Kohei Miyashita, Yu Kajino
total art direction by Ullah
a&r : Takeya "takeyan” Masuda (SUMMIT, Inc.)
●Linkfire :
「Between man and time crYstaL poetrY is in motion.」
(CD & DL,STREAMING)
https://summit.lnk.to/SMMT144
COBA5000
プロフィール:2003年頃まで、ZAGSYSTEMのMC兼ビートメーカーとして都内を中心に活動。B-BOY PARK 2003 MC BATTLE本戦、UMB2005 GRAND CHAMPIONSHIP、UMB2007 GRAND CHAMPIONSHIPに出場するなど、MCバトル黎明期に数々の戦歴を残す。2006年には自身の所属するWAQWADOMで1st Albumをリリースし、アンダーグラウンドシーンで大きな話題を呼んだ。その後、ソロでの活動を続け、2011年に地元千葉のクルーKOGAI UNITで1st Albumをドロップ。2012年にはプロデュースチームMAXIRIESで1st Albumをリリースした。一時活動休止を経て、現在はMAXIRIESのMC兼ビートメーカーとして再始動している。
Twitterhttps://twitter.com/coba5000
オフィシャルwebサイトhttps://maxiries.com