新型コロナウイルスによる前代未聞のパンデミックによって、多くのアーティストがライブをキャンセルすることを余儀なくされた今年の上半期。音楽業界も様々な構造改革や業態の変化を強いられる中、アメリカの大手プロモーターであるLive Nationが規約変更を要請していることがわかった。
Rolling Stoneによると、Live Nationは2021年に開催されるライブイベントやフェスに向けた新たな方針を定めるメモを残しており、その規約の中にアーティスト側に大きな金銭的負担を強いるものが増えているという。例えばイベント前にアーティストと契約される金銭的な保証を20%へ減額する意向が示され、またチケットの売れ行きが振るわなかったためにイベントがキャンセルされた場合にアーティストに支払われるギャランティを4分の1に減額するとのこと。さらにアーティストが契約に違反する形でイベントをキャンセルした場合、アーティストがLive Nation側にブッキング料の2倍の金額をペナルティとして支払うことが要求される。これはライブに関連する音楽業界では前代未聞のシステムとなるため、波紋が広がる形となっている。
Live Nationによるメモには「我々はこれらの変更の重要性を十分に認識しており、真剣に検討することなくこれらの変更を行ったわけではありません」と綴られているが、取材に対してはノーコメントであったそう。しかし記事中ではLive Nationと近しい情報源なる人物がこの変更を「ライブが再開されたときに、COVID-19以降の未来をナビゲートするための音楽業界との広範囲にわたる交渉の一部」と称している。
いずれもアーティストにとっては厳しい変化となっているが、Live Nationがコロナ以降の新たなビジネスフォームという部分を強調していることから、プロモーターとしての事業を継続して行くための苦肉の策であることが窺える。コロナ禍以降におけるライブビジネスのスタンダードな形は、まだ誰もが模索している最中だが、影響力の強いLive Nationの規約の変更は、1つの基準を掲示するものになるだろうか。
Rolling Stoneが入手したLive Nationのメモの全文はこちらから読むことができる。