ラッパーとして活動する人の多くは、いつか大きな成功を収め豪華な暮らしを送ることを夢見ているはずだ。しかし、中には会社の金を横領しラッパーとしての架空のキャリアをでっち上げる猛者も存在するようだ。
Complexが報じるところによると、ボルチモアを拠点に活動するChad Focusというラッパーが、自身が勤務する会社のクレジットカードを使って広告を出しフォロワーを買うなどしたことで詐欺と横領の容疑で逮捕された。彼は会社のアメリカンエキスプレスを410万ドル(約4億5000万円)ほど使い込み、音楽機材、SNSのフォロワー、SNSに投稿するための大量のジュエリーを大量に購入し、あたかも自身が成功したラッパーであるかのように振舞っていたのである。
さらにChad FocusはSNSの投稿のみにとどまらず、自身のライブのチケット12万5千ドル相当(約1300万円)を会社のクレジットカードを使って自ら購入し、楽曲を配信するためのストリーミングサービスの代金も会社のクレジットカードを使用していた。
極め付けに、彼は地元ボルチモアにラッパーChad Focusとしての宣伝の看板を会社の金で複数設置していた。そこには「世界で一番のレコーディングアーティスト。2024年の大統領はコイツだ」という文言のほか、「金を稼げ」「Chad Focus。リッチになる方法を教えてやるよ」といった宣伝文句が記載されていたという。その「リッチになる方法」というのが横領であったのだから皮肉な話だ。
現在彼のSNSには様々なコメントが寄せられており、中には「ラッパー版Fyre Festival」という痛烈な言葉も存在している。
Chad Focusの判決は5月に宣告される予定であり、最大20年の服役刑を課される可能性もあるとのこと。卑怯な手を使ってでも、成功したラッパーになるという夢を叶えたかったのだろうか。可笑しくも哀しいニュースであった。