ヒップホップのファンであれば、誰しも憧れのラッパーと会ってみたいという気持ちを抱いたことが一度はあるだろう。日本を訪れる機会がないラッパーと会うにはアメリカに飛ぶ必要があり、向かう地区によっては様々な面で困難が伴う。しかし、中には強い勇気と行動力で単身アメリカの危険な地域に向かう猛者もいるようだ。
日本人でラッパーとしても活動するRyo Muranakaさんは、憧れのBone Thugs-N-Harmonyと会うために単身オハイオ州のクリーブランドへと向かった。Complexによると、彼は自身のCDなど様々な所持品を売ることで資金を捻出し、計画を実行に移したという。アメリカへの旅は全くのノープランであり飛行機のチケットも片道しか購入していなかったようで、かなり大胆な行動である。
しかしアメリカはそう甘くなかったようで、Muranakaさんはクリーブランドの路上で強盗に荷物を奪われ倒れているところを地元の活動家であるJames Norton氏とKwas Bibbs氏に発見された。その時点で彼のアメリカへの滞在許可は失効しており、入国管理局に逮捕され国外に追放される危険もあったという。
この窮地から彼を救ったのは他ならぬBone Thugs-N-HarmonyのLayzie Boneだった。彼はMuranakaさんのためにホテルの部屋を取るなどのサポートを行い、Muranakaさんのアメリカを訪れた目的も叶うこととなった。HipHopDXの取材に対し、Layzie Bone自身は「必ず夢を追え。ただし、行ったことが無い場所に行くときは気をつけなきゃいけない。俺たちが育った地域は決して良いところじゃない。彼が奪われたのが荷物だけで本当に良かった」と、Muranakaさんの勇気を賞賛しつつもファンに忠告を行なっている。
Muranakaさんは入国管理局側の対応を待ちながら、「日本で生まれたけれどアメリカで死ぬつもりです」として今後も滞在を続けたいという意志を表明している。
代わり映えのしない日々に飽き飽きしている方は、Muranakaさんの勇気を見習って憧れの地へ向かってみてはいかがだろうか。ただし、その際は是非とも十分に注意して欲しい。