アメリカの南部で次々と成立している妊娠中絶規制法案。アラバマ州では性的暴行などによる妊娠も含め人工中絶を全面的に禁止する法案が可決された他、ジョージア州、ルイジアナ州などでは胎児の心音が確認された場合の中絶を禁止する通称「ハートビート法」が議会を通過。女性に対する人権侵害であるという声や、そもそも合衆国憲法の規定に反しているとの批判が相次いでいる。そんな中、ジョージア州で多くのコンテンツを制作しているNetflixが、同法が施行された場合ジョージア州での事業を撤退する可能性を示唆している。
NetflixのCCO(最高コンテンツ責任者)であるTed Sarandosは、Varietyに発表した声明文にて「ジョージア州では多くの女性スタッフが制作に携わっており、彼女たちを始めとする何百万もの女性たちの人権が、この法律によって著しく脅かされることとなります。これが、私たちがアメリカ自由人権協会に協力して法廷で争おうとしている理由です。法律が未だ施行されていないことを踏まえて、私たちはジョージア州での撮影を継続しますが、同時にジョージア州での仕事を拒否するパートナーやアーティストも支持します。同法が施行された場合、ジョージア州への投資全体を再考することとなります」と、妊娠中絶規制法への強い抗議を表明している。
ジョージア州は映画、ドラマ産業への積極的なサポートで知られており、2018年には455のテレビドラマや映画がジョージア州で制作され、95億ドルの、経済効果を上げたことが発表されている。Netflixも『ストレンジャー・シングス』などの大人気シリーズをジョージア州で制作しているため、Netflixが事業を撤退した場合ジョージア州にはかなり大きなダメージが見込まれる。
Netflixの他にもディズニーやワーナーなどの大手メディアが同様の発表を行っている。これらの企業全てが撤退した場合ジョージア州への影響は計り知れない。
人権を著しく侵害する法律が成立したことを受けて、多くのアーティストや企業が抗議の意思を表明している昨今。果たして、今後ジョージア州の決定が覆ることはあるのだろうか?