2014年7月のcero×SIMI LAB×PUNPEE、2017年6月のスチャダラパー×never young beach×ZOMBIE-CHANG。これまでにもさまざまな場所で熱狂をメイクしたパーティー〈Erection〉主催の3ウェイ・ショーケースが約2年振りにバック・アゲイン。今回、ヴェニューである代官山UNITのステージに揃うのはYogee New Waves、VaVa、VIDEOTAPEMUSICの3組。さて、この異色混交音楽宴、どうなってしまうのか?
今回は4月12日のライブ開催を目前に、出演者による特別鼎談を敢行。Yogee New Wavesから角舘健悟、VaVa、VIDEOTAPEMUSICの3名を招いて、ライブへの意気込みや、制作段階における“沼”、コラボレーション/フィーチャリングの意義についてなどをディスカッションしてもらった。
取材・構成 : 高橋圭太
写真 : 寺沢美遊
- まず最初に3人が各々に対してどんな印象を持ってるか伺おうと思います。VaVaさんはいかがでしょう。
VaVa - 角舘さんとは、知り合う前からライブを観に行ったりしてたんですが、ちゃんと話したのは自分のアルバム『VVORLD』に入ってる“星降る街角”に客演をお願いしたあとです。VIDEOさんはGRAND KIRINとFNMNLの企画イベントで共演したときが初対面ですね。おふたりとも日本感っていうのかな……日本人なりの温かみを感じる音楽という感じがします。ヒップホップって“世界に進出したい”って気持ちでやってるひとが多いと思うんですよ。そういうアーティストと、さっき言った“日本感”を大事にしたアーティストというのはなんとなく違う印象があって。個人的には前者ももちろん尊敬するんだけど、日本人なりのエモさを大事にしているアーティストもすごく好きで、おふたりの音楽にもそういった印象を感じてます。
- 角舘さんはどうでしょう。
角舘健悟(以下、角舘) - 抽象的に言うと、VIDEOさんは“マッド・サイエンティスト”で、VaVaちゃんは“リトル・ハルク”って感じ(笑)。
- “リトル・ハルク”(笑)?
角舘 - 体の大きさはハルクと違って人間とおなじ、心は優しいんだけど、アティチュードで攻めてる奴って感じですね。それこそさっき“日本人なりのエモさ”って言ってましたけど、日本人って2番目が好きじゃないですか。トップになることより2番が好きで。日本人がジェントルって言われるのはそういうところにあるのかなって思って、それはふたりにもすごく感じてるし、自分にも備わってる部分なんだろうなっていうのを感じてます。
VIDEOTAPEMUSIC(以下、VIDEO) - 自分はふたりに“男子感”を強く感じるんですよ。VaVaくんはぼくに近いシャイさを持ってるんだろうなって思います。ひとりでいるのも好きだし、みんなで楽しむのも好き。シャイさのバランスのなかで、自分で考えながら絶妙なところを作ってる。角舘くんは“男たちだけの楽園”みたいな、男子のエネルギーみたいなのを感じてます。お互い違うんだけど、“男子感”みたいなものは共通してあるんじゃないかなと。
VaVa - まさに。ひとりの時間、めっちゃ好きですね。
角舘 - 自分はひとりがダメなんだよなぁ。
VIDEO - そこが対照的だと思うんですけど。この3人のなかだとぼくがいちばんひとりの時間が好きなタイプなんじゃないかな。
- VIDEOさんが言ったシャイネスはたしかに3人に共通してある部分かもしれませんね。実際、角舘さんは自分のことをシャイだと思いますか?
角舘 - シャイさを克服しようってずっとチャレンジしてるんですよ、自分としては。本当はそんなことしなくていいんですけどね。子供のころからずっとふざけてる奴で。それは自分のシャイさを隠すためというか。ただ、最近はそれを克服しつつあって。自分のシャイな部分を抜いて明るい部分だけ残したらスティーヴィー・ワンダーみたいになれるんじゃないかな(笑)。
VIDEO - 日本人的なシャイさと戦ってる感じは感じるね。それはVaVaくんもそう。自分でもずっと考えてるテーマであるから、そういった情緒が音楽にも表れてるのかなと思います。
VaVa - ぼくもビートメイカーやDJしかやってない期間が長かったので、いざラップをはじめて、“どうしよう?”みたいに悩んでた時期がありますね。ラッパーってやっぱりカッコつけるのが似合うひとたちじゃないですか。だから自分なりにカッコつけたりもしたんだけど、まわりとは全然違うから。
VIDEO - でも、そういったシャイな部分と戦ってる感じがすごいなと思いますけどね。ぼくはいつまでも抜けきれないですね、照れから。自分はずっと裏方の意識が強くて、表に出るのが嫌いだったから。でも、自分の音楽をリリースしたときに、ライブでそれをいちばんいい形で翻訳できるのは自分だろうってことで、覚悟を決めて前に出るようになったんです。
- VIDEOさんはそういった照れを克服したという意識はない?
VIDEO - ライブで一線を越える瞬間ってやっぱりあるんですよ。そういうときには“あ、なんか今日は克服できた”みたいに思えるかも。
VaVa - めっちゃわかりますね。ライブだと3曲目くらいまでが重要じゃないですか? 3曲目まででミスしてしまったときの立ち直りのむずかしさはヤバい。
VIDEO - ぼくは2曲目っすね。そこまでうまくいくと大丈夫で、“スイッチ入れられた”って感じになる。
- バンドではそういう感覚ってありますか?
角舘 - あるかもしれませんね。自分たちはライブ前に毎回メンバー全員で円陣組むんですよ。それをやった瞬間にスイッチが入るっていうか。
VaVa - それめちゃくちゃカッコいいな。自分の場合、バックDJは先にセッティングがあるんで、自分だけの時間があって。相談相手が自分しかいない時間があるから、それが結構ヤバいんですよねぇ。
- VIDEOさんはバンドセットでの演奏前に円陣みたいなことは?
VIDEO - やってないですね……。ライブ前はただ無になって集中してる感じだから。“今日はがんばりましょう”ぐらいはありますけどね。円陣、やっていこうかな(笑)。でも、ライブでステージに上がったときはいちばん最初に前に出て深くお辞儀する習慣はあって、それが“今日はステージに立つぞ”ってスイッチの切り替えにはなっているかも。
- 円陣のようなジンクスもそうですが、みなさん各々信じてるものとかってありますか? ライブや制作で指針にしてるものやだれかのアドバイス、なにか特定のものへの執着でもいいんですが。
角舘 - ぼくらは愛ですね。それはムカつきも怒りも喜びも全部含めて、なにかを想うこと自体が愛だと思ってて。そう考えると音源もライブも勝手に手間暇がかかっちゃうんですよ。めちゃくちゃざっくりやるというコンセプトにしても手間はあるし、逆にこだわろうと思えばいくらでも……リバーヴのタイミングひとつでも“これがどう飛んでったら気持ちいいのかな”みたいなことを考える。そういうことまで考えだすと沼にはまるんだけど、自分は沼、大歓迎なんですよね。
- そういった沼を抜けだすためのセオリーみたいなのはみなさんありますか?
VaVa - 自分はサンプリング主体なんですが、まずサンプルをみつけた時点でぶち上がらないとそのネタを使わない。中途半端に“これ、いい感じじゃね?”くらいだと自分のハードルが越えられなくて。沼にはまったら、そのビートはストックにも置かないでプロジェクトごと消しちゃいますね。だからビートを作る時間より、ビートを作る前の準備の時間のほうが何倍もある。
VIDEO - それはうらやましい。自分も考える時間が9割、手を動かす時間が1割ぐらいが理想。じっくり悩んだとしても、アウトプットするときは瞬発力重視みたいな感じで。現状だと半々って感じなので、それくらいの割合で作りたいなぁ。
角舘 - どちらにせよ、制作する時間は悩みばかりですよね。
VaVa - こればっかりはしょうがない(笑)。自分は高校生のときとかモテなかったし、ヒップホップってすごく華やかなものってイメージがあったんですよ。ヒップホップのMVとか観ても派手じゃないですか。ただ、いざやってみたら“めっちゃ悩むことばっかだし、地味!”って(笑)。
角舘 - 作ってる側は細かい作業ばっかあるしね。全然華やかじゃない(笑)。
- 歌詞に関してはどうですか?
VaVa - ぼくは基本ずっとひとりで部屋にいる感じなので、いろんな場所に行ったり、遊んだりしてという経験で歌詞が思いつくひとがうらやましいです。完全に自分との対話なんですよ、ぼくは。それかゲーム。ゲームの主人公がどういう気持ちか考えたりして歌詞を作っていく。そういう感じですね。
- ちなみにVIDEOさんはどうやって沼を抜け出しますか?
VIDEO - 自分も制作で沼にはまることが多いんですけど、逆にそういうときこそ、むりやり力技で押し切ると変なのができるんです。当初のイメージとは別のものに生まれ変わるみたいな。重ねた時間が曲の下のほうにドロッとあって、その濁りが個性なんじゃないかって思います。沼状態の、行き詰まった感じを楽しんでるところもあるんですよね。そのせいで曲を作るスピードが遅いというのはありますが。
角舘 - ぼくも遅いですね。VaVaちゃんは早いよね?
VaVa - そうかもしれませんね。でもそれって全部、野望みたいな気持ちが原動力になってるんじゃないかと思ってて。『low mind boi』ってアルバムを出したときは、自分が報われてないって意識が強くて。ぼくが所属するCreativeDrugStoreのメンバーたちがいい音楽を作ってるのを横でずっと見てたから、“自分もマジでかまさないとな”みたいな。“ぶちかますぞ”っていう感情をめちゃめちゃためてた時期があったから、というのは大きいかも。逆にいまはアルバムも完成してしまったので、新しい野望をためる期間かなって思ってます。
VIDEO - 制作の意欲って意味で言えば、自分の場合はいろんな景色を見たり、そこで変な木を見つけたりとかって経験がベースにあるんですよね。“変な木がある違和感”みたいな、言葉にできない感じを曲にしたいなって。それは街を歩いてないとなかなか見えてこなくって。
- 角舘さんはどういったことで制作意欲を高めてますか?
角舘 - いまは家にあるエレピを弾くのが好きなんですけど、そこで生まれた曲のアイデアとかは全部録りためてて。それにいちいち全部に曲名をつけて、1年後とかに聴き返したりする。それで“美しいじゃないですか、このころのぼくは”って思ったり(笑)。で、それを曲にしてあげたら、それはまた素晴らしいなと思いながら曲を作ってます。クタクタで帰ってきてエレピを触るとクタクタな音が出るんですよ。“じゃあこれはクタクタなひとが聴いたらうれしいだろうな”とか思ったりしながら、“夜間飛行”って曲名つけて、夜間飛行するイメージでエレピを弾いて。歌も鼻歌で適当につけて。まぁ、次の日起きて聴き返すと“こんなクソみたいな曲出せるかよ”ってなるんですけど(笑)。けど、みんなが好きって言ってくれるような曲は、自分でも泣きながら一瞬で作れた曲が多い気がします。
VaVa - めっちゃ分かります。一瞬でできた曲の爆発力ってすごいですよね。自分も“Call”とか“現実Feelin' on my Mind”なんかはビデオも含めて3時間くらいで作ったんですよ。
角舘 - “Climax Night”もそう。その日に作って、その日に録音して、その日にMV作って、という感じだった。
VIDEO - うらやましいなぁ。最近は自分でもそういう瞬発力を鍛えたくて、ライブがあるたびに勝手に告知ムービーを作ってるんですよ。数時間で絶対に作るって制約をつけて、音も映像も数時間で作って。
VaVa - 瞬発力をうまいことコントロールしたいなと思うんですけど、なかなかむずかしいですよね。でも、以前『ドラゴンクエスト』の音楽をやってるすぎやまこういち先生のインタビューで、ドラクエのオープニングのあの音楽をトイレで思いついたって話をしてて。突然メロディーが降りてきた、みたいな。それをまわりから“すごいですね”とか言われるけど、それはそれまでの人生と制作時間でできた曲だって言ってて。その曲が5分でできたとしても、当時のすぎやま先生が30歳だったら、30年と5分でできた曲だっていう。それを読んで救われる気持ちになりましたね。
角舘 - “降りてくる”みたいなことはあるよね。さっきの“夜間飛行”みたいにして作った曲も、それをいい感じにしようとしてこねくり回したりしても、純度のパーセンテージが下がっていくだけになっちゃう。ぼく、中学1年生のりえちゃんって友達がいるんです。友達の妹なんですけど。小学生のころに“ベース弾きたい”って言うから“Climax Night”のベースとか教えてたんですよ。その子と最近電話してたら、彼女は自分がライブと音源で歌詞を変えたことに気づいてたらしくて、“りえは前のほうが好き”とか言うんです。あと“最近のライブはイントロを長くしすぎ、もっとパッと来てほしい”とか言われて。ぼくも“ごめんな、ごめんな”って(笑)。たしかに最近はちょっとこねくり回してたかもしれないって。
- ピュアだからこそ、って感じですね。いちばん信頼できるリスナーというか。
角舘 - それはだいぶ食らいましたね。
VaVa - たしかに作曲とかしてないひとの普通の意見ってめちゃめちゃ的を射てることありますよね。
角舘 - もう第三者の目線になっては見れないですからね。こっちでいろいろ説明しても、まわりくどいだけですし。
- VIDEOさんはそういった音楽の“純度”みたいなものに対してどう思っていますか。
VIDEO - 純度が高いものが意図せずできてしまった、というのは、ひとりよりバンドでスタジオに入ったときにあるかもしれませんね。自分ひとりで悩むより“みんなの演奏を信じてればそれでよかったんだ”ということはよくあります。
- それは共同作業の醍醐味ですよね。ほかのアーティストと共同で作る、というテーマについてもお訊きしたいんですが、角舘さんとVaVaさんはすでに“星降る街角”で共作経験がありますね。まずVaVaさんが角舘さんにオファーした経緯を教えてください。
VaVa - ぼくはもう最初のループができたときに、角舘さんの声が降りてきてたんですよ。“これはもう角舘さんに歌ってもらいたい”って思って。自分が思う理想的なフィーチャリングって“誰とやりたい?”みたいなところからはじまる話じゃなくって、“このビートだからこのひとを呼びたい”ってことなんですよね。
VIDEO - 頼まれるほうも一発で気づきますからね、“このひとはこういうつもりでぼくに頼んでるんだ”っていうのが。純粋な気持ちで頼んできてくれてる場合は、曲を聴いた瞬間にわかるんですよ。戦略とかじゃないですもんね。“曲がそのひとを呼んでいる”みたいな感じは、聴いてるひともわかるんじゃないかなと思う。
角舘 - 満足したいですしね、せっかく作るなら。オファーが来たときはまだVaVaちゃんのことを知らなかったんですよ。なので、ひとまずトラックを聴いて、そこから判断しようと思って。で、聴いた瞬間に“ハイハイ、ここに入ったらいいのね”みたいな感じで、VaVaちゃんの意図が一瞬でわかった。“こいつ、夜の街を歩いてる感じを想像してるな?”みたいな(笑)。それでいっしょにやる前に会ってみたいなと思って。
VaVa - で、昼の13時くらいからルノアールで会って、そのまま夜の22時くらいまで(笑)。
角舘 - 開始10分でこいつは失恋の話をしはじめて。“自分はモテないし……”みたいな話をずっとされて、“めっちゃいい奴じゃん……”みたいな(笑)。おたがいゲームも好きだし、“じゃあ、これからぼくん家で『クラッシュ・バンディクー』しよう! 曲なんてそのあとでしょ!”って。で、ラーメン二郎が好きって言うから食べに行って、VaVaちゃんが家に来て。ギター持つまですごい時間かかったね(笑)。
- はじめて会って、その日に作業しようって感じになったんですね。
角舘 - そうですね。で、アコギ弾きながらメロディー作って、VaVaちゃんがラップをしてくれて。
VaVa - 目の前で即興で作ってく姿を見て感動しましたね。
- そのときにできたものがだいぶ反映されている?
角舘 - そうですね、基盤は全部あの日に。そこから歌詞もちょっといじりつつ。
VIDEO - それこそ瞬発力ですね。角舘くんは以前、ヨギーのツアーの映像で自分にオファーをくれて。前向きに考えてたんですが、そのときのスケジュールの問題で断らざるを得なくて。申し訳なかったです(笑)。
角舘 - VIDEOさんにはある曲で“全世界の人たちが踊ってる”みたいな映像を作ってもらいたいと思って、それでオファーしたんです。タイミングが合うときに、ぜひやってもらいたいなと思ってます。
VIDEO - ぜひお願いします。
- VIDEOさんは自分のアルバムのほかにも、ceroとの共同作業などさまざまなアーティストと作品を作っていますが、醍醐味はどんなところだと?
VIDEO - なんですかね。ぼくはひとりでやっちゃうひとだから、別のひとの考えを知れるっていうだけで刺激的なんですよね。音楽っていう言語があれば、おたがいの話す言語や見てきた文化が違くても、そこで意気投合できるから。刺激的だし、そのたびに成長させてもらってますね。
- たとえば『ON THE AIR』に収録のNOPPALさんとの楽曲“Her Favorite Moments”はどんな感じで制作したんですか?
VIDEO – NOPPALと作ったときは曲が先にできていて。もともとぼくが福生でやってる米軍基地のお祭りに遊びに行ったときに、基地の子どもたちがブロックパーティみたいに、好きな曲をかけて騒いでいて。その光景が美しいと思って勝手にビデオ回していたので、それをサンプリングして曲を作ろうと。でもアメリカの10代の子たちとぼくの感覚にはちょっと溝があるなと思って、曲がうまく着地しなかったんです。その溝をだれかの客演で埋められないかなって考えたときにNOPPALが思い浮かんで。彼らとぼくのあいだの通訳を彼女がしてくれるんじゃないかと思って。それでお願いした感じです。“こういう感じの曲が作りたいんだけど”ってお願いしたら、すぐにラップが届きましたね。
- 自分の曲に客演を頼むときは、VIDEOさんから向こうが投げてきたものに対して修正をお願いすることはあるんですか?
VIDEO - ほんとに多少の手直し程度です。そのひとを選んだ時点でもうなにが来てもいいくらいの覚悟で頼んでるので。
- 選んだひとを信頼する、みたいな。VaVaさんは共作で制作するときに、自分の意見はかなり言うほう?
VaVa - うーん、自分からのサジェストはあんまりないんじゃないかなぁ。
角舘 - そんなことなかったよ(笑)! 最初のテイクを送ったあとに“ここはこうだと思うんですよね”って長文のLINEが来て。でも、それはめっちゃ嬉しかったっすね。それなら好き放題やろうってなった。
VaVa - すいません(笑)。毎回、曲を作るたびにぼくと(SummitのA&Rである)増田さんでかなり細かいやり取りをするんですよ。5分おきに“ここ変えてください”、“変えてみます”、“やっぱよくないから戻しましょう”みたいな感じで。それが当たり前になっちゃってるかもしれないですね。
角舘 - 自分も最初は歌を乗せるだけかなって思ってたけど、そこまでちゃんと言ってくれるんだったらギターも入れるし、バンドで絶対に使う通称“トロロンギター”って呼んでる音があるんですけど、それも入れようって。伝家の宝刀“トロロンギター”を(笑)。
- ハハハハハ! ちなみにVaVaさんからのLINEはどんな感じのことが?
角舘 - こちらのプライドは守ってくれつつもズバズバ(笑)。もちろん自分も一発OKではないと思っていたから、そこからVaVaちゃんも自分も満足できるように100%を目指したという感じですね。
VaVa - 本当にありがとうございます(笑)。
- VIDEOさんはもちろんですが、VaVaさんも自身でMVを撮ってますよね。そもそも映像を自分で作りはじめたのはいつぐらいから?
VaVa - 2、3年ぐらい前にはじめて、クオリティーは低いけど、ちょっとだけ自分でイメージしたものができてるかもなって思って。自分の好奇心だけで突っ走ってる状態なんでまだまだですけどね。最初は増田さんに曲を送るときに、映像付きで送ったほうが聴いてくれるんじゃないかなと思ってはじめたんです。
- プレゼンの手法として。
VaVa - そうです。簡易的なカメラを用意して、自分で可能な限りで世界観を。
VIDEO - 自分でビジュアルも含めてプレゼンできるっていうのは強いですよね。“自分で映像まで作ってるんだ”ってビックリしました。MVにクレジットが入ってないものが自分で撮ったものですか?
VaVa - そうですね。なるべく書かないようにしてて(笑)。
- VIDEOさんはもともと映像の勉強をしてたんですよね。どうして音楽もやろうって思ったんですか?
VIDEO - 音楽はずっと好きだったし曲作りもしてたけど、自分自身にミュージシャンって意識がなくて。映像がメインって考えてはいたので、本当にすこしづつという感じですね。映像でやりたいことも音楽でやりたいことも、自分のなかで合致してるので、より強くビジョンを伝えるためにやってるという部分はあるっすね。
VaVa - 自分がいちばん落とし込みたい世界観に近づけられるのかなと思いますね。ほかの監督さんにお願いして、そのひとが思う曲の世界観を表現してくれるのもすごく大事だと思うんですけど、別の筋道として、自分が思うビジョンを自分で表現することで、納得いくものを作りやすいのかなって。
VIDEO - 瞬発力を大事にしてるひとこそ、自分で映像を作れたら強いですよね。
- ちなみに、VIDEOさんは映像制作でいちばんテンションが上がる工程は?
VIDEO - 編集のタイミングですかね。音楽もやってるので、映像のカット編集もビートの考え方も同じ目線というか。映像のグルーヴによって曲の聴こえ方も変わってくると思っていて。ビートをすこしずらしてグルーヴを出したりするように、カットの編集のタイミングも拍の頭をずらすことでグルーヴが出たりするので。曲作りの延長みたいな感じでカット割りを作っている部分もあって、それはそれでおもしろいですね。
- 角舘さんも映像制作への興味はありますか?
角舘 - 実はですね、ぼくも映像を撮ってたんですよ。ただ、最近は自分のやることを絞るのが楽しいなと思ってて。
VIDEO - 他人に委ねるよさもあるからね。一概に全部自分でやることがいいとは言えないですね。
角舘 - だからこそ信頼できるひとにお願いするしかなくて。以前は、まわりでカメラ持ってる奴を連れてって“ここからこう撮ってくれ”みたいにしてたけど、それって撮ってるひとの感性を殺しちゃってるなって。“自分は音楽だけしっかりやったので、あとは好きにやってください”っていうのがいいですね。おたがいの熱量が合ってればいいんじゃない、というか。
- たとえば、この3人でなにかを作るとなったら、どんなものができるのかなという興味があって。仮にそういったお題があった場合、どんなものができますかね?
角舘 - 3人ともプロデューサー寄りの性格だから、各々違う気がしますね。
VIDEO - 自分だったら2人に自由に曲を作ってもらって、ぼくはその風景をドキュメンタリーとして撮る、みたいな。どっか知らない街に行かせて(笑)。
VaVa - それ、めっちゃいいっすね。
- それこそ、さっき話してもらったVaVaさんと角舘さんの初対面の日をVIDEOさんが撮ってたらおもしろかったかもしれませんね。
VIDEO - そこで勝手に撮った素材を使ってぼくが全然別の曲を作るという(笑)。
角舘 - もう可能性しかないですね。無限にできることがある。映像もそうだけど、VIDEOさんにはやっぱりピアニカ弾いてもらいたいですね。VIDEOさんの弾くピアニカって、すごくブルージーに聴こえるんですよ。で、そこにVaVaちゃんがラップで入ってほしい。もちろん、そこにVIDEOさんの映像もあって。考えだすと止まらなくなるやつですね。
- では、最後に4月12日の対バン企画への意気込みが訊ければと思います。
VaVa - 今回のイベントはぼくのことを知らないひともいっぱい来ると思うので“ヒップホップってこういうものだよ”というのを観ていただければと。“ヒップホップやってます!”みたいな、男らしいことは言えないタイプではありますけど、ある意味で挑戦かなと思ってますし、自分自身でも楽しみです。
VIDEO - 音楽の表現として三者三様だから、いろんな選択肢があるってことを示せればなと。ビートひとつとっても打ち込みあり、バンドでの音もあり、それを混ぜた形もあり、ですし。ぜひそういったバリエーションを観に来てほしいですね。
角舘 - なんか3組でやりたいですね。前にお願いしたけど叶わなかったVIDEOさんの映像のリベンジもありますし。ジャンルに固執するのってくだらないじゃないですか。そういう意味でも、おもしろい試みなんじゃないかなと思ってます。
- 3組の競演、楽しみにしてます! どうもありがとうございました!
Info
Erection
4/12(FRI) at UNIT
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VaVa
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OPEN 18:00
START 19:00
ADV 4,000 (ドリンク代別)
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