各音楽プラットフォームの発達や、音楽機器の性能向上もあってか、現在、音楽業界に参入するのはかつてないほど簡単なことになっている。ひとたびSNSで拡散されれば、大手レーベルと契約ができるチャンスが巡ってくるのが今の音楽業界である。
そんな中、長らくヒップホップシーンを陰から牽引してきたベテランマネージャーのSteve CarlessがAll Hip-Hopのインタビューに登場。彼はヒップホップをはじめる方法は今では幾つもあり、特に自身の楽曲を世に出したいと思っているアーティストにとってはとても便利になったとしながらも、結局大事なのはそのが曲の質だと語っている。
「俺の意見としては、本当に良いものは常にある時点でトップになり、それは常に力を維持するんだ」と語った彼は続けて、「誰もが(自身の好きなアーティストの)トップ5リストにMichael Jacksonを入れる。それかPrince、またはNasだ。このことは質に基づいたものなんだ。これは彼らが‘どれだけ’行ったかではなくて‘何を’行ったかなんだよ。アルバムやレコードは常に(リリースされた)その日のうちでさえも(作品の)山に埋もれてしまうけど、良いものだけが留まって、トップになるんだ。だから、俺が思うにこれは量より質なんだよ。量がビジネスだったら、質は遺産なんだ」とこれまでNipsey HussleやDave East、YGなどのラッパー達と仕事をしてきた彼ならではの説得力のある意見を述べた。
要するに彼は楽曲を沢山リリースしたところで、その質が良くなければ意味がなく、質が良ければ、それは後世まで残るということを言いたいのだろう。
確かに、Young Thugが「これまで15000曲をレコーディングした」と述べたり、その前にはAnderson .Paakが「65000曲分のストックがある」と語るなど現在のヒップホップシーンではとにかく量を作るのがトレンドになりつつあるのは事実だ。Young ThugやAnderson .Paakに限って、そんなことはないだろうが、その楽曲の質が低ければ結局本末転倒というわけだ。
今後も音楽業界には多くのアーティストが参入してくることだろう。だがその中でトップになるにはこのような考え方が必要になってくるのかもしれない。