現在のヒップホップシーンの発展を語る上で、古くから活動を続けてきたベテランのアーティストの存在を無視することは出来ない。しかし、ベテランの中には「若手からのリスペクトが足りていない」と考える者もいるようだ。歌うようなフロウのラップで90年代に一世を風靡したグループBone Thugs-N-HarmonyのLayzie Boneが、「Migosは俺たちをもっとリスペクトするべきだ」との主張を行なっている。
Layzie BoneはTMZの取材に対し、「Bone Thugs-N-Harmonyは歴史の中で見落とされ、リスペクトされずにいた。R&Bだと言われていたんだ。俺たちは今の年寄りに歯向かっている若者のようだったが、実際には違った。俺たちの前に出てきた人々をオマージュしていたんだ。彼らがしていたことをリスペクトしないなんてことは無かった。彼らには才能があったからな」と、自らも当時は斬新なスタイル故にバッシングを受けたが、先達をリスペクトする心は忘れていなかったと述べ、「お前たちもリスペクトを見せる必要があるんだ。自分がどこに向かうのかを知るためには、どこから来たのかを知る必要があるだろ?」と、若手には自分たちをリスペクトして欲しいと訴えた。
Layzie Boneがこのような発言を行なった背景にはMigosがInstagramで自分たちを「史上最高のグループ」だとした画像を公開したという出来事があるようだ。
「俺たちは世界に自分たちが最高のグループだということを示そうとしている。史上最高のグループの一つだ。俺たちは奴らをぶっとばすつもりだよ。もしお前らがヒップホップ史上最高のグループだと主張するなら、殺しに行くつもりだぜ」と語る彼は、Migosが「史上最高」を自称することはおこがましいと考えていることが分かる。
確かにBone Thugs-N-Harmonyのスタイルが後世に与えた影響は計り知れないものだ。しかし、現状「史上最高」や「G.O.A.T」といった表現はラッパーたちのセルフボーストの中で気軽に使われている言葉であり、Layzie Boneのリアクションはやや過剰反応であるようにも思える。
現在最も人気のあるヒップホップグループであるMigosと、ベテランであるBone Thugs-N-Harmonyのバトル。勢いづいた若手に苛立つ気持ちは想像に難くないが、レジェンドらしい余裕のある態度とは言えないだろう。