FNMNL (フェノメナル)

【インタビュー】Crossfaithとヒップホップ

日本を代表するメタルコアバンドCrossfaithが、最新作『EX_MACHINA』を8/1にリリースした。強烈なバンドサウンドをコアにしつつもダブステップや最新型のダンスミュージックをそのサウンドに組み込んできたCrossfaithは、今回はトラップやハードスタイルといったアグレッシブな音を昇華し、よりパワフルかつ繊細な自身のサウンドを提示した。

そして常に新たなチャレンジに貪欲なバンドは東京・名古屋・大阪で新たなイベントシリーズ『NITROPOLIS』をスタート、アルバムにも参加したHo99o9やOCEAN GOVEに加えANARCHYや東京での公演にはYENTOWNもゲストで登場する。

今回最新作の話と共にUSでもロックとヒップホップの接近などが言われる昨今で、Crossfaithはヒップホップをどのように捉えているのかを聞いた。

取材・構成 : 和田哲郎

- 最新作『EX_MACHINA』はバンドにとってどのような作品になりましたか?

Koie - よりバンドを強くした1枚でもあるし、最高傑作だという自負もありますね。

Teru - 去年が結成10周年だったんですけど、今回のアルバムは7年ぶりに自分たちでプロデュースした作品で、10年続けてきたからこそできた曲が入ってたり、1stアルバムの時に作ったような初期衝動で作った曲もあるし、次の10年につながるようなアルバムになればいいなと思いますね。

- Crossfaithは常に新しい音楽とのリンクを探求し続けていると思いますが、今作にもトラップなどの要素が入ってますよね。

Teru - そうですね、冒頭の”Deus Ex Machina”から”Catastrophe”に150BPMで繋いでて、前作~前々作は自分の中ではダブステップの影響が大きかったんですけど、今回はハードスタイルってダンスミュージックのジャンルの影響が強くて。普通の128BPMの四つ打ちよりも激しいもので、それを突き詰めてたどり着いたのがハードスタイルだったなって感覚もあるし、そこは新しいところかなと思いますね。

- ハードスタイルはアメリカのEDMシーンだとトラップとも結びついて大きなシーンになっています。

Teru - おれはハードスタイルはアメリカのシーンというより、ヨーロッパのものだと感じているんですよね。そもそもダブステップやエレクトロニックミュージックをCrossfaithのサウンドに落とし込んだのも、ロックを知らないリスナーにも、「この音聴いたことある」ってきっかけになると思っていて。ダンスミュージックは流行り廃りがすごい激しい音楽ではあるけど、やっぱりインスタントにしたくないし、バンドの音楽に落とし込むことでインスタントじゃなくなる部分もあるし。シーンとのクロスオーバーという意味では意識してますけど、流行っているからやるとかそういう感覚ではないですかね。

Hiro - Teruが前のシングルのレコーディングでLAにいた時にハードスタイルを「面白い」って聞かせてくれたのを覚えていて。ハードスタイルと俺らの持ってるメタルのバックグラウンドに同じバイブスを感じる部分は、すごいあったので、そこは自然ですよね。

Teru - エネルギーの部分だよね、お客さんの高揚感とかはすごいリンクする部分があるなと思いますね。

Hiro - 音の攻撃性のところもあるかもしれないですね。

Koie - ロックをルーツに持ってる人がそういう攻撃性を作ってる感じはしますよね。話飛んじゃいますけどSkrillexも、元々はおれたちがいたようなシーンにいたアーティストだし。Post Maloneも元はメタルコアバンドにいたし。なんかロックの人、やっぱセンスあるなって(笑)ハードスタイルに関しては音のマッチングと、姿勢が「おい!!!」って感じじゃないですか、そこがハマったんでしょうね。

Teru - ハードスタイル入れたいなというのは結構前から構想としてはあったんですよね。『MADNESS』くらいからいれたかったんですけど、ようやく入れられたなって。

Koie - あれちゃう、母胎の中にいる時からちゃう(笑)?

Teru - 生まれた時の脈拍150。

Koie - 速いな、高血圧やん。(笑)

- 先ほどインスタントという話もでましたけど、下手に取り入れるとバンドの良さを殺す可能性もありますよね。

Teru - そこは作曲のポイントなのかもしれないですね、例えば4小節目だけキックのアクセントを変えるとか、フィルターいじるとか、そういうちょっとしたポイントで単調にならなくしたりというとこの気もするし。おれたちは生ドラムの音もあるし、さらに打ち込みのキックの音も出てくるし、両方美味しいところをとらないとなって構成は考えますね。でも曲次第ではずっとキックが鳴っててもいいとは思うんですよね。

Tatsuya - おれたちの場合はテンポ感にこだわるんじゃないかな。本来のエレクトロニックミュージックだとこれくらいのテンポというのを、エキサイティングなバンドサウンドに取り入れるなら、BPMをちょっと速くしたりって感じでやっていけたんじゃないかな。

Koie - 取り込むのはすごい自然にできたし、ちょっと違和感があるくらいでもいいんですよね。

Teru - おれたちの中では違和感は全くないけどな。

Koie - もちろん、聴いてていい違和感というか馴染みすぎててもあれだなと思うな。おれはハードスタイルを取り入れているバンド自体知らないし。

- Ho99o9も参加してますが、彼らもクロスオーバーしていますしエネルギッシュなスタイルを持ってますよね。

Koie - その部分が大きかったですね。最初はマネージャーが教えてくれて。

Hiro - そのあと上海のフェスで一緒になったんですよ。

Koie - そこで観ても異質で、2MC1ドラムでめっちゃハードコアやしラップやし、パンクやしみたいな。おれは結構危険な匂いを感じたというか、凶暴性を感じたんですよね。今回オファーする時も「今回はこういうテーマで書いてるから、こういうものを書いて欲しい」って頼んで、そのついでにシンガロングパートも一緒に歌ってほしいって頼んだら、「それはできない」ってメールが返ってきて、「おれたちは自分たちが書いた歌詞しか歌いたくないから」っていう姿勢も結構好きで、いいなあって思いましたね。

Teru - "Destroy"って直球なタイトルの曲に参加してもらったんですけど、本当にピッタリだなと思いましたね。

- Crossfaithは以前から精神的な部分でのシンパシーという話をインタビューでもしてきましたよね。ヒップホップについてもCrossfaithが直球でヒップホップサウンドをやるわけではないけど、イベントにANARCHYやYENTOWNを招聘するわけですよね。ラッパーにもそうした精神的なシンパシーを感じるというところでしょうか?

Koie - 今回の『NITROPOLIS』に関しては、それももちろんあるし、シーンをごちゃ混ぜにしたかったっていうのがメインな理由で。おれは思っていないですけど、世間の認識としては次のロックスターはヒップホップだってなってきてると思うんですよね。昔からあったと思うんですけど、昨今はその認識がより強くなったなと思って。じゃあ他ジャンルの共通した部分を持つアーティストでバキバキやってる人らと、おれたちもロック界でバキバキやってる自信あるので、そこを掛け合わせて混ぜようって思ったんですよね、混ざらなくてもいいけど、お互い何かを感じて欲しかったんですよね。おれらもそうだし、お客さんもヒップホップヘッズがロックを聴いてる状況を観たいし、おれたちのファンがヒップホップを聴いたときに、うわ、これやばかったってなって、それで音楽を始めたりとかをしてほしいし。何かのきっかけになってほしいなって。

Hiro - 僕たちの精神性と完璧に一緒というよりは、最終日はオールナイトだし夜を感じるアーティストを選んだのもあって。夜遊んでるって部分を共有できたらいいなって。

Koie - お互い思ってると思うんですけどね、どういう風になるんやろって感じは。おれもヒップホップのアーティストの人たちをちゃんとは知らないから、ここから作っていこうぜって感じですね。

- YENTOWNをチョイスしたのは?

Koie - YENTOWNというより最初はAwichを呼びたかったんですよね、それでオファーしたらYENTOWNでいった方が強いですよって言われたんですよね。もちろんYENTOWNも昔から知ってるし、呼べるとも思ってなかったので、あざすって感じでしたね。

Hiro - 友達でVerdyって奴がおって、彼の事務所で遊んだりしてたらYENTOWNのkZmくんが来て、クラブに一緒に行ったりもして。遊んだりするとすごいバイブスいいなと思ってて。YENTOWNは夜のカルチャーを感じますよね。

- YENTOWNもヒップホップのイメージを刷新するクルーですよね。フレッシュなものに興味を惹かれるというのはありますか?

Koie - そうですね、そこを出してほしいですよね。フレッシュじゃない人にはそもそも目がいかないと思うから。

Hiro - どっちもよさがあると思いますけどね。Ho99o9は今は新しく見えるけど、彼らのルーツはオールドスクールのハードコアパンクだし、それをトラックに使ってたりするし。そういうのも踏まえた上でのカルチャーのごちゃ混ぜという感じですね。NEOなだけやと寂しいなという部分もありますね。

- 去年のインタビューでヒップホップとロックの距離が近くなってきてると感じるって言ってましたが、さらに近づいたと思いますか?

Koie - おれの感覚だとヒップホップがロックを追い抜かしたという感じがありますよね、世界的に見て。トレンドもあると思いますけど。ロックが前はトレンドセッターだったと思うんですよね、人々の不満を歌ったりとか、ひょっとしたら綺麗じゃないものを歌うという部分もあったと思うんですけど。

Teru - 近づいてきてるかをヒップホップの人に聞いてみたら、どう答えるのかが興味ありますね。昔だったらバンドやってるようなGhostmaneとかが今はラッパーじゃないですか、だからロックからヒップホップに取られたよねみたいな話をしてたんですけど。ヒップホップの人たちがどこまでロックを意識しているのかは気になりますよね。

Koie - おれはあると思うで。

- 今のラッパーはサウンド面というよりは精神面にロックスター的なものが入ってますよね。Lil Uzi Vertは別にバンドサウンドを取り入れてないですが、マリリン・マンソンから影響を受けていて、MCで「俺と一緒に地獄に落ちようぜ」と言ったりするのははロックスター的ですよね。

Koie - 俺も今聞いてて、自分のMC言われてるのかなって思いましたもん(笑) めちゃくちゃ詳しくないけど、いま台頭してきてるUSヒップホップはロックの部分が多いというか、ただバンドしていなかっただけのように感じる。Eminemが「俺はヒップホップじゃなかったらロックスターになってた」って言ってたし。メンバー集まらなかったのかな?とか(笑)

Teru - 白人のラッパーからしたらそうかもしれないけど、黒人のヒップホップの人たちは違うんだろうなって思う。ロックもやっぱり白人文化だし。

Hiro - 黒人の文化から、"Black Beatles"って言ってRae Sremmurdが出てきて。逆にPost Maloneは"White Iverson"ですよね。なんかあの対比も面白いなって。どちらにしてもハイプというか、今のヒップホップのメインにある精神性は同じところに行くとは思うんですけど。ロックとヒップホップが近づいているというよりは、ヒップホップがロックスターっていう一つの形をなぞらえようとしてる。ロックスター像っていう退廃的なイメージだったり危うさがカッコいいって、ラッパーの中で今流行ってるのかなって思いますね。

Teru - ロックスターとかバンT着たりするのもファッション的な感覚で取り入れてる人もヒップホップの中にはいるのかなって。

Hiro - ロックスターのMC入れたりしても彼らのバックグラウンドにあるわけではないし、彼らがそのアーティストが本来言っていることを本当に咀嚼しているようにはあまり感じられないですね。ヒップホップの中でWall of Deathを起こそうとしてる動きとか見ても、ほとんどがすごいフェイクに見えるし。お客さんもそれを理解してないから、ただ分かれてぶつかるだけ。けどお客さんはそれでいいんですよね。これは最初であって。その後にお客さんが「なんでマリリン・マンソン着てるんだろう。マリリン・マンソンどんな音楽なんだろう」ってところに発展してほしいなと。僕はあまり発展しないと思うんですが。。

Koie - 俺はヒップホップのWall of DeathはWall of Deathかなって俺は思ってますけど。まあそういうイベントに行って対峙したことがないから。ロックとヒップホップとDJ陣もたくさんいて、DATSも出てきて!みたいなイベントってないから。

Hiro - その中でもHo99o9はお客さんの動かし方とか精神性の部分で、ロックスター像ではなくてちゃんとロックの血が通ってる風には感じました。

Koie - そこは結構オープンなんで、じゃあやったらあかんとかは俺は特にない。ただイベントに対してはどうなるかは分からない。ひょっとしたらめちゃくちゃ失敗するかもしれないし。誰かと誰かが喧嘩するかもしれないし。それはそれだなって思ってます。そういう意味でも『NITROPOLIS』、爆発都市っていうのはすげえ当てはまってるなって。楽しみですね。

Hiro - 俺はWall of Deathがダメって言ってるわけじゃなくて、言いたかったのは服とかと同じように上辺で取ってしまっているというか。ヒップホップの若いアーティスト達ってお客さん側も若いし。そのアーティストがロックのスタイルを取り入れるのは良いんだけど、ロックにしてもヒップホップにしても過去の90年代の自分たちの血筋すらも知らなかったりすることが、俺はすごい違和感を感じる。あまり良いことではないなって。

Koie - 俺はそこに対しては、古い物知らないと新しいことしちゃいけないってルールはないと思うし。黒人じゃないとラップしたらあかんってわけでもないと思うし。それが今回の『NITROPOLIS』に感覚が近いと俺は思っていて。各々のバックグランドが違う状態で見せ合うから面白いのかなって。

- 歴史を知っているかどうかっていうのはなかなか難しい問題です。

Hiro - バックグラウンドがない音楽って違和感ないですか?僕は違和感あるんですけど。

Koie - バックグラウンド無い音楽はないと思うけどな。何かからは影響は受けてるだろうし。それが新しいものを作っていく上での重要さでもあるんじゃないかなって思うんですけど。どっちも間違ってないし、どっちも違うものだから比べるものじゃないとは思う。

- ちなみに今回出る以外のラッパーでみなさんがよく聴いてるアーティストってどういうのがいますか?

Koie - おれPUNPEEさん大好きですよ(笑) もちろんKOHHとかも聴くし、最近YDIZZYが出した新曲も結構好きで。

Hiro - あれも尾崎豊のくだりとかあるからね。

- 「生きる尾崎豊」と言ってますよね。

Koie - やばいっすよね(笑)っていう面白さがある。ヒップホップはそういう部分にみんな興味惹かれるんじゃないかなって。「そんなんやめとけって。そんなん言える立場じゃないだろ」「いや、俺は生きる尾崎豊だ」って言ってしまうってところがヒップホップの精神性かなって。

Teru - BASIさんとかも好きやんな。あとKID FRESINOとか。

Koie - BASIさんも聴くっすね。あれはヒップホップ界隈というよりはバンドっぽいかなって。KID FRESINOも好きだし。

- PUNPEEはどういう理由で好きなんですか?

Koie - なんで好きになったっけな。たまたま聴いたらめっちゃかっこよくて、あの独特なフロウが好きになって。言ってること面白いし、あの緩い感じと日本っぽさもある感じが好きになって。しかもPUNPEEの場合は「俺は一般人やぞ」っていうPUNPEEじゃないですか、でもスキルある感じが。年末年越しにベロベロになったとき、なんでか分からないけどPUNPEE好きだからPUNPEEに「オートファクシミリ」っていうパンチラインをリプで送っちゃうっていう(笑)でも返ってこなかったです、よかった。いきなり自分のパンチラインをツイートされるって意味わからんやろ(笑)会ってみたいんですよね。個人的に見に行きたいですね、日本のヒップホップはかっこいいですね。WillyWonkaとかもかっこいいと思うし。

Hiro - アメリカならJ Coleとか。

- J Coleはすごい歴史を重要視する人ですね。

Hiro - その世代とかはそうですよね。で、Chance The Rapperとかもヒップホップの歴史というよりブラックミュージックの血が通ってたりとか。あとはBROCKHAMPTONも見つけてめっちゃ聴いてました。あれも面白いですね。ハードコアのTRAPPED UNDER ICEってバンドがいて、そこのボーカルのやつが歌うわけでもなく、混ざって中で「うぇー」って言ったりとか。地域での音楽のコミュニティが見えたりして面白いですね。

Tatsuya - ヒップホップ聴く回数めっちゃ増えたな… ANARCHYのファーストとかめっちゃ好きっすね。

Hiro - 最近オススメいます?例えばHo99o9みたいにヒップホップともうひとつ垣根越えてるアーティスト誰かいますか?

- 日本だとそこは難しいところですよね。KID FRESINOはバンドセットでやったりしてますけどハードコアではない。ただ彼の場合はバンドの取り入れ方がブラック・ミュージックやジャズバンドとかではないんですよね。ロックでもないし、彼のバンドでのライブセットは面白いなと思いますね。バックにいる人達もペトロールズのメンバーや石若駿というトップドラマーが参加していて。

Teru - すげえ。

Koie - でも若いラッパーが増えましたよね日本。

Teru - 高校生ラップ選手権。

Koie - 絶対あると思うよ。あれが結構火付け役に。俺は第一回から見てるもん。まだT-PABLOWって名前じゃなくてK-九だったとき。Tatsuも最近BAD HOP聞いてるって言ってたな。

Tatsuya - もともとヒップホップとかそんなに知らない中で、BAD HOPが『NITROPOLIS』に合いそうかもなってディグって聞いてたら、キャッチーでヒップホップだけど新しいなって感じた。最近気になってるアーティストですね。

Koie - でも面白いですよね。俺の中ではヒップホップ自体がちょっと激しくなってきてるイメージがある。でもその中であんなメロウなアルバム落とすPost Malone素敵だなって。あれはもう音がポップスだなって感じもあるし。

- Post Maloneはアメリカでも評価が割れていて、あれをヒップホップだという人もいれば、否定的な人も。

Teru - Drakeもそんな感じで言われてませんでしたっけ。

- Drakeもビジネス的には成功してますけど、作品自体の評価っていうのはKendrickほど決定的な評価は得られてですよね。

Teru - でもほんと自由な音楽ですよねヒップホップ。トラック次第でヒップホップって一概に言えないし、自由になんでも言える。

Hiro - もっと近かったんじゃないかな精神的にはロックもヒップホップも。何かに対してのアンチとして存在してて。それが逆にRUN D.M.CとかAerosmithとかで混じったことで商業的になところに近づいて。どっちもどっちって薄くなったりしてるのもあるのかな。

Koie - ヒップホップは歌唱法だけで区切れないというか。歌ってる人が誰かっていうのがすごい重要。それがロックは徐々に薄れてて、音にすごい傾倒しすぎている感じが。

Teru - ヒップホップには"This is America"みたいにメッセージがあるものもありますよね。自分が黒人であるゆえのメッセージみたいな。そういうメッセージを持ってるヒップホップと、お金と女みたいな享楽的なものが同じヒップホップだとは思えなくて。音楽的にはラップでトラックに乗っけてるからヒップホップかもしれないですけど、一緒だとは思えない感覚があるんですよね。

Hiro - ハードコアとかでも、バッキバキにキメた上でやろうぜみたいなのもあるし、ストレートエッジみたいなスタイルもあったり。

Teru - ATTILAってバンドの新しい曲”PIZZA"ってやつもブレイクダウンの一発目「パイナッポー!」って言ってて。そんなんでブレイクダウンってのもなんかなーみたいな(笑)

Koie - ライフスタイルを歌う人たちと、それを経たからそこから得たものをより社会的なメッセージにする人もいるだろうし。育ってきた環境が違うから好き嫌いは否めない(笑) "セロリ"の歌詞じゃないですけど、育ってきた環境が違いすぎると思うんですよね。日本においてのヒップホップのスタイルは、ぶっちゃけアメリカほどそんなゲトーでもないし。もともとはそういうものの上に生まれた音楽で、それはロックも昔はそうだろうし。歌う人と歌う言葉がすごい需要なのかなって思うんですよね。だから俺もUSヒップホップよりも、今は日本のヒップホップのほうが聴きますね。言語が分かるってのが大きい。背景をしっているし、自分と近いからだと思う。だからUSヒップホップも掘っていったらたぶんめちゃくちゃ面白いんだと思う。ありえへんぐらい歴史と戦いがあってみたいな。

- 今アメリカのラッパーはとくに、SNSを過剰に使って自分のキャラクターを露出していって。SNSを使って誰かをディスったりみたいな。その流れで曲が出たりすると必然的に盛り上がりやすい。自分のキャラクターが理解されてるから。でもバンドになるとそこが難しいのかなって。

Hiro - わからないですけど、よりロックのキッズのほうが厳しい目でアーティストを見てるんじゃないかなって気がします。ヒップホップのアーティストはより自分の虚像を作るのがうまい。それが大前提で、そこに対してリアルを作っていくみたいな。

Koie - ヒップホップのほうがエンターテイメント性というか、お金っていうテーマが多いし金に直結してますよね。

Hiro - それは享楽的なサイドのヒップホップ?

Koie - 両方だと思う。Kendrickとかも貧しいとこで育ってきたからこそ自分自身を磨き続けた存在なわけで。一瞬でギャングになってしまうような環境で音楽というものを信じて磨き続けてやってきた。でもそれは貧しい場所で育ったからこそ、そういう風に思えるだろうし。KendrickはめちゃくちゃSNSを活用してるイメージもアホみたいなダンスを踊るイメージもないから。そういった意味では千差万別。でもやっぱショービズとお金っていう部分がヒップホップはより生々しくあるんじゃないかなとは思います。

Teru - さっき別のインタビューで、人工知能が曲作るって話をして。AIがヒップホップするってなったら議論になりそうですよね。

Koie - すぐできそう。ロックよりトラックが

- 構造化しやすい部分はありますよね。

Teru - さっきヒップホップの人は生き様とか、音楽より個人の人物像を大事にするって言ってたから、じゃあAIならどうなるんだろって

Koie - おれはあかんと思う。AIのヒップホップは魅力無いと思う。

Hiro - 俺はもう今それがキッズに受け入れられてる片鱗は見えてるって思ってて。たとえばインスタの中で、CGで作り上げられたインフルエンサーがいて。彼らをフォローしてるのはまさにヒップホップのキッズたちで。いまイケてるブランドとかを着こなしてるのを求めてて。最近ヒップホップに対してずっと思ってたのが、音がそんなに変わらないじゃないですか。じゃあもうスタイルなんだなって。だったらAIで心地よいトラックとハマりそうな話題トピックをツイッターから吸い上げて作ればすぐできんじゃないかな。CGのインフルエンサーをキッズが受け入れてるのに俺は違和感を感じるけど、それを見てしまうと、成立するんだなって思う。

Teru - そういう人物像の設定さえ作り上げてしまえば大丈夫ってことか。

Koie - でもCGのインフルエンサーは厳密に言えば人工知能じゃなくて人がデザインしたものじゃん。って思えば俺はそれは人工知能の話とは違うからそれも人が作ったたものだなって。ボカロも人が歌詞書いて曲も人工知能が作ってるわけではない。そういう意味では違うのかなって。

Teru - でも段階的な部分もあるかもな。延長線上にある気もする。

Koie - あー分かるかも。ありえるな。Lil PumpのCG版とか。実際会うことないし、CGでも分からんかもな。CG技術高いし、「Gucci Gang、Gucci Gang」しか言わない。

- 今度のイベントをきっかけにCrossfaithが見せたいシーンというか。どういったものを自分たちのファンに見せていきたいですか?

Teru - 既存のファン、いつものCrossfaithのお客さんに見せたいのは、違う遊び方とかスタイルがあるんだなって部分を。ワニとライオンとヘビを一緒の檻に入れてどうなるんだろみたいな。色んなシーンをクロスオーバーさせるからこそ、自分たちのスタイルを普段より考えて、服選んでもらったり。

Hiro - いつものライブハウス、LIQUIDROOMは俺ら何回もやってるし。それを見に来たお客さんがちょっと居心地悪いな、というかいつもと違うなってところから「ああいう楽しみ方もあるんだな」って見つけることもそうだし、お互いがお互いを刺激するような場になればいいなと。そういうものの中で新しいものを目指してくれたら一番いいなって思いますね。日本だけではないですけど、いまやっぱりロックもヒップホップもすごい分断されてると思うので、決して悪いわけじゃないんですけど、僕らがキッズの時は両方聴いてたりしてたので。壁が一個壊れたら面白いなって。

Koie - 2018年夏の一番の思い出になればいいなと思います。というのは、俺も2004年にサマソニ見に行って、出てるアーティストもめっちゃ知らない状態で見に行って、いろんなバンド見ていろんなバンド好きになって「俺もロックスターになりたい!サマソニのメインステージ立ちたい!」って。やっぱ俺の中では2004年の夏に最高の思い出ができて、それがきっかけになったから、そういうものになればいいな、何かのきっかけになってほしい。で、ありつつめちゃくちゃ忘れられない一夜にするってのが一番の目的だと思います。頭からこびりついて離れない、それがいい思い出なのか嫌な思い出なのか分からないですけど。めっちゃ飲みすぎてぶっ潰れて起きたら恵比寿の駅前だったとかもいいと思うし、めちゃくちゃ全部楽しめたでもいいし、やっぱりヒップホップ好きだったでもいいし、私はロックじゃないと惹かれないわでも良いと思うし。俺らも未体験ゾーンだから。一緒に楽しめて、やっぱ垣根を壊したいですね。

- 常に新しい挑戦をバンドとして続けられるっていうモチベーションはどこにあるんですか?

Koie - 俺は楽しいし、それがないと面白くないからかな。硬い言い方すると、俺らがやらないでだれがやるんだって思うし。他にそういうイベントが無いから新しくやっていって、見せていこうってのが一番な理由かな。難しい理由はない。

Teru - 自分たちの音楽がでちゃんとキマりたいんで、それがモチベーションですかね。

Hiro - 色々ツアーしたりとかの中で、海外でたくさん面白いとことかも行ってる中で、「こういうのあったら面白くない?」ってのがポジティブなほうではあるし、その中で日本帰ってきて違和感を感じることもあるし、そういうとこに気づいたりすることで進んでいけますね。

Tatsuya - 俺は刺激的なことがあるからいいのかなって。このバンドでどんどん新しいことしたり次のステージ進みたいって思う。自分たちの曲でもっとこんな会場でライブしたいとか、世界中行きたいとか。刺激的なものを求めているところが一番なのかなって感じます。

Kazuki - やりがいがありますし、刺激とか楽しいとか、その中には辛いとか苦しいもたくさんあるけど全部含めてのこの世界っていうのが好きなんでしょうね。嫌いになったらたぶんやめてますし、単純に好きなのかなあって思いますね。

Info

Crossfaith New Album「EX_MACHINA」
2018年8月1日 発売
【完全生産限定盤】 11,000円(税抜)
<CD>
DISC-1
「EX_MACHINA」

DISC-2(Remix CD)
01.Wipeout(Blue Stahli Remix)
02.Inside The Flames(Sullivan King Remix)
03.Vermillion Gold(Lutez Remix)
04.Freedom (KSUKE Remix)
05.Rockstar Steady (The Bloody Beetroots Remix)
06.Diavolos (Zardonic Remix)
07.Rx Overdrive (Zardonic Remix)
08.Kill 'Em All (The Qemists Remix)
09.Revolution (KSUKE Remix)

<DVD>
DISC-1
"10th ANNIVERSARY TOUR ONE MAN SHOWS - FAITH LASTS FOREVER -" DOCUMENTARY MOVIE
LIVE映像:「Jägerbomb」「Revolution」「Stars Faded In Slow Motion」

DISC-2
MUSIC VIDEOS
01.「Catastrophe」
02.The Perfect Nightmare
03.Wipeout
04.Rockstar Steady (ft. JESSE from The BONEZ / RIZE)
05.Freedom
06.Rx Overdrive

グッズ  オリジナルTシャツ&豪華BOX仕様

【初回盤】 4,500円(税抜)
CD+DVD①

【通常盤】 2,990円(税抜き)
CDのみ

【トラックリスト】
M1, Deus Ex Machina
M2, Catastrophe
M3, The Perfect Nightmare
M4, Destroy (feat. Ho99o9)
M5, Freedom (ft. Rou Reynolds from ENTER SHIKARI)
M6, Make A Move
M7, Lost In You
M8, Wipeout (Album Mix)
M9, Milestone
M10, Eden In The Rain
M11, Twin Shadows
M12, Daybreak
M13, Faint (feat. Masato from coldrain)

▼Crossfaith presents 「NITROPOLIS vol.1」▼
8月27日(月)- 大阪BIG CAT
open 18:00 / start 19:00
8月29日(水)- 名古屋DIAMOND HALL
open 18:00 / start 19:00
8月30日(木)- 恵比寿LIQUIDROOM
open 18:00 / start 19:00
8月31日(金)- 恵比寿LIQUIDROOM
open 21:00 / start 22:00

▼Crossfaith  “World Tour 2018 : UK/EU”▼
9月26日(水)- Clubzal, St. Petersburg, Russia
9月27日(木)- RED Club, Moscow, Russia
9月28日(金)- BelEtage, Kiev, Ukraine
10月1日(月)- Arena Wien, Vienna, Austria
10月2日(火)- Naumann's, Leipzig, Germany
10月3日(水)- Logo, Hamburg, Germany
10月6日(土)- Bi Nuu, Berlin, Germany
10月8日(月)- Gebaude 9, Cologne, Germany
10月9日(火)- Backstage, Munich, Germany
10月10日(水)- La Laiterie, Strasbourg, France
10月13日(土)- Marble Factory, Bristol, England
10月15日(月)- The Garage, Glasgow, Scotland
10月16日(火)- Rock City, Nottingham, England
10月17日(水)- Manchester Academy, Manchester, England
10月19日(金)- Electric Ballroom, London, England
10月20日(土)- The Plug, Sheffield, England
10月21日(日)- Academy, Dublin, Republic of Ireland

▼Crossfaith「WORLD TOUR 2018 : JAPAN」▼
10月27日(土)郡山HIP SHOT
10月28日(日)横浜BAYHALL
11月8日(木)新潟LOTS
11月10日(土)ZEPP SAPPORO
11月14日(水)高松OLIVE HALL
11月16日(金)なんばHATCH
11月20日(火)浜松窓枠
11月22日(木)ZEPP NAGOYA
11月30日(金)新木場STUDIO COAST
12月8日(土)広島CLUB QUATTRO
12月9日(日)福岡DRUM LOGOS
12月15日(土)ミュージックタウン音市場

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