今の時代、街中を歩いていると、耳にイヤホンを付けて歩いている人の方が付けていない人より多いのではないかと思うくらい、イヤホンは現代において普及してきている。特に、若者に関しては1年間でイヤホンを耳にささない日の方が少ない人がたいていであろう。
一昔前からイヤホンやヘッドホンを使用するのは聴覚障害を引き起こすといわれてきたが実際のところどうなのだろうか?
TONICに興味深い記事があった。
2015年にWHO(世界保健機関)は11億人もの若者が永久的な聴覚障害の危険にさらされていると声明を発表した。その原因としては、パーソナルデバイスからの大音量の音楽とイベントなどのデシベルレベルを挙げている。
加えて、WHOは「中高所得国」の調査を分析した結果、12歳から35歳のほぼ50%がスマートフォンやiPodsなどのパーソナルデバイスからの危険な騒音にさらされ、40%の人はバーやナイトクラブ、スポーツスタジアムそしてコンサート会場などにおいて、耳への潜在的なダメージを受けているというデータを発表した。
では具体的に“騒がしすぎる”というのはどのくらい“騒がしすぎる”のか。WHOによると、8時間続けて85デシベル以上の音を聞き続けるのは危ないそうだ。100デシベルともなると15分以上は聞かない方がいいらしい。
ニューヨーク州立大学医学部の耳鼻咽喉科専門医および臨床准教授であるRichard Nassはこう述べている。「イヤホンに関しては特別な検査や測定はありません。しかし、ルールは同じです。騒音源の近接性は、難聴の直接的な要因ではありません。主な要因はデシベルレベルと継続時間です」
要するに、音が出ているものが耳に近いことよりも、音の大きさとそれをどのくらいの間聞き続けるかが重要だということだ。
さらにRichardは、「80デシベル以上であれば聞くのを止めるべきだ」と付け加えた。
日常で80デシベル以上の音というと、ミキサー、家庭ゴミ処理場、工場、そして15メートル先を通過する貨物列車が挙げられる。
100デシベルの音の例としては、バイク、農業用トラクターなどがそうだ。MP3のヴォリュームはイヤホンを通じることで105デシベルまで上げることができるので注意が必要だ。
ちなみに、熱やせき、くしゃみなどと同じように、聴覚系の器官においても危険を知らせるサインのようなものは存在する。もし、あなたが音楽を聴き終わったあとに、少しの間何も聞こえなかったり、耳鳴りがしたりしたら、それは使いすぎの証拠だというわけだ。
イヤホンやヘッドホンを使用している人のなかには、街中の騒音や電車内での音がうるさいがために音量を上げてしまう人がいるだろう。その行為は逆に耳を危険にさらし、聴力障害になる危険性を高めている。
しかし、別にボリュームを上げずに適切なボリュームで音楽を聴いていれば、イヤホンやヘッドホンの使用は危ないことではない。
ウォークマンやiPodsが普及した頃には、聴力が低下する人や難聴になる人が増えると見込まれたが、
アメリカの国立衛生研究所の研究では、20歳から69歳の成人の聴力検査データを2011年から12年にかけて収集し、それを1999年から2004年に集めたデータと比較した結果、聴覚損失の割合は年間で約2%低下していたそうだ。
つまり、イヤホンやヘッドホンの使用と聴覚損失に直接の因果関係はないということだ。というよりも、イヤホンやヘッドホンを装着することにより、前述したような工場やバイクの音を緩和することは耳にとっては良いことであり、適切な音量で音楽を聴いていれば、いきなり聴力を失うことはありえないのである。
結局重要なのは、音量とそれをどのくらい聞き続けるかなのだ。
イヤホンやヘッドホンが聴力障害を引き起こすというのは間違いだったというわけだ。
この記事を読みながら音楽を聴いているあなたがもし、耳が疲れているなと感じていたり、音が良く聞こえないなと思うのであれば、イヤホンの音量を下げることをおすすめする。