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【インタビュー】The Internet 『Hive Mind』 | グループとしての個の強さを

2015年にリリースされた『Ego Death』以来となる新作『Hive Mind』で、ついにThe Internetがグループとしての帰還を果たす。

過去最高の評価を得た『Ego Death』のリリース後は、メンバーはそれぞれソロ活動に専念、2017年にSyd、Matt Martiansがアルバム、Steve LacyがEPを、そして2018年にはPatrick Paige IIもアルバムをリリースと、それぞれ1人のアーティストとしてもThe Internetとは違った個性をみせてくれた。

そしていよいよリリースされるアルバムには集合意識を意味する『Hive Mind』というタイトルがつけられており、すでに公開されている先行曲には、ソロ活動を経てより強力になったグループの姿があった。

今回はリーダー的存在のキーボードを担当しているMatt Martiansがアルバムリリースを前に今作の制作について語ってくれる。

 

- 前作『Ego Death』がグラミー賞最優秀アーバン・コンテンポラリー・アルバム賞を受賞したのをはじめ、多方面で大絶賛を受けました。改めて振り返り、『Ego Death』はあなた方にとってどんな作品ですか?

Matt Martians - 君も言ってくれたように、推進力になってくれたアルバムだね。あれのおかげで僕たちはものすごく注目されたし、自分たち的にもある程度のレベルに達することができたという手応えがあったんだ。あれがあったからこそ『Hive Mind』を作ることができたと思うね。『Ego Death』は僕たちのキャリアの中でも大きなステップだったと思う。

- メンバーがソロ活動を経て再集結した本作が"Come Together"という曲で始まるのは、とても象徴的だと思いました。メンバー間の結束力はソロ活動以前と比べて高まりましたか?

Matt Martians - そうだね、自分たちだけでもやれるっていう自信が生まれたと思う。勿論その力を集結させたときの強さも高まったと思うしね。で、誰かが羽根を伸ばしたいと思ったら飛び方を教えてあげることがお互いできるんじゃないかな。僕たちはいつもお互いをリスペクトし合っているからね。僕たちはユニットだけど、個人の集まりでもあるんだ。未来もそれぞれあるしね。ユニットとは言っても個人の集まりだから。

- 『Ego Death』の成功があったからこそ時にはソロ活動をしてみようと思えるようになったというのはあるでしょうか。

Matt Martians - 勿論!(即答)あの成功のおかげで自信が生まれたよ。僕たちの好きなタイプの音楽、心から興味を持っている音楽が受け入れられるってことが分かったし、バンドとしてどう効果的なものを作れるかも分かったしね。

- また、ソロ活動の経験はバンドとしての音楽制作にどのような変化や影響をもたらしましたか?

Matt Martians - 影響ね~…意思決定をするときに、以前より穏やかになったんじゃないかな。自分が気に入ってもバンドに合わない曲があったとしたら、ソロでやればいいと思えるようになったからね。そう思えるようになって、プレッシャーがだいぶ軽くなったような気がするんだ。

- ソロとグループ活動との決定的な違いは何だとお考えですか? またそれぞれの良い面と悪い面があれば教えてください。

Matt Martians - うーん、悪い面は特に思いつかないなぁ。自然の流れでこうなった(ユニット→ソロ→ユニット)だけだからね。僕たちそれぞれが自然体の個人だから、一緒にいないときも普通に音楽を作っているんだ。特にギアチェンジをしている訳じゃなくて、自然の流れなんだよね。

- "Come Together"のなかで歌われる、団結を強いる彼ら(they)の正体が気になりました。「They gonna get us come together」と歌っていますよね。彼らとは具体的に誰を指しているのでしょうか?

Matt Martians - ああ、あれは世界だったり政府だったり。どんな文脈でもいいんだけど、自然に人が集まって戦うようにさせる衝突や葛藤だね。

- 団結はさせるけどそれぞれの違いを否定させるようなものということですか。

Matt Martians - そうだね。みんな同じなんだから、みたいな。

- 本作はあなた方の拠点であるロサンゼルスをはじめ、ライブツアーで訪れたロンドンやシドニーなど世界中の様々な場所でレコーディングされています。特にAirbnbで借りた家をスタジオ代わりにレコーディングしている点が興味深いです。色んなところでレコーディングしたのは、それぞれの環境の違いを反映させたいと思ってのことだったのでしょうか。

Matt Martians - そうだね。録音するたびにそれぞれの場所のヴァイブを感じることができた。同じところでずっとレコーディングするより面白いと思ってね。新しいことをやるときって、それまでとは違った気分になるだろう?いつもと違うものに囲まれているといつもと違う気分になれるしね。

- また、Airbnbでの制作環境とその意図についてお聞かせください。

Matt Martians - (笑)入るのも出るのも楽だからね。(笑)セットアップして、終わったらすぐ帰ればいいし。

- どこか街に行って、「もしかしたらここでレコーディングすればいいかも知れない」みたいな感じで決めたんでしょうか。

Matt Martians - いい家を見つけたら、よし、ここでやってみようかみたいな感じだったよ。すてきな街を見つけたらそこでやるか、みたいなね。

- でもAirbnbの家っていうのは普通の「家」ですよね。スタジオみたいに大きな機材がある訳でもないでしょうし。

Matt Martians - Sydがポータブル・スタジオを持っていてね。どこでもセットアップすることができるんだ。彼女はそれをどこにでも持ち歩いているから、家に入ったらそれをセットアップして。

- ではAirbnbがレコーディング場所になったのは「たまたま」だったんですね。Airbnbの家でレコーディングしたかったとかそういう訳ではなくて。

Matt Martians - そうだね。ただ、Airbnbは静かなスペースを手に入れるのに手っ取り早い方法だったんだ。

- 今回レコーディングしなかったものの、これから訪れてみたい都市や、レコーディングを行ってみたい場所やシチュエーションはありますか?

Matt Martians - ないねぇ。僕たちはオーガニック(自然発生的)なものを大事にするから、わざわざお膳立てすることはあまりないんだ。それにもう既に結構色んなところを訪れてきたしね。特にアメリカでは。まぁ、ほとんどカリフォルニアにいるけど。特にどこに行こう!という必要性は感じないんだ。

- 本作では"Roll"をはじめ、ファンクやアップビートなサウンドがこれまでにない新たな魅力になっているように思います。これらのサウンドを取り入れたのは、フェス会場のファンの反応がよかったからだとお話されているのを聞きました。

Matt Martians - そうだね。みんな踊りたがっているというか、エネルギーを感じたいんだろうなと思う。僕たちはスローなグルーヴが多いバンドだから少しテンポを上げて、ショウでもっと楽しんでもらえるようにしたんだ。

- やはりステージで演奏されているときは、観客の反応を常に観察しているものなのでしょうか?

Matt Martians - そうだね、僕は観客の反応に耳を傾けるようにしている。

- 先ほどはファンクやアップビートなサウンドの話をしていましたが、ファンの反応とは別に、お好きなファンク/ブギーソングはありますか? また本作を制作する際に参照された音楽はありますか?

Matt Martians - いや、特に誰かのサウンドにヒントを得たという訳ではないんだ。基本的にはファンの反応を見て、こういう風にしようなんて思っていたよ。

- 前作に続き、今回も『Hive Mind』というタイトルがユニークです。本作のタイトルはアメコミのスーパーヒーローが着想元だそうですが 、同じように本やコミックス、映画などのエンターテインメント作品から創作の際のインスピレーションを授かることはありますか?

Matt Martians - まぁ、そうだね。あのマーヴェルコミックの場合はストーリーの中で描かれている仲間意識に共感したんだ。クールだなと思ってね。

- 『Hive Mind』という言葉自体が仲間意識を表す言葉らしいですね

Matt Martians - そう、集団としてのエゴを意識することだね。

- なるほど、集団としてのエゴですか。メンバーと一緒に過ごすなかで、彼らとの間に『Hive Mind』を感じることはありますか?

Matt Martians - 勿論さ。同じ方向を見ているしね。

- 例えば同じ料理を注文してしまったり、同じ色の洋服を着てしまったり。

Matt Martians - 両方ともよくあるよ。(笑)

- "La Di Da"もそうですし、"Roll"をはじめとした、本作のダンスナンバーの生演奏にあわせて踊れる日を今から楽しみにしています。今年1月に来日されたばかりなので気が早いかもしれませんが、今後再来日ライブの予定はありますか?

Matt Martians - まだ分からないけど、日本に行く機会は逃したくないね!みんなのお気に入りの場所のひとつであることは間違いないよ。キコ(水原希子)とも仲がいいしね。

- 日本にはThe Internet以外にもプライベートで訪れることはありますか。

Matt Martians - プライベートだけで行ったことはないけど、日本に行くときは勿論ショッピングとか色々楽しむようにしているよ。

- 先日日本を訪れた際の一番の思い出はなんですか?

Matt Martians - 1月は何したっけな~…あまり憶えてないんだ(笑)。2年前にフジロックに出たんだけど、あれにはワクワクしたな。バンドとしてもいい思い出のひとつだよ。 東京と大阪くらいしか知らないけど、日本の全部に興味があるから、長い休みができたら回ってみたいね。

- 知っている日本のアーティストなどやミュージシャンはありますか?チェックしたりします?

Matt Martians - たまに。最近はあまりよくチェックしてないけど、若い頃はTERIYAKI BOYZが好きだったね。あとFANTASTIC PLASTIC MACHINE。実は彼らの曲を聴いて、これこそ僕のやりたいことだって思ったんだ。

- これからツアーがありますが、しばらくはグループでの活動に専念する予定ですか?

Matt Martians - 僕たちはいつだってグループだよ。ソロ活動をしているときもグループというのはいつも頭の中にあると思う。

- 最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。

Matt Martians - 日本のファンは最高だよ!みんなは僕たちのお気に入りのファンなんだ。何年もサポートしてくれて本当。次にそっちに行くまで新作を聴いてグルーヴしていてくれ!(笑)

Info

The Internet - Hive Mind

7/20Release(日本盤は7/25)

価格:2,376円(税込)
SICP-5802

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