2016年にトロント映画祭にてNetflixがワールドワイドで権利を獲得した、注目のアダム・レオン監督作『浮き草たち』が、今年から日本でも配信されている。
ポーランド移民の青年ダニーは、留置場に入れられた兄に強引に頼まれ、兄がやるはずだった怪しい仕事を代行することに。その内容は、ブリーフケースを乗せた車である駅へ行き、別のブリーフケースと交換するというもの。待ち合わせ場所に現われた運転手の少女エリーと指定の駅へ向かうダニーだったが、誤って別人のブリーフケースと交換してしまい......というのが本作のストーリー。
映像やストーリーだけでなく、音楽も印象的な今作は、選曲を脚本の制作段階から行い、登場人物達の心境やアクションとシンクロする作りになっている。
アダム・レオン監督は、長いリハーサル期間も設け、自由を与えることで俳優自身に自らが演じるキャラクターを見つけてもらうという演出方法を取っており、それによって生まれた俳優陣の伸び伸びとした演技にも注目が集まる。
主人公に、ポーランド移民をフィーチャーした経緯として、実はニューヨークにいるポーランド移民の人口はとても多いという事実に対し、映画では全くスポットライトを当てられていないという理由があるとアダム・レオン監督は語っている。
ニューヨークでのロケでは、街に出てそのまま撮るというスタイル。駅や電車内での撮影は許可を得ていないことから、注意される前に素早く撮影したという。かなり遠目から撮る引きのショットでは、実際に街で本当に起きているような臨場感があり、この作品にしかない独特の雰囲気を作り上げている。
垢抜けない、どこか頼りない雰囲気のある主人公を演じるのは『グリーンルーム』で注目を浴び たカラム・ターナー。現在『ハリーポッター』のスピンオフ作品『ファンタスティック・ビースト』の続編に主人公の兄役として出演することが決まり、大躍進中である。
エッジの効いた独特な雰囲気のヒロインを演じたのはグレース・バン・パタン。今年の1月にVogueで特集を組まれ、2月にはAlexander Wangのショーに招待されるなど、ファッション界からも熱いラブコールを受けている若手女優だ。
若い才能が集結し、若手俳優陣の躍進に繋がった「浮き草たち」は、現在Netflixで配信中だ。