DJ DARUMAは現在自身の手がけるファッションブランドFULL-BK、そしてEXILE HIRO、DJ MAKIDAI、VERBALとの音楽ユニットPKCZ®︎を中心に、週末には全国各地でのクラブプレイなど多忙な日々を送っている。
今夏PKCZ®︎としてもアルバム『360° ChamberZ』をリリース、同作には90'sヒップホップシーンのレジェンドラッパーの1人であるMethod Manも参加していた。90年代のヒップホップシーンやストリートファッションシーンから得たものが大きいというDARUMAにFNMNLではロングインタビューを敢行。
常に新しい刺激を求め続け、多面的な活動を展開する彼が現在音楽やファッションに対して考えている心境などを聞いた。
取材・構成 : 和田哲郎
写真 : 横山純
- お忙しい中ありがとうございます。
DJ DARUMA - こちらこそありがとうございます。今回は割とパーソナルな部分にフォーカスしていく感じですかね?
- そうですね。先日のRealsoundのインタビューが興味深い内容で。DARUMAさんのルーツにヒップホップがありつつ、ヒップホップをピュアなものというよりかは、雑食的なものとして捉えてるなというのが読んだ感想としてあって。
もともと出会った時からヒップホップをそういう風に捉えていたんですか?
DJ DARUMA - いや、全然そんなことなくて。ダンスが入り口で、中3の時に『DADA』や『ダンス甲子園』を通じて、今でいう『高校生RAP選手権』のダンス版みたいなブームがあって、同時期に『DANCE DANCE DANCE』っていうダウンタウンさんが司会していたダンス番組でDJ BEATさんが、PUBLIC ENEMYの”Welcome to the Terrordome”で二枚使いしてるのを観て、すごいかっこいいなと思って。だからPUBLIC ENEMYが一番最初のヒップホップの入り口かもしれないですね。
で、地元の先輩の家でPUBLIC ENEMYのCD聞かせてもらったんですけど、当時のCDデッキって音が超飛んだんですよ、だけどテレビで二枚使いとか見てるもんだから1曲の変な部分がループしてるのは「これ、こういう音楽なのかな?」とか思ったりして。変わってんなーみたいな(笑)。でもこういうことやってたしな二枚使いで、みたいな感じでずっとPUBLIC ENEMYを聴いてましたね。
- PUBLIC ENEMY自体が元々ロック的な要素も入ってますよね。
DJ DARUMA - ANTHRAXと一緒にやったりとか、異質なものがあるのもかっこいいなと思ってました。今となって振り返ってみるとすごい思想の強い音楽だったんですけど、彼らの言ってることというよりは、サウンドのエッジーさに
惹かれてPUBLIC ENEMYが好きになった感じですね。Realsoundのインタビューにも書いてあったかもしれないですけど、ビッグビートに出会うまでは、ダンサーとしてもリスナーとしても割とストレートに、いわゆるNYを基本としたヒップホップシーンが面白いと思っていて。ファッション的にもサウンド的にも完全に、そういうヒップホップが好きな若者だったと思うんです。
- ビッグビートとの出会いっていうのは、かなりそこで変わった部分も?
DJ DARUMA - そうですね。僕らのダンスの師匠のBOBBYさんが、その時期にヨーロッパに行ってビッグビートを持ち帰ってきたんですが、僕はそこにヒップホップを感じれたんですよね。基本はブレイクビーツなんですが、要素的にテクノもハウスも入ってて。サンプリングのチョップの仕方とか、ときにはラップが乗ってる曲もあったりとか。特にDJスタイルがブレイクビーツやハウスの中に
突然Eric B & Rakimを入れてくる感じとか。なんかそういう雑食性みたいなところにヒップホップの本質を感じたんです。昔のブロック・パーティってこういうことだったんじゃないのかなって風に思って。
- Zulu Nation的な?
DJ DARUMA - そうそう。それこそKraftwerkもヒップホップだって言ったりしちゃう、あの感じに僕はすごい共感したっていうか。だからいわゆるNYスタイルのヒップホップを基本に考えていたマインドが、もっと本質的な部分でヒップホップを感じるものっていうのに、惹かれるようになっていったっていうのは、ビッグビートと出会ってからですね。
- 特にビッグビート期で好きなアーティストとかって?
DJ DARUMA - 僕の中でビッグビート3大アーティストはChemical Brothers、Fatboy Slim、Prodigyではあるんですけど、この間もWREPでやっているラジオ番組で、ちょっとビッグビートの話をしたんですが、色々振り返ってみるといいアーティストがいっぱいいて。FreestylersとかCut La RocとかDJ TouchéのWiseguysやLes Rythmes Digitales、挙げたらキリがないぐらいですね。
本当にシーン全体が凄く盛り上がってたのでレーベル自体も活発に動いていましたし、あとはもう少しトリップホップぽいというか、もうちょっとBPMが下がったような人達もいたりとか。でもやっぱり1番好きだったのはProdigyかなって気もしますけど。
- Prodigyは先日のインタビューでも言及されてましたよね、ファッション的な影響も?
DJ DARUMA - そうですね。あの混ぜ方がとてもエッジーに感じました。パンクだし、レイヴだし、ヒップホップだしみたいな。ファッション的な側面から言ってもすごいカッコイイなって思って。あとこれも最近色んなインタビューで言わせて頂いてるんですけど、同じようなテンションをSKATETHING氏に感じたっていうのがあるんです。やっぱ混ぜ方の凄さというか、自分自身でちゃんといろんなことを解釈してそれをアウトプットとして出すバランス感が、スケシンくんを99年ぐらいのパーティで見かけた時にすごい衝撃的だったんですよね。
- その時のスケシンさんはどういう?
DJ DARUMA - 先日のハニカムさんのインタビューでもこの話をしたんですけど、ピンク色のモヒカンで、首にバンダナを三角に巻いて初期KAWSのTシャツを着て、蛍光の鋲のリストバンドにBMXのグローブはめて、wtapsの軍パンを膝までまくり上げて、足元はベルクロだけで止まってるナイキのスニーカーを履いてて。
しかもガンガン踊ってるんですよトランスのフロアで。何なんだろうこの人みたいな(笑)。それであの人のパーソナリティに凄く興味が湧いて、隣りに座って話すようになったところが、色んな意味で僕の人生の分岐点の1つになってますね。
一時期は影響を受けすぎてしまって、とにかくスケシンくんみたいなクリエイターになりたくてって感じでした。でもスケシンくんはあくまでスケシンくんだからスケシンくんなのであって、僕は僕なりに自分の得意なことをきちんとやってくしかないと気がついて。
- DARUMAさんはもうちょっとチャンネルが開けた方向というか、より広い所に向けてるのかなって。それはDEXPISTOLSの活動の時からもすごい感じていて。
DJ DARUMA - そうかもですね。DEXのときとかは、最初日本でエレクトロを”コレがヤバい!”言ってる人達が全然いなかったんですよ。マッシュアップの流れの次に、M.I.A.的なバイレファンキが盛り上がって。世界のインディ・ダンスミュージックがMyspaceを通して同時期に繋がり始めてるっていう感じがすごいあって。東京の一部は別として、それ以前の日本のシーンっていうのはどうやってもディレイ感がちょっとだけあったんですよね。自分もフロアのいち住人としてその部分を感じてたんですけど。バイレファンキぐらい、M.I.A.がでてきた以降ぐらいから、一気に世界同時に流行を皆の中で共有することが、Myspaceの力によってできるようになって。その時はエレクトロなんていう名前も無かったんですけど、世界で何かが来るぞって言う予感を察知してて。で見渡した時に日本の中では、誰もその名もない新しいムーブメントの事について叫んでいる人がいなかったので、
これは一気に俺らが広げられるチャンスだなって思って。ていうのもよくMAARと話してたのが、日本のDJシーンって一個壁を超えるのがすごい大変だっていうのがあって。
- ジャンルの?
DJ DARUMA - いや、違います。DJをただの趣味の延長ではなくキチンと仕事にできるという壁を超えるのがすごい大変だと感じていたんです。日本のトップDJの方々というのは、その当時で言ったら不動だったんですよ。リアルなクラブシーンで言ったら20人居なかったんじゃないかな?そこの壁を超えるのが本当に大変で、若者がシーンの最前線に全然でてこないような状況があって。この壁を超えるには何かのムーブメントみたいなのを使うしか無いという話をよくMAARとしていて。2 many DJs的なマッシュアップも、その前にはあったんですけど、
それもジャンルというよりは手法だったんで、あんまりそれでガンと行く感じじゃなかったんですね。エレクトロ初期にそのビッグチャンスが確実に来るっていうのが見えたんで、そこで全力で手をあげることによって壁を超えられるんじゃないかっていうのが二人の中で一致して、そこから一気に世の中に向けて
広くやっていったっていう感じなんでしょうね。
- しかもやっぱりエレクトロの時は、ファッションと結びついていたっていうのが大きかったですよね。
DJ DARUMA - WARPの伊藤っていう当時の編集長がいて、僕らのやってることを面白がってくれたんですよ。あの時はWARPさんと一緒にシーンを盛り上げようっていうのがあったんで、そうなると新しい音楽を中心としたカルチャーとファッションっていうのがWARP的に押す部分でもあったし、世界的に言ってもシーン全体がファッショナブルに捉えられていたというか、そこが逆に面白味でもあったんで、そういった意味でファッション的な側面は相当強かったですよね。
- 逆にいまEDMがどこまでファッショナブルかっていうのが
DJ DARUMA - 恐らくファッショナブルではないですよね。そこは。
- そこが、ヒップホップに戻ってきて。
DJ DARUMA - そこはヒップホップですよね。ファッションとのリンクというかファッションシーン自体がヒップホップにすごく注目するようになったのは『Watch The Throne』あたりからのKanyeさんがキーだと思うんですけど、ファッション的な側面からあの時期に一気に来たんじゃないかなって僕は思っていて。こぞってジョーダン履きだしたりとか、Givenchyの犬の顔が
プリントしてあるTシャツをみんなが着るとか、あのへんからがキッカケで。いわゆるハイブランドとヒップホップが、一気に結びついてるのがすごい面白くて、今現在そこからの流れが相当強いですよね。
- たとえばゴーシャとかが、スポーティーなものとかを取り入れつつ、ストリートもそのまま帰ってくるよりかは、異質なものを取り込んで戻ってくるのかなっていう風にも思っていて。
DJ DARUMA - 今のゴーシャのあの雰囲気っていうのは、95年以降ぐらいのガバとかテクノ、当時のヨーロッパの白人のキッズ達のスタイルを感じますね。なんでそれに気がついたかというと、電気グルーヴのお二人が様々なYouTubeを見ながら
副音声的に色々突っ込むっていう企画があって、それで当時のガバのドキュメンタリーを紹介してて、それが凄く面白かったんですね。
最初はその当時のガバのシーンをファッション的には捉えて無かったんですが、何回も繰り返し観てたら細かい部分を色々感じるようなって、コレってファッションスタイルとしても今っぽいなと。
- DARUMAさん的に一番90年代のカルチャーでいま逆に面白いものってなんですか?
DJ DARUMA - うーん。90年代のカルチャーでいま面白いと思うもの?...なにかな??...さっきのガバじゃないですけど90年代のRAVEカルチャーはレーベルロゴとかカッコイイものが多いですね。でもいざこれが面白いっていうのは特に昔のものにフォーカスしてる感じはなくて。
- 逆に新しいところでエッジーなものって?
DJ DARUMA - 音楽的に言うと僕はハウスからトランス的なところまで、しっかりグルーヴを感じる四つ打ちに戻ってるとこがあって。ちょっと前まではターンナップしたかったという感じがやっぱりあって。トラップが出てきたとき、最初BINGOくん (HABANERO POSSE)に色々教えてもらったんですよ。当時T.I.が『Trap Muzik』ってアルバム出したじゃないですか。だから「T.I.のこと?」って聞いたら「いや、そういうことじゃないんだよね」みたいなところから、ちょうどフジロックに向かう車中とホテルで、BINGOくんにまだまだアンダーグラウンドなシーンに散らばっていたトラップの事を色々聞かせてもらって、これは面白い音楽だなってなって、そこから一気にトラップにハマっていったんですけど。やっぱりそれ以降数年間は、トラップミュージック以降の現場感というのがすごいバチっときて、久々にパーティっぽいしそれこそヒップホップを感じたというか。それでどうにかトラップミュージック的なところとヒップホップのサウンドをパーティで一緒にできないかなって模索してたんですけど最初全然できなくて。フロアが成立しないというか。
- 僕もやっぱり、ほんとアメリカみたいになったのってここ1,2年ぐらいかなってっていう感じはしますね。ちゃんとモッシュみたいなのがおこったり。
DJ DARUMA - 4,5年ぐらい前は日本でトラップとヒップホップを混ぜると「何やってんのこの人」みたいなバイブスをフロアから出されてたんですよ。
当時流行してたヒップホップもトラップもバウンスする感じは一緒じゃんっていう感じでやってたんですけど。で、その融合ってなかなか難しいなって思ってる時期に、韓国に行ったらKINGMCKを筆頭に、彼らのクルーがCakeshopっていう箱で、そのスタイルをまさにやってて。女の子たちも普通に同じテンションのサウンドとしてトラップとヒップホップを一緒に楽しんでて、JAY-Zがかかればリリックも歌うけど、普通にトラップのドロップのとこではワッショイってなるっていうその感じを、ちゃんと成立させてて。
その刺激を貰ってJOMMYやRYUZOくんたちと『#_O_M_G_』を
始めようっていう話になって。僕がRYUZOくんに、トラップミュージックとヒップホップが一緒にかかるパーティをやりたいって説明して。RYUZOくんは超ヒップホップな人だけど、トレンドを柔軟に楽しめる人なので、「それええやん」ってなって、一緒にパーティをスタートして。それ以降ずっとトラップミュージックとヒップホップを面白いなと思って聴いてたんですけど、今はまた少しマインドが動いて、個人的にはしっかりした流れのあるグルーヴをみんなで感じて踊りたいタームに入ってますね。たとえばこの前OathでDJやらせてもらったりとか、JOMMY達とCONTACTで四つ打ちのパーティやってたりとかそういうところに今はフォーカスしてるっていうか、やっぱりみんなで一緒にしっかり踊って朝を迎えたいっていう感じですね。
- EDMフェスとかだと踊れて30分というか。ピークがすごい短かったりするじゃないですか。それでやっぱり今EDM側も行き過ぎちゃったのかなって
感じになっていて。それこそCalvin Harrisの新作とかは聴いてられるようなものになってというか。そこら辺の変化がどうなっていくのかなっていうのは?
DJ DARUMA - 僕は数年前にCalvin HarrisのDJをWOMBで見たことがあるんですけど、彼がフロアから求められてるものと、恐らくあの人が表現したいことのギャップが相当あるんだなっていう雰囲気を既にその時のDJから感じました。
- 毎回同じことを求められて。
DJ DARUMA - そういった意味でも、新作でああいう掲示をしたっていうのは、とても理解できました。で、EDMに関しては僕は流行ピーク時にTOMORROWLANDに行かせていただいて、あのフェスはDimtri Vegas&Like Mike主催なので土曜日の夜、ピークタイムの彼らのための演出が最もお金がかけられていて、最も荘厳な演出だったんですね。もうほんとに1回ブレイク、ドロップ、ドーン、ですぐ32小節とかでまたすぐブレイクで、ドロップどーんみたいな連続なんですよ。何回波を起こせるかみたいな。その1時間中全部のライティング、マッピング、レーザー、噴水、ダンサー、動くオブジェと花火、それが100%ハマってるんですよ。フロアのど真ん中で1時間体感したんですけど音響もめちゃくちゃいいし、正直凄く面白かったんですね。
EDMに対する考え方はその時に変わったというか。当時音楽ジャンルとしてEDMを聴こうと思ったら、正直僕は全然フィットしなくて。あのジャンルは体感なんだなだなっていう。すべての演出込みで身体で感じるもの、その体感を”EDM”と呼ぶんじゃないかと。それであれだけTOMORROWLANDに人が集まってるんだなってのがすごい分かって。あの体感を”EDM”と考えるならば、今LDHに所属させていただいて沢山の人に自分達の音楽を届けなくちゃいけないってなった時に、EDMっていうエッセンスを体感として自分たちの作品に取り入れようと、マインドが大きく変わった部分がありますね。
- PKCZとかだとすごい規模の人数を前にプレイをして、しかもお客さんはダンスミュージックプロパーな方々じゃないですよね。
DJ DARUMA - そうですね。基本的には違うと思います。でもそこで僕たちはクラブミュージックの楽しさとか世界のトレンドを、今の日本のJ-POPを聴いてる方たちと共有して、そこからクラブシーンに少しでも還元していきたいっていう思いがあります。
- さっき韓国の話が出ていて、日本と韓国がどっちがいいっていう話は無いと思うんですけど、やっぱりいまグローバルなポップスのシーンに近いのは明らかに韓国ですよね。
DJ DARUMA - トンちゃんって渋谷にあるのわかります?サムギョプサルのお店。あそこによく行ってたんですけど昔。トンちゃんに行くともちろんK-POPがかかってて歌詞は何言ってるかわからないし、きっとアイドルの曲なんだろうけど、その当時サウンドプロダクションがすごいかっこいいなって思ってて。で、それってなんでかっていうと韓国っていうのは国内での音楽ビジネスが大きくは成立しないみたいなんですね。だから結局海外に照準をあわせて国外に自分たちのアーティストを、自分たちの音楽を輸出することで利益を得るっていう流れがあるみたいで。
ってなった時にグローバルスタンダードにせざる得ないっていう事情があるみたいで。これもよく言ってた話なんですけど、なんでトラップミュージックとヒップホップっていうのを韓国でポンとやったときに、普通の女の子たちが素直になんの違和感もなく受け入れられるかっていうと、世界のトレンドとチャンネルをあわせたものが流行歌としてちゃんと成立しているんで、突然エッジーなものとしてその人達の耳に入るわけじゃなく、違和感なく入ってくるっていうのはそこに理由があるんじゃないかなって思って。
- 最近でいうとBLACK PINKとか。
DJ DARUMA - BLACK PINKかっこいいですよね、楽曲バランスとか。こないだJOMMYから聞いた話なんですが、VISIONで韓国のLOCOっていう若いアーティストがライブしてて、めっちゃかっこよかったらしくて。もう完全にUSラップだったと。韓国語と英語のラップで。でもそれに対するファンの子達が、ようはアイドルを応援してるような感じだったらしくて、でもパフォーマンスのほうはヒップホップをやってるというか。なんかすげーってなって。
- 韓国も更にそういう変革期になってるんですよね。
DJ DARUMA - それでいいっていうか。例えばそのファンの子達が別にヒップホップとして聴いてなくても、”あ、これってヒップホップなんだ”でOKだし。気づいたらこういうの聴いてたで全然いいっていうか。やっぱりそういった意味では
三代目の"R.Y.U.S.E.I."以降の世の中の流れっていうのは、仕事する上ですごいありがたいなっていうのはありますね。ELLYがああやってヒップホップに突っ込んで、ANARCHYと一緒にやったりとか。両方にとって実があるというか、とてもいい流れになってきてるなって。ある程度シーンをコントロールできる年代っていうのが自分たちのところに順番がきてるので、だから90年代に得た知識っていうのを使って、音楽もファッションも今自分たちがある程度「こういうのが面白いんじゃないか?」って提示することによって、僕達が思うような良い流れを作っていけたらいいなってのもあるんですけど。
- FULL-BKのコレクションとかを見てても、すごいそれは感じるというか。
DJ DARUMA - もちろん自分が着るためでもあるんですけど基本的には若者に向けて作りたいというのはあって。街の若い子たちが着てほしいし、クラブのダンスフロアで映えるような洋服を作りたいし。常に90年代の雰囲気をエッセンスとして盛り込んではいるんですが基本的にはどっか絶対新しいんですよ。今って感じですよね。
- この間、今度DARUMAさんにインタビューするんですよねって、知り合いの人に話したら、なんで常に今を意識し続けられるのか聴いておいてほしいって言われて。
DJ DARUMA - 新しい刺激がどんどんほしいんです。「あーこれちょっと確かにいまフレッシュかも」みたいな刺激をずっと感じてたい。っていうだけだと思いますね。
- それはずっと変わらないですか?
DJ DARUMA - コロコロコミックだと思うんですルーツは。コロコロコミックでトレンドを仕入れることって子供の時にすごい重要だったじゃないですか。
「あのゲーム知ってる?」とか「俺は最新のヘッドもうゲットしてんだぜ」みたいな。あの新しい刺激っていうのをどんどん吸収したいっていう延長線上に今があるんじゃないかと自己分析してます。
- あれは小学生にとってのストリートマガジンですよね。読んでないと乗り遅れるみたいな。
DJ DARUMA - まさに。ジャンプは勿論だったんですが、情報誌的な意味でも毎月ボンボンとコロコロは絶対買うみたいな。あれでトレンドをすごい意識するようになりましたね。「あービックリマンの第7弾が今日発売日だ」みたいな。
- スニーカーと変わらないですよね(笑)
DJ DARUMA - その刺激がいまもずっと続いてるって感じです。
- あと個人的に聞きたかったのは今やっぱり、日本のヒップホップの。
DJ DARUMA - そうですね。そこは僕も話したいところです。
- 僕の個人的な意見だと理想的な形ではないんですけど、またチャンスが来てると思うんです。
DJ DARUMA - 間違いないですね。ビッグチャンスが来てますよね。フリースタイルのムーブメントがあって、で今のフリースタイルファンがフリースタイルをヒップホップ文化として捉えてるのか否か、っていう論争もあるじゃないですか。ジブ(Zeebra)さんとも話すと、そこだけのトレンドで終わらすつもりはもちろんないですし。ジブさん自身もすごいチャンスが来てるって思ってて、その日本語ラップの追い風っていうのは、たとえばLDHでいったら先ほども話に出た三代目のELLYがでてくるっていうのも追い風の1つになってると思うし。で、さんぴん以降日本語ラップが爆発して、ほんとにメジャーシーンまで食い込んだ時期ってあったじゃないですか。Dragon Ashがジブさんやラッパ我リヤと共演したりして、オリコンチャートに入るような時代っていうのが、僕らが若い時にあって。で、Misiaさんみたいなアーティストが出てきて、っていう時代にもどりつつあるようなチャンスが作れてると思うので。これこのまま絶対に止めちゃいけないことなんですよね。
だから今僕らの時代でチャンスがまた日本語ラップに、というか日本のヒップホップシーンに戻ってきたんで、僕は僕にできることを一生懸命やるって言う意味でのPKCZでの活動でもあります。HIROさんにヒップホップ愛がすごくあるので、どんどんやろうという話になっています。特に若者がいい感じだからシーンが全体的にめちゃくちゃ盛り上がってますよね。Creative Drug Store、YENTOWN、KANDYTOWN、BAD HOPとか、クルーとしてみんなスタンスとスタイルがちゃんとあって。kiLLaクルーもそうですけど。それぞれですごい面白い感じになってきてますよね。
- そうですね。ファッションとかも違ったり。
DJ DARUMA - そうそう。それぞれのタイプみたいなのがちゃんとあって。どっかちょっと、お互い睨み合ってるようで、ちゃんとリスペクトとかもあったりする感じ。
- それぞれ交流とかもあって。
DJ DARUMA - そういう感じもいいなって。若者が盛り上がるっていうのはすごい重要で、ストリートファッションシーンも、いままたちょこちょこ見ますもんね。
ブランド始めようとか、頑張ってみようっていう若い子たちを。ファッションにしても日本語ラップシーンにしても、20代の子たちと、更に若い高校生の子たち、
そういう子たちが盛り上がるっていうのが一番重要で、そうすることでシーン全体が盛り上がるかなっていう。だからエレクトロとかも、実際支えてたのが高校生から20代前半の子たちだったと思うし。最近だとYdizzyのライブの様子とかインスタとかにあがってるじゃないですか。恐らくほとんど高校生ですよね。
- リリパに行った時に僕と同い年とかは一人か二人ぐらいで、あとは全員ホント10代とかで、めちゃめちゃでかいモッシュサークル作って「メガネ折れちゃったあはは」みたいな感じで。すごいなって。
DJ DARUMA - あははははは(笑)。そういうの、すごいいいですよね。それこそまさにアメリカで起こってることと一緒っていうか。「知らねーしおっさん達のこととか」みたいな。
- 特にアメリカは今年になって、去年のLil Yachtyとかもそうだと思うんですけど、今年になってより、これまで絶対ラッパーにはなってなかったでしょみたいな
Lil PumpとかLiL Peepとか。絶対パンクとかメロコアとかをやってた層が、ヒップホップに入ってきてて、そこらへんはすごい面白い流れを感じますね。
DJ DARUMA - 流行だし、不平不満とか喜びとか若い世代が自分達の思いを伝える手段としてはラップが今一番ヒットしてますもんね。しかも下手すると大金持ちになれる可能性があるし。
- しかも別にもうスキルとかじゃない。自分のキャラ立ちがはっきりできれば。
DJ DARUMA - 特にUSはもう自ら漫画みたいにアイコン化してますよね。まぁその感じはすごく好きなんですけど。
- そうですね。みんなドラゴンボールとか好きだったりするじゃないですか。そういうキャラクター性みたいな。
DJ DARUMA - いかに自分にキャラクター性をもたせるかみたいな。
- そう。それをわかってるって感じもしますね。友達と話してたのは、あっちのラッパーってユーチューバーみたいなもんで、ユーチューバーとかもキャラ勝負じゃないですか。どういうキャラが自分にあるかみたいな。それを音楽でやってるのが向こうのラッパーだみたいな。だからフリースタイルダンジョンもキャラクター消費として見てるっていう人もいるみたいですね、2次元化とかもしてるみたいで。ほんとにやっぱこれまでのヒップホップとはちがうなって。
DJ DARUMA - 視聴者が自分の意見をネットに書き込んで楽しんでる部分も大きいですよね。フリースタイルダンジョン系のYoutubeの再生回数すごいですもんね。段違い。この間のT-PABLOW氏と晋平太氏の一件とか、僕も双方の意見聞いちゃったりとかしてYoutubeで。なるほど、なるほどみたいな。そういう側面からもみんな盛り上がってるんだろうなと思います。
- 最後に、あえて今自分で課題じゃないですけど、今後これをやっていかなきゃいけないなみたいなことは?
DJ DARUMA - PKCZは国内はもちろん、とにかく楽曲面でもDJとしても海外への挑戦をガンガン続けていきます。個人的にはソロのDJはしっかり日本のクラブシーンに”踊ること”を取り戻したいですね。あと最近凄く思っていることがあって、日本てストリートを中心とした様々なカルチャーシーン、音楽でもアートでもファッションでも、20代に活躍してもその後の人生をしっかり同じ流れのまま作っていけるようなシステムが無いような気がしてて。だからLDHでキチンとそのシステムの枠組みを作れたら、本当に意味があるし、それぞれのシーンのクリエイティヴも飛躍的に伸びると思うので、その部分もしっかり頑張りたいなと思っています。FULL-BKに関しては幸いなことに、JOMMYもすごいサポートしてくれて良いプレスがかけられるようになってきたので、これからは洋服ブランドに限らずカルチャーを感じる魅力的なコラボレーションを積極的にやっていこうと思ってます。
- なるほど。本日はありがとうございました。
DJ DARUMA -こちらこそロングインタビュー感謝です。
DJ DARUMA