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【インタビュー】『KANDYTOWN LIFE presents “Land of 1000 Classics” mixed by MASATO & Minnesotah』| 2017年だからこそクラシックを

Kandytown

KANDYTOWNのメンバーMASATOとMinnesotahがアメリカの名門レーベルAtlantic Recordsのソウル、リズム&ブルースを中心に50’s~70’sのクラシックな楽曲をセレクトしたオフィシャルミックスCD『KANDYTOWN LIFE presents “Land of 1000 Classics” mixed by MASATO & Minnesotah』をリリースした。

クルーの中でもきってのディガーである2人が今回のミックスは、往年のソウルの名曲群を中心に、HIP HOPでサンプリングの定番として使用される楽曲なども使用した、新世代がクラシックを再定義する内容になっており、耳の肥えたヘビーリスナーを納得させつつ、KANDYTOWNのファンには教科書的な役割を果たす仕上がりに。

2人に選曲のポイントや、レコードディグ秘話などを聞いた。

取材・構成 : 和田哲郎

写真 : 横山純

- 今回のミックス『KANDYTOWN LIFE presents “Land of 1000 Classics” mixed by MASATO & Minnesotah』はドラムブレイク主体のものじゃなくて、ちゃんと曲を聴かせるものになっていますよね。

Minnesotah - 2人で集まって、ひたすらAtlanticの中から曲をあげていきましたね。基本リスニングミュージックって感じにしたっていうかなりましたね。

MASATO - コテコテのネタものミックスにしたくないっていうのはあって。ブレイクミックスみたいな感じにはしなかったですね。Atlanticは本当にクラシックなレーベルなので。幅広いし。

Minnesotah - レコード買い始めてから、最初に覚えたレーベルってくらいよく見るレーベルだったし、それだけ数が多い老舗レーベルだなって認識でしたね。そういうレーベルだから、そこからお互い数十曲ずつ入れたい曲をリストアップして、ミックスしてみたりして、「この曲の次これじゃない?」みたいな感じで決めていきましたね。

 

- 1曲選ぶのは難しいかもしれないですが、特に思い入れのある曲は?

MASATO - おれは自分でフリーで作ったミックスにJohnny Bristolの曲を入れてたくらいなので、Johhny Bristolの"Do It To My Mind"ですかね。

Minnesotah - おれはなんだろうな。まあAretha Franklinの"Rock Steady"は選ばざるを得なかったですよね。元々ずっと好きだし、いつかは自分のミックスに入れたかったので。

MASATO - これは入れないとってなったよね(笑)

MASATO

- 相手が入れそうな曲とかってわかりましたか?

Minnesotah - MASATOくんはSpinnersの"I’ll Be Around"は絶対入れてくると思ってましたね。

MASATO - MineさんはWillson Picketとかは入れてくるだろうなって感じでした。お互いソウルとかベースは一緒なんですけど、Mineさんはラテンとかロックも好きだし、自分はハワイアンも好きだったりするし。

Minnesotah - 根本はソウルっぽいものだったりファンキーなものが共通して好きで、その中でも広がりはあるっすね。

Minnesotah

- 初めてソウルとかを聴いたのはいつ頃ですか?

MASATO - 2000年代のヒップホップがソウルの早回しをネタで使っていたりして、そこからですかね。

Minnesotah - おれも一番最初はヒップホップだと思います。それでそこから「あ、この曲JAY Zのネタなんだ」って感じで掘り下げていって。

- Minnesotahさんはレコード屋で働いてたんですよね?その時の経験って反映されてますか?

Minnesotah - めちゃめちゃされてると思いますね。レコードに対する価値観が変わりましたね。働くようになって、オリジナル盤にこだわるようになったのと、あとは新譜とかをレコードで集めるのに逆にこだわらなくなりましたね。それまではなんでもレコードで集めるって感じだったんですけど、働くようになって一歩引けるようになりましたね。レコードに合うような曲、例えばこのミックスで使われているものとかはレコードで欲しいんですけど、時代時代のフォーマットがあると思うんで。

MASATO - 自分はレコードにこだわってますね。

Minnesotah - MASATOくんは貫いてますよね。

MASATO - 昨日も新譜のヒップホップがかかるパーティーでDJだったんですけど、そこで普通にレコードでやって貫くっていう。やっぱり自分の中でレコードを使うDJがかっこいいなっていうのが理想形としてあるんですよね。MUROさんとかKOCOさんは、全然自分とはスタイルは違いますけど、かっこいいなと思っていて。海外だとDJ Spinnaとかが。P&P Recordsのミックスがあって、P&Pってオリジナル探そうと思っても全然ないし、めっちゃ高いんですよね。でもSpinnaはそこのカタログでがっつりやってて、めっちゃかっこいいんですよね。あと自分のソウルのミックスと、その使った曲が聴ける4枚組のコンピレーションとかあって、本当に音楽好きなんだなと思って。それが伝わるのが好きですね。

Minnesotah - おれはシカゴのSadar BaharってDJがすごい良いなと思いますね。MASATOくんとかぶっちゃいますけど、プレイする曲に対するバイブスが半端なくて。1曲に対する気持ちの込め方が違うなって思うんですよね。別に繋ぎが上手いとかじゃなくて、ミックスの流れもヤバイんですけど、1曲1曲のかけ方が違うなって。

- さっきあげてもらった曲とかは自分にとって特別な曲っていう感じはあるとおもいますか?

Minnesotah - "Rock Steady"とかになると、クラシックだしみんなわかるから、かけ方にこだわるというか、安易にはかけられないですよね。

MASATO - SpinnersとかJohhny Bristolとかも、有名すぎるから場を選んでかけるっていうのはありますね。

Minnesotah - MASATOくんのSpinnersは結構染みるっすよね。

MASATO - クローズ時にかけるみたいな感じで。

Minnesotah - なんかいいんですよね(笑)MASATOくんのクローズはいい。

MASATO - だいたいおれが最後に持ってこられて、みんなパーティーで疲れてるからソウルとか聴きたいみたいな。

Minnesotah - クローザーなんですよね。でもMASATOくんがかけるSpinnersは良いとか、そういうDJはすごい好きですね。この人がかけるこの曲は間違いないみたいな。信頼があるじゃないですか、そういうのが出てる人は気持ち良いなっておもいますね。

- 今だとデータでやるとしたら、平等に曲を手に入れられるし、いいかけ方できるかっていうのは大事ですよね。このミックスに並んでいるアーティストって有名なアーティストばっかりだし、これまで先人たちがソウルミックスとかを作ってきてるわけじゃないですか?緊張はしませんでしたか?

Minnesotah - ありましたね、荷が重いじゃないけど、ちょっと気負う部分はあったっすね。Atlantic?!みたいな感じじゃないですか。

MASATO - 脳裏にAtlanticのロゴがチラつくんですよね(笑)圧がきて、あーおれはこのレーベルをやってるんだよなって。

- オフィシャルでできる機会なんて、そうないですもんね。

Minnesotah - オフィシャルでやれたっていうのは良い経験ですよね。

MASATO - 若い世代でこういうことできるのもないし、逆に若い世代でこういうのが好きな人がどれだけいるのかっていう感じもありますよね(笑)

Minnesotah - 最初作っててこのミックス大丈夫かなってなってきたすよね(笑)作ってて、最初の流れでダメな人もいるだろうなって思いつつも作ってましたね。渋すぎるし、いなたすぎるから。でも作っていったら、ああこれいいじゃん、ソウル好きだったらこれ最高じゃんってなってきたから良かったですけどね。

MASATO - イケるのかな、これヤバいよねみたいな(笑)でも感じ取ってくれる人もいると思うんで、そういう人にこういうミックスも良いんだなって感覚を持ってもらえたらいいなっておもいますね。

Minnesotah - 若い人が全くソウルとか知らなくて、聴いてくれて良いって思ってくれて、掘り下げてくれて一周して正解だったって思ってくれたら嬉しいですよね。初めて聴くのが、このミックスで良かったって思ってくれたら。

- KANDYTOWNでソウルとかを掘ってるのは2人なんですか?

Minnesotah - そうですね、プロデューサー陣は掘ってると思うんですけど、堀り方が違うというか。

MASATO - 曲名とかもあやふやだったりとか、あの曲のネタとか。

- でもKANDYTOWNにはそういうソウルフルなものが共通して根付いてますもんね。

Minnesotah - 本当に昔からそういう話はしていて。

MASATO - 好きなものを共有しあってみたいな。

Minnesotah - 亡くなったユウシくんが、「これやべえから聴いとけ」みたいな感じでMUROさんのミックスとか、山達とかを貸してくれて。

MASATO - CDが回るんだよね(笑)

Minnesotah - あれ結構すごかったなと思うね。

MASATO - 大抵みんな知ってるもんね、これがいいとかは。

Minnesotah - 定番のものは知ってるよね。あとMASATOくんは出会ったときからソウルとかファンクでDJしてて、おれは全然まだヒップホップだったんで、10代の時からずっとそういうのでやってて、早かったですよね。渋いなって思ってました。

- どうしてもミックスで入れたかったけど、外さなきゃいけなかったものとかありますか?

MASATO - おれはYoung-Holt Unlimitedっていうヒップホップのサンプリングもされてるやつが、かなり好きでいれたかったですけど、まあちょっとジャズファンクみたいなところまで行っちゃうと、変わってきちゃうかなと思って、そこは引きましたね。

Minnesotah - あんまりいれたかった曲の話にならなくて、あれですけど、マニアックなものにしないようにはしましたね。

MASATO - それはそうだね、クラシックなもの。

Minnesotah - 7インチだけでリリースされてるものじゃなくて、単純に本当に名盤でアルバムで買えてってものをピックしましたね。おれは最初からそうしたかったから、特にこれを入れられなかったっていうのはないですね。

MASATO - そこは共通してて、オフィシャルで出せるからこそ、Spinnersとかめっちゃ使いてえ、あざーすみたいな感じでしたね(笑)

Minnesotah - 何周してるかはわからないですけど、今は大人の人たちもレアな曲より、定番がいいって思ってるはずなんですよね。

- レコードも定番のもののほうが値段上がってるって話を聞きますもんね。

Minnesotah - だからそれでいいでしょって感じなんですよね。このミックスに関しては別にあんまりマニアックにいかず。もちろん探究心みたいなものはありますけど。でも定番ってやっぱいいよねって。

- 10代のときに、こんなオフィシャルミックス作れるとか思ってましたか?

Minnesotah - 全然思ってないですね、だいぶ事件ですよね。

MASATO - だいぶ事件。KANDYTOWNのアルバムがワーナーから出せたっていうのが、ここに繋がってるんで、それが一番でかいなと思いましたね。

- このミックスをどういうシーンで聞いてほしいとかありますか?

MASATO - そんなシーンはあんまりないと思うんですけど、ミックスが徐々にクールになっていくんですよ。Atlanticのコテコテなところから始まって、徐々に涼しくなっていくのを体感してほしいですね。

Minnesotah - 究極やっぱりアメリカで聞いてほしい。あっちでドライブしながら、聴くのが最高ってなると思うんですけど。車乗るときとかはいいと思いますね。

MASATO - あんまり女の子といるときとかは合わないかもしれない(笑)

- ライナーノーツもすごい分厚いですよね。

Minnesotah - これは読んでほしいですね。

MASATO - やってて楽しかったですね。とにかく分厚くしたかったんですよね。

Minnesotah - デザインもすごい気に入ってますね、アートワークも。

MASATO - アートワークも音楽好きな人に作ってほしいっていうのが2人でもあって。

- 次にオフィシャルでミックスを作れるとしたら、どういうものを作りたいですか?

MASATO - また全然違うものを作りたいですね。ちょっと80'sのものとか。

Minnesotah - Atlanticってなると、カタログが膨大すぎて王道になりすぎるっていうのもあるんで、次はまたひねったものを作ってみたいなって。

- 一番気に入ってるつなぎはどこですか?

Minnesotah - おれは22局目のAretha Franklin"Day Dreaming"からPrince Phillip Mitchell"Make It Good"ですかね、これはMASATOくんがやったんですけど、結構MUROさんを思い起こさせる、キターって感じのミックスでしたね。

MASATO - ここから涼しくなるゾーンだよね。

Minnesotah - 個人的にはこのミックスはMASATOくんはMUROさんオマージュかと思ってましたもん。

MASATO - まあね、オマージュしてた(笑)"Day Dreaming"はMUROさんの『Diggin Ice』をめっちゃ聴いてたんで、そこからのつなぎは狙ってましたね。おれが好きなのはArthur Conleyの"Shing-A-Ling"からSolomon Burke"Cry To Me"のとこですかね。Atlanticって感じがして。

- KANDYTOWNの他のメンバーで誰が気にいると思いますか?

Minnesotah - どうだろうな、Mikiあたりは気にいるかも。普通にはまらないメンバーもいると思いますね。

MASATO - 全然いますね(笑)開かないやつもいそう(笑)

- ディグする上で参考にしてたものってありますか?

Minnesotah - おれは普通にネット使ってましたね。

MASATO - 確かに。あとは雑誌とかですね、Wax PoeticsとかGrooveとか。

Minnesotah - blastとかで、MUROさんとD.Lさんが出てて、ディガー特集みたいな感じだったんですよ。それは知らないレコードばっかり載ってて、なにこれ?!みたいな。そそられましたね。

- ミックスからは離れるんですけど、持ってるレコードで自分のクラシックっていえるのってありますか?

MASATO - Jerry ButlerのJay Dillaのネタのやつがあって、普通なら3000円くらいなんですけど、NYで2ドルくらいで見つけて、それは超あがりましたね。

Minnesotah - 変なアセテート盤は持ってますね、ドラムブレイク入っててファンキーロックみたいなバンドの。曲名も書いてなくて。多分2万くらいで買って。レコードを死ぬほど買ってたときにノリで買いましたね。高いレコードは今は買わなくなりましたね。前の方がレア盤、レア盤って感じで、最近は安くていい曲だったり、この曲かけられるんだみたいな感じの曲を買ったりしてますもんね。レア盤の方が、みんな知ってるじゃないですか。だからあんまり面白くないなって。

MASATO - 僕は普通に高いやつ買いますね。レコード屋行ったら、買っちゃうんで。一時期は中毒みたいになってましたね。今は抑えてます。

Minnesotah - おれは一時期はやばくて、クレジットカードで限度額まで毎月使っちゃうんですよね(笑)それで結構嫌な思いをたくさんして。それでむやみやたらに買うのはやめようってなりましたね。それで慎重になったかもしれないです。毎日届くから、よっしゃよっしゃって思ってたら(笑)それで苦しんで売ることになる。そういう時期があってよかったなとは思いますけどね。

MASATO - レコード失くすとかも本当辛いですよね。良いレコードを入れていたときに限ってなくして。くそ酔っ払ってクラブに置いてっちゃって、バッグ丸ごとなくなって。盗んだ奴は絶対いい思いしてる。Joe Bataanの普段は入れないやつを入れてて、プレイは「やってやった」って感じで上がってたら..キツかったあ。やっとその中に入ってたやつを超高い値段で買い戻して。最近出た新譜なんですけど、当時2000円のが、今は5000円になってて。和物の再発とかもすぐ高くなるじゃないですか。大上留利子とか一瞬で。

- リリパのときはこのセットで?

Minnesotah - そうですね、割と寄せようかなって。このミックスで縛る時間もあったりするかもしれない。普段はこういうセットはあまりないから、逆にこれを聴いたら現場で全然違うプレイも体感してほしいっていうのはありますね。

- このミックスを聴いて、レコード買い始める子にアドバイスを。

MASATO - 買いたいなら買ったらいいんじゃないって感じですね(笑)でも口癖のように、ハマったら危ないから気をつけろとは言いますね。いい意味でも。

Minnesotah - ハマったら危ないけど、楽しいよって感じですかね。単純に宝探しですからね。

リリースパーティーも本日開催

Info

『“Land of 1000 Classics”&”Make U Dirty”W RELEASE PARTY』

日時:9月2日(土)17:00 START

会場:原宿 VACANT 2F

アクセス: http://about.n0idea.com/space/map.html

住所:東京都渋谷区神宮前3丁目20−13

出演:MASATO,Minnesotah,MUD,Neetz

【MIX CD「KANDYTOWN LIFE presents “Land of 1000 Classics” mixed by MASATO & Minnesotah」】

 

発売日:2017年8月30日(水)

定価:\2,500(税抜)

収録曲

1. Ray Charles / I Got a Woman

2. Wilson Pickett / In The Midnight Hour

3. Wilson Pickett / Something You Got

4. Arthur Conley / Shing-A-Ling

5. Solomon Burke / Cry To Me

6. Don Covay / Mercy, Mercy

7. Archie Bell & The Drells / A Thousand Wonders

8. Harvey Averne Dozen / Think It Over

9. Mongo Santamaria / Hold On, I’m Coming

10. Aretha Frankln / Rock Steady

11. Eddie Harris / It’s Crazy

12. Eugene Mcdaniels / Supermarket Blues

13. Andy Bey / Experience

14. Sam Dees / Come Back Strong

15. Spinners / I’ll Be Around

16. Ace Spectrum / If You Were There

17. Gene Page / Into My Thing

18. Anglo Saxon Brown / Gonna Make You Mine

19. Persuaders / Somebody’s Got To Me Lover

20. Margie Joseph / Come On Back To Me Lover

21. Richard Evans / Mercy Mercy Me

22. Aretha Franklin / Daydreaming

23. Prince Phillip Mitchell / Make It Good

24. Johnny Bristol / Do It To My Mind

仕様:40ページに渡るメンバーの楽曲解説封入

https://wmg.jp/artist/kandytown/WPCL000012688.html

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