Text by Alta / Translation by Jun Yokoyama
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南アフリカの3人組プロデューサーRudeboyzが自身の名を冠したEPをロンドンのレコード・レーベルGoon Club Allstarsからリリースしてから、暗くて、すこし変わったクラブ・ミュージックを愛好する者たちは、南アフリカの外には知れ渡っていない音楽―ーgqom(ゴム)を求めて、インターネットの記事を四六時中読みあさっている。
装飾抜きで、生々しく、同じフレーズが繰り返されるそのジャンルは、南アフリカの東海岸の街、ダーバンからやってきた。そしてグライム、ダブスステップ、UKファンキー、テクノなどを好む、世界中のアンダーグラウンド・ダンス・ミュージックのファンたちを次々夢中にしていった。gqomは現代のアンダーグラウンド・ダンス・ミュージックのスタイルの断片を孕みつつも、明らかに南アフリカに根ざした音楽なのだ。
現在、gqomを取り扱うKasimp3、datafilehostやFacebook上のグループやページは、gqomに取り憑かれた世界中のファンが集まる場所となっている。そして上記の『Rudeboyz EP』やレーベルGqom Oh!からgqomのコンピレーションがリリースされされてから、gqomの出自を解説する記事が多く公開されてきた。
しかし、遠いシーンを追うのは難しく、しかもヴァイナルのリリースもなく、きちんとしたパッケージされたリリースがないという事実は、ダーバンや南アフリカのクラブで「どの曲が最高のリアクションを得たか」ということを知ることを一層難しくする。しかも、シーンをリードするラジオ番組やミックスなどが存在していないため、誰がシーンのテイストメイカーであるのか、という判断が難しい。グライムやダブステップであれば、SlimzeeやYoungstaといったシーンをリードするDJのラジオ番組を聴けばその雰囲気が分かったのだが、gqomに関して言えば、外に住むものにとっては、誰をチェックすべきなのか、という難しさが立ちはだかる。
そのようなgqomを取り巻く状況の中、gqomに関する手がかりを得るために、筆者はシーンにいる数名の人物に話をし、gqomが現在を尋ね、今年のベストgqomトラックスを集めたプレイリストを作成した。
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1、2年前からgqomを取り巻く状況は様変わりした。何と言っても地理上の広がりはすごいことになっている。かつてはダーバンでのみ聞かれていたgqomは、今や国営ラジオや南アフリカの主な都市で聞くことができる。
「2010〜2013年の時のように人に拒否されるようなことはなく、gqomは認知されているよ。まあ、人や場所によっては未だに新しいもののように聞こえるだろうね。けど、今やどこでも、そして海外でもプレイされているんだよ」と答えたのはDJ Masanana。Bhenga Njalo Boizのメンバーだ。
gqomが南アフリカの他の土地に広がっていったことに加えて、Distruction Boyzや"gqom queen"と呼ばれているBabes Wodumoは、今までにないレベルの成功を収めはじめている。その二組はタッグを組んで今年一番のトラック"Wololo"に取り掛かった。Babes WodumoはメルセデスベンツをフィーチャーしたMVを製作した。
(ちなみに、この曲"Wololo"は国営ラジオ放送からは放送禁止の扱いを受け、論争が巻き起こった。この曲のタイトルはドラッグから来ていて、gqomはドラッグのエクスタシーと蜜月の関係にあるからだ。)
これら南アフリカで聴かれているアンセムと、世界中のgqomファンたちが聞くgqomとは何かが違うということは一聴してすぐに分かるだろう。
「今はな、gqomがジャンルとしてコマーシャルになるということが求められているんだ。なぜなら、基本的に南アフリカではコマーシャルじゃなかったら音楽から収入を得ることができないからだ」と、Masive Qは説明する。Masive QはAndlile T.と共にRudeboyzを結成したメンバーだ。RudeboyzとDJ Lagはgqomのイノベーターとして広く認識されている。
「現在のgqomムーブメントはとてつもなく大きい。けど、だから何か足りないんだ。gqomに本当に入れ込んだ、情熱的でリアルなやつが。金じゃなくて」と彼は付け加える。
gqomには一定の人気があるにも関わらず、ダーバンのクラブはヒップホップやsgubhu(訳注: gqomからの派生ジャンル)のような音楽、またはもっとコマーシャルなジャンル、例えばディープ・ハウスなんかの音楽が流れがちだそうだ。しかし、もちろんgqomのホームタウンのような場所なら、ピュアなgqom体験に近い何かを発見できる確立は上がるだろう。Havana Music CafeやClub 101、KwaDanaza、One and Onlyといった場所だ。それらのベニューは音楽のためにある。
「ダーバンじゃ、もちろん多くのgqom DJやプロデューサーがいるから、ローカルのクラブでgqomを聞くことができるだろうね。gqomとsgubhuが流れるイベントもある」とNjabulo Madonselaは語る。彼はDurban Gqom & SgubhuのTwitterとYoutubeを運営する人間だ。毎週良質のミックスと楽曲をポストしている。「gqomは大きくなったよ。(クラブの時間)他のジャンル、Hiphopに1時間くらいあげることはあっても、またgqomに戻っちゃうんだ」。
「gqomとHiphopは一緒にいい感じになってるよ」とMasive Q。「なぜかって?ラッパーがgqomのビートの上でラップするからだよ」。
Masive QとMadonselaは、gqomという言葉は実際かなり広い意味で使われているということを指摘する。gqomという言葉は(海外でリリースされたgqomの)Goon Club AllstarsやGqom Oh!のコンピレーションから、gqomのサブジャンルであるsgubhuやコア・トライブといった音楽までを包括する言葉なのだ。そして、ちょっとした違いをそれぞれが持ちつつ、それらの音楽がさまざまな形でオーバラップする。
しかし遠くから観察していても、sgubhuというジャンルが「来ている」ということが分かる。gqomの多くのプロデューサーたちはオリジナルのgqomサウンドよりも今はsgubhuという音楽にフォーカスを置いているように見える。
「sgubhuは、gqomの衝撃とローカルのハウスのメロディーの衝撃を合わせたようなものなんだ」とJulz da Deejayは説明する。Julz da DeejayはレーベルGqom Oh!と契約したアーティストで、今年の頭に上海のレーベルSvbkvltからリリースしたOsheyackの『Fake/Fiction/Fraud EP』にRemixを提供した。「最近、多くの人はgqomよりsgubhuの方に力を入れるほうが『影響がある』と考えているみたいで、多くのgqomプロデューサーはsgubhuをプロデュースするほうが『よりよい』チャレンジになると思っているようだ」とJulz da Deejay。
Masive Qに言わせると、それはgqomという大きなジャンルを表す言葉が直面している商業化とその流れは一体のものである。
「なぜプロデューサーたちがsgubhuに力をいれているかというと、音楽で金儲けしたいからだよ」。「sgubhuはgqomのコマーシャルな一面なんだよ」と説明する。
Bhenga Njalo Boizは、gqomのパクリ音楽でクソみたいな質の音楽が雪崩のようにやってきていて、それから逃れようとしている。Kasimp3という音楽配信ウェブサイトの彼らのページは、gqomのクラシックがたくさん置いてある一方で、彼らの新しいアルバム『We Breathe Music』は彼らのプロダクションの中の美しいsgubhuサイドを見せつけた。
「gqomに比べると、sgubhuの勢いは今すごい。なぜなら新しいプロデューサーたちは音がでかくてマスタリングもされていないgqomを作っているからね」とDJ Masanaraは言う。「俺たちがsgubhuを作るって決めたんだ、おれたちのgqomが好きなファンたちがいたとしてもね。けど時が経つにつれて、みんなsgubhuに慣れて、俺達がそっちに移行したことも受け入れたよ」。
gqomのジャンルの中のたくさんのサブジャンルにスポットライトが当てられ、金と人がシーンに入ってくるにつれて、gqomはある種の移行を経験している。そしてフォーカスが定まらないようにみえる。
「(2016年には)、多くのメディア、多すぎるほどのアテンションとメディアがあって、本当にいろんなことがあったよ。gqom以上に注目を浴びたものは無いんじゃないかな」とMasive Qは2016年を回想する。
しかし、そうは言ってもオリジナルな音楽がなくなったわけではない。
「もしおれたちが今現在のオリジナルなgqomの曲に再注目しなければならないとすれば、それらは若いプロデューサー、しかも高校生が作るようなトラックだ」とMadonselaは言う。「高校生のような若い人が作る曲の人気は、他の土地と比べてよりダーバンでは濃縮されているんだ」。
Madonselaはダーバンで開催されるgqomのフェスティバルのオーガナイズを今手がけているようだ。Rudeboyzも同じく新曲に取り掛かり、さらには来年ライブセットをいくつかのフェスで披露する予定だ。しかもRudeboyzはDurban Gospel Choirというゴスペル・コーラス・グループとコラボレ―ションする予定だという。「どんなジャンル、どんな場所でも人々にポジティブなメッセージを伝えるために、gqomをコラボレーションさせようとしているんだ」とMasive Qは語る。
gqomのアンセムについて言えば、南アフリカは今から「シーズン」に入ろうとしている。もちろん多くのアンセムがプロデュースされる。
「みんなは夏のトラックに取り掛かっているよ」とMasive Q。「南アフリカの夏はこれからだからね」。
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シーンの核となるレーベルGqom Oh!を主宰するNan Kolèと現地からゴム・キングDJ Lagを招き、11/18に幡ヶ谷Forestlimitで開催される。このショーケースではHabanero PosseのDJ Bingoやニュー・ジェネレーション・ワールドワイド・ベース・ミュージックを掲げるパーティー『南蛮渡来』を主催するMars89もDJで参加。そしてライブでジュークを打ち込むプロデューサーKΣITOと世界を駆け巡る現代電子音楽の印象派 食品まつり a.k.a foodmanの一夜限りのコラボレーションとなるゴムのセッションを披露する。
80人限定の夜。
BONDAID#10 GQOM
2016.11.18 fri at Forestlimit
OPEN / START 23:00
ADV ¥2,750 (80 Only) | DOOR ¥3,000
DJ :
DJ Lag [Gqom Oh! / from South Africa]
Nan Kolè [Gqom Oh! / from Italy]
DJ Bingo (Habanero Posse)
Mars89 (Chopstick KIllahz)
LIVE :
KΣITO x 食品まつり a.k.a foodman “ゴム・セット”
#GQOM #HOUSE #AFRO #BASS #ELECTRONIC
ADV TICKET OUTLET ※80枚限定 / 80 only
PassMarket : https://goo.gl/uYDQ9l
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本原稿は中国語にも翻訳され、Wooozy に掲載されている。