FNMNL (フェノメナル)

東西ドイツそれぞれのグラフィズムが集結する『戦後ドイツの映画ポスター展』

2016/11/15()2017/1/29()まで、戦後二つに分断された東西ドイツにおいて、それぞれ独自の発展を遂げた映画ポスターのグラフィズムを紹介する「戦後ドイツの映画ポスター展」が、東京国立近代美術館フィルムセンターにて開催される。

 

『ミュリエル』(1963年/フランス/アラン・レネ監督) ポスター:ハンス・ヒルマン(1963年) サントリーポスターコレクション(大阪新美術館建設準備室寄託)

第二次世界大戦の終結後、政治対立によって東西二つに分断されたドイツは、1990年に統一されるまでの間、冷戦の最前線にあって映画界も別々の道を歩むことになった。西ドイツでは映画製作が息を吹き返しアメリカや西欧の映画が盛んに輸入され、かたや東ドイツでは国営会社DEFAによって独自の社会主義的な映画文化が育まれていった。

『M』(1931年/ドイツ/フリッツ・ラング監督) ポスター:ヴォルフガング・シュミット(1966年) ドイツ映画研究所所蔵
昨日からの別れ』(1966年/西ドイツ/アレクサンダー・クルーゲ監督) ポスター:フェリー・アーレ(1966年) ドイツ映画研究所所蔵
『メフィスト』(1981年/ハンガリー/サボー・イシュトヴァーン監督) ポスター:ホルスト・ヴェスラー(1981年) フィルムセンター所蔵
『三銃士』(1974年/フランス/アンドレ・ユヌベル監督) ポスター:クリストフ・エーベッツ(1977年) サントリーポスターコレクション(大阪新美術館 建設準備室寄託)

そうした映画文化の分岐は、ポスターにも顕著に表れている。西ドイツではアート・フィルムを配給する会社がハンス・ヒルマンやフィッシャー=ノスビッシュ夫妻ら新世代のグラフィック・デザイナーを積極的に起用し、時に大胆なタイポグラフィに訴えた鮮烈なポスターを制作した一方、東ドイツではDEFA采配のもとエアハルト・グリュットナーやオットー・クンメルトらが、内省的ながら宣伝美術の枠に囚われない自在な表現を生み出していった。

『七年目の浮気』(1955年/アメリカ/ビリー・ワイルダー監督) ポスター:フィッシャー=ノスビッシュ(1966年) サントリーポスターコレクション(大阪新美術館 建設準備室寄託)
『ジプシーは空にきえる』(1976年/ソビエト/エミーリ・ロチャヌー監督) ポスター:ヘルムート・ブラーデ(1977年) サントリーポスターコレクション(大阪新美術館 建設準備室寄託)

この展覧会では、東京国立近代美術館フィルムセンターと京都国立近代美術館の共催により、1950年代後半から1990年までに制作された85点(西ドイツ45点+東ドイツ40点)の映画ポスターを通じて、“鉄のカーテン”の両脇で花開いた二つのグラフィズムを紹介する。

 

なお、この展覧会は11/29(火)~12/25(日)まで開催される特集上映「DEFA70周年 知られざる東ドイツ映画」の関連企画として行われる。映画上映とあわせて楽しもう。(Yuuki Yamane)

 

 

INFO:

戦後ドイツの映画ポスター
Postwar German Posters for Films

会期:2016/11/15(火)〜2017/1/29(日)

会場:東京国立近代美術館フィルムセンター

住所:東京都中央区京橋 3-7-6

時間:11:00〜18:30(最終入場時間 18:00)

休館日:月曜日 12/26(月)-1/3(火)は休室

観覧料:一般 210円(100円)

大学生・シニア 70円(40円)

高校生以下及び18歳未満、障害者(付添者は原則1名まで)、MOMATパスポート持参者、キャンパスメンバーズは無料 ※料金は常設の「NFCコレクションでみる 日本映画の歴史」の入場料を含む。

※( )内は20名以上の団体料金。

※学生、シニア(65歳以上)、障害者、キャンパスメンバーズはそれぞれ入室の際、証明できるものを要提示。

※フィルムセンターの上映企画観覧者は当日に限り半券の提示で団体料金が適用。

TEL:03-5777-8600 (ハローダイヤル)

URL:http://www.momat.go.jp/fc/exhibition/germanposter/

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