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Young Thugの新作『JEFFERY』に登場する悲劇のゴリラ「ハランべ」とは?

Harambe

先週の金曜日にアトランタラッパーのYoung Thugが新作『JEFFERY』をリリースした。この10曲入りの作品は、ボーナストラック扱いの"Pick Up the Phone feat. Travis Scott & Quavo"を除いて、Thugにとってのアイドルの名前がトラック名につけられている。

 

例えば"Guwop"はアトランタのトップラッパーでThugを見出したGucci Maneの愛称であり、"RiRi"はRihannaのことだ。他にもバトンルージュの名ラッパーWebbieやアーティスト以外だとボクサーのFloyd Mayweatherの名前がついたトラックも収録されている。

『JEFFERY』の中で1曲人間以外の名前がつけられているのが7曲目に収録されている"Harambe(ハランべ)"だ。レゲエアーティストRita Marleyが1982年にリリースしたアルバムタイトル『Harambe』から名付けられたハランべは、シンシナティーの動物園で飼育されていたオスのゴリラだ。ハランべは今年の5/28に3歳の男の子がハランべの柵に落ちてしまい、子供を保護するために職員によって射殺されてしまった。

ハランべが射殺されるまでの経緯は、Youtubeに動画がアップされており、その是非を巡って論争が起きた。動物園側は男の子はハランべに引きずられていて、そのままだと子供の命が危なかったと主張しているが、そもそもゴリラは穏やかな性格で、ハランべが子供を傷つけようとしていたかはわからないという意見も数多い。署名サイトChange.Orgには"ハランべの正義のために"という子供の両親に説明責任を求める請願がたてられ48時間で33万筆の署名が集まった。また大手ヒップホップサイトWorldStarHiphopが、「2016年に死去した偉人」というツイートにPrinceやDavid Bowie、モハメド・アリなどとともにハランべの名前をリストに入れるなど、インターネットでも広くその死は話題になった。

Young Thugは"Harambe"のリリックで直接的にハランべについて言及しているわけではないが、「Ape shit nigga, Godzilla, nigga, act up(興奮しろ、ゴジラのように、暴れろ)」というラインにはThugなりのハランべへの追悼ともとれるリリックが感じられる。またハランべについては韓国系のラッパーDumbfoundedもトリビュートチューンを作っていて、こちらはハランべの射殺を警察の暴力に重ね合わせた歌詞となっている。

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