『ダージリン急行』や『グランド・ブダペスト・ホテル』などの作品で日本でも高い人気をほこる映画監督ウェス・アンダーソンの、横移動に代表されるカット割りや画面の隅々まで徹底された監督の趣味の良さ、ユーモアあふれるキャラクター造形は当代一といってもいいだろう。ウェスは名門テキサス大学でウェスの作品の常連である盟友のオーウェン・ウィルソンと出会い映画制作を始めた。同大学が多くの名作を所蔵こともあり、そうした名画から貪欲に知識を吸収していったという。その知識をもとに作られたウェスの映画には数多くの名画からのいわゆるサンプリングが多く行われているが、一見しただけではよくわからない。そんな疑問を解消してくれる動画がYoutubeで公開されている。
Luis Azevedoは映画評論家のMatt Zoller Seitzが行ったリサーチとウェスに対してのインタビューに基づき、ウェスの作品のカットと似ている構図やテーマを持った別の作品のカットを並置し動画を作成している。
デビュー作『アンソニーのハッピー・モーテル』(1996)ではフランソワ・トリュフォーの『大人は判ってくれない』やアメリカン・ニューシネマを代表する名作『卒業』からの引用が行われていたり、出世作『天才マックスの世界』(1998)では多大な影響を受けているといわれるオーソン・ウェルズの代表作『市民ケーン』や『チャーリー・ブラウン』と似ているカットがあることがわかる。
『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(2001)ではまたしてもオーソン・ウェルズの『市民ケーン』や『偉大なるアンバーソン家の人々』、『フレンチ・コネクション』など、最新作『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014)からは『女王陛下の007』など、幅広いウェスの影響源が明らかにされている。動画は下記で視聴可能。