FNMNL (フェノメナル)

HOT 97 SUMMER JAM TOKYOフォトレポート ― 日本初上陸のアーバンミュージックの祭典をプレイバック

PUSHA T

NYの音楽カルチャーを作ってきたアーバンミュージック専門のラジオ局HOT 97は80年代後半に開局し、90年代半ばにはトップラジオステーションとして絶大な人気をほこった、老舗中の老舗のラジオ局だ。1994年からラジオ局の看板イベントとして『HOT 97 SUMMER JAM』を開催し、NYの夏を毎年彩ってきた。これまでイベントにはグラミー受賞アーティストはもちろん、USのトップアーティストが出演し、今年は、FUTUREやCHANCE THE RAPPER、YOUNG THUGなど旬のヒップホップアーティストからFAT JOE & REMY MAなどベテランまでが出演した。

そんなヒップホップ/R&Bシーンをリードするフェスが『HOT 97 SUMMER JAM TOKYO』として先週末の金曜日7/29に日本初上陸し、FRENCH MONTANAやPUSHA Tといった来日が待ち望まれていた超大物アーティストや、OMARIONやFABOLOUSといった実力派アーティスト、そしてHOT 97のプログラムを取り仕切るパーソナリティーやDJも一挙に来日した。もちろんチケットは即完売。アフターパーティも急遽開催決定したりと、『HOT 97 SUMMER JAM TOKYO』は開催前からその存在感を示してきた。今年の夏、全国のHIPHOP/R&Bファンにとって絶対外せないビッグイベント『HOT 97 SUMMER JAM TOKYO』を写真とレポートで振り返る。

写真 : 横山純 文 : 和田哲郎

金曜日の17時という早い時間のスタートにも関わらず、FNMNL取材陣が到着した17時半頃には会場のZEPP東京は満員。海外のヒップホップファン中心のクラウドが多く日本語ラップに対する厳しい視線も感じられる中、AK-69はユーモアたっぷりのMCと挑発するような煽りを入れながら、堂々としたパフォーマンスでとヒット曲”A Hundred Bottles”などを披露し、記憶に残るライブを見せつけた。

 

その後、唯一のR&BシンガーとしてOMARIONが登場。最近のヒットチューンである”I’m Up”や”Bump, Bump, Bump”などで場の空気をスムースに自分の雰囲気に変え、ダンスパフォーマンスやマイクスタンドを使い、セクシーさもしっかりアピールした。

彼がお約束通り上半身裸になってから、代表曲”Ice Box”のサビをほとんど観客に歌わせ一体感を作ったところで会場のメロウ濃度は最高潮に。最後の締めはもちろん大ヒット曲”Post To Be”だ。一度パフォーマンスを始めたもののDJに曲をストップさせ、会場の照明を消すよう指示し「日本で初めての”Post To Be”だから、スナップチャットはやめて、携帯のカメラをしっかり照らして撮ってくれ」とアナウンスし、会場全体がOMARIONに合わせて合唱。メロウな余韻を残しステージを去った。

 

 

続いてFABOLOUSがランニングをするかのようなスポーティーな格好で登場し、颯爽と”Real One”や”Into You”など新旧織り交ぜた自身のヒットチューンを披露。”Can’t Let You Go”や”Make Me Better”といったクラシックチューンで、会場はものすごい熱気に包み込まれた。

その後AK-69を呼びこみ、共演曲”Oh Lord”を披露するなど、日本へのファンサービスもしっかり行い、後半でDesiignerの”Panda”や2 Millyの”Milly Rock”といった近年のヒットチューンのジャックを矢継ぎ早にスピット。会場の熱気をPUSHA Tに託した。

 

 

そしてKanye West率いるG.O.O.D Musicのプレジデントで、「King」の異名をもつPUSHA Tのライブは”Don’t Like”からスタート。その小さい体から放たれる、誰よりもパワフルでソリッドなフロウと、ステージを縦横無尽に使ったパフォーマンスはまさに圧巻の一言。”Mercy”や”Runaway”といったG.O.O.D Musicシットで観客が一体となる瞬間が何度も訪れる。

MCで「おれがG.O.O.D Musicのプレジデントだ、おれがEl Presidenteだ」と高らかに宣言し、Clipse時代の”Grindin’”から最新アルバム『King Push』に収録されているBiggieをサンプリングした”Untouchable”まで代表曲を容赦なく出し続けた。最後には力強いアカペラのフロウで煽りに煽って、Futureに客演した”Move That Dope”、最新シングル”Drug Dealers Anonymous”で締め、一瞬としか思えない濃厚なライブを終えた。

 

 

 

 

 

大トリはFRENCH MONTANA。PUSHA Tとは対照的にゆったりとした動きとおなじみのハァ~ンというフレーズを織り込みステージを支配。クラブヒットを量産しているMONTANAだけあっって、ほとんどの曲のフックで大合唱が起こり、完全にクラウドを味方につけた。

Nicki Minajに客演した”Freaks”や”ドープなトラックとキャッチーなフックの”Don’t Panic”などでまずは見せ場を作る。中盤では盟友だった故Chinxのクラシックチューン”I’m A Coke Boy”をパフォームし、「Chinxのために2本の指をあげてくれ」とMCをおこない追悼曲”Off The Rip”を披露。

その後はアンセム路線に再び戻り、”Ocho Cinco”からの”Pop That”という流れでクラウドも待ってましたとばかりに、この日1番の盛り上がり。FAT JOE & REMY MAの”All The Way Up”や自身の新作アルバムのリードシングルで、Kodak Blackをフィーチャーしたアブストラクトなバイブを持ったキラーチューン”Lock Jaw”、あの日本のトップシンガーをサンプリングしていることでも話題の”Sanctuary”でステージを後にした。

 

 

 

 

 

すべてのライブが終わったあとにはEBRO DARDENやPETER ROSENBERGなどパーソナリティー陣とDJ LEADがステージに立ち、クラウドへの謝意と来年は5倍の規模で戻ってくることを誓った。夏の夜のアーバンミュージックの祭典『HOT 97 SUMMER JAM TOKYO』は来年へのさらなる期待を抱かせつつ大盛況のうちに終了した。今回の『HOT 97 SUMMER JAM TOKYO』では、本場の空気感をそのままパッケージしたパフォーマンスに対して、120%のエネルギーで迎えた日本のクラウドの反応がとても印象的だった。来年はより大きな規模でそれを体験できるとしたら…今からワクワクが止まらない。

<Event Info>

<HOT97 SUMMER JAM TOKYO>
■日時:2016年7月29日(金)開場 16:00 / 開演 17:00

■出演アーティスト:
FRENCH MONTANA、PUSHA T、FABOLOUS、OMARION、AKLO、 AK-69、BANGKOK INVADERS & DABOYWAY

【パーソナリティー】EBRO DARDEN、PETER ROSENBERG、LAURA STYLEZ、NESSA、MEGAN RYTE、TT TORREZ

【DJS】DJ ENUFF、DJ KAST ONE、DJ BOBBY TRENDS、DJ CAMILO、DJ LEAD

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