FNMNL (フェノメナル)

ビートメーカーと画家という2つの顔をもつ、Teebsインタビュー

LAのビートシーンに最も根ざし、最も愛されているというアーティスト、それがTeebsだ。画家として活躍しながら、怪我をきっかけにビートメーカーとしても頭角を現し、Brainfeederからアルバムをリリースするなど両輪の活躍を見せている。6月に開催されたBrainfeeder3出演のために来日した彼に話を聞いた。

取材和田哲郎写真(表記のないもの) 寺沢美遊 取材協力 Beatink,UNIT

- 3回目の来日になると思うんですが、今回のショーではペインティングとライヴ両方をパフォーマンスしてくれるということなんですが、どういったものになる予定ですか?

Teebs - そうだね今回が多分4回目の来日になるかな。ライブペインティングはライブペインティングだからその時で見えた色を書くだけだよ。ライブに関しては、まだリリースしていない最近作っている音やこれまでに作った音をミックスしたものになる予定だよ。

- 最近作っているものは近々リリース予定はあるんですか?

Teebs- Prefuse 73とのコラボレート作が今年中にリリースされる予定だよ。

Photo By Miyu Terasawa

- それはどんな作品になりそうですか?

Teebs- 前からPrefuseとはEメールでアイディアを交換していたんだけど、2週間彼のスタジオにこもって集中的に制作したんだ。内容的にはPrefuseの過去作のOne World Extinguisherのドラムの鳴りと、僕なりのサウンドテクスチャーを組み合わせたような、作品になると思うよ。

- それは楽しみですね。

Teebs- 僕もすごい楽しみなんだよ、早くリリースしたいね。

- あなたがビートシーンにデビューして以来ビートシーンはどんどん大きくなってきていて、すごい今は可能性を秘めていると思うんですがそれについてはどう思いますか?

Teebs - ヤバいよね、ほんとにクレイジーだと思うよ。

- こんなに大きくなることって予想できていましたか?

Teebs - 大きくなることとかは考えたことはなかったけど、例えばHudson Mohawkeのことは昔からよく知ってるんだけど、彼の音楽を初めて聞いたときに、すごいなと思ったから「お前は将来ラジオとかに出るようになるよ」って言ったんだよ。

- 実際そうなってますもんね。

Teebs - それはもう昔から見えてた事だよ。

Photo By Miyu Terasawa

- ライブペインティングをするときは、実際音を聞きながら描いていくわけなんですが逆に、音を作る時って色とか柄が頭の中に浮かんだり見えたりするんですか?

Teebs- 音楽を作っているときは頭の中が真っ白になるというか真っ黒になるような無になって作っているんだ。それで無意識のうちに作って作り終わると正気にもどるような感じになるんだよね。

- ちょっと恍惚状態みたいな感じですか?

Teebs- 基本的に聴覚以外の感覚が麻痺というかシャットアウトされてしまって、とにかく聞こえてくる音と自分の呼吸くらいしか感じなくて、その聞こえてきた音を、自分の手で形にしていくという作業になるんだ。

- とても集中した状態なんですね。

Teebs- 全くその通りだよ。

Photo By Miyu Terasawa

- ライブペインティングをするときは色々な感覚が作動している状態ですよね?

Teebs - ライブペインティングのときはもちろん視覚がメインの感覚になるんだけど、でも自分のキャンバスの周りにいるお客さんとかは目に入らなくなってしまってキャンバスだけが見える状態になるんだ。もちろん喋りかけられたりすれば別だけど。その場で鳴っている音楽は描く作業をスムースにしてくれる作用があるんだ。

- Thundercatにさっき聞いたらTeebsはクレイジーな奴だと言っていたんですが、あなたが思うBrainfeederのクルーはどんな感じですか?

Teebs - 確かにクレイジーな奴らの集まりだよ(笑)全然合わないようでいて完璧に通じ合えてるって感じかな。

- ThundercatもFlying Lotusとは全然違うけど、どこかで通じ合っていると言ってましたね。

Teebs - そうだね、例えて言うなら、ThundercatとFlying Lotusは水と土みたいな関係で全く違う要素なんだけど、2つが合わさるとすばらしいビーチができちゃうみたいなディープな関係なんだよ(笑)

- あなたは最初画家としてデビューしたと思うんですが、音楽はいつから作り始めてたんですか?ずっと音楽も作ってきていたんですか?

Teebs - 音楽の方がずっと後だよ。画家としてデビューした後だね。怪我をして車いすで生活しなきゃいけない時期があったんだ、その時は家にずっといなくちゃいけなくてすごいヒマだったから色んなプログラムを勉強し始めたのが音楽を始めたきっかけだね。

- 音楽のルーツはどんなものだったんですか?

Teebs - 自分の両親はBob Marleyとか、Jimi Hendrixとか聞いていたよ。あとはアフロとかかな。自分が一番最初に買ったのはTha Alkaholiksのシングルかな。あとはDef Juxとかアンダーグラウンドなヒップホップが大好きだったよ。一時期引っ越しをしていて地域が変わったせいかロックとかパンクとかも聞くようになっていったよ。その時はスケートボードもやっていたしね。

- ちょっと個人的な質問なんですが今のヒップホップシーンだと結構西海岸にスターが揃っていて東海岸は小粒かなって印象なんですが、どちらが好きですか?

Teebs - 東海岸にもたくさんいるよ。NYは若いラッパーたちがいまどんどん勢いをつけてきているよ。Joey Bada$$のPro EraとかFlatbush ZombiesとかAction Bronsonもいるし、僕自身はNYのヒップホップはやっぱり好きなんだ。もちろん西海岸のアーティストも好きなんだけど、今のNYの若手達にはとても注目しているんだ。

 

- じゃあビートメーカーで、まだあまり知られてなくて絶対覚えておいた良い人とかいますか?
Teebs - すごいたくさんいてなかなか思いつかないんだけど、LAのビートメーカーのmndsgn(マインドデザイン)はすごい良いと思うよ。

- LAはなんでそんなに良いビートメーカーが集まってくるんですかね?Low End TheoryもLAだし、BrainfeederもLAが拠点じゃないですか。どういう空気感がそうさせているのかなと。

Teebs - いい天気じゃないかな、あとは美味しいタコスが重要だよ(笑)

- いまタコスの話がでましたけど、日本食とかでも好きなものがありますか?

Teebs - (深くうなずいて)泣きそうなほど好きなんだよ。日本に来た瞬間に悲しくなるんだ。なぜかというとアメリカにすぐに戻らなきゃいけないことになるから。それくらい日本の食べ物が好きなんだ。朝ホテルで起きるとすぐにコンビニのおにぎりを買いにいくんだ。あれはほんと美味しいね。

Photo By Miyu Terasawa

- ほかに日本にきて楽しみにしていることってありますか?

Teebs - やっぱり人と文化全般が全然違うから面白いよね。あとは建築とかデザイン面も面白いよ。植物とか風景もLAとは全然違うから好きだよ。自分の全体的な美意識が日本の影響を受けていると思うよ。

- 日本のビートメーカーで良いなと思う人っていますか?

Teebs - Daisuke Tanabeだね。名前を知ってるのは多くはないんだけど、彼の周りの人たちもいい作品を作っているのは知っているよ。

- 最後に今日のショーはどんなものになりそうですか?

Teebs - バク転をいくつかして、火を吹くよ。普段からやってるんだけど。

- Thundercatも火をつけて客を皆殺しにするって言ってました、すごいクレイジーなショーになりそうですね

Teebs - すごいクレイジーで一生一度しか味わえないものになると思うよ。

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